「僕たちの家に帰ろう」のネタバレあらすじ結末

僕たちの家に帰ろうの紹介:中国・少数民族の幼い兄弟。離れて暮らす両親に会うために広大な砂漠をひた進む彼らが成長していく姿を、滅びる文化や環境破壊等の社会問題を背景に優しく静かに綴る。中国の若手監督リー・ルイジュンが脚本、美術、編集も手掛けた2014年の作品。日本では翌年の東京国際映画祭に正式招待、ロッテルダム国際映画祭や香港国際映画祭などで多数の賞を受賞した。

予告動画

僕たちの家に帰ろうの主な出演者

アディカー(タン・ロン)、バーテル(グォ・ソンタオ)、おじいちゃん(バイ・ウェンシン)、お父さん(グオ・ジェンミン)、高齢のラマ僧(マ・シンチュン)

僕たちの家に帰ろうのネタバレあらすじ

【起】- 僕たちの家に帰ろうのあらすじ1

古代シルクロードの一部にあたる河西回廊沿いに住む人口14000人ほどのユグル族。彼らの多くは牧畜に従事していますが、最近は農業に転業する者も多く見受けられます。
ユグル族の血を引く兄弟バーテルとアディカー。母はアディカーを産んでから体調を崩したため、祖父母がバーテルを預かることになりました。バーテルは何度か家に帰ったものの祖父を恋しがったり、祖母が亡くなったこともあり、自ら祖父との生活を選びました。一方アディカーは現在学校の寮で生活しています。父が今も放牧を生業としているのですが町の近くは緑が失われ、離れた場所での仕事を余儀なくされているからです。

夏休みの1か月前。祖父は水を求め業者に頼み井戸を掘りますが、地下水まで枯れていました。農業用に多数の井戸が掘られているのが原因の一つです。業者は羊が痩せないうちに売った方がいいと進言もしました。
父が祖父の家に顔を出します。厳しい現状に祖父は、牧畜を辞め金の採掘や農業に転向した者は牧畜には戻らないと息子に嘆きました。父は罪滅ぼしの如くバーテルに服を買ってやりますが、本人は全く喜びません。彼はずっと自分は要らない子だと思い込んでいるからです。反対にお下がりばかりのアディカーは「ずるい」と泣き喚きました。2人は互いが両親に可愛がられているのだと感じ、嫉妬し合っているのです。夏休みになったら迎えにくると父はアディカーに告げ帰っていきました。バーテルは買ってもらった服を「要らない」とアディカーに投げつけ、祖父の家に戻りました。

週末、淋しいだろうと祖父はアディカーも預かるると、バーテルは自分だけが買ってもらったおもちゃや、アディカーに内緒だと父が拾った風船ボックス(大きな風船を飛ばすための箱)をアディカーに見せびらかしました。居場所のないアディカーは思わず外に出ます。その日祖父は羊を売りました。荷台に乗せられて遠ざかっていく羊を、祖父は馬に乗って切なそうに見つめていました。

【承】- 僕たちの家に帰ろうのあらすじ2

週明けアディカーはいつも通り学校へ行きますが、バーテルが2日も無断欠席していました。気になったアディカーが学校帰りに祖父の家に行くと、喪主として葬儀に参加するバーテルがいました。祖父が亡くなったのです。バーテルのひとりぼっちの生活が始まりました。

夏休みになっても父は迎えに来ず、アディカーは誰もいない暗い寮にいました。次の日アディカーは預けていたラクダに乗ってバーテルの家に向かいます。「放牧地に行って父さんと母さんを探そう。夏休みになったら母さんに会いに行こうと話していたおじいちゃんの遺言だ!」と兄を誘いますが、バーテルは返事もせず家に籠ってしまいます。アディカーは家の前で夜を明かし「遺影も持てばいい。この家に戻って来たければ夏休みが終わってまた住めばいい」と再びバーテルに声をかけ、気長に待ちました。するとバーテルは何も言わずに荷物をまとめます。そして祖父の馬を放つと、祖父母の墓で立ち止まった馬はそのまま走り去っていきました。

2人はラクダにまたがったり引いたりして、河の跡をひたすらに辿って行きます。アディカーが話しかけてもバーテルは素っ気ないフリをし、言葉も交わそうとしません。日差しが強くなりバーテルが水をよく飲むので、移動に慣れているアディカーは水が足りなくなるから夕方出発しようと忠告しますが、バーテルは反発するように飲み、先に出発してしまいます。アディカーは慌てて後を追いかけました。
途中で井戸を見つけバーテルはラクダに水を飲ませようとしますが、アディカーが春に父と同じ道を通った時点で井戸は枯れていました。

荒廃した建物が立ち並ぶ地域に着き、今夜はここで寝ることになりました。アディカーが春に通った時はまだ住民がいましたが、今ではもぬけの殻です。灯りもない建物の中でアディカーは懐中電灯でバーテルを脅かすと、驚いたバーテルが「馬鹿野郎!」と今日初めての言葉を発しました。アディカーは建物の残骸の中から方位磁石を拾いました。

