「ムースの隠遁」のネタバレあらすじ結末

ムースの隠遁の紹介:ドラッグ中毒で命を落とした恋人の子供を身籠った女性。隠遁生活を始めた彼女の心の変化を静かな映像で綴ったヒューマンドラマ。
多様な愛をテーマに掲げることの多い仏のフランソワ・オゾン監督の2009年の作品で、サン・セバスチャン国際映画祭審査員賞を受賞した。日本では『三大映画祭週間2012』にて上映。主演のイザベル・カレは妊娠6か月で撮影に臨んだ。

予告動画

ムースの隠遁の主な出演者

ムース(イザベル・カレ)、ルイ(メルヴィル・プポー)、ポール(ルイ=ロナン・ショワジー)、セルジュ(ピエール・ルイス=カリクト)、ルイの母(クレール・ヴェルネ)、ルイの父(ジャン=ピエール・アンドレアーニ)

ムースの隠遁のネタバレあらすじ

【起】- ムースの隠遁のあらすじ1

パリの一等地。母が所有するマンションの一室でルイは恋人・ムースと共にドラッグにのめり込んでいました。金に不自由がない2人はドラッグが切れれば当然のように買い足し、中毒症状に見舞われています。今夜もルイの友人・マックスからヘロインを買い、悦に入ったまま2人は眠りにつきました。1人目覚めたルイは離脱症状により更にヘロインを摂取します。もはや腕には注射できる場所が無く、迷いもなく頸動脈に針を刺しました。
数時間後マンションを貸すため客を連れてきたルイの母が部屋を訪れると、ルイは泡を吹いて倒れており、ムースも昏睡状態で緊急搬送されます。病院で目覚めたムースは喚き、鎮静剤を投与されます。その後医師に起こされたムースはヘロインの過剰摂取で6時間も昏睡していたが奇跡的に助かったこと、更に妊娠していることを告げられます。この時ムースは、ルイは発見時に亡くなっていたことも知りました。

ムースは退院後、豹柄のコート姿でルイの葬儀に堂々と遅れて参列します。葬儀後ルイの弟・ポールに呼ばれ彼らの母に会ったムースは、マックスが逮捕されたことや、彼が売っていたヘロインにバリウム混在しそれが死因だったことを聞かされました。ムースの妊娠を警察から聞いていた母は、出産を望まないときつく忠告します。ムースはうわべで返事をすると、形見はいらないかと声をかけてくれたポールをはねつけてその場を去りました。

【承】- ムースの隠遁のあらすじ2

数カ月後。ムースは世間から隠れるように、パリから離れた田舎の古い別荘で静かに暮らしています。ムースが若い頃に関係を持った年上の男の屋敷でした。そこへポールが1人でやって来ます。母の使者かとムースは疑うものの、彼はスペインに行く途中に寄っただけでした。ムースのお腹は見た目で分かる程に大きくなっていました。何かと質問してくるポールにムースは苛立ち、彼を寄せ付けようとしません。夜中に突然ピアノを弾いたポールにムースは声を荒らげますが、その曲はルイがよく弾いていたもので、ムースはルイを思い出しました。

翌日1人海岸へ向かったポールは、別荘に食料を配達してくれるセルジュとすれ違います。セルジュがポールをムースの夫だと勘違いしたため、「ポールは女性に興味が無い」とムースはセルジュ知らせました。その後ムースはボンヤリと何かを考えながら湯船に浸かり、どんどん大きくなるお腹を撫でました。
ムースは帰って来たポールに、ルイと似ていないポールが夫と思われたと伝えると、似ていないのは当然だとポールは意味深な発言をします。続けてポールは兄との思い出話を語り、ムースは兄としてのルイの側面を知りました。話を聞き何となく海に行きたくなったムースはポールと海岸に向かいます。砂浜でうつ伏せになったポールの体を見て、ムースは男性(ルイかもしれない)の肌を感じました。

ポールに心を開き始めたムースは、その夜胸の内を語ります。ルイが私の中で生きると感じ、彼が死んでも罪は感じなかったと。その反面麻薬中毒だった自分が出産することに戸惑いを感じているムースに、ポールは「産めよ」と背中を押します。その言葉でムースは心を固めました。しかしムースにはまだ親になる実感が無く、子供の性別さえ知りません。ムースはポールに昨夜弾いていた曲をリクエストし、物思いにふけました。
その後ポールが散歩に出かけた間に、ムースは彼の荷物を覗き見します。ポールはルイと幼児期に撮った写真を大切に持ち歩いていて、ムースは自分が知らない時代のルイに触れました。

