「ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊」のネタバレあらすじ結末

ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-の紹介:2016年製作のイギリスの短編ドキュメンタリー。「ホワイト・ヘルメット」の通称で知られるシリア内戦のボランティア救助隊の奮戦に迫った作品で、第89回アカデミー賞では短編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。

予告動画

ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊の主な出演者

語り(ハリド・ファラ、アブ・オマール、ムハマド・ファラ)

ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊のネタバレあらすじ

【起】- ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊のあらすじ1

5年間に及ぶシリア内戦では、40万人以上のシリア人が亡くなり、数百万人が家を失いました。そんな状況の中、政府の制御外の地域に残された市民たちが頼りにしているボランティア団体があります。その名は「ホワイト・ヘルメット」、2013年に発足したシリア民間防衛隊です。ホワイト・ヘルメットでは120のセンターを拠点に一般市民2900人が活動しており、彼らは日々数十の空爆に対応しています。

内戦が激しく続くシリア・アレッポ。ここでホワイト・ヘルメットとして活動する隊員は様々な経歴を持っています。家族思いの父親のハリド・ファラは元建設作業員、年老いた母と暮らすアブ・オマールは元金属加工業者、かつては反体制組織で活動しながらも、今は人道支援に尽力するムハマド・ファラは元縫製業者です。彼らに共通しているのは、体制派、反体制派関係なく、どんな人でも最大限の努力をして救助に当たるという信念を持っていること。彼らは誰よりも早く空爆の被害現場に駆けつけ、人々が泣き叫ぶ中がれきを次々と撤去し市民の救助を行います。しかし、悲惨な内戦は終わる気配を見せず、犠牲となる一般市民の数は増加していくばかり。そして、ホワイト・ヘルメットの犠牲者も相次ぎ、アレッポだけでも30人が亡くなっていました。

【承】- ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊のあらすじ2

「どんな子供も我が子のように思う」。ムハマド・ファラはこう言って、かつて起きた奇跡的な救出劇についてカメラに向かって語り出しました。それは、激しい空爆により小さな村が壊滅状態に陥ったときのこと。その凄惨な現場を前にして隊員の誰もが救助活動を諦めかけたとき、赤ん坊の泣き声ががれきの下から聞こえてきたといいます。隊員はただちに救助活動を開始、その16時間後に生後一週間の赤ん坊の救助に成功し、現場は歓喜に包まれました。当時生後2週間の息子がいたムハマド・ファラはその赤ん坊と息子を重ね合わせ、涙が出て止まりませんでした。

ホワイト・ヘルメットの隊員たちは救助活動の未経験者が多く、トルコで頻繁に研修が行われています。研修を受けるべくトルコ共和国南部に移動するアレッポのホワイト・ヘルメットの隊員たち。「人命救助には速さと正確さが求められる」。アブ・オマールがこう語るように、ホワイト・ヘルメットの隊員たちは座学、実習を通じて人命救助の技能を深めていきます。そんな中、悲劇的な知らせが彼らの元に届けられました。ホワイト・ヘルメットの隊員が空爆で命を落としたのです。

【転】- ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊のあらすじ3

研修中、アブ・オマールはシリアにいる息子と兄弟の職場近くで大規模な自動車爆弾の爆破が起きたことを報道で知ります。なんとか息子の安否は確認できたものの、アブ・オマールは何の罪もない人々ばかり犠牲になるシリアの現状に改めて怒りを感じていました。

一方、ムハマド・ファラは研修所でヘリコプターを見上げていました。当然ながら、国境を越えたトルコには爆弾が落ちてくるはずもありません。ムハマド・ファラはシリアの外に出ただけで戦争とは無縁の地になることに驚きを感じていました。

ホワイト・ヘルメットの研修が続く中、アレッポでの空爆は激しさを増していました。1日の空爆回数は200回となり、その威力も増しているといいます。アレッポから来たホワイト・ヘルメットの隊員たちは、家族と仲間の無事をただただ神に祈ることしかできませんでした。

しかし、彼らの思いを打ち砕くかのように、再びアレッポで多くの犠牲者が出てしまいます。病院を狙った大規模な空爆が行われたのです。国際法に違反するこの非人道的な空爆により、隊員のアブ・ザイドの兄弟のほか24名の市民が亡くなりました。

【結】- ホワイトヘルメットシリアの民間防衛隊のあらすじ4

救助が悲劇的なものに終わろうとも、ムハマド・ファラは「明日は今日よりよくなる」とあくまでも楽観的な考えを抱いています。アブ・オマールもこの絶望的な状況の中で希望を捨てようとはしません。ある日、ホワイト・ヘルメットの隊員たちはある幼児の元を訪れました。その幼児とは、がれきの下から生還を果たしたミラクル・ベイビー、マハムドでした。救助から1年半、すくすく育ち笑顔を見せるマハムドと交流を深めるホワイト・ヘルメットの隊員たち。アブ・オマールはマハムドから「忍耐や根気や努力、そして希望を失わないこと」を学んだと語ります。ハリド・ファラもマハムドを見て自分の娘の将来に希望を抱くようになっていました。

ホワイト・ヘルメットの活動について、ハリド・ファラ、アブ・オマール、ムハマド・ファラは皆口をそろえて「人々のため」と語ります。「ひとつの命を救うことは人類を救うことだ」…ホワイト・ヘルメットの標語を胸に、彼らは再び危険な人命救助の現場へと向かいます。2013年以降、130名以上の隊員が命を落としましたが、その間に隊員たちが救った人々は5万8000人以上に上るといいます。

みんなの感想

ライターの感想

シリア内戦の知られざる勇敢な人々を描いた傑作です。救助活動に尽力する隊員たちの目に希望を感じさせるような輝きがあったのが印象的でした。世界中の人々にシリアの人道危機の現場を知らしめる意義深い作品でしたが、それだけに、アメリカ政府の入国禁止令のためにホワイト・ヘルメットの隊員たちのアカデミー賞出席が叶わなかったことが残念でした。

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