「リトルフォレスト夏秋」のネタバレあらすじ結末

ヒューマンドラマ

リトル・フォレスト 夏・秋の紹介:2014年公開の日本映画。五十嵐大介の同名コミックを橋本愛主演で実写映画化したヒューマンドラマ。故郷での自給自足の生活を通して、都会で失った自信や生きる力を取り戻していくヒロインの姿を、旬の食材を使った料理などとともに描く。岩手県奥州市などで約1年にわたる撮影を敢行。東北のうつろいゆく四季を映し出した4部作の夏・秋編となる。

予告動画

リトルフォレスト夏秋の主な出演者

いち子(橋本愛)、ユウ太(三浦貴大)、キッコ(松岡茉優)、シゲユキ(温水洋一)、福子(桐島かれん)、キッコの祖父・ミノオ(岩手太郎)、キッコの祖母(北上奈緒)、近所の主婦1(佐藤さち子)、近所の主婦2(千葉登喜代)、郵便屋(小島康志)、いち子〔小学生〕(篠川桃音)、キッコ〔小学生〕(照井麻友)、いち子の元カレ(南中将志)、おじいさん(山形吉信)

リトルフォレスト夏秋のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①都会へ出たものの故郷の集落・小森に戻ったいち子は、ほぼ自給自足の生活を送る。ひとりで稲を作り、畑を守る生活。 ②いち子の母・福子はいち子が高校時代に突然家を出て、消息不明だった。その母から手紙が届く。

【起】- リトルフォレスト夏秋のあらすじ1

≪夏≫
小森は東北地方の、とある村の中の小さな集落です。
商店などはなく、ちょっとした買い物なら役場のある村の中心まで行くと、農協の小さなスーパーや商店が数軒。
行きはおおむね下りなので、自転車で30分くらい。帰りはどのくらいかかるかな。
冬は雪のため、徒歩になります。のんびり1時間半でしょうか。
でも、ほとんどの人たちは、買い物は隣町の大きな郊外型スーパーなんかに行くようです。
いち子がそこに行くとなると、ほぼ一日がかりになります…。

小森は盆地の底部分にあたるので、夏になると山の水蒸気が流れ込んできます。湿度が高く、一日じゅうじめじめした小森は、何日干しても洗濯物が乾きません。

〔1st dish〕ストーブ・パン
いち子は2階建ての庭つきの赤い屋根の一軒家に住んでいます。
家の中にも湿気がこもり、湿度が100%近いのでヒレをつけたら泳げそうといち子は思います。
田んぼで稲の雑草取りをして帰って来たいち子は、台所のジャム用の木ベラにカビが生えているのを見て、煙突つきのストーブを焚こうと決めました。夏場にストーブは暑いですが、屋内から湿気とカビを追い払うのには最適なのです。
ただ薪ストーブを焚くのは癪なので、パンを焼くと決めました。
小森では小麦を作っていません。小森の気候では収穫後の麦の束が乾かず、保存できないからです。
だから材料は小麦ではなく、このへんで作る地粉で作ります。
地粉を水で溶き、イーストを混ぜて丹念に練ります。寝かせた後もう1度練ってガス抜きをした後に整形します。
パンは200度で焼くので、湿気を追い払った後のストーブの余熱を利用して焼きます。冬場はその温度だと寒いので、ストーブ・パンは作りません。
焼き具合を見ながらの作業なので、オーブンで焼いたものより上手にできることもあります。
パンが焼きあがりました。山グワを採ってきて、パンはおやつにします。

〔2nd dish〕米サワー
田んぼの雑草取りはきりがない作業です。くるくる回して押すと苗の隙間の雑草が取れる手押し車はありますが、稲の周りの草は残るので、そこは手作業です。
腰と肩にくるうえに、まとわりついてくるアブにイライラします。
そうした気分を払拭するために、いち子は米サワーを作ろうと決めました。
まず甘酒を作ります。おかゆに麹を混ぜて常温放置すると、ひと晩でできます。
さらに発酵を加える菌を投入します。ヨーグルトでも原酒でもいいのですが、いち子はイーストを入れます。そうすると、半日で飲めるようになります。
発酵して泡立った米サワーは、飲み心地がさわやかです。
さらしで濾して液体を瓶に入れ、冷蔵庫で冷やすと、蒸し風呂のような草刈り作業の後には甘くて飲みやすく、ついつい進みます。
おいしいのでつい作りすぎた時には、分校の2年後輩で地元に残っているユウ太を電話で呼び、振る舞います。地元に残っている子はほかに、親友の同級生・キッコがいますが、キッコが来るとうるさくなるので、今回はユウ太のみ誘いました。

