「マダムフローレンス夢見るふたり」のネタバレあらすじ結末

マダム・フローレンス! 夢見るふたりの紹介:2016年製作のイギリス映画。伝説の歌姫の実話をメリル・ストリープ&ヒュー・グラントの共演で描くヒューマンドラマ。歌唱力に欠陥がありながらもソプラノ歌手になる夢を追う女性と、そんな彼女を盛り立て、音楽の殿堂カーネギーホールでのリサイタルを成功させようとする夫の愛を、笑いや涙とともに描き出す。

予告動画

マダムフローレンス夢見るふたりの主な出演者

フローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)、シンクレア・ベイフィールド(ヒュー・グラント)、コズメ・マクムーン(サイモン・ヘルバーク)、キャスリーン(レベッカ・ファーガソン)、アグネス・スターク(ニナ・アリアンダ)

マダムフローレンス夢見るふたりのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①フローレンスは上流階級の富豪夫人。多大な財産を音楽のために使い、自らも音楽に捧げていた。リリー・ポンスの歌声に感動したフローレンスは自分も単独で歌おうと決意するが、オンチだった。 ②夫のシンクレア、伴走者のコズメ、フローレンスのよき理解者によりオンチは隠されていたが、やがて本人の知るところに。それでもフローレンスは「歌った事実は消せない」と思った。

【起】- マダムフローレンス夢見るふたりのあらすじ1

〝これは事実に基づく物語である〟

1944年、アメリカ・ニューヨーク。
まだ第二次世界大戦の最中ですが、アメリカでは戦禍を被っていませんでした。
(第二次世界大戦は大雑把にいうとアジア、ヨーロッパで行なわれたため、アメリカ本土が戦場になることはなかった)
戦場へ行っていない上流階級の人々は、音楽などを楽しんでいます。
『ヴェルディ・クラブ』では、音楽ショーが開かれていました。その当時なので、クラシックが主流です。
アラバマ州在住の作曲家・フォスターがスランプ状態に陥った時、「霊感の天使(インスピレーション、といった感じの意味)」が現れて名曲『おおスザンナ』が誕生しました。
舞台上で霊感の天使を演じるのは、フローレンス・フォスター・ジェンキンスという初老の女性で、舞台裏では彼女を宙づりにするために、何人もの男性が糸を引いています。
続いては『ワルキューレの騎行』で、そこでもフローレンスは中心で行進を率いる役として出演していました。

フローレンスはみんなから「マダム」と呼ばれ、大人気でした。理由はいくつもあるでしょう。
両親や前夫から多額の財産を相続し、充分な金持ちであったこと、その金を惜しげもなく「みんなの心が豊かになることに」使ったこと。
しかしそれだけではありません。生まれ持った品格のよさは、フローレンスを「邪心のないきよらかな女性」にしていました。
フローレンスはその場にいるみんなを楽しませ、和やかにさせ、明るい気持ちにさせる人物だったのです。

さてフローレンスのその日の舞台も、盛り上がりを見せました。拍手喝采のうちに幕を閉じます。
フローレンスに寄り添っているのは、25年来の夫であるシンクレア・ベイフィールドです。
シンクレアはフローレンスの再婚相手でした。イギリスの伯爵の息子ではあるものの、庶子(正妻ではないものの子)だったために相続権はありませんが、シンクレアも由緒あるところの出身です。
シンクレアは妻・フローレンスの舞台がはねる(終わる)と、寄り添って部屋まで連れていき、フローレンスのかつらを外してつけまつげを取り、お手伝いの女性・キティと一緒に寝かしつけました。
その後、シンクレアは愛人女性・キャスリーンのところへ帰ります。

…先に説明しておきます。
フローレンスは18歳の時に最初の結婚をしたのですが、最初の夫フランク・ジェンキンスに梅毒を伝染されました。性病です。
フローレンスが梅毒にかかった1886年には、水銀やヒ素を使って治療が行なわれていました。水銀もヒ素も副作用が強く、梅毒にかかった人で50年以上も生きながらえている人は、非常に稀有です。
1944年当時、フローレンスは76歳でした。
(1940年代にペニシリンが普及して以降は、梅毒の発症、重篤化は激減した)
治療後、5年経過すれば性行為をおこなっても感染しないとされました。
それでもフローレンスは、夫のシンクレアに病気を伝染すことを恐れます。ですから、結婚しているものの、フローレンスとシンクレアは清らかな関係でした。
その代わり、フローレンスはシンクレアに愛人を持つことを許します。
シンクレアに愛人・キャスリーンがいるのは、こうした事情が背後にありました。

