「リトルフォレスト冬春」のネタバレあらすじ結末

ヒューマンドラマ

リトル・フォレスト 冬・春の紹介:2015年公開の日本映画。五十嵐大介の同名コミックを橋本愛主演で実写映画化したヒューマンドラマ。故郷での自給自足の生活を通して、都会で失った自信や生きる力を取り戻していくヒロインの姿を、旬の食材を使った料理などとともに描く。岩手県奥州市などで約1年にわたる撮影を敢行。東北のうつろいゆく四季を映し出した4部作の完結編。

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予告動画

リトルフォレスト冬春の主な出演者

及川いち子(橋本愛)、ユウ太(三浦貴大)、キッコ(松岡茉優)、シゲユキ(温水洋一)、及川福子(桐島かれん)、ウィリアム(イアン・ムーア)、キッコの祖父・ミノオ(岩手太郎)、キッコの祖母(北上奈緒)、近所の主婦1(佐藤さち子)、近所の主婦2(千葉登喜代)、郵便屋(小島康志)、いち子〔小学生〕(篠川桃音)、キッコ〔小学生〕(照井麻友)、スーパーのアルバイト男性・若林(栗原吾郎)、アルバイトA(坂場元)、アルバイトB(渡辺佑太朗)

リトルフォレスト冬春のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①街での暮らしから逃げて小森に戻った自覚があるいち子は、いつまでも逃げ続けていていいものか悩む。春、母の手紙を思い返したいち子はもう一度街に行くことを決意。 ②街に行ったいち子に代わり、親友のキッコがいち子の畑を守る。いち子は街と向き合ったうえで小森で生きることを決意、結婚相手とともに小森に戻った。

【起】- リトルフォレスト冬春のあらすじ1

秋に、母から手紙が届きました。いち子はそれを何度も読み、小棚に入れて保管します。

≪冬≫
小森は東北地方の、とある村の中の小さな集落です。
商店などはなく、ちょっとした買い物なら役場のある村の中心まで行くと、農協の小さなスーパーや商店が数軒。
行きはおおむね下りなので、自転車で30分くらい。帰りはどのくらいかかるかな。
冬は雪のため、徒歩になります。のんびり1時間半でしょうか。
でも、ほとんどの人たちは、買い物は隣町の大きな郊外型スーパーなんかに行くようです。
いち子がそこに行くとなると、ほぼ一日がかりになります…。

〔1st dish〕クリスマスケーキ、年忘れケーキ
いち子が幼い頃、母・福子は「うちはキリスト教じゃないの」と言ってクリスマスの行事らしきものはしてくれませんでした。
それでも、来客があるとケーキを焼いてくれた年もあります。
最初に焼いてくれたのは、外国人男性・ウィリアムが小森の家を訪れた頃でした。幼いいち子は異国の男性・ウィリアムに人見知りをします。
ウィリアムは咳き込んだ振りをし、いち子が視線を向けると口からピンポン玉を出す手品を見せました。驚いて見入るいち子に、ウィリアムは次々と口からピンポン玉を出してみせます。いち子はすっかりウィリアムになつきました。
母・福子がウィリアムのために、クリスマスケーキを焼きます。
それは、外見は生クリームで真っ白の直方体でした。ところがナイフを入れると、切り口が鮮やかな赤と緑のクリスマスカラーのスポンジになっています。
いち子がどうやったか聞くと、母は「赤は赤米(あかまい)で作った甘酒入り、緑はほうれん草入り、二種類の記事をひとつの型で焼いただけ」と言いますが、どうやって入れたかは自分で考えろと言いました。
ウィリアムは3回くらい家を訪問しましたが、それきりです。母の昔の恋人だったのではないかと思ったのは、いち子自身がもう少し大きくなってからでした。