朝、田んぼの見回りをしていると、いつもより水位が低いことに気づきました。水漏れです。
そういう時は畔に立ち、耳をすまします。すると取水口の水音以外に聞こえる音があります。もぐらが作った穴、もぐら穴です。ほかにもねずみ穴もあります。
もぐら穴から水が出ていたのが分かったので、急いで足で土をならし、水漏れを止めます。

〔3rd dish〕グミのジャム
小森のいち子の家の脇には、グミの木が生えています。季節になるとグミの実で枝がしなるくらいです。
子どもの頃に食べたいち子は、若い実がしぶいことを知っています。熟した実はぬるっとして甘いだけで、いち子の好みには合いません。
何よりも、その時期おいしいものは、ほかにたくさん生っていました。
採らずに放置しておくと、道一面にグミの実が散乱して、小学生のいち子は母・福子のことをだらしないと思っていました。
いち子は高校卒業後、街に出てしばらく男の人と暮らしていました。電車のある都会での暮らしが合わず、結局小森に戻ってきたわけですが、都会にもグミの木がありました。
彼はグミの木のことを知らず、いち子が「しぶいよ」と言ったグミを食べておいしいと言い、山ザルで体力に自信があった自分が届かない位置のグミを、彼がやすやすと手に入れることを悔しく思いました。彼との暮らしが駄目になったのも、味覚が合わない、彼に頼りたくないといういち子の勝気な性分が関係しているのかもしれません。
彼と駄目になって小森に戻ったいち子は、落ちて駄目になるグミを見て「積み重ねて来たものがすべて駄目になるのがさびしい」と思い、初めてジャムを作ろうと思い立ちました。
早速、グミを収穫します。
ザルで裏ごししながらタネを取ります。その作業がけっこう大変で、裏ごししている時に彼との暮らしを思い出し、彼に料理を作ってあげている気持ちになったいち子は、自分に「バーカ」と言います。
あまり甘くしたくないので、たまった果肉の重量の60%の砂糖を加えて煮ます。あくぬきもしますが、あくを抜きすぎるとグミらしさが消えるかなと考えます。
味見するとすっぱく、やっぱり100%の方がよいのかと悩んでいるうちに、(思考もジャムも)煮詰まってしまいました。
煮詰めの具合は、水に落としてぬるい玉になるくらいです。ゆるく見えても、冷えるとジャムはかなり固まります。
できあがって瓶に移し換えたいち子の脳裏に、母・福子の「料理は心を映す鏡よ」という言葉がよみがえりました。
ザル1杯のグミから、小瓶3本分のジャムができました。
いち子はできあがったジャムを見て「これが私の心の色か」と思います。
翌朝、早速1つめの瓶を開けてみました。パンにつけて食べると、濃厚で渋みのある甘酸っぱいジャムに仕上がっていました。

