「あの日の声を探して」のネタバレあらすじ結末

ヒューマンドラマ

あの日の声を探しての紹介:2014年製作のフランス・ジョージア合作による人間ドラマ。「アーティスト」で第84回アカデミー賞作品賞、監督賞などを受賞したミシェル・アザナヴィシウスが監督、製作、脚本を務めた。1948年の「山河遥かなり」を現代に置き換えてリメイクした作品で、チェチェン紛争に翻弄される少年とEU職員、そしてロシア軍兵士の姿が描かれていく。

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あの日の声を探しての主な出演者

キャロル(ベレニス・ベジョ)、ヘレン(アネット・ベニング)、ニコライ(マクシム・エメリヤノフ)、ハジ(アブドゥル・カリム・マムツィエフ)、ライッサ(ズフラ・ドゥイシュヴィリ)

あの日の声を探してのネタバレあらすじ

【起】- あの日の声を探してのあらすじ1

1999年、第二次チェチェン紛争によりチェチェン共和国はロシア軍の攻撃で焼け野原と化していました。そこにカメラを持った一人のロシア軍兵士が現れます。「ここはでっかいクソ溜め チェチェンだ」。チェチェンを侮辱する言葉を語りながら、その兵士はロシア軍によるチェチェン人虐殺の様子を笑いながら眺めていました。そのときカメラが収めたのは、両親を目の前で殺され泣き叫ぶ若い女性の姿でした。その様子を、女性の幼い弟ハジは自宅の窓から眺めていました。両親は死に、姉は行方知れずとなり、ハジは生まれたばかりの弟とともに家に取り残されてしまいます。ハジは故郷の街を出て、道中見つけたチェチェン人家庭の家の前に弟を置いていき、一人孤独な旅へと出て行きます。

ハジはなんとか難民キャンプに辿り着き赤十字からの支援を受けることになりましたが、赤十字職員のヘレンに質問されても何も答えません。両親の死のショックで言葉を話せなくなっていたのです。ほどなくしてハジは赤十字の施設を出てホームレス生活を送るようになります。赤十字の施設には母がいる子どもや泣きわめく赤ん坊など、過去を連想させるものが多くあったからです。

一方、チェチェン共和国から遠く離れた地に住むロシア人、ニコライの姿も並行して描かれていきます。ニコライはロッカーを目指す若者でしたが、ある日警察に言いがかりをつけられ逮捕されてしまいます。ニコライは刑務所入りを免れたものの、その代わり軍に強制的に入隊させられることに。ニコライが配属されたのは、チェチェン紛争の後方支援地。主な任務は、戦死者の搬送と書類の処理でしたが、ときには訓練を苦に自殺してしまう仲間の処理に当たることもありました。任務と訓練のつらさに加え、ニコライは部隊の中でいじめの対象になってしまいます。平和に暮らしていた一人の若者の心は、次第に病んでいくのでした。 この映画を無料で観る

【承】- あの日の声を探してのあらすじ2

EU人権委員会に所属するフランス人女性職員キャロルは、チェチェン紛争で被害に遭った人々の聞き取り調査を現地で行っていました。そんな中、キャロルは偶然ハジと出会います。キャロルは絶望しきった表情のハジを放っておけず一時的に引き取ることに。しかし、ハジは相変わらず言葉を話せず、キャロルも一方的にフランス語で語り掛けるばかり。通訳を介したコミュニケーションも効果はなく、キャロルはハジの名前すら知ることができずにいました。キャロルはやむなく赤十字にハジを預けようとしますが、ハジは脱走しそのまま行方知らずに。しかし、キャロルが仕事を終え家に戻ると、家の前にはハジの姿がありました。キャロルは再びハジと暮らすことを決めます。

同じ頃、ハジの姉ライッサは親戚の家に身を寄せ、ハジたちの行方を探していました。赤ん坊の弟はなんとか見つけることができましたが、ハジの行方がどうしてもわかりません。戦禍をなんとか逃れたライッサはハジがかつて訪れた赤十字に辿り着きました。ライッサは弟探しをしつつ、そこで保育の仕事をするようになります。

物語は再びロシア軍のニコライの視点に。ニコライは軍の雰囲気に染まって暴力的な性格となり、仲間から一目置かれる存在になっていました。今では死に対する恐怖感も薄れていました。そんなある日、ニコライは前線への赴任を命じられます。辞令を受けるニコライは満面の笑みを浮かべていました。

