「害虫」のネタバレあらすじ結末

害虫の紹介:2002年公開の日本映画。どこにも自分の居場所を見つけられない13歳の美少女の反抗と成長、そしてその周囲の人間がどんどん不幸になっていく様子を、クールな視線で見すえる映画。『月光の囁き』の俊英・塩田明彦監督が手がけた劇場映画第4作。

予告動画

害虫の主な出演者

北サチ子(宮崎あおい)、緒方智(田辺誠一)、タカオ(沢木哲)、徳川(天宮良)、キュウゾウ(石川浩司)、山岡夏子(蒼井優)、コーヒーショップの見知らぬ男(伊勢谷友介)、北稔子(りょう)、花坂薫平(すずき雄作)、ルミ(芳賀優里亜)、そう子(米丘ゆり)、ユキ子(半田美保子)、里美(西満衣)、多恵(三輪恵未)、和美(三村恭代)、影丸(佐々木麻衣)、真野先生(椎名英姫)、佐藤先生(頭師佳孝)、ジャージ姿の男性教師(寺島進)、コンビニの中年男(石丸謙二郎)、携帯電話の男(光石研)、ラブホテルの男(大森南朋)、トラックの運転手(木下ほうか)、公衆電話の女性(中村久美)、夏子の母(大沼百合子)

害虫のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①中学1年のサチ子は父がなく、自殺未遂をした母と暮らしている。小学時代の担任・緒方を好きだったサチ子だが、そのせいで緒方は職を失って原発で働いている。家庭にも学校にも居場所がないサチ子はタカオという男と知り合う。 ②タカオはやくざに殺され、サチ子は学校に通い始めるが、母の新恋人にレイプされそうになった。学校でまた噂が流れたサチ子は不登校に戻り、自分をかばう振りをして点数を稼ぐ夏子の家に放火して逃げる。緒方先生を頼って秋田へ行くが、見知らぬ男の車に乗って去った。

【起】- 害虫のあらすじ1

北サチ子は13歳の中学1年生の少女でしたが、どこにも居場所を見つけられずにいました。それはもちろん家庭の事情の複雑さも関係しているのでしょうが、サチ子自身にも原因があるようです。
サチ子には父がなく、母・稔子と2人暮らしでした。その母・稔子は恋人に捨てられたことがきっかけで、手首を切って自殺未遂を図ります。
幸い稔子は命を取り留め、サチ子との2人の生活が戻りますが、サチ子は母に見捨てられた思いを、少なからず抱きました。
サチ子は母・稔子と表面上は変わらない暮らしを送っていますが、そういうわけで、家にいても自分の居場所ではないように感じます。
サチ子は現在、不登校を続けていました。学校にも居場所がないからです。
それは、サチ子の小学時代の噂が関係していました。
サチ子は小学生の頃、学校の若い担任の男性教諭・緒方智に恋心を抱きました。サチ子は積極的に緒方先生に接近し、自室を訪問するなどします。
そしてお茶を出してくれた緒方先生のベッドに横たわって、誘惑してみたりなどもしてみました。
緒方先生はサチ子を好もしく思っていましたが、大人と教師としての節度をもって接していました。しかしサチ子との関係を疑われて教師の職を辞めざるを得なくなり、現在は秋田県の原子力発電所で肉体労働の仕事をしています。
サチ子と緒方先生は、その後も文通を続けていました。緒方先生との文通がサチ子の心の慰めになっていましたが、大人の緒方先生と釣り合うように、また気を惹きたいがために、少し背伸びした内容の手紙を書きます。
〝北サチ子様
その後、元気でやっていますか。
こちらは大分落ち着いてきたように思えます。
もちろん、不安がないといえば嘘になる。
けれどもいまの僕は、ここから逃げるわけにはいかないのです。〟
〝ベタという魚のオスは、あぶくを吐いて巣をつくり、そこにメスをさそいこんで、自分の体を折り曲げるようにしてメスをしぼり、卵を生ませるのだそうです。(サチ子から先生への手紙)〟

小学時代のサチ子の噂が中学校でひとり歩きしてしまい「サチ子は小学時代、担任の先生とできていた」「サチ子はレイプされそうになった」という情報が広まります。
サチ子自身はさほど気にしてはいないのですが、好奇の目にさらされるのは嫌なので、学校に行く振りをしていつも町や図書館や川べりなどで時間をつぶしていました。
何が原因かと言われると「サチ子が無防備すぎるから」なのでしょう。妙な色気があるわけでもないのですが、サチ子は大人の男性に声をかけられる「隙」を持っていました。それは大人の男性にかぎらず、同年代の男子生徒も同じです。
誰もがサチ子に興味を持ち、近づきたがるのです。そしてサチ子はそれを「拒まないから」問題になるのです。
そういう意味では、図らずもサチ子は周囲をどんどん駄目にしていく「害虫」なのです。たとえ本人が意識していなくても。