【承】- マダムフローレンス夢見るふたりのあらすじ2

リリー・ポンスという女性ソプラノ歌手が、カーネギーホールの3000人の観客の前で、『鐘の歌』を歌います。
それを聞いたフローレンスは大いに感動し、自分も同じように歌いたいと思いました。
早速、自分の歌につけるピアノの伴奏者を探します。
オーディションに現れた若者の男性ピアニストたちは、ここぞとばかり、超絶技巧を披露したがりました(『超絶技巧』という曲を披露したという意味ではなく、高等テクをひけらかしたという意味)。自分がいかに「できる」かをアピールします。
フローレンスはおとなしめの曲を欲しました。それを汲み取った若者コズメ・マクムーンがサン=サーンスの『白鳥』を弾き、フローレンスのハートを射止めます。
夫のシンクレアはコズメに、フローレンスは尖ったものが苦手だとか、著名人の椅子を集めているので座るなとか、細かなことを説明しました。
コズメはフローレンス専属のピアニストとして、雇われます。コズメもまた、フローレンスという人間のファンになり、あれこれ尽くしました。

翌日からフローレンスは、『鐘の歌』の練習を始めます。
歌の指導者はカルロ・エドワーズという、有名な歌手指導の先生でした。
最初に伴奏をした時、コズメはフローレンスのあまりの「音痴」ぶりに、驚きを隠せませんでした。しかし夫のシンクレアも、指導者のカルロも超然としており、ベタぼめします。
音程はずれているし、発声もでたらめなのですが、それでもシンクレアやカルロは「いかにフローレンスが満足するか」を最優先していました。
あぜんとしたコズメは帰り道、思わず笑ってしまいました。

それでも練習は続き、フローレンスは「コンサートをしたい」と言い始めます。
シンクレアは引き受けました。そしてフローレンスの「よき理解者」だけを呼び、マスコミは「買収」して臨みます。根回しは周到になされました。
最初のコンサートは6月4日午後8時に行なわれます。

やってきた聴衆の中に、若い女性アグネス・スターク夫人がいました。彼女は年上の男性と結婚して上流階級に入っており、まだ新参者です。
アグネスはこの日、飼い犬の白い狆(チン 鼻ぺちゃの顔の犬)を連れて夫と共にコンサートにやってきました。
コンサートが始まってフローレンスが歌い始めた当初、観客たちの顔に浮かんだのは「戸惑いの表情」でした。みんなが耳を疑います。それでもみんな、行儀よく聞いていました。
しかしアグネスは正直でした。フローレンスのあまりのオンチぶりに、大爆笑してしまいます。
我慢していたために笑いが止まらなくなったアグネスは、四つん這いになって笑いながら会場の外へ移動しました。
アグネスの笑いがきっかけになり、後部の席でも笑いが起こります。
それでもコンサートはおおむね好評でした。

長時間のコンサートを行なったフローレンスの、体力の消耗は激しいものでした。
コンサートの後、夫のシンクレアはフローレンスを医者に診せます。いつもの医者が留守にしていたので、代理の医者が診ました。

【転】- マダムフローレンス夢見るふたりのあらすじ3

その医者は梅毒にかかったフローレンスが、50年以上も生きていることに驚きます。
フローレンスは「音楽は私の心。音楽の情熱のために私は生きている」と言いました。

コンサートの後、パーティーが開かれました。コズメはシンクレアに誘われ、参加します。
無礼講と言われたコズメは、いつもフローレンスが持ち歩いている茶色いブリーフケースの中身を聞きますが、シンクレアはごまかしました。
翌朝、フローレンスはシンクレアの家にやってきます。
シンクレアは愛人のキャサリンと、ベッドを共にして眠っていました。ソファで眠っていたコズメが時間を稼ぎます。
関係を理解はしていても、やはり直に「他の女性とベッドにいる」ところは、見せたくないのです。
フローレンスは、新聞がこぞって褒めたたえていることを告げると、有頂天で帰っていきました。
クローゼットに隠れたキャスリーンは、日陰の身の生活にうんざりだとシンクレアに訴えます。

気をよくしたフローレンスは、その足で『メトローン・レコーディング・スタジオ』へ行き、コズメの伴奏で歌をレコードに録音しました。『ヴェルディ・クラブ』の会員と、一部の友人に配布します。
夫のシンクレアは愛人のキャスリーンのご機嫌を取るために、ゴルフに出かけて留守でした。
さびしいフローレンスはコズメの下宿を訪ね、溜まった皿を洗う代わりに演奏を聞かせてくれと言います。
フローレンスもかつてはピアノを弾いており、大統領の前で弾いた経験もありました。しかし病気で左手の神経をやられたため、弾けなくなったのです。
コズメはフローレンスのために、自分が作った曲を披露しました。フローレンスはその曲に、歌詞をつけると言います。

ゴルフから戻ってきたシンクレアは、ラジオでフローレンスの曲が流れているのを聞いて驚きました。自分が留守のあいだに、フローレンスがレコーディングしたことを知ります。
フローレンスはさらに、戦争から戻ってくる帰還兵のためにコンサートを開くことを決めており、カーネギーホールを押さえていました。
夫のシンクレアは身体に負担がかかると言いますが、フローレンスは聞き入れません。

場末の居酒屋でフローレンスのレコードが流れた時、夫のシンクレアは怒ってレコードを止めにいこうとしました。
同行していた愛人・キャスリーンは「もしあなたが席を立ったら別れる」と言いますが、それでもシンクレアは止めにいきます。
戻って来ると、キャスリーンは席にいませんでした。キャスリーンはシンクレアと別れます。