【転】- ムースの隠遁のあらすじ3

翌朝先に目覚めたムースは、ポールがセルジュと一夜を過ごしたことを知ります。男性同士の2人の関係に抵抗があったムースは、彼らを避けました。ムースは追いかけてきたセルジュに、ルイがいるからもう仕事はないと彼を追い返します。何も知らないポールは去ったセルジュを追いかけました。ムースはイライラする度に服用している鎮痛剤を薬局に買いに行くと、すぐ一気に飲み干しました。
カフェでヤケ酒を飲んでいたムースは中年男にナンパされ、誘われるがまま海が一望できると言う彼の部屋に向かいます。しかし彼に触れられた途端ムースは関係を拒み、その代わり後ろに座ってお腹を揺すって欲しいと乞いました。困惑する男を余所に、落ち着いたムースは眠ってしまいます。
ムースの留守中に出先から戻ったポールは、洗面台に鎮痛剤とルイの香水を発見します。帰宅したムースは、懐かしいルイの香りにすぐ気付きました。鎮痛剤が胎児に影響はないのかと心配するポールに、禁断症状で流産するのを防ぐためで、中毒患者の母は多いのだとムースはあっさりと言いやります。そうしているうちにセルジュがポールを迎えに来たので、ムースも一緒にクラブに行きました。激しくキスをするポールとセルジュを目の当たりにしたムースは、現実を忘れるために踊り狂います。

帰り道、ムースとポールは穏やかに会話をしました。本気で愛した人がいるけど死んだと話すポールが、家族について語り始めます。母はルイを出産後、合併症で子宮を摘出しました。大家族を望んでいた母は9か月姿をくらました後、ポールを連れて家へ帰ったのです。そして血の繋がっていないポールとルイは愛し合っていたのでした。

【結】- ムースの隠遁のあらすじ4

翌日ムースとポールは墓地を巡った後に海で泳ぎ、ポールに心を開き始めたムースは久々にはしゃぎます。ムースに促され彼女のお腹に触れたポールは目を輝かせました。
その夜セルジュの家に行ったポールは喧嘩したと言って、ひどく酔って戻って来ました。ムースがポールをベッドまで介抱すると、彼が優しく体に触れてきます。2人は自然と体を重ね、ポールは優しくムースのお腹に触れて眠りにつきました。翌朝、ムースはどこか嬉しそうですが、家に残ろうかと気に掛けるポールの申し出を断り、彼を出発させます。1人になったムースは丘へ行き、広大な景色を見ながら声を出して泣きました。

ムースはパリに戻って出産し、生まれた女の子にはルイーズと名付けます。しばらくしてポールがムースとルイーズに会いに来ると、彼はルイーズの顔を嬉しそうに眺めました。ポールが来て早々、ムースはタバコが吸いたいと言って外の喫煙場所に向かうと、そのまま病院を抜け出し電車に乗りました。そしてムースの心の声が聞こえてきます。“娘を見つめるあなたを見て、愛を与えられる人と確信した。私に母はまだ無理。人生を学び直したい。そして2人の所へ必ず帰るわ、愛している“と。
戻って来ないムースが気になり、ポールが窓の外を眺めているとルイーズが泣きだします。慣れない手つきながら大切そうに赤子を抱き、自然と子守唄を歌う父の姿がそこにはありました。

みんなの感想

ライターの感想

子供を愛し育てている人、なかなか子宝に恵まれない人にとっては受け入れがたいラストかと思います。また冒頭のドラッグシーンは、使用の手際までもが生々しすぎて恐怖を感じました。その意味で「グロテスク」のカテゴリを選びましたが、全体的にはとても静かな作品です。
オゾン監督の作品は鑑賞者の想像力が必要とされることが多いと感じていますが、今作はそれが際立っていたように思います。難解という言葉で片付けたくはないものの、やはり難しい演出でした。
オゾン監督他の作品を観ても子供が欲しいのかな?と感じていましたが、今作にて確信を得たような気がします。

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