分校の2年後輩の男性・ユウ太にその話をすると、ユウ太は「そのケーキを食べたことがある」と言い出しました。いち子が詳細を聞くとユウ太が中学生の時で、母・福子がいなくなる前の年になります。
本好きのユウ太は母の本をよく借りに来ていました。それを真似ていち子も自宅の本を読もうとすると、母は「読む本は自分で探せ」と言って、家にあった本をすべて古本屋に売ってしまいました。生活費が足らなかったのかもしれないといち子は思っていましたが、ユウ太の話を聞いてから、母が失踪する直前に男がいたかもしれないという可能性も出てきました。

赤米は穂が落ちて作りにくく、黒米は品種改良しているから作りやすく、なのでいち子は黒米を作っています。
いち子はまず黒米で甘酒を作ります。黒米はもち種(しゅ)なのでかなり甘くできます。
できた甘酒は真っ黒ですが、砂糖、油、小麦粉、ベーキングパウダーと混ぜて生地にすると、ちょうどいい紫色になります。
紫色に合うのは黄色なので、茹でカボチャ入りの黄色い生地も作ります。
型に黒米の生地を半分より少し低い高さまで入れて、その上にカボチャの生地を、全体が8分目の高さになるまで入れて、オーブンで焼きます。
焼き上がったらすぐに膨らんだ面を下にして冷まします。これで全部の面が平らになります。
そうして生地の色を縦にして、生クリームでデコレーションすると、母の「赤と緑」ならぬ、いち子の「紫と黄」のケーキができました。
ユウ太が先に、あとから親友のキッコが集まりました。「クリスマスお茶会」と発言するキッコに、いち子は「『年忘れお茶会』クリスチャンじゃないんだから」と言います。
キッコは「細かいなあ」と返しました。
いち子、キッコ、ユウ太の3人でこたつに入り、ケーキをつまみにお茶を飲みます。

〔2nd dish〕砂糖じょうゆの納豆もち
新年になりました。集落の人たちは、しめ飾りやもち花などを飾ります。
回覧板を回しに行った先の少女に一番の好物を聞かれたいち子は、「つきたてもちの納豆もち」と答えます。納豆に砂糖じょうゆを混ぜ、ついてすぐのアツアツもちをちぎり入れたものです。
16年前、分校でのもちつき大会で、初めていち子はそれを食べました。
納豆作りは3日前から作られます。
茹でた大豆をわらづとに入れて巻きます。中央にわらを1本入れておくと、よくなります。
雪穴を掘ってわらづとを入れ、むしろを敷いて雪をかぶせます。
白菜もネギもほうれん草も、みんなこの時期は雪をかぶせて保管します。埋めておけば温度は一定に保たれるので、雪国の小森では保存したいものは土に埋めます。
母・福子は実は小森の出身ではありませんでした。ですから分校でのもちつき大会で、母子は初めて納豆もちに出会います。

いち子が借りている田んぼまで自転車で10分です。今年はもち米も作りました。納豆も作りました。
分校は少子化(過疎化)の影響で今は廃校になっており、たまに公民館代わりに使われるだけです。
機械でもちつきをし、砂糖じょうゆの納豆もちをいち子はひとりで作りました。

〔3rd dish〕凍み大根の煮しめ(干し柿)
冬の小森はとにかく毎日雪かきです。除雪車が来るまでの道を、確保するのが日課です。
大根を半分に切って、皮を剥いて縦に切り、穴を空けてひもを通し、生のまま外の寒さに凍(し)みさせてそのまま干し上げると、一年中保存がきく凍み大根ができます。
茹でてから干す家もあると、郵便屋さんが言っていました。
これは煮しめに使います。
水で戻した凍み大根を、米のとぎ汁で戻した身欠きニシンなんかと炊き込むと、味をよく含んで本当においしくなります。
その季節にある野菜を加えて炊くのですが、特に山ウドや根曲がり竹がとても合うので、大根を凍みさせながらも、春が待ち遠しくなります。
干すといえば…。いち子は思いを馳せます。
秋に柿の実がまだ固いうち、枝ごと取るのは干し柿のためです。キッコも動員されます。
いち子とキッコ2人で柿を収穫し、ヘタを残して皮を剥き、T字の枝を縄にはさんで軒下に吊るしておきます。
たまに手で揉んでおくと、柔らかい干し柿になります。そのままお茶受けにもなりますし、細かく刻んで大根のなますに少し入れると、酢と干し柿の甘みが引き立て合い、色も綺麗でおいしく感じます。 この映画を無料で観る

