「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のネタバレあらすじ結末

コメディ映画

腑抜けども、悲しみの愛を見せろの紹介:2007年公開の日本映画。本谷有希子による戯曲を原作としたブラックコメディ。主演は佐藤江梨子、監督は「紙の月」などで知られる吉田大八。劇中に登場する漫画は、ホラー漫画家の呪みちるが手がけたものである。

予告動画

腑抜けども、悲しみの愛を見せろの主な出演者

和合澄伽(佐藤江梨子)、和合清深(佐津川愛美)、和合宍道(永瀬正敏)、和合待子(永作博美)、和合曾太郎(上田耕一)、小森哲生(土佐信道)、萩原(山本浩司)、神野(谷川昭一朗)

腑抜けども、悲しみの愛を見せろのネタバレあらすじ

【起】- 腑抜けども、悲しみの愛を見せろのあらすじ1

季節は夏。山間の集落で、和合曽太郎とその妻である加奈子が、トラック事故で即死します。加奈子が車道にいた猫を助けるために飛び出し、その彼女を助けるために曽太郎も飛び出したのでした。2人がバラバラになってしまう悲惨な現場を、次女の清深は目撃していました。
葬儀の最中、兄嫁の待子は呆然とする清深を見かねて、庭に現れた猫に「かわいいね」と言ってしまいます。さらに、姉の澄伽が東京から戻ってくることを伝えると、突然清深は喘息の発作を引き起こします。事態に気付いた兄の宍道は、待子を突き飛ばして清深に駆け寄ります。待子は転がった先で、「3,650円(タクシー代)」と呟く澄伽と対面します。
葬儀が終わり、澄伽は東京土産と称して、清深に猫のぬいぐるみを渡します。清深は言葉を失い、姉妹が居間を去ると、宍道は澄伽が猫のことを知らないわけがないと、苦い表情を浮かべるのでした。
事の発端は4年前。18歳の澄伽は、上京して女優になりたいと訴えます。曽太郎が「お前に女優の才能はない」と反対すると、澄伽は父親に発言を撤回させるために、刃物を振り回して暴れます。それを止めようとしたときに、宍道は顔に傷を付けられてしまいます。
その様子を当時14歳の清深は呆然と眺めていました。しかしこのとき、清深のクリエイター魂がみなぎっていたのです。
澄伽は高校の同級生の萩原に身体を売って、上京資金を貯めていました。清深はそんな姉を題材にした漫画を、夢中になって描いていました。作風はホラー漫画で、何の気なしに応募したところ見事入選し、漫画雑誌に掲載されてしまいます。
澄伽が主人公の漫画はたちまち話題となり、村中から嘲笑の対象にされます。清深は姉に何度も謝りますが許してもらえず、女優として満足に仕事をもらえないことも、全て自分の責任にされていました。
それ以来、澄伽は事あるごとに清深をいたぶるようになります。

【承】- 腑抜けども、悲しみの愛を見せろのあらすじ2

澄伽はこれまで、両親からの仕送りで生活していました。ところがその両親が亡くなったことで、女優業を続ける道が閉ざされてしまいます。宍道は借金返済のため仕送りを拒否しますが、澄伽は「お兄ちゃんまで私の邪魔をするの?」と責め立てます。
実は澄伽は、東京から逃げてきていました。彼女はオーディションを受けてもセリフも覚えてこないので、面接官から嫌味を言われます。これに逆切れをして面接官に椅子を投げつけ、「演技が下手なくせに性格も悪い」と、事務所からクビを宣言されていたのです。
その上澄伽には借金があり、借金取りが実家までやってくる始末でした。金を稼ぐために、澄伽は入浴中の清深に熱湯をかけて、湯船から出てきたところを写真に撮って売ろうと企みます。清深はのぼせて意識を失い、宍道に発見されます。
回復した清深が台所で水を飲んでいると、澄伽が現れます。咄嗟に机の下に隠れた清深は、澄伽と宍道が足を絡めながら会話をする様子を目撃します。
加奈子は曽太郎の後妻で、宍道はその連れ子でした。澄伽と宍道は血が繋がっておらず、過去に性的な関係をもっていました。4年前、村中の笑い者になっていた澄伽は、宍道に自殺をすると告げました。宍道は澄伽をなぐさめているうちに、男女の仲になってしまったのです。それ以来頭が上がらなくなり、結局仕送りも約束させられます。
半年前に嫁いだ待子は、コインロッカーの中で産まれた孤児でした。お見合いで宍道と結婚するも、まだ一度も肉体関係を持っておらず(澄伽が原因)、処女であることに悩んでいました。
あるとき、宍道を怒らせた待子は、そうめんのつゆを顔にかけられてしまいます。その際にめんつゆが目に入って失明寸前となり、入院することになります。清深もアルバイトに出かけて、邪魔者がいなくなった家で、澄伽は「お兄ちゃんが必要なのは私だけ」と言って、宍道に迫るのでした。

