「わたしは、ダニエル・ブレイク」のネタバレあらすじ結末

わたしは、ダニエル・ブレイクの紹介:2016年製作のイギリス・フランス・ベルギー合作映画で、名匠ケン・ローチによるイギリス労働者を描いた傑作。病のために就労不可能と医師から診断を受けているにもかかわらず、国から生活補助手当受給が許されない一人の老大工の奮闘を描いていく。第69回カンヌ国際映画祭では最高賞となるパルム・ドールを受賞し、ケン・ローチにとっては「麦の穂をゆらす風」以来二度目の受賞となった。

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予告動画

わたしは、ダニエル・ブレイクの主な出演者

ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)、ケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)、ディラン(ディラン・フィリップ・マキアナン)、デイジー(ブリアナ・シャン)、アン(ケイト・ラッター)、シェイラ(シャロン・パーシー)、チャイナ(ケマ・シカズウェ)

わたしは、ダニエル・ブレイクのネタバレあらすじ

【起】- わたしは、ダニエル・ブレイクのあらすじ1

舞台はイギリス北部の街、ニューカッスル。この街で大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、ある日突然心臓の病に襲われてしまいます。医者からは仕事をするのは困難と言われ、ダニエルは国から雇用支援手当を受け暮らしていました。その継続審査のために、ダニエルは国が委託しているアメリカの民間業者から電話を受けます。医師でもなく、看護師でもない「医療専門家」を名乗る女性から、ダニエルは馬鹿げた質問を受けます。心臓の病で働くことができないというのに、「医療専門家」から尋ねられるのは手足の不自由がないかと関係のない質問ばかり。ダニエルはイラつきながらもそれらの質問に答えますが、後日郵送されてきたのは「就労可能、手当は中止」と記された通知書でした。

ダニエルはこれに抗議すべく窓口に電話しますが、サッカーの試合より長く待たされた挙句、認定人からの連絡を待つように、とだけ言われ電話を切られてしまいます。その後、ダニエルは職業安定所に行き助けを求めますが、職員からは専門用語を並べたてられ、インターネットで求職者手当の申請をするよう告げられてしまいます。しかし、これまで大工一筋のダニエルにはパソコンの操作はできません。ダニエルは途方に暮れ、その場で頭を抱えてしまいます。そんなダニエルに優しい言葉をかけてきたのは、女性職員のアンでした。アンの手を借り、ダニエルが椅子に腰掛け休んでいると、目の前で子どもを二人連れた若い女性が職員と口論し始めました。

女性職員のシェイラは、女性が時間に遅刻したため手当の給付を停止すると冷たい口調で言っています。ところが、女性の方はロンドンから越してきたばかりで、ニューカッスルに不慣れなために時間に遅れてしまったと主張していました。さらに、「子供達が明日から学校なのにお金がないの」と女性は自らの窮状を訴えます。しかし、職員から返ってきたのは「お引き取りください」という冷たい言葉だけ。見かねたダニエルは激昂し、「彼女は助けを求めてる、子供が二人もいるんだぞ」と職員を批判しました。この結果、女性ら親子だけではなく、ダニエルまでも職業安定所から追い出されてしまうのでした。

職業安定所を出た後、ダニエルは女性の買い物を手伝い、彼女の身の上話を聞き始めました。女性の名前はケイティといい、それぞれ父親の違う子供二人を抱えているシングルマザーでした。ロンドンでは大家に雨漏りがすると訴えた結果、その報復としてアパートを追い出され、その後はホームレス用の住宅に二年も身を寄せたといいます。子供達のために遠く離れたニューカッスルにやっとのことで見つけたアパートも、ひどく古い住宅でトイレタンクが壊れていました。そして、ケイティには電気代を払う現金すら持ち合わせもなく、仕事が見つかる見通しも立っていませんでした。ケイティ自身はこの街で生活をやり直し、通信制の大学で学びたいと考えていましたが、出端からくじかれひどく落ち込んでしまっていました。

ダニエルはそんなケイティ親子のために、できる限りのことをし始めます。ボロアパートの修繕、電気代の補助、そして何よりもケイティにとって助かったのは、不慣れな街に暮らす子供達へのケアでした。ダニエルは木彫りの熱帯魚のモビールを娘のデイジーに贈り、息子のディランには工作の楽しさを教え、二人に穏やかな気持ちを取り戻させたのです。ケイティはせめてものお礼にと自分の分の夕食をダニエルに譲りました。ダニエルは遠慮しましたが、ケイティはもう食べたから、と見えすいた嘘をつくのでした。 この映画を無料で観る