【承】- リトルフォレスト冬春のあらすじ2

〔4th dish〕焼き芋(ラディッシュ)
いち子は煙突掃除をしています。それを手伝った親友のキッコ宅は、ファンヒーターにしたそうです。キッコはいち子にもファンヒーターを勧めますが、灯油代がばかにならないのでいち子は当面は薪ストーブのままかなと答えます。
さつまいもにアルミを巻き、ストーブに入れながら、いち子はキッコにひとり暮らし時代の話をしました。

…小森では水道は自己責任で、水道代はかかりません。
だから最初にいち子が都会へ行った時、意外に生活費がかかることに驚きました。ご飯とインスタントラーメンという、かたよった食生活を送っていたいち子は、インスタントラーメンに肉エキスや野菜エキスが入っているからいいだろうと、自分へ言い訳していました。
それでもアパートの生活で何か野菜を作れないかと考えたいち子は、カップラーメンのカップを鉢にして、ラディッシュを作りました。1か月ほどでできるからです。
ラディッシュの栽培は成功し、収穫できました。
その頃、スーパーのバイトで親しくなった男の子・若林がいました。若林が痩せているのを見て、いち子は弁当を作ってあげようと思います。
実家でとれた米と味噌づけの焼きおにぎり、ラディッシュの即席漬け、母さんの特製卵焼き(はちみつ入り)…お弁当を自分用と2つ用意してバイト先に持って行きました。
ところが、若林が他のアルバイト男性たちと、恋人に手編みマフラーをもらったという話を聞き、渡せなくなりました。いち子は中学に進学した時、本校の子にいじめられたことがあったので、妙な時におじけづくところがありました…。

そんな話をしているうちに、芋が焼き上がりました。薪ストーブの上に置いた耐熱レンガの上に乗せ、輻射熱で最後の仕上げをして、2人は焼き芋にありつきます。

〔5th dish〕あずき
冬に備えて薪を用意していましたが、それでも足りない時は薪を取りにいきます。
凍った木を割るのは大変な作業なので、今年こそちゃんと薪小屋を作ろうと、いち子は思いました。
疲れてたまったストレスを解消するには、甘いものが一番です。
特にあずきを砂糖で煮たものは、いろんな料理に応用できて、いち子は大好きでした。

小麦粉と塩、ふくらし粉を水でこねて、1時間寝かせます。
丸く薄く生地をのばし、砂糖で煮たあずきをくるみ、フライパンで焼けば「おやき風」、ふかせば「まんじゅう」です。
甘く煮たあずきを入れてマフィンを作ったもします。

あずきを作るのに肥料はいりません。秋に収穫しますが、サヤが収穫時ではない頃からいち子はとってサヤの中をあけると、うす紫色のあずきが入っているのが見られます。
そのあずきはさっと煮て食べられるので、嬉しくなります。
茶色くなったサヤを収穫するのですが、スジ部分の緑色が消えるのを目安に、いち子は収穫をしています。
カラカラになるまで干して、木づちで叩いてサヤと豆を分けます。さらに豆だけを1か月ほど干し、太った形のよいものをより分けて、次に蒔く時用に保存します。
小森ではあずきを蒔く日は毎年決まっており、それより早すぎても遅すぎてもよくありません。あずきにかかわらず、作物によって蒔きどき、収穫どきが決まっています。
物事にはなんでも、タイミングが大事です。あずきを煮た時に、砂糖を入れるタイミングも重要でした。
「私は、ここを出るのが早すぎた…」と、あずきを煮ながらいち子は思いました。