【転】- 腑抜けども、悲しみの愛を見せろのあらすじ3

することがなく、実家でぶらぶらしていた澄伽は、たまたま雑誌で見た新鋭の映画監督・小森にファンレターを送ります。
女優になる道をあきらめられずにいた澄伽は、小森から返信が来たことに大喜びします。手紙に熱を入れ始めた澄伽は、自分の女優としての才能を信じて疑わないことや、無理解な家族をあげつらった内容を書いて、喜々としてポストに投函します。
何度か文通を重ねるうちに、小森から澄伽に次回作の主演女優の話が舞い込んできます。澄伽はその手紙を清深に読ませて、自分が認められたことを誇ります。そして澄伽が漫画の件を許して上京すると告げると、あろうことか清深は姉が主人公のホラー漫画の再執筆を始めるのでした。
クリエイター魂を燃やす清深は、澄伽の行動を観察するようになります。澄伽が便箋を買いに行った文具店で、かつての売春相手だった萩原と再会し、村はずれの境内に連れ込む様子を、清深は見ていました。
萩原は100万円で80回分というスタンプカードを発行し、行為に及ぼうとしますが、そこへ澄伽を追いかけてきた借金取りが現れます。萩原は言いがかりをつけられ、金だけ没収されてしまいます。
またある夜は、澄伽が宍道の部屋に忍び込んで誘惑している現場を盗み聞きしていました。しかし、人の気配に気付いた宍道がふすまを開けて、鉢合わせしてしまいます(澄伽は何も知りません)。
一方、退院してきた待子は、ずっと関係を持たなかった宍道に、思いきって迫ります。宍道は抵抗しますが、待子の無理強いによって、2人は初めて結ばれるのでした。
澄伽と清深、そして待子の間に挟まれて疲れきった宍道は、自ら命を絶ちます。

【結】- 腑抜けども、悲しみの愛を見せろのあらすじ4

清深がこれらをネタに雑誌のコンテストに応募すると、見事新人賞を受賞します。そして荷物をまとめて、賞金の100万円で上京して漫画家になると、澄伽と待子の前で宣言します。
清深の漫画を見て激怒する澄伽に向かって、清深は「最近手紙の返事がないよね」と言います。清深が取り出したのは、なんと澄伽が小森宛に書いた手紙の束でした。清深は郵便局でアルバイトしており、返信は全て彼女が書いたものだったのです。
絶句する澄伽に向かって、「お姉ちゃんに女優の才能はない」とトドメを刺します。さらに「お姉ちゃんは自分のおもしろさを全然わかっていない」と言い放ちます。澄伽は4年前父親を襲ったときと同じように、その場にあったナイフを掴んで清深に突進していきます。
2人は倒れ込みますが、ナイフはおもちゃでした。清深は「やっぱりお姉ちゃんは、最高におもしろいよ」と言い残して、家を出て行きます。待子は餞別として手作りの呪いの人形を渡します。清深は「お姉ちゃんがいなければ(宍道と待子は)いい夫婦になれたかもしれない」と言って、人形をバスの停留所に置いて行くのでした。
清深がいなくなった居間で、澄伽は叫びながら手紙を引きちぎります。すると、コンセントを繋いでいない扇風機が突然動き出し、真っ赤な手紙の破片が風で散らばります。そして待子は宍道の遺品のビデオから、澄伽が出演しているドラマのビデオを発見します。澄伽の登場シーンは一瞬で、鍋で殴り殺される役でした。
清深がバスに乗ると、追いかけてきた澄伽が連れ出します。2人は田んぼで揉み合いになり、清深が「馬鹿女」と罵ると、澄伽は「私を漫画のネタにするなら、最後まで見届けなさい」と言い放つのでした。
その後、東京へ向かうバスに澄伽も乗車します。清深は無防備な顔で眠る姉をスケッチします。その絵はこれまでのホラーではなく、少女漫画のようなタッチに変貌しているという場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

登場人物全員がぶっ飛んでいるのですが、この世界のどこかに存在していそうな、実在感も不思議と備わっていました。キャストも絶妙で、澄伽を演じる佐藤江梨子さんは、天上天下唯我独尊の馬鹿女になりきっていました。そして、姉に恥をかかせても漫画を描かずにはいられない清深を演じる佐津川愛美さんの、終盤で見せる悪魔のような素顔にも凄みがありました。両親は事故死し、兄は自殺し、姉は妹によって女優としての道を叩き壊される……。起きた出来事だけ並べると悲劇なのですが、この作品を重く感じないのは、変な人間たちによるとんちんかんなやりとりが笑えること、そしてラストの清々しさにあると思います。姉妹が上京してからも「最高におもしろい」出来事が待っていることを期待しています。

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