【承】- リトルフォレスト夏秋のあらすじ2

〔4th dish〕ウスターソース(とヌテラ)
お腹が空くと、腹の虫が鳴ります。それを聞くと、いち子はいつも母・福子との思い出にひたります。
母・福子は空腹時になる腹の音のことを『胃の中の蛙(かわず)』と言いました。
福子はからかったつもりかもしれませんが、いち子はずっと『胃の中の蛙』と覚えており、本当は『井の中の蛙』と近所の主婦に教えてもらった時に、ショックでした。
そのことを思い出したいち子は、自家製ウスターソースを作ろうと思います。
ニンジン、生姜、唐辛子、セロリの葉はみじん切りにします。
鍋に水、だし昆布、クローブ、粒こしょう、青山椒のみりん漬け、月桂樹の葉、セイジ、タイム。
そこに切った野菜を入れて、中火で煮詰めます。
半分くらいに減ったところで、しょうゆ、酢、みりん、ざらめを加えて1時間ほど煮込みます。
途中、味をみて、残っているジャムを入れたり、香辛料を足したりして、さらしで濾して瓶に詰めてできあがりです。
いち子の中ではこのしょうゆベースのたれが、ウスターソースというものでした。
高校生の時、商店でウスターソースが市販されているのを見た時、店の人がいぶかしがるくらい見入ってしまいました。最初は、自分ちから広まったのかと思ったくらいです。
市販のウスターソースこそが本物で、自分ちのものが「もどき」だと知った時に、いち子は母・福子を問い詰めましたが「別に私の発明だなんて言ってないでしょ。それに売ってるのとうちのと、どっちがおいしい?」と言われ、いち子は答えに困ります。
このように母・福子はデタラメな人で、ウソやホントをごちゃまぜにしてしゃべる人でした。
余談になりますが秋になると山道沿いにあるハシバミの実を摘みに行き、摘み集めた実をローストし、なめらかになるまですり潰します。
鍋でココアパウダーと砂糖、少しの油と合わせて艶よく練り上げると、パンによく合う一品ができます。
母・福子は「塗って食べるからヌテラ、なまった言葉」と言い、いち子はそう思いこんでいましたが、〝ヌテラ〟という商品名の〝チョコレートとヘーゼルナッツのペースト〟が世界中で売られているのを、街のスーパーで偶然見つけたのは、ついおととしのことです。
この時もいち子は愕然とし、商品に見入ってスーパーの店員に不審な顔をされました。
ヌテラを見つけた時には、いち子は「母さんよく知ってたなあ」と、いち子はかえって感心してしまいました。

〔5th dish〕ミズのおひたし、ミズとろろ
いち子の家は、沢と森と田んぼに囲まれた一軒家なので、夜の訪問者が絶えません。虫のことです。カブトムシやホタルもいます。
近くの沢は水量が少ないけれどもイワナが泳ぎ、サワガニもいます。そしてその沢のほとりには、ミズがたくさん生えます。これは秋まで食べられます。
ミズは皮を剥いてさっと湯がいた茎をおひたしにしたり、漬けものに混ぜたりします。シャキッとして少し粘り気があります。
根元の赤い部分を包丁で叩いて細かくしたものが、ミズとろろです。
味噌か三杯酢で味をつけ、アツアツご飯にかけて食べるとおいしく、山芋とろろよりいち子はミズとろろの方が好きです。

いち子の家は、沢と森と田んぼに囲まれた一軒家なので、夜の訪問者が絶えません。
それは虫にかぎらず、です。
深夜、倒れる物音に驚いたいち子が懐中電灯片手に外に出ますが、正体は分かりません。
翌日、近所の主婦の見立てで、出没したのがクマで、裏の木のスモモを取りにきたらしいと知って、いち子は驚きました。

〔6th dish〕イワナの塩焼き&味噌汁
養魚場の生け簀のイワナをキャンプ場にうつす日雇いのバイトを、いち子は受けました。ユウ太と顔を合わせます。
車中で「なぜ小森に帰ったのか」とユウ太に聞くと、「小森とあっちとでは、話してる言葉が違う」と、思ってもみなかった言葉が返ってきました。もちろん方言という意味ではありません。
「何もしたことがないくせに語り、人が作ったものを右から左へ回している連中ほどいばってて、嫌になった」というのがユウ太の理由でした。ユウ太は「他人に殺させておいて、その殺し方に文句をつけるような奴になりたくなかった」と言い、小森を出た経験で初めて、親や近所の人のことを尊敬できるようになったと言い添えます。
いち子は「ユウ太は立ち向かうために戻ってきたのだ」と感じました。それに対し、いち子自身は「逃げてきたのだ」と痛切に思います。
イワナのワタ(内臓)を抜いて串に刺し、塩を軽く振って焼きます。イワナの塩焼きです。
キャンプ場を経営しているシゲユキが、イワナの味噌汁を作ってくれました。ぶったぎって味噌汁に入れただけという味噌汁は、それでもこくがあっておいしいといち子は思います。

〔7th dish〕トマトの水煮
いち子は畑でトマトを作っています。いち子はトマトが大好きです。
ところがトマトは水に弱く、長雨が続くとすぐに成長点が枯れてしまい、駄目になってしまいます。
なので小森ではみんな、ビニールハウスでトマトを栽培していました。
いち子は完熟トマトを収穫して皮を湯むきして水煮にします。
塩水に漬けて瓶づめし、煮沸消毒して保存する「自家製ホールトマト」です。
こうしておいて冬場にカレーやスパゲッティに入れたりできます。よく冷やしてそのまま食べてもおいしいです。
近所の人たちは、いち子にハウス栽培を勧めますが、いち子はいろんな理由をつけて先延ばしにし、露地栽培を続けています。
ハウスを建ててしまうと、ずっと小森に居ついてしまいそうだという思いが、いち子をハウスから遠ざけているのでした。

