「彼らが本気で編むときは、」のネタバレあらすじ結末

彼らが本気で編むときは、の紹介:トランスジェンダーの女性が、恋人の育児放棄された姪と過ごした60日間をあたたかに綴る人間ドラマ。
『かもめ食堂』や『めがね』の荻上直子の5年ぶりの監督作。監督本人が“荻上直子・第二章″と公言するように、これまでの彼女の作品とは一風違うテイストの感動物語。2017年2月の公開作で、第67回ベルリン国際映画祭テディ審査員特別賞・監督賞を日本映画として初めて受賞し、文部科学省選定作品にも指定された。

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予告動画

彼らが本気で編むときは、の主な出演者

リンコ(生田斗真)、マキオ(桐谷健太)、トモ(柿原りんか)、ヒロミ(ミムラ)、ナオミ(小池栄子)、佑香(門脇麦)、ヨシオ(柏原収史)、カイ(込江海翔)、サユリ(りりィ)、フミコ(田中美佐子)

彼らが本気で編むときは、のネタバレあらすじ

【起】- 彼らが本気で編むときは、のあらすじ1

母・ヒロミと二人暮らしの小5の少女トモ。ヒロミはろくに家事をせずアパートは散らかしっぱなしで、トモはいつもコンビニのおにぎりを一人で食べる日々です。毎晩飲んでは深夜に帰って来るヒロミに甘えることが出来ないトモは、古びたタオルを握りしめ一人淋しく寝ては、髪も自分で結って登校するのです。

ある日トモが帰宅すると、テーブルの置手紙に肩を落とします。ヒロミが男を追って家を出て行ったのです。トモはヒロミの弟である叔父・マキオが勤める書店を訪ねました。彼の第一声は「また?」。ヒロミの家出は今までも度々あったのです。
マキオは家路の途中、以前トモが来た時と違い大切な人と同棲していること、またその恋人・リンコがトランスジェンダーであることを事前に打明けました。マキオは認知症の母・サユリを預けた施設で丁寧に介護するリンコの優しさと美しさに一目惚れしたのが出会いでした。

部屋で待っていたリンコを見たトモは抵抗を覚えます。初めてふれ合うトランスジェンダーの女性でした。以前よりお洒落になった部屋や、自分が残したゲームの記録が破られているのを見たトモはリンコの存在を実感します。
トモはリンコに馴染めませんが、彼女が腕をふるった唐揚げなどの食事に自然と顔が綻びます。それはトモが経験したことのない団らんの時間でした。リンコはトモが好きだという献立を滞在中に必ず作ると約束しました。

寝床の支度を手伝ったトモは、リンコの膨らんだ胸を凝視してしまいます。リンコは体の工事は済んだけど、戸籍は男だと屈託もなく話し、200CCずつ入れた胸に触ってみる?と笑って見せますが、トモは断りました。
翌朝学校を休んだトモが起きると、リンコはトモの朝食と弁当を用意して既に出勤していました。部屋を物色したトモは、筒のような用途の分からない毛糸の編み物を発見し、不思議に思います。

トモはお昼に公園でお弁当を開けると、生れて初めてのキャラ弁に感激し、勿体なくてしばらく食べることが出来ませんでした。その後荷物を取りに自宅に向かうと、近所に住む同級生・カイがトモを心配して待っていました。少女っぽいカイはホモだとクラスで揶揄されていて、学校では話しかけるなとトモから忠告されています。トモの母が帰って来ないのかとカイは案じますが、トモは真実を答えることができず、足早に去りました。
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【承】- 彼らが本気で編むときは、のあらすじ2

マキオの家に戻ったトモはお腹を下します。帰宅したリンコが弁当のせいだと謝りますが、トモは駄目になってると分かってもどうしても食べたかったのだとリンコを庇いました。そんなトモがかわいくて仕方なくて抱きしめようとしたリンコですが、避けられてしまいます。

翌日トモは学校の図書室で“体と性”という本を読んでいると、カイが話しかけてきます。彼は校庭でサッカーをする6年の男子を示し、彼が好きなのだとトモに知らせました。トモは思わず「キモい」と拒絶してしまいます。
帰宅したトモが一人ゲームしていると、仕事で遅くなるからとリンコに頼まれた彼女の母・フミコがやって来ます。フミコは息子ほど年の離れた夫・ヨシオと一緒でした。
開けっぴろげな性格のフミコは、リンコの昔話をしてくれました。リンコが幼い時から心は女性だとフミコは受入れていました。リンコが中2の時に「おっぱいが欲しい」と告白されたフミコはブラを買ってきて、中に入れるおっぱいを毛糸で編んだのです。そんなフミコはトモに、リンコを傷つけるようなことしたら承知しないと断言しました。

サユリの面会に行ったマキオとトモは、リンコの休憩まで外で待ちました。マキオはトモに問われてリンコとのなれ初めを紹介し、リンコが男性だと知った時は戸惑ったけど、リンコのような心の人に惚れちゃったら、あとの事はどうでもいいと誇らしげに話しました。
休憩に入ったリンコは、コンビニでおにぎりを買ってきます。無理して食べたトモは吐き出しました。本当はコンビニのおにぎりが嫌いだったのです。
その夜トモは、“この子はおにぎりさえあげてれば大丈夫”という過去のヒロミの言葉を思い出し、就寝中にうなされます。体を優しく摩ってもらいリンコに抱かれたトモは安らぎ、おっぱいを触ってみたいと本音を言いました。トモが本物よりちょっと硬いけど気持ちいいと言うと、二人は笑い合いました。

桜の季節。三人で花見に出かけ、リンコはトモが好きな料理をお弁当にし、穏やかな時間を過ごしました。トモは次第にリンコに心を開いていき、一方のリンコもトモに注意ができるような関係になっていました。トモは反抗してみせますが、毎日可愛く髪を結って貰えるのが嬉しく思っていました。

母・ナオミとカイがスーパーで買い物していると、リンコと一緒にいるトモを見かけます。ナオミはトモが一人になった隙に、変な人と一緒にいない方がいいと声をかけました。頭に来たトモは商品の食器洗剤をナオミにぶちまけ、警察沙汰になります。
トモは理由話しませんがリンコは原因が自分だと理解し、何を言われても飲込んで我慢し、通り過ぎない時は編み物でチャラにしていると諭します。更にリンコが作っていた謎の編み物は、男根を模したもので、供養するのだと教えてくれました。煩悩の数108個作ったら燃やして戸籍を女性にするのだと話すと、トモも編み方を習って煩悩作りを手伝い始めます。
その夜リンコは、ヒロミが帰って来なかったらマキオと結婚して、トモを養子にしたいと溢れる想いをマキオに告げます。全部受け止めますと答えたマキオは、リンコを抱きしめました。