【転】- あの日の声を探してのあらすじ3

ハジとの二人暮らしを再開したキャロルでしたが、相変わらず意思疎通はできずハジは警戒心を解いてくれません。キャロルはその悩みを赤十字のヘレンに打ち明けますが、ヘレンは過労のストレスからキャロルに手厳しい言葉を浴びせます。キャロルが所属するEU人権委員会はこの惨劇に対して無力だというのです。落ち込んで帰宅したキャロルのことを、ハジが笑顔で待っていました。キャロルへの贈り物として美しいネックレスを用意していたのです。ハジからの思いもよらないプレゼントに喜ぶキャロル。その日を境にハジは感情を表に出し始めました。まるで家族のように過ごすキャロルとハジでしたが、二人で絵を描いていると、キャロルが描いた家と人の絵をハジは泣きながら塗りつぶしてしまいました。ハジは故郷と家族を思い出していたのです。

それから間もなくハジはキャロルの前で初めて言葉を発します。ハジが話したのは、フランス語の「ウィ(はい)」と自分の名前ハジとキャロルの名前だけでしたが、キャロルはハジの回復を心から喜んでいました。そして季節は新年を迎える時期となっていました。相変わらずEUはロシアに対して何もできずにいましたが、せめてこのときだけは楽しもうとキャロルはハジと新年を祝おうと考えます。陽気なダンス音楽をかけ一緒に踊ろうとしますが、キャロルはハジに強い拒否感を示されてしまうのでした。

一方、前線に赴いたニコライは初めての殺害を経験していました。市民虐殺や戦死者からの略奪が日常茶飯事の環境の中で、ニコライもまたその空気に染まっていきます。ニコライは一人の兵士からあるものを略奪します。それは、一台の小型ビデオカメラでした。

【結】- あの日の声を探してのあらすじ4

ある日、キャロルは街で出会ったチェチェンの女性からネックレスを返すよう言われてしまいます。女性はキャロルの家を訪れ、ハジの盗みを強く責め罵倒し始めました。ハジはひどく落ち込んでしまいますが、翌日突然キャロルの勤務先を訪れ、悠長な言葉遣いで自分の身の上を語り始めました。両親が殺されたこと、父親はダンスが得意だったこと、キャロルのお礼のために盗みを働いてしまったこと…キャロルは感激の涙を流し静かにハジを抱きしめるのでした。

それから間もなくキャロルはEU外務委員会に出張することとなりますが、キャロルが出掛けるのを見計らってハジはダンス音楽をかけダンスの練習をしていました。その様子を陰ながら見つめ、安堵の表情を浮かべるキャロル。しかし、キャロルは仕事では手ごたえをつかめずにいました。委員会でチェチェンでの人権侵害を訴えEUによる仲裁を求めるも、無関心な出席者がいることにキャロルは失望してしまいます。ハジの元に戻ったキャロルはハジを正式な養子にする決意を固め、手続きをするためにキャロルはハジとともに赤十字のヘレンの元を訪れます。ハジの顔を見て、施設内で働くライッサが探していた弟であることを確信するヘレン。しかし、すでにライッサは弟を探すため施設を出発した後でした。ヘレンは有無を言わさずキャロルたちを駅へと連れて行き、ハジはライッサと感動的な再会を果たします。ハジは姉に抱きしめられながらキャロルに満面の笑顔を向けていました。キャロルはそんなハジの姿を前にして、強張った笑顔を作ることしかできませんでした。

そして、物語の視点は再びニコライに移ります。ニコライは略奪したビデオで焼け野原と化したチェチェンの街を映し出していました。「ここはでっかいクソ溜め チェチェンだ」。そう言って、ニコライはビデオを思いのまま回し始めるのでした。

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みんなの感想

ライターの感想

ロシア軍による衝撃的な虐殺の場面で始まる本作ですが、見ていくにつれて、ただロシア軍を批判的に描いているわけではないことに気づかされます。本作で痛感されたのは、人間は環境によっていくらでも変化してしまうということです。両親の死で声を失うチェチェンの少年ハジだけでなく、平和に暮らしていたロシアの青年が心を失っていく様を並行して描くことで、悲惨な戦争の一面がより立体的に伝わってきました。

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