空は、いつの間にか秋の色になっています…。

【転】- リトルフォレスト夏秋のあらすじ3

≪秋≫
小森は東北地方の、とある村の中の小さな集落です。
商店などはなく、ちょっとした買い物なら役場のある村の中心まで行くと、農協の小さなスーパーや商店が数軒。
行きはおおむね下りなので、自転車で30分くらい。帰りはどのくらいかかるかな。
冬は雪のため、徒歩になります。のんびり1時間半でしょうか。
でも、ほとんどの人たちは、買い物は隣町の大きな郊外型スーパーなんかに行くようです。
いち子がそこに行くとなると、ほぼ一日がかりになります…。

実りの秋が到来しました。黄金色の稲が風に揺れています。
肩より少し長かった髪を、いち子は思い切ってショートボブにします。
郵便屋さんが配達にきました。小さな集落なので、郵便屋さんとも顔なじみです。
いち子の母は5年前に、いち子をひとり残して突然家を出ていきました。いち子が高校時代の時の話です。
(この詳細は『リトル・フォレスト 冬・春』で出てくるが、家を出た理由は明らかにされず)

〔1st dish〕あけびの皮の炒め物サブジ風、あけびの皮の肉詰め
稲刈りの段取りを考え始める頃、田んぼへ行く道すがら、あけびの実も探します。
最初は緑色の実ですが、徐々に紫色へ変化し、ぱっくりと割れたら食べ頃です。
幼い頃からよく親友のキッコと一緒に取っていました。あけびの実は木の高い所にできるので、ちょっとした冒険を味わえます。
大人になってからも、やっぱりいち子はキッコと2人で取ります。キッコの祖父は一足先にあけびを取り終え、祖母のために戻りました。
収穫したあけびをいち子とキッコはスプーンですくって食べ、タネは庭にとばします。
皮は本来は捨てるのですが、食べられないかいち子は悩みました。皮の強い苦みを活かすには、何を足せばよいのか考え、アレンジしてみます。
あけびの皮を一口大に切って、クミン、ニンニク、ネギ、カレー粉、トマト、そしてあけび。それらをしょうゆと炒め合わせてサブジ風。これは、つまみかおかずになります。
味噌で味付けしたひき肉をあけびの皮に詰めて、軽く粉をまぶして揚げます。
多めに作っておいて、稲刈りの時のお弁当に入れます。
あけびの実は人とけものとの競争ですぐに取られてしまいますが、たまに山奥でしなびかかったものを見つけることがあります。その時も、いち子は必死で取ります。

〔2nd dish〕くるみごはん
いち子の家の稲は2度空を飛びます。
1度目は田植えの時です。都度都度戻らなくてもよいよう、束で田んぼに投げ入れておきます。
2度目は稲刈りの時です。いち子の田んぼは稲刈りも手作業で、束にした稲を藁でくくり、干す杭の近くに放り投げます。
稲刈りの時のお弁当はくるみごはんです。今年のくるみの味見も兼ねています。
川のそばに生えているくるみを拾い、まず庭の隅に埋めます。
表の皮が黒く腐ったら、掘り返して取り出し、よく洗い流して綺麗にします。
殻ごと干して網に入れて吊るしておけば、何年も貯蔵がききます。
くるみごはんを作るには、まずくるみを割ります。殻ごとフライパンで煎ってタオルにくるみ、金づちで割ります。
この時、きちんと殻を取り除いておかないと、食べた時に歯が欠けます。
すり鉢でくるみの実をよく潰してペースト状にし、洗った米に混ぜ合わせます。あとは酒としょうゆで味をつけて炊きますが、米10に対し、剥きくるみは2から3、しょうゆは小さじ1弱、酒は少々。香り高くコクもあって、これは非常においしい一品です。
炊く米は去年の田んぼで収穫したものです。
稲刈りをした後は、杭に稲束を互い違いに並べて干します。
親友・キッコの祖母が、ぶどうとメロンの差し入れに来てくれました。