【承】- わたしは、ダニエル・ブレイクのあらすじ2

ケイティのサポートをしつつ、ダニエルは手当中止に対する不服申し立てをすべく、インターネットの操作方法を学び始めました。中国の友人と怪しげなビジネスをする隣人の青年チャイナや、見ず知らずの通りすがりの人のサポートを受け、なんとかオンライン申請をやり遂げるダニエル。チャイナは複雑に入り組んだ行政システムを皮肉って、失業者に無力感を持たせることが目的と笑い、ダニエルもその言葉に同意するのでした。

その後、ダニエルはケイティ親子の付き添いでフードバンクへと向かいました。フードバンクには長蛇の列ができており、ケイティたちの番になるまで長い時間を要しました。やっと順番が回り、ケイティはスタッフから食料や日用品をもらうこととなりましたが、その最中に突然ケイティが手にした缶詰を開け貪り始めました。事情を聞くと、ケイティはずっと空腹で我慢の限界がきていたといいます。我に返ったケイティは「ミジメだわ」と涙を流し始めました。そんなケイティに、ダニエルは不慣れな土地で立派に二人の子供を育てていると伝え、「君は何も悪くない」と語りかけるのでした。

その後、ダニエルはケイティ親子を夕食に招きました。ダニエルはデイジーに「セーリング・バイ」という亡き妻が好きだった曲を聴かせました。穏やかなメロディに笑顔を見せるデイジー。ダニエルは亡き妻との日々をケイティに語り始めました。海のように激しい人だったこと、晩年は精神を患いダニエルが必死で介護したこと、そんな妻が何よりも特別な存在だったこと…過去の苦労話を語り終えたダニエルはケイティを見つめ、「君にはまだ未来がある」と励ましの言葉を贈るのでした。

しかし、ダニエルとケイティの希望を打ち砕くかのように、行政システムは二人を経済的に、心理的に追い詰めていきます。ダニエルの不服申し立ては却下され、ダニエルは働けないと医師から診断を受けたにもかかわらず、求職手当を得るために見せかけの職探しをせざるをえない状況になってしまいます。数日前にケイティに制裁措置を下した女性職員のシェイラは冷たくそう伝え、ダニエルに履歴書講座の受講を強制してきました。しかし、これまで真面目に働いてきたダニエルは働く気がないのに働きたいと言うことに強い抵抗を覚えます。その結果、ダニエルの経歴に興味を持ってくれた雇用主を失望させてしまい、ダニエルはますますやる気を失っていきます。その上、苦労して面接した話を伝えても、シェイラは面接した証跡がないことを理由に求職手当の支給は不可能と判断を下すのでした。

【転】- わたしは、ダニエル・ブレイクのあらすじ3

職業安定所の冷たさと老人に不慣れな行政システムにダニエルは疲れ果て、当面の生活費のために大工道具と木彫りの熱帯魚のモビールを除いて、家財道具を売り払うことを決めます。隣人のチャイナはダニエルの窮状に助けになりたいと申し出ますが、ダニエルは力ない様子で何もない部屋に戻って行くのでした。

同じ頃、ケイティも仕事が依然として見つからず、ダニエルと同じように追い詰められていました。フードバンクでは提供していない生理用品をスーパーで万引きしてしまったのです。警備員に見つかり、店長の元へ連れて行かれるケイティ。しかし、店長はケイティの窮状を察し万引きを見逃し、さらに警備員もケイティに助けになりたいとメモを渡してきました。そこには、アイヴァンという警備員の名前と電話番号が記載されていました。ケイティはその番号に電話をする気はありませんでしたが、そんなある日デイジーから学校で貧しさを理由にいじめを受けていることを告白されます。ケイティは子供達にこれ以上辛い思いはさせたくないという思いから、アイヴァンを頼ることを決断します。

それからすぐに、ダニエルはケイティが仕事をする間の子守を頼まれます。ケイティはひとり親を支援する事業で仕事を得たとダニエルに伝えていましたが、ダニエルはケイティの家の玄関先でアイヴァンの連絡先のメモと謎のURLが書かれた封筒を発見し、ケイティの就職先に違和感を覚え始めました。

その後、ダニエルは家で本棚を手作りしていました。本棚には熱帯魚の木彫りが施されており、完成まであと少しのところまで来ていました。すると、床に置いていた電話機が鳴りました。ダニエルが電話に出ないでいると、留守番メッセージでケイティの声が流れ始めました。メッセージには、子供達を喜ばせてくれているダニエルへの感謝の気持ちが溢れていました。しかし、それを聞くダニエルの表情はどこか悲しげでした。