【承】- 害虫のあらすじ2

たとえば日没後。時間をつぶすためにコンビニで雑誌を立ち読みしていたサチ子は、中年男に目をつけられてあとをつけられます。サチ子が望んでいたことではありません。
サチ子を執拗に尾行するサラリーマン中年男性を、レーザーポインターの赤い光で追い払ってくれた男がいました。タカオという髪を茶色に染めた男です。
別の日、タカオを見つけたサチ子は喜び、その日からタカオと行動を共にしました。タカオはトタン屋根の工場のような場所に住む知的障害者の男・キュウゾウを紹介します。
〝今日、原発反対運動をしている組織からのインタビューを受けました。
なぜ小学校の教師を辞めて、こんな危険なところで働いているのかと。
僕はこの質問にインタビュアーが期待するようには答えることができない。
だから、なんでこの役が僕に、と考えると、なんだかおかしくなりました。〟
〝変な夢を見ました。
夜空には星も月も出ていなくて、あたしのまわりにはゴミだらけなの。〟

サチ子のクラスメイトの女子生徒・山岡夏子は、優等生らしい正義感でサチ子の不登校をやめさせようとしていました。
同級生の女友だち3人と、通学途中にサチ子の家までいつも迎えに来るのですが、サチ子は居留守を使って夏子の迎えに応じません。
そのうち女友だちも愛想をつかし、迎えに来るのは夏子だけになりました。それでも夏子は毎日サチ子を迎えに来ます。
さてタカオと仲良くなったサチ子は、タカオが当たり屋をして金を脅し取っていることを知りました。通行中の車に撥ねられた振りをして話し合いに持ち込み、その場で金を得るのです。
携帯電話で話をしていた男は、通話に夢中になってタカオを轢いてしまいました。口止め料の金をタカオは得ます。
しかしタカオはある時、その地域のヤクザに睨まれて暴力を振るわれました。殴られたタカオは顔にケガをしており、部屋を訪ねたサチ子は心配しますが、タカオは病院には行けないと言います(健康保険に入っていないか、家出しているなどの、なんらかの「事情」がある模様)。
タカオはサチ子に迫って来ることはありませんでした。1度サチ子のスカートをめくったことはありますが、それだけです。そしてタカオが迫ってこないことが、サチ子の救いでもありました。
タカオに「お前、今いくらある?」と聞かれたサチ子は、金が必要なのだと思って「ママに貸してもらう」と言ってその日は帰りました。
しかし母・稔子に金を融通してもらいたくないサチ子は、売春も考えてラブホテルの前をうろうろします。
そんなサチ子を見て、背広姿の男が声をかけてきました。しかしいざとなると怖くなり、サチ子は逃げて帰ります。このことからも分かるとおり、サチ子は処女です。学校での噂はデマです。
帰宅すると、母・稔子は恋人・徳川を呼んでおり、サチ子に会わせました。目を合わせないようにしながらも、サチ子はいちおう挨拶します。

【転】- 害虫のあらすじ3

次の日サチ子はタカオに、当たり屋をしたいから教えてくれと話します。しかしタカオは乗り気ではありませんでした。サチ子もチャレンジしますが、怖くてできませんでした。
河川敷でタカオの肩に頭をもたせかけたサチ子は、タカオに「どっか遠くへ行こう」と誘われます。サチ子は行くと決めて荷造りしますが、タカオは来ませんでした。
〝先生の知らない遠いところに、私が先生をおいて行ってしまったら、先生はさびしい?
それとも割と平気?
そんなこと考えると、頭がおかしくなってしまいそう。
でも私は今、平気で生きています。〟
〝ベタというのは、闘魚といわれている魚のことだと思います。
オス同士はものすごい戦いをするらしい。
長いときには、あの小さな魚が一昼夜にも渡って、互いの体をかみつきあうのだそうです。(先生からサチ子へ)〟
タカオの部屋を訪問したサチ子は、そこにヤクザの男の死体とスパナを見つけて怖くなり、家に逃げ帰りました。そして以後、タカオとの接触を絶ちます。
タカオはその後、別のヤクザに殺されました。サチ子はそれを知りません。
帰宅すると母・稔子は恋人・徳川と嬉しそうにしゃぶしゃぶの用意をしていました。
〝夢を日記に毎日つけていると死んじゃうそうです。
本当だったら、少しこわいです。〟

〝私は、また学校に行き始めることにしました。〟
〝季節の移り変わりが、そちらとは大分違うようです。
それではくれぐれも風邪などひかないように。
いつもサチ子のこと、考えています。〟
サチ子は夏子と一緒に学校に行き始めました。夏子は嬉しそうです。
しかし通い始めたからといって、サチ子の居場所がないことに変わりはありませんでした。夏子は甲斐甲斐しくサチ子のフォローをしますが、サチ子は嬉しくありません。
夏子の面倒見の良さが「優等生アピール」にも見え、また自己満足にも思えるのです。
なので、夏子が好きな男子生徒・花坂薫平が自分を好きなことを知ると、わざと薫平と付き合い始めます。
夏子は薫平が好きなのに、それを隠してよかったと喜びました。