〔3rd dish〕イワナの南蛮漬け
分校の2年後輩のユウ太と共に、キャンプ場の釣り堀でシーズンオフを前に、1000円でイワナ釣り放題にいち子は参加します。釣ったイワナは南蛮漬けにするつもりです。
釣ったイワナはワタ(内臓)を取って洗い、だし、酢、砂糖、しょうゆ、鷹の爪を煮立て、タレを作ります。
イワナに小麦粉をまぶし、揚げて、タレにつけてできあがりです。ニンジンや玉ねぎも入れています。
1~2時間後から食べられますが、冷蔵庫に寝かせて次の日もおいしく食べられます。

〔4th dish〕栗の渋皮煮
木々が色づく頃、栗の渋皮煮が小森の集落ではやりました。
仕掛け人はキャンプ場のシゲユキさんと、そこに入り浸っているユウ太です。
2人が試しに作ってみたら村人たちが「おいしい」と言い、自分ちでも作ろうということになりました。
それがどんどん広まり、みんな競って作っています。
いち子が自宅の庭でチェーンソーを使って木を切っていると、親友のキッコが渋皮煮を差し入れに持ってきました。同じく近所の主婦さんも、いち子のチェーンソーの音を聞きつけて渋皮煮の差し入れを持ってきます。
キッコは赤ワインバージョン、主婦さんは仕上げに旦那さん秘蔵のブランデーを入れたそうです。
作業の終わりにチェーンソーの手入れをしたいち子は、自分も栗の渋皮煮を作ろうと思いました。
山へ栗を取りに行く時は、クマに注意です。長靴と炭バサミで栗のイガの中から栗を取り出してバケツに入れます。
取った栗はすぐ外の鬼皮を剥いて、灰か重曹を入れた水に一晩つけておきます。
次の日そのまま火にかけ、弱火で30分煮ます。煮汁はアクで真っ黒なので捨て、水を替えてまた30分煮ます。また水を替えて30分。これを繰り返していくと、煮汁が澄んだワイン色になってきます。
途中、栗の筋とワタを取って綺麗に掃除をし、煮上がった栗の重量の60%の砂糖で煮詰めていきます。
火を止める直前に、酒類で香りをつけてもおいしくなります。
保存する場合は、汁ごと瓶に入れます。煮汁のまま2~3か月置くと、しっかり糖が染み込んで、ねっとりした栗になります。いち子は保存した渋皮煮の方が好きです。

栗の木はおおむね割りやすいし、高温で燃えるのでいい薪になります。

【結】- リトルフォレスト夏秋のあらすじ4

〔5th dish〕さつまいもの干し芋
今日はいち子宅に、近所の主婦さんたちが集まってきました。こたつを囲む主婦さんたちに、いち子は干し芋を軽くあぶってお茶受けに振る舞います。
近所の人たちが集まっての話題は、やっぱり作物のでき具合です。
話を振られたいち子は、今年はさつまいもが細いのしかできなかったと言い、肥料がいるのかと呟きました。主婦さんは「さつまいもには肥料はいらない」と助言してくれます。
去年いち子はさつまいもを作るのに成功し、太いさつまいもをたくさん収穫しました。今年もそれを狙って苗を植えたのですが、いまひとつでした。
サトイモは水分も肥料もたっぷり必要とします。発芽するまで時間がかかるので、霜の心配がなくなったら、とにかく早く植えるのがコツです。
そしてサトイモもさつまいもも寒さに弱いので、霜がおりるまでに収穫し終えないとなりません。
できたさつまいもは保存がきかないので、すぐ干し芋にします。
鍋に湯を沸かし、ザルをかけて次から次へとふかしていきます。皮を剥いて短冊に切り、藁にくくって干しておくと甘みが増し、ちょっとあぶっておいしいし保存もきくので、冬の間ずっと楽しめます。
サトイモは掘り出したら、その土のついた塊のまま新聞紙やら藁やらに厳重に包んで保存、食べる時に株についた子芋をもいで使います。
サトイモの保管は家の中の温かいところです。いち子は薪ストーブの近くに置いています。