ある日、ダニエルはとある娼館を訪れました。案内されるまま扉を開けると、そこにはケイティがいました。ダニエルは玄関先にあったメモのURLにアクセスし、ケイティの勤務先の正体を知ってしまったのです。ダニエルが思いがけず現れたことにショックを受け、娼館の外に出てしまうケイティ。ダニエルはすぐにケイティに追いかけ、大学進学を願うケイティのために本棚を作ったことを伝え、こんな仕事はやめて欲しいと説得を試みます。しかし、ケイティは考え抜いた末に今の仕事を選んだのであり、「止めるなら、会わないわ」とダニエルを突き放してしまうのでした。

【結】- わたしは、ダニエル・ブレイクのあらすじ4

その後、ダニエルは職業安定所に向かいました。今回ダニエルを担当したのは、数少ない心優しい職員のアンでした。ダニエルはアンに求職手当のために架空の求職をするのはやめると宣言します。アンは生活のために仕事への応募を続けるべきとダニエルに訴えますが、ダニエルの心はもう決まっていました。「尊厳を失ったら終わりだ」。ダニエルはそう言って職業安定所を出て行きました。

外に出たダニエルは持参したスプレーで職業安定所の壁に落書きをし始めました。まず、「I DANIEL BLAKE(俺はダニエル・ブレイク)」と書くと、その後は職業安定所の行政システムを痛烈に批判する言葉を書き連ねていきました。これを見た街の人々はダニエルのストレートな言葉に共感し、拍手を送り始めます。しかし、すぐに警察が到着しダニエルは連行されてしまいました。初犯だったためすぐに釈放されたものの、警察署を出たときにはダニエルはすべてに疲れ切っていました。

それからまもなく、ダニエルは電話の契約を切り、毛布にくるまって引きこもる生活を送るようになりました。そんなある日、デイジーがケイティからの伝言を告げるために、ダニエルの家を訪れました。ケイティはダニエルが心臓病であることを知り、支援させて欲しいと望んでいるといいます。すべてに失望しきっていたダニエルはデイジーに帰るよう伝えますが、デイジーは帰ろうとはしませんでした。「私たちを助けてくれた。だから助けさせて」。このデイジーの言葉に心を打たれたダニエルは、ケイティと再び会うことを決めるのでした。

ダニエルはケイティの協力を受け、ダニエルを窮状に追い込んだ職業安定所の措置について弁護士に相談し、ただちに再審査要請の手続きが行われることとなりました。困難な状況に寄り添う姿勢を弁護士が見せてくれていることに安心するダニエル。隣にはケイティも笑顔で見守ってくれています。あと少しで手続きが始まるというところで、ダニエルはトイレへと向かいました。ダニエルが顔を水で濡らし、緊張を解きほぐそうとしていると、突然の心臓発作がダニエルを襲いました。その場に倒れこむダニエル。ケイティたちが発見したときには、ダニエルの救命はすでに手遅れとなっていました。希望が見えてきた矢先での突然の悲劇を前にして、ケイティはダニエルの体に泣き崩れることしかできませんでした。

後日、ダニエルの葬式が教会で行われ、その場にはアンも出席していました。ケイティは再審査要請の場でダニエルが語ろうとしていた言葉を代読し始めました。そこに綴られていたのは、ダニエルの現在の行政システムに対する怒りの叫びでした。働きたくても働けない、自分は施しを受けたいのではない、自分は番号ではない…そして、ケイティは涙を流しながら「わたしは、ダニエル・ブレイク。一人の市民だ。それ以上でも以下でもない」というダニエルの最後の言葉を読み上げるのでした。

みんなの感想

ライターの感想

主人公の死という悲劇で終わり、観る者をむせび泣かせる作品であるにもかかわらず、鑑賞後は希望を感じさせてくれる不思議な作品です。それは、主人公が隣にいる誰かを助けようとし、それと同時に隣にいる誰かも主人公に助けの手を差し伸べる姿を劇中で繰り返し描いているからだと思います。先進国イギリスで起こっている現実に衝撃を覚えずにはいられませんが、作品の根底には世界中で起きている問題にも通じる深いテーマと、既存の社会制度への激しい怒りが感じられます。引退を撤回してまでケン・ローチ監督が作り上げたこの素晴らしい作品が、より多くの人々に鑑賞されることを望みます。

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