〔6th dish〕ハット、チャパティー
寒い日には、ハットが食べたくなります。
小麦粉を水で練り、2時間くらい寝かせます。寝かせないとコシが出ないので、いち子は雪かきの前に仕込んでおきます。
つまんで薄くのばし、ちぎって汁ものに入れて茹でたものがハットです。
今日は気まぐれで、ハットに小麦ふすまを入れてみました。小麦ふすまとは、脱穀過程で捨てる小麦の皮の部分です。
煮干しの頭とワタを取り、干ししいたけ、ニンジン、大根、ごぼう、サトイモ、油揚げを切って、水、酒、みりんを鍋にほうりこみます。
味付けは帰ってから、しょうゆと生姜汁で仕上げます。オキにしたストーブにかけておくと、よく炊きあがります。

雪かきをしながら、いち子は昨日のことを思い出しました。昨日、親友のキッコと喧嘩をしたのです。
口論のきっかけは、キッコが職場の友達の話をしたことからでした。キッコは職場の友人のためを思って手伝ったのですが、いち子は「相手のためを思うなら、助けないのも手だよ」と言い、キッコに「何様のつもり?」と言われたのです。
「きいた風なこと言うけど、口先ばっかじゃん。いち子は経験をちゃんと積んできたのか」と言われ、いち子は返す言葉がありませんでした。あまりに図星だったのです。
いち子は都会でちゃんと向き合えなくて、小森に逃げて帰って来た身です。そのことを改めて思い知らされた気分でした。

雪かきから戻って来ると、キッコがカレーを入れた鍋を持って訪ねてきていました。
「昨日言い過ぎた。ごめん」とキッコは謝ります。いち子も謝ります。
ハットにしようと思っていた生地ですが、小麦ふすま入りの生地をめんぼうで薄くのばし、熱した網で焼くと、ポコポコ膨らみました。
「ナン?」とキッコが聞きますが、いち子は「チャパティー」と答えます。
カレーライスと一緒にチャパティーも食べました。
薪ストーブの上に置いた汁ものは、明日に回します。
明日も雪かきです。

〔7th dish〕塩漬けワラビ
保存野菜が少なくなってきたので、塩漬け野菜を取り出します。ワラビです。これは、春に漬けておいたものです。
春に山菜を取った時、すぐ食べるものはストーブの灰をまぶして熱湯にひたして一晩置きます、それでアクが抜けます。
塩漬け用は生のまま、とにかく塩をケチらずに、塩の中に埋まっている状態にしてワラビを保存します。なぜか塩をケチると、ワラビは溶けてしまいます。
使う時は一晩水にさらし、塩抜きしてからさっと茹でて食べます。
生姜じょうゆでさっぱりとおいしく、また煮物に入れたり、味噌汁の具にしたりもできます。
みんなは一年中食べていますが、いち子は〝かばねやみ〟だから、いつも足りなくなります。〝かばねやみ〟とは「怠け者」のことです。

小森の人はみんな、まめで働き者です。
たとえば役場の職員が「集落の東側の斜面の休耕地の管理がなかなかできず、農地にカメムシが大量発生する被害の苦情があがっている」というと、集落の人たちは集まって必死で考えます。
ユウ太はこのごろ、「小森のこれからをどうするか」という話をよくしました。
のらりくらりとかわしていたいち子は、ユウ太に「逃げてるだけじゃない」と見抜かれます。

冬の終わりには、決まって嵐が来ます。
秋に母から来た手紙には「円」「らせん」という単語が並んでいるだけで、どこでだれと暮らしているかについては、書かれていませんでした。

【転】- リトルフォレスト冬春のあらすじ3

≪春≫
小森は東北地方の、とある村の中の小さな集落です。
商店などはなく、ちょっとした買い物なら役場のある村の中心まで行くと、農協の小さなスーパーや商店が数軒。
行きはおおむね下りなので、自転車で30分くらい。帰りはどのくらいかかるかな。
冬は雪のため、徒歩になります。のんびり1時間半でしょうか。
でも、ほとんどの人たちは、買い物は隣町の大きな郊外型スーパーなんかに行くようです。
いち子がそこに行くとなると、ほぼ一日がかりになります…。

