「言の葉の庭」のネタバレあらすじ結末

アニメ映画

言の葉の庭の紹介:2013年公開の日本アニメーション映画。雨を題材とした透明感のある世界観と、映像美が魅力。ファンタジア映画祭では今敏賞、第18回アニメーション神戸賞では作品賞・劇場部門を受賞するなど、評価の高い作品。

予告動画

言の葉の庭の主な出演者

秋月孝雄【タカオ】(入野自由)、雪野百香里【ユキノ】(花澤香菜)、タカオの母(平野文)、秋月翔太(前田剛)、寺本梨花(寺崎裕香)、松本(井上優)、佐藤(潘めぐみ)、相沢(小松未可子)、伊藤(星野貴紀)

言の葉の庭のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①靴職人を夢見る高校1年のタカオは、雨の日には1限の授業をさぼり、新宿御苑の日本庭園で靴のデザインをすることにしていた。ある日そこで朝からビールを飲む女性・ユキノを見かける。何度も会ううちに互いに惹かれるようになった2人。 ②ユキノはタカオの学校の古典教師で、もめ事で学校へ行けなくなっていた。ユキノは故郷で教師を続ける決断をし、タカオはもう少し大人になったら迎えに行こうと思う。

【起】- 言の葉の庭のあらすじ1

2013年。日本、東京都。
高校1年生の秋月孝雄、通称:タカオは、雨の日の「あること」をずっと高校に入るまで知らなかったと思います。
制服の裾をぬらす他人の傘、誰かのスーツに沁みついたナフタリンの匂い、背中に押し付けられる体温、顔を吹き付けるエアコンの不快な風…そういったものを今までタカオは経験していませんでした。
子どもの頃、空はもっとずっと近かった…そうタカオは思いながら、新宿で電車を降ります。

〔六月〕
よくないことではありますが、雨の日には1限目の授業をサボって歩き、新宿御苑に行くのがタカオの習慣でした。
タカオは将来、靴職人になりたいと思っており、新宿御苑の日本庭園のあずまや(庭園に休憩などの目的で設置される、屋根のある四方に壁のない建物のこと)でデザインしていました。
ある日いつものようにあずまやに行くと、そこに27歳の女性・ユキノが座っていました。タカオも隅っこに座ります。
ユキノは明治チョコレートをつまみに、朝から金麦のビールを飲んでいました。チョコとビールの取り合わせに驚きながらも、タカオはデッサンを続けます。
タカオが落とした消しゴムを、ユキノが拾ってくれました。その顔を見た瞬間、タカオは「この人どこかで見たことがある」と思い、そう告げますが、ユキノは否定します。
しかしユキノはタカオの胸の校章マークを見て、はっとした顔をしました。
立ち去りながら、ユキノは「会ってるかも」と呟きます。タカオの顔を見ながら『鳴る神の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか きみを留めむ』と小さく言ってから、立ち去りました。
その日はまだ梅雨入り前でした。九州地方や四国地方は梅雨入りしたものの、関東地方はまだです。

その夜、タカオが夕食の支度をしていると、社会人の兄がコロッケを買って帰ってきました。
タカオの家は母、兄、タカオの3人暮らしです。しかし母は今朝から家出していました。
母は一回りも年下の恋人と付き合っているのですが、兄が来月に家を出て彼女と暮らすのが気に入らず、それで家出をしたのです。
タカオの母は年齢よりも若く見えました。それを兄は「苦労していないから」と分析し、その分タカオが老けていく、苦労人だと指摘します。
その日の昼間、ユキノから聞いた歌の文句を書きとめたタカオは、兄に聞いてみました。
しかし兄は短歌と俳句の区別すらつかず、別の人にあたってくれと言います。

タカオは晴れた日にはきちんと電車を乗り換えて、通学します。
別の日、雨が降ったのでまたタカオがあずまやへ行くと、ユキノがいました。会社をさぼったと答えます。
その日も、ユキノの酒のつまみはチョコレートでした。
「いまヤバい女だって思ったでしょ。どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしいんだから」
ユキノのその言葉は、奇妙にタカオの心に響きました。タカオはユキノに少しずつ惹かれていくのを感じます。
その日が関東地方の梅雨入りでした。

それからは、雨が続くたびにタカオはユキノと会うのが、暗黙の了解になりました。
何度も会ううちに、タカオはお弁当を作って行き、ユキノにおすそ分けしてみます。

【承】- 言の葉の庭のあらすじ2

タカオは夜にはバイトも入れていました。靴職人になるために、少しずつ金を貯めているのです。
将来は靴の専門学校に入学し、靴職人になるという夢も、重ねて会ううちにユキノに打ち明けました。
雨を祈っている自分に、タカオは気付きます。