10月25日。
カーネギーホールを貸し切って、フローレンスはコンサートを開きました。
3000人の観客のうち、1000人は帰還兵を招待していますから、客層は酔っ払いの水兵たちが多く、昔ながらの馴染みの上流階級の夫人たちは戸惑います。
酔っ払いたちは、身体の線が見えるアグネスのドレスを見て、拍手喝采しました。アグネスもまんざらでもない顔をして、モデル歩きします。
ホールの裏では、今までと規模が違う大きな会場に弱気になったフローレンスがいました。横でコズメが励まします。

【結】- マダムフローレンス夢見るふたりのあらすじ4

コズメの言葉にやる気を起こしたフローレンスは、「遺言書を書きなおす。コズメに少し遺産を残す」と言い出し、茶色いブリーフケースを開きました。いつも持っていたブリーフケースは遺言書だったのです。

幕が開きフローレンスが歌い始めると、しばらくの後、観客は大笑いしました。
初めての反応に、フローレンスは驚きます。
酔っ払いの帰還兵は、容赦ない言葉を浴びせました。「おふくろよりひどい」などと言います。
それを一喝したのはアグネスでした。いつのまにかフローレンスのファンになっていたアグネスが帰還兵を叱り、帰還兵たちも「ブラボー」と歌を促します。
フローレンスが再び歌い始めると、みんな神妙な面持ちで、でもくすくす笑いながら聞きました。そんななか、ニューヨークポスト紙の記者は「あまりにひどい」と出来レースに怒って去ります。

翌日の朝刊は、おおむねフローレンスに好感を持つ紙面が掲載されていました。
ただひとつ、ニューヨークポスト紙の記者だけが「独りよがりでお粗末なリサイタル」「音楽への冒涜」となじっています。
それを見せたくないシンクレアとコズメは、ありったけのニューヨークポスト紙を買い占めて、ごみ箱に捨てました。フローレンスの目に入らないようにします。
フローレンスが食事会に行くと、その会合場所にニューヨークポスト紙を持った紳士が現れました。
見つけたコズメが交渉に行き、シンクレアが50ドル(約5000円)を出して買い取ります。
こうして裏工作を成功させたつもりでしたが、フローレンスがひとりで外へ出た時、通りすがりの若者2人に「新聞の酷評は無視して」という声をかけられます。
不思議に思ったフローレンスが売店に行き、ある男性が新聞を買い占めたと聞いて、捨てたというごみ箱をあさりました。そして、ニューヨークポスト紙の記事を読みます。
ショックを受けたフローレンスは、ホテルまで戻ってきましたが、エントランスロビーで倒れました。シンクレアが急いで駆け付けます。

フローレンスは病床に就きました。シンクレアもコズメも心配して付き添います。
事実を知ったフローレンスは「みんなが私を嘲笑していたのね」と言いますが、夫のシンクレアは否定します。
しばらく考えたのち、フローレンスは「ひどくっても、歌った事実は消せないわ」と言って笑いました。そのフローレンスの邪気のない笑顔を、せつなそうにシンクレアは見守ります。

〝フローレンス・フォスター・ジェンキンス 1968-1944年
カーネギーホールのアーカイブの一番人気は、今もジェンキンスである
レコードはベストセラーになった〟

レコーディングの時、録音のし直しをするかと聞く業者に対し、フローレンスは「必要ないわ。完璧だもの」と答えます…。

〝マクムーン(コズメ)は黒子に徹して地味なキャリア人生を贈った
ボディービルを始めて競技会で審査員をつとめ、1980年に他界
シンクレアはニューヨークの音楽界に貢献
1967年に亡くなるまで、質素に暮らした〟

(エンドロール)一部のみ、本人の写真&、本人の歌声

(ラストシーンでシンクレアが切ない表情を浮かべることについて。
フローレンス自身が非常に清らかな精神の持ち主だったので、シンクレアは最後まで嘘を突き通したかったのだろう。
ところがフローレンスは真実を知ってしまった。
それでもなお、「歌った事実は消せないわ」という前向きな発言と笑顔を見て、やりきれなさを感じた)

みんなの感想

ライターの感想

しょっぱなから、けっこう吃驚する展開。
なにせ楽屋にひっこんだフローレンスがパゲだし、夫のはずのシンクレアがよその家に帰るし…。あれ? あれ? の連発。
その事情などは徐々に明らかになっていくわけだけど、開始当初はどうなっているんだろうと思った。
なによりもこの嫌味のないフローレンスを上手に演じてる、さすがメリル・ストリープ。
知れば知るほど、フローレンスの生涯はなんと不憫な…と思い、それでも笑顔を絶やさない、こういうお人柄ってあるんだな。
こうしてフローレンスのファンになってしまえば、オンチなんてなんのその! …そうやってコンサートが満員になるわけなんだろうな。
最初のコンサートでは笑ってたアグネスが、次のところでは強力な味方になってくれるという、けっこう感動的な話。

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