〔1st dish〕山菜のてんぷら
小森は、梅やスモモや桜の花と、山菜と田植えはいっぺんにやってきます。
山に向かえば、山菜だらけです。
シドケ、これはおひたしかてんぷらが似合います。
山菜だけでなく、山に生える野草の花も咲いていました。
エンレイソウ、カタクリの花、二りん草、シラネアオイ、タランボ。
いち子は一日じゅう、山菜をせっせと取りました。
そして取ってきたものは、てんぷらにして食べました。

〔2nd dish〕ばっけ味噌
小森では何年かに一度、春にドカ雪が降ります。そうなると大変です。春先にせねばならない農作業に加えて、雪かきの仕事も増えるからです。
…その日、母・福子は高校生のいち子に、雪かきをしてくれと頼みました。しかしいち子は無視しただけでなく「そうだ、キッコにばっけ味噌作る約束したんだった」と言って、母にフキノトウを摘んでおいてくれと言い置いて、学校へ出かけます。
いち子が去った後、雪かきをし、農作業をし、合間にフキノトウを摘んだ母・福子は、茹でて味噌と砂糖を入れて炒めてばっけ味噌を作った後、家を出ました。
帰宅したいち子はばっけ味噌を見つけますが、母はそれきり、いなくなります…。
農協のバイトをしたいち子は、農協の職員に叱られて心の中で相手を叱責した後、その怒りの正体が自分にもあてはまることに気づきました。
農作業で忙しい母親をろくに手伝わなかったどころか、フキノトウを摘んでおいてくれと気軽に頼んだいち子は、「母・福子にとって本当に家族だったんだろうか」と思い至り、自己嫌悪に陥ります。
ばっけ味噌を作るたびに、いなくなった母のことを思い出さずにはいられませんでした。
親友のキッコに、母が手抜き料理として、ばっけ味噌に湯を注いで「味噌汁」と言っていたことをいち子が話すと、キッコが実験してみます。
ばっけ味噌に湯を注いで啜ったキッコは「けっこういける。アリかも」と喜びました。

〔3rd dish〕ツクシの佃煮
土起こす、根っこ、とる。ヨモギ、ワラビ、ツクシの根…。
ツクシの根は特にしつこく、取っても次から次へとツクシが生えてきます。
腹が立ったいち子は、ツクシを佃煮にすることにしました。ハカマを全部取って、茹でてしょうゆとみりんと酒で作った佃煮です。
山ほどあったツクシですが、手間ヒマかけて作った佃煮は小鉢1つ分にしかなりませんでした。ぜいたくな佃煮だと、いち子は思います。
分校で2年後輩のユウ太に、玄関先に電球を取り付けを頼んだいち子は、ツクシの話をしました。するとユウ太は意外なことを話します。
ツクシは広くて日当たりのよい開けた土地に生える植物です。人間の都合で木々を切り開いて作った集落・小森にツクシが生えるのは当たり前で、むしろ縄文時代の頃にはツクシは貴重な食べ物だったかもしれないというのです。
佃煮の小さな鉢から太古の歴史のロマンが出てくると思わなかったいち子は、ユウ太を見ながら「私はロマンを語る、背の高い男に弱いようだ」と思いました。

〔4th dish〕ノビルと塩マスと白菜の花のパスタ
本格的に農作業が忙しくなる前に、いち子は薪割りをせっせと行ないます。
そこへキッコがやってきました。キッコは普段、勤め先で働いています。
いち子は庭の横にある斜面でノビルを取っていました。冬に結球しなかったので収穫しなかった白菜からは芽が出てつぼみをつけたので、それも取ります。
塩マスを焼き、パスタを茹で、ノビルの青いところも白いところもさっと和えて、ゆで汁を足してソースにからめます。
ゆであがりしなに白菜のつぼみを足して、パスタとソースをからめました。
縁側で、いち子とキッコはそれを食べます。
食後、キッコは職場の上司の悪口を言いながら、薪割りをしました。
それを通りがかったキッコの祖父・ミノオが聞きつけ「人の悪口を言うとは。図体ばかりでかくなって、情けない」と叱りつけます。
キッコは毒毛を抜かれますが、薪割りはストレス解消になったようです。