ユキノは出勤拒否を続けていました。電車に乗ろうと試みはするものの、ホームから動けずにいます。
電車に乗らずに新宿御苑に行ったユキノは、自分でもお弁当を作ってみました。
タカオに卵焼きを取られて焦ります。ユキノは不器用で料理があまり得意ではなく、卵焼きには案の定、卵の殻が入っていました。
うたたねするタカオは、まだ父がいて4人家族だった小学生の頃に、母に家族で靴のプレゼントをした夢を見ていました。
あずまやでうたたねするタカオの寝顔を見ながら、ユキノは「まだ私、大丈夫なのかな」と呟きます。

ユキノは仕事を辞める決断をしました。
相談に乗ってくれていた伊藤先生は、あずまやで会うユキノの相手を、おばあちゃんだと思っています。ユキノがそう話したからです。
ユキノがあずまやでビールとチョコを口にしていたのは、それしか味が分からないからでした。ユキノは仕事上のあるトラブル(後述)でストレスを抱え、味覚障害に陥っていたのです。
しかしそれも、タカオが作るお弁当で少しずつ改善されていました。

〔七月〕
いつもお弁当を差し入れてくれるお礼も兼ねて、ユキノはタカオに、タカオが欲しがっていた書籍をプレゼントします。
タカオはユキノに頼みごとをしました。デザインしている靴が上手にいかないので、採寸をさせてくれというものです。
タカオはユキノの足を、壊れ物のように扱いました。それを見ながらユキノは、「私ね、うまく歩けなくなっちゃったの」と言います。

関東地方に梅雨明け宣言がなされました。天気予報どおり、晴天が続きます。
いつしかタカオもユキノも、雨の日を待ちわびるようになっていました。
晴れなのでタカオはあずまやへ行く言い訳ができず、ユキノはタカオが来ないのを寂しく思います。

兄の引っ越しの手伝いをしたタカオは、ユキノに会えないまま夏休みに突入しました。

〔八月〕
ファンデーションの容器を落としたユキノは、中でパウダーが割れたのを見ます(化粧せず、きちんと仕事をしていないことの示唆)。

夏休みのタカオは、殆ど毎日バイトを入れていました。専門学校の学費代だけでなく、靴を作る材料や道具代も考えると、金は用意しておくに越したことはありません。
ユキノに会いたいという気持ちはあります。
しかし15歳の自分が大人のユキノに恋をしても、相手にされないであろうことは分かっていました。
それよりも大人のユキノに釣り合うために、自分が早く成長できるようにと、タカオは考えていました。

【転】- 言の葉の庭のあらすじ3

対照的に、ユキノは自分が15歳の頃から全く成長できていないと、痛感します。

〔九月〕
ユキノとの再会は、意外な形で訪れました。高校の廊下を歩くユキノを、タカオは見かけたのです。
ユキノの方も気付きました。ユキノは退職の手続きのために、学校へ来ていました。
同級生の女子生徒・佐藤と男子生徒・松本が経緯を知っていたので、タカオは聞きます。
タカオのクラスの古典教師は老教諭でしたが、別のクラスではユキノが担当していました。ユキノは古典教師でした。
しかし高校3年生のある男子生徒がユキノのことを好きになり、その男子生徒が同じ高3の女子生徒と付き合っていたために、高3の間でもめごとが起きたそうです。
他の女子生徒はユキノを敵視するようになって、ユキノは学校に来なくなりました。
トラブルを聞いたタカオは、「その先輩たち、名前、分かる?」と佐藤、松本に聞いて、問題の女子生徒・ショウコのところへ行きます。
ユキノを退職へ追い込みながら、ショウコと周囲の同級生は平然としていました。
ユキノを「あんな淫乱ババア」と表現し、かっとなったタカオはショウコを殴り、他の男子生徒に返り討ちに遭います。

晴れの日にもかかわらず新宿御苑の日本庭園に向かったタカオは、池のそばにいるユキノを見つけました。
いつかユキノが呟いた『鳴る神の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか きみを留めむ』は、万葉集の和歌でした。タカオはその返歌を答えます。
『鳴る神の 少し響(とよ)みて 降らずとも 吾(われ)は留(と)まらむ 妹(いも)し留(とど)めば』
(前者は「雷が鳴って雲が広がり雨が降ってくれれば、帰ろうとしているあなたを、きっと引き留められるのに」。
後者は「雷が鳴らなくても、雨が降らなくても、君がもし引き留めてくれたならば、私はここにいる」という意味)
教科書に載っていたと、タカオは言い添えます。

ユキノは、自分の騒動が学校中に知られているものと思っていました。ユキノが古典教師というヒントを出すために、和歌を引き合いに出したのです。
しかしタカオはユキノが同じ学校の古典教師だという正体を知らず、そのまま屈託なく接してくれました。タカオの存在が、いつしかユキノには救いになっていました。
タカオの顔にできた傷をユキノが指摘しますが、「俺だって喧嘩くらいします」とごまかします。