帰宅した夏子のカバンに、サチ子の数学のノートが紛れこんでいました。夏子はそれを届けに、サチ子の家に行きます。
その頃サチ子の家では、まだ母・稔子が帰宅していないにも関わらず、鉢植えの下の鍵を使って徳川が入りこんでいました。
そしてサチ子をレイプしようと、ガムテープで縛ろうとします。
その時に夏子が訪問しました。徳川は急いで逃げます。
(縛っている最中で見つかったので、レイプ未遂)
ちょうど母・稔子も帰宅しました。稔子はテーブルに残された煙草を見て、サチ子をレイプしようとした相手が自分の恋人・徳川だと知ります。

【結】- 害虫のあらすじ4

夏子は稔子に「おばさん。さっちゃん可哀想です。こんなこと、どうして、どうして。やっと学校に来るようになったのに。父さんはいなくて母さんは自殺未遂して、さっちゃんだってつらいんです。私たちまだ中1です。どうして、さっちゃんだけがこんなに可哀想なの? あたし、さっちゃんが…」と言いました。
稔子は泣き崩れますが、これはサチ子のことを思ってというよりも、恋人の裏切りに絶望して泣いたのだと思われます。
またサチ子は夏子が自分のことを「可哀想」と連呼していたことも、印象に残りました。そうやって夏子が自分を上から見ていたことも悟ります。
〝一度でも自殺をしようとした人からは、幸せが逃げてっちゃうって、本当ですか?
ママはもう二度と幸せになれないということですか?〟
〝サチ子はまだ13歳だから、同じ年頃のボーイフレンドとつきあうべきなのかもしれない。〟
緒方先生からのこの手紙も、サチ子を打ちのめしました。

学校でまた、「サチ子がまたレイプ未遂事件を起こした」という噂が流れます。前の人とは違うことも知られています(なぜその情報が流れたか…恐らく、夏子が流したものと思われる)。
夏子はまたサチ子が不登校に陥るのではないかと思っていましたが、3日後にサチ子は学校に来ました。
しかし学校に流れている噂と、ボーイフレンド・薫平の詰問に遭ったサチ子は嫌になり、その頃キュウゾウと会ったことがきっかけで、また学校をさぼるようになります。
科学の実験で勉強したことを、キュウゾウと一緒に試してみました。カエルを焼いてみたり、火遊びです。
〝黒こげで内臓が飛び散ったカエルをみたら、少しだけど気持ち悪くなりました。
こんなことをする私にはもうついてゆけないって、先生だったら笑うかな。〟
〝あらゆる悪徳こそが人間存在の本質であり、善とはただかろうじて悪ではない状態にすぎないのだと考えるならば、およそこの世で最も真実らしくないものを――〟
サチ子は知的障害のキュウゾウと一緒に、車からガソリンを盗みだし、瓶に詰め替えて布で蓋をして火炎瓶を作り、火をつけて夏子の家に放り投げました。
火遊びの延長の感覚だったのですが、8本ある瓶の5本まで投げたところで、サチ子は事の重大さに気づきますが、夏子の家は第炎上していました。
キュウゾウを残し、サチ子はトラックの運転手に乗せてもらいます。
その後もヒッチハイクを続け、サチ子は緒方先生のいる秋田原子力発電所に行きました。緒方先生に電話して、喫茶店で待ち合わせをします。
同僚に乗せてもらった車がエンストし、緒方先生は遅刻しそうだと喫茶店に電話を入れました。ところが喫茶店の電話は別れ話をする女性に使われており、話し中のままです。
緒方先生を待つサチ子に、見知らぬ男が声をかけました。男は「金稼げる仕事あるよ。君いくつ? 17歳くらい?」と言い、サチ子を連れ出します。
〝先生は、どうして自分を許すことができなかったの?〟
男の車に乗り込んだサチ子は、入れ違いで緒方先生が来たことに気づきますが、「どうしたの?」という男の問いに「なんでもない」と言うと、そのまま前を向きました。

みんなの感想

ライターの感想

不安定な年頃の少女を描いた作品。ひとことでいうと「サチ子は無防備」この一言に尽きる。
サチ子が悪いわけではないのだが、サチ子に関わった人たちが、悲しいかなどんどん駄目になっていってしまう。
このサチ子の無防備さが「害虫」。
そしてバッドエンドなので(どう転んだって、見知らぬ男についていったサチ子に待ち受ける運命は悪いものでしかない)、見終わった後、もれなく落ち込む。
じゃ、なにが悪かったのか、どうすればよかったのかと考えても、これは非常に難しい。答えが出ないに等しい。
ただ、無防備すぎるのが悪い。無邪気、無防備、無心…これらはいずれも、転びようによれば「悪」につながるのだということに気づかされる。
  • 匿名さんの感想

    美少女の小悪魔性と残酷さを独自解釈で描いた映画だと思います。
    無自覚ながら周囲を破滅させる少女、サチ子。
    そして作品の最大の被害者であり最大の加害者でもある夏子。
    夏子のやったことは純粋な善意によるものだったのでしょうが、
    サチ子の境遇を理解できていなかったことが失敗の原因でした。
    「日常」を象徴するキャラである夏子はサチ子の「非日常」を強調するキャラでもあったのだと思います。

    そしてラストは後味は悪いですが、逆にあの結末以外ありえないでしょう。
    周囲を破滅させる少女は最終的に自身をも破滅させるのです。

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