〔5th dish〕キャベツのかき揚げ(キャベツケーキ)
キャベツを栽培する家にとって、モンシロチョウは害虫です。モンシロチョウを見つけ次第、ぱんと両手で叩いて殺す母・福子の条件反射を見て、いち子は育ちました。
バスで街に出かけた日、窓から車内に入ってきたモンシロチョウを、乗客たちはやさしい目で追っていました。ところが母・福子がぱんと両手で叩いて殺し、窓の外に捨てたのを見た乗客たちは、リアクションに困って車内には沈黙が流れます。
バスの思い出の罪滅ぼしの意味もあり、いち子はモンシロチョウには寛大です。
でもアオムシには容赦ありません。
モンシロチョウが産みつけた卵を見つけ次第落としていくのですが、それでもやっぱりアオムシは発生しており、それを見つけると長靴で踏みつけます。
キャベツの収穫です。そのままでもおいしいですが、エゴマ油かオリーブオイルか塩少々をまぶすと、口当たりもなめらかです。
ところで外側の固い葉っぱは調理に困ります。煮ても炒めても今一つなのです。
そこでいち子は、ザク切りにしてかき揚げにしてみました。甘みと歯ごたえが最高でした。

【結】- リトルフォレスト冬春のあらすじ4

キャベツの弱点は雨です。結球して充分太ったキャベツは、雨にあたると破裂します。
小森の人はこの時期、せっせと他の畑を見て回ります。結球するキャベツをおすそわけするところを探しているのです。
どこのお家もついつい多く作りすぎてしまうため、そんな現象が小森で定着していました。

キャベツのかき揚げに成功したいち子は、次々に実るキャベツを前に、新たな調理方法を模索します。
キャベツの持つ甘みを活かした調理方法…。
キャロットケーキというのがあるのだから、キャベツケーキを作ればいいのではないかと思ったいち子は、自分の考えが冴えていると思います。
粉、砂糖、卵、サラダ油、生姜汁、そこにキャベツをたっぷり入れてオーブンに入れて焼いていると、焼き上がるに従って、ある懐かしい匂いがしてきました。
ちょうどやってきたユウ太にキャベツケーキを試食してもらうと、開口一番「うん、お好み焼だね」と言われます。ショックを受けるいち子に、ユウ太は「ソースある?」という追いうちの言葉までかけました。

〔6th dish〕〝パン・ア・ラ・ポム・ド・テール(ジャガイモパン)〟
いち子はジャガイモを植えます。
ジャガイモを植えるには土の表面が乾いていないとならないのですが、春先に植えたいので、いち子は考えました。
冬の前に土をよく耕しておいて、農業用ビニールをかけます。冬は雪に覆われますが、雪解け直後には農業用の黒いビニールの中央を裂けば、そこにジャガイモをすぐ植えることができます。
あたたかくなったらビニールを外し、脇芽を4つくらいに絞った後は放ったらかしでも、ジャガイモは優等生なので育ちます。
収穫したジャガイモを茹で、塩を振って食べるとおいしいです。
小川のクレソンと刻みネギ、油、塩こしょうをまぜたドレッシングと、茹でて一口大にしたジャガイモを合わせて、サラダにすることもできます。これは朝の定番メニューのひとつです。
ジャガイモといえば、いち子は母・福子を思い出します。
母が作るジャガイモ料理に、〝パン・ア・ラ・ポム・ド・テール〟というものがありました。ジャガイモパンです。
生地に潰したジャガイモをまぜてあるもので、フンワリしっとりしてほのかに甘くできあがります。
いち子もチャレンジしますが、どうしても母のようにはいかず、モチッとした焼き上がりになります。これはこれでおいしいのですが、母のようにフンワリしっとりも作りたいのです。
母はこのレシピを教えてくれず「いち子が20歳になったら教えてあげる」と言っていました。
秋に手紙が届きましたが、そこにレシピは書かれていませんでした。いち子はとうに20歳を越えています。