晴れていたのですが突然、雷が鳴り、にわかに曇って大粒のにわか雨が降りました。
急いで2人はあずまやに駆け込みますが、それまでにびしょぬれになってしまいます。
ユキノは自分たちの姿を見て、「私たち、泳いで川を渡って来たみたいね」と言いました。
(この言葉は村上春樹『ノルウェイの森』にも同じ台詞がある)

雨が止まないので、ユキノの家に立ち寄って服を乾かすことになりました。

【結】- 言の葉の庭のあらすじ4

ユキノが服にアイロンをかける間に、タカオは手際よくオムライスを作ります。
ユキノの服を借りたタカオとユキノは、一緒にオムライスを食べながら、互いに同じこと「今まで生きてきて、今が一番、幸せかもしれない」と思います。
タカオはユキノのことが好きだと告白しました。
ユキノは顔を赤らめながらも、来週には四国の実家へ帰ることを告げます。
「私はあの場所で、靴がなくても歩ける練習をしていたの」と言いました。
タカオは帰ると言い出し、着替えるとユキノの部屋を出ます。

ユキノは悩みました。一回りも年下のタカオに惹かれているのは確かです。
しかし一方で、タカオの気持ちを受け入れることも難しいと考えていました。
タカオの正直な告白に対し、自分の気持ちをきちんと伝えられていないと感じたユキノは、はだしのまま部屋を出て階段を駆け下り、タカオを追いかけます。

タカオは階段途中で止まり、雨を見ていました。
ユキノの姿を見ると、「俺、やっぱりあなたのこと嫌いです」というもうひとつの本音も、堰を切ったように口走りました。
「自分のことは何も話さない癖に、人の話ばっか聞き出して。俺のこと生徒だって知ってたんですよね。汚いですよそんなのって。あんたが教師だって知ってたら、俺は靴のことなんてしゃべらなかった。どうせできっこない、かないっこないって思われるから。どうしてあなたはそう言わなかったんですか。ちゃんと言ってくれよ」
「あんたは一生ずっとそうやって、大事なことは言わないで、ずっとそうやってひとりで生きていくんだ」
…この言葉もタカオの本音でした。そして、この言葉もユキノの心に深く響きます。
(はっきりと自分の欠点を言って叱ってくれる者は、大人になるとなかなかいないから)
ユキノはタカオに抱きつくと、泣きながら自分の抱えていたつらさを訴えて、「あの場所で私、あなたに救われてたの」と答えます。
雨が止む前から日が差し込み、タカオとユキノを包みます…。

…季節はめぐり。
ユキノは四国へ戻り、そこで再び教壇に立つようになっていました。
タカオは冬服の季節になり、ユキノが去った後も時折、ユキノのことを思い返していました。
ユキノが去ってからも靴の勉強は独学で続けており、冬休みにもバイトを入れて資金を稼ぎます。
何枚も高価な皮をダメにしながらも、ユキノを思って靴を作ります…。

(エンド後)
東京で積雪があった日、タカオは久しぶりに新宿御苑の日本庭園に行きました。
2月のその日、タカオはユキノから手紙をもらっていました。ユキノは名前ではなく苗字で、「雪野百香里(ゆきの ゆりか)」が本名でした。
庭園で手紙を読み返したタカオは、そこにユキノのために作った靴を置きます。
歩く練習をしていたのは、自分も同じだと気付いたタカオは、もっと大きくなったら、必ずユキノに会いに行こうと思いました。

(ハッピーエンドを思わせるラスト。
精神的に成長していないと自覚するユキノと、母子家庭でしっかりせねばならないと思うために年齢よりも大人のタカオは、ちょうどつり合いが取れそうな感じ)

(新宿御苑では飲酒が禁止されているというテロップが最後に入る)

みんなの感想

ライターの感想

まず。雨に着目し、雨を徹底的に描いた作品。劇中の実に7割くらいが雨のシーン。
ハッピーエンドと捉えてもいいし、いろいろ余白を残してくれる作品。
現実的なことを考えると「ひと回りの年齢の差は…」と思うけれども、タカオが一途な人物であることは、靴職人への姿勢からも明白だし、タカオ側はぶれそうになさそう。
いっぽうのユキノ。27歳だし…この後、タカオを待つだけの時間があるかどうか。地元でいい人見つけて、あっさり結婚してたりして。
…とかいうのを、友だちとかとわいわい議論するのも楽しそう。
ふたりが互いの気持ちを伝えあうマンションの階段のシーン。けっこう高層階だよね。
エレベーターをなぜ使わないの?
雨にこだわりぬいた演出だし、あそこで雨から陽射しが差し込むことで、彼らの心情を見せたいのは判るよ。
でも…高所恐怖症の私にとっては、「こわいこわいこわい」と思ってしまった(笑)。

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