【転】- 僕たちの家に帰ろうのあらすじ3

次の日。春夏に父と砂漠を通ってきたアディカーは道が違うと感じ、河に添って進めと父が言っていたと話しました。弟に命令されたバーテルは怒り、ラクダは水を見つける天才だと祖父が言っていたのでラクダに任せようと言い、2人の意見が対立します。結局バーテルの意見が勝ち、ラクダを走らせました。やがて湖に辿り着きますが、ここも枯れ果てていました。

砂漠の夜は冷えるため、焚火に当たっていたアディカーにバーテルは「俺は要らない子だから凍え死んだ方がいいだろ」と拗ねました。それを聞いたアディカーは兄の淋しさを知るのです。夜明けになると、まるで祖父が何かを伝えるかのように、祖父の馬がアディカーの前にやって来て、そのまま去って行きました。

過酷な旅を続ける2人に疲れが見え始め、ラクダの上でぐったりとします。水を飲み干したバーテルはアディカーに分けてほしくても言い出すことができません。1人で石窟に入ったバーテルは、紀元前120年頃の遊牧民征討を描いた壁画に見入り、自分たちのルーツを感じます。突然現れた鳥に驚き、慌てて石窟から出てきますが、入口の壁には文化大革命の頃の新聞が貼られていました。この日の夜アディカーが寝ている間に、バーテルは自分の水のポリタンクと弟の物をこっそりと取替えました。

翌朝目覚めるとアディカーのラクダの姿が無く、バーテルのラクダに探させます。2人は走るラクダを必死で追い、聳える岩の回廊を息切れしながら走り抜けると、瀕死のラクダを見つけました。そこは緑が茂っていた頃に家族で住んだ場所で、アディカーはラクダが故郷に戻って来たと叫びますが、ラクダはもう死ぬから血を飲もうとバーテルがナイフを取り出します。止めようとしたアディカーと取っ組合いになり、互いの積年の想いをぶつけ合いました。バーテルに胸を殴られたアディカーが苦しむ間に、バーテルは自分のラクダと共に行ってしまいます。アディカーはぐったりとしたラクダの傍を離れられず泣きました。

【結】- 僕たちの家に帰ろうのあらすじ4

夜になってもアディカーが追って来ず、流石にバーテルも心配しだします。この頃には水も完全に無くなりました。
翌朝、バーテルは遺跡のような寺院を見つけて中に入り、高齢のラマ僧に弟を見かけなかったが尋ねます。僧侶はバーテルに貴重な水をくれ、ラクダには塩を与えるよう若い僧侶に指示しました。バーテルが親に嫌悪感を抱いていると気付いた僧侶は「両親に感謝しなさい」と説くと、バーテルは素直に受け止めお祈りを始めます。そこへバーテルのラクダを見つけたアディカーが若い僧侶に呼ばれ、2人は再会します。
翌日僧侶は「父が迎えに来なかったのは忙しいからだろう。今も放牧を続けているとは立派だ」とアディカーに話し、自分のラクダをくれました。アディカーはお礼に方位磁石を渡します。この地帯も水が枯れ、高齢の僧侶を残し若い僧侶は町の寺へ移ることになり、2人と共に寺院を後にしました。

歩き続ける2人に風船ボックスが飛んでくると、バーテルは風船を弟に譲りました。この旅を通し成長した2人に会話が増えていきます。母はいつもバーテルの分まで料理を用意したこと、バーテルが祖父の家に戻ると母が淋しそうにしていたことをアディカーが明かすと、バーテルは初めて母の愛を知りました。

次の日2人はようやく河に着きます。アディカーが水に飛び込んだので、バーテルもこっそり袖を通していた父が買ってくれた服を隠しながら脱ぎ、水遊びをしてはしゃぎ合いました。そして河があれば家が近いはずだと、足取りも軽やかになってまた進みます。
2人は金の採掘場を通ります。山を崩す爆音が響く中、大勢の男が働いていました。驚くことに2人はそこで働く父に遭遇し、呆然と立ちすくみました。
崩れた山の向こう側には大きな工場が並び、アディカーは見慣れぬ景色を見渡します。何も言わず足早な父に2人が続き、家路を辿りました。

みんなの感想

ライターの感想

ユグル族のことも初めて知りましたし、終始見慣れぬ景色が映っていましたが、一帯が滅びていく光景はまるで自分の故郷かのように淋しさを感じました。
廃れていく地域の閑寂さを表現するために、全体的に静かなシーンが多いと思うのですが、兄弟たちの感情や地域の状況を把握しきれない場面もありました。(想像力が弱い自分だけかもしれない…)
ユグル族の文化を守りたいという監督の熱い想いは、この作品を観た人には伝わったのではないでしょうか。個人的には民族の荒廃も辛かったのですが、兄弟たちの確執や愛に飢えていたことが何より切なかったです。

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