〔6th dish〕合鴨のロースト、ピリ辛炒め、砂肝の刺身
合鴨のヒナは可愛らしく、小森ではなじみ深い存在です。6月、稲が合鴨の背より伸びたら田んぼに放します。
合鴨は、出始めた雑草を食べ、稲につく虫を食べ、泳ぎ回ることで稲の根に酸素を送り、水が濁ることで日光を遮り雑草が生えにくくなり、糞が肥料にもなります。合鴨農法です。
だから小森の人たちは、合鴨を絞めたくないし、食べたがりません。分かってはいるのですが…(注:大人の鴨になると稲を踏んでしまうほど育つので、合鴨農法はヒナが用いられる。繁殖のため数羽を残し、残りの合鴨は食用になる)。
解体の時には、食い意地が張っていると思われているいち子が呼ばれます。
湯をわかしておき、いち子は包丁を研ぎます。絞めたあと湯につけると羽毛が抜けやすくなります。羽毛を取るのが一番大変な作業です。
細かな羽の根っこまで取っておかないと、食べるときに舌触りが悪くなります。
さらにあぶって羽毛を焼き、骨に沿って切りこみを入れ、部位を外し、内臓を抜きます。

いち子は報酬に、合鴨の肉をもらってきました。家で調理します。
包丁で皮に切れ目を入れ、塩をします。
熱した厚手のフライパンに油をひかず、皮を下にして弱火でじっくり焼きます。
合鴨の肉からはすごい量の脂が出るので、本当は炭火で脂を落としながら焼くのが一番です。家で焼くならどんどん脂が出てくるので、それを鴨に回しかけて火を通します。
ゆっくり、皮がこんがりキツネ色になるまで焼いたあとにひっくり返し、あとは好みまで火を通します。
ガラ(骨)はゆっくり自ら弱火で炊いて、だしをとります。
レバーやハツはみりん、しょうゆ、生姜、唐辛子でピリ辛炒めです。
砂肝はスライスして刺身にします。生姜じょうゆでさっぱりといただきます。

〔7th dish〕青菜の炒め物
朝に霜の降りる頃、小森のあちこちからは煙があがります。しいたけハウスの暖房、かまどの煙、燻炭を作る煙です。
燻炭はもみがらの炭のことですが、これは田んぼや畑に配って土質をよくしたり、種まきの時にも重宝します。
ニンジンの収穫時期にもあたりますが、この頃になるといち子は母・福子のことを思い出します。
母・福子はずぼらなので、ニンジンにも理解がありませんでした。「セリ科だから他の雑草とせり(セリ)あわせるべきだ」と言って、雑草を抜かずに育てていました。
ほうれん草とニンジンには雌雄の株がありますが、それも母は反対に覚えていました(間引きの時に抜くとよいのは雄株)。
それでも母・福子が作ったシチューとほうれん草のソテーはおいしいものでした。

季節にある葉もので炒め物を作る時、いち子はいつも悩みます。青菜を洗って切って炒めて味付けするだけ…それなのに、母・福子の作る炒め物といち子のそれとは、歯ごたえが全く異なるのです。
母の作り方を思い出しつつ再現しようと試みますが、いつも違うものができました。
ある時いち子はセロリの筋取りをしていて、ふと思いつきます。青菜も筋を取ってみたらどうか…そう思ったいち子は、青菜の筋も取れることに気づきました。
そのまま炒め物をすると、母の炒め物と同じになりました。
いち子は今まで母・福子のことを「ズボラでテキトーな人」と思っていましたが、ズボラでテキトーだったのは、いち子自身だったと気づかされます。
そうやって時折、いち子は母・福子に対し、心ない発言をしてきたことを思い出しました。

月に1回、いち子の家には電力会社とガス屋さんが、メーターの確認に訪れます。
郵便物も届きますが、大抵はその料金請求書です。
ある日料金請求書にまぎれて、1通の手紙が届きました。
それは5年前に突然家を出て行方知れずになった、母・福子からの手紙でした…(『リトル・フォレスト 冬・春』に続く)。
(タイトル『リトル・フォレスト』は、集落の名前『小森』をダイレクトに英語にしただけ)

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みんなの感想

ライターの感想

ひとりの若い女性を中心に、その一年、春夏秋冬を描く作品。
夏と秋バージョンなので、当然、このあと冬と春バージョンもある。
秋の終わり、母からの手紙がやってきたところで話を終えるなんて、にくい演出!
ちなみにストーリーはあってなきがごとし。書き出してみるとあらすじのように、なんだか料理のレシピのようになってしまう。
でも不思議なもので、見ていて飽きない。包丁づかいだけでなく東北地方の美しい景色は、それだけで見る価値あり。
リアリティを追求するたぐいの映画ではない。むしろ、景色を楽しみ、料理を楽しむ映画だと思う。

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