収穫したジャガイモは、陰干しして箱に入れて保存します。芽が出たら取り除いておけば、長期保存が可能です。
その作業をしながらいち子が思ったのは「冬が終わってすることは、次の冬に備えることなのだ」ということでした。
秋に届いた母の手紙のことを思い出します。
「何かにつまずいて、それまでの自分を振り返ってみるたびに、私っていつも同じ様な事でつまずいてるなって。一生懸命歩いてきたつもりなのに、同じ場所をグルグル円を描いて戻ってきただけな気がして落ち込んで…。
でも私は経験を積んだんだから、それが失敗にしろ成功にしろ、全く同じ場所って事はないよね。じゃあ〝円〟じゃなくて〝らせん〟だって思った。
一方向から見たら同じ所をグルグル、に見えても、きっと少しずつは上がってるか下がってるかしてるはず。それなら少しはマシかな。
ううん。それよりも人間は〝らせん〟そのものかもしれない。同じ所でグルグル回りながら、それでも何かあるたびに、上にも下にも伸びていくし、横にだって…。
私が描く円も、次第に大きく膨らんで、そうやって少しずつ〝らせん〟はきっと大きくなっている。そう考えたらね、私、もう少し、頑張れるって思った。」
…いち子は、今年はジャガイモを植えないことにしました。来年の冬は、ここにはいないからです。旅立ちを決意したのです。

〔7th dish〕玉ネギのスープ、玉ネギ焼き
キッコがいち子の庭で玉ネギをチェックしていると、ユウ太がやってきました。
いち子は小森を出て街に行きました。いち子が不在の間、キッコが親友の畑を守ることにしたのです。
特にいち子が大好きだった玉ネギは、キッコが大事に守っています。キッコとユウ太は、いち子が玉ネギを大量に作っていることを指摘しました。
玉ネギに油を垂らしてオーブンで焼き、山椒塩をかけて食べます。
玉ネギをまるごと入れたスープ、なんていうのも、いち子は作っていました。
いち子は「このまま小森にいるのでは、納得がいかない。街でも自分の居場所があることを見つけたうえで小森を選ばないと、小森に失礼な気がする」と言って街へ出て行きました。変なところでいち子は頑固だなあと言って、2人は笑います。
キッコは笑った後「どうせすぐ戻ってくるでしょ、あの子」と言いました。それは決して冷たく突き放した言い方ではなく、帰って来るのを待つ口調です。

〔dessert〕小さな森の春祭り
…5年後。
旧小森の分校で、初の『小さな森の春祭り』が開かれました。分校内の体育館では、集落の人が野菜の即売会をしたり、露店を開いたりしています。観光客も集まっているようです。
いち子は小森に戻ってきました。しかも街で婿を手に入れています(注:残念ながら結婚相手は見られない)。
キッコはその後ユウ太と結婚し、今は一児の母です。
体育館のステージで、いち子は神楽の舞いを披露しました。
(タイトル『リトル・フォレスト』は、集落の名前『小森』をダイレクトに英語にしただけ。ちなみに大森という集落はあるが、小森という集落は実在しない架空のものを題材にしている)

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みんなの感想

ライターの感想

東北の集落を、一年を通して描いた完結編。
景色がとにかく綺麗。
この作品は決して「農業の大変さ」を描いたものではない。テーマがそこにあるわけではないので、リアリティうんぬんを語るのは野暮だろう。
山のうつろいゆく景色と、集落の景色と、料理を見ていればいいのだ。
ストーリーは、はっきりいって、ない。ないのに見てしまう。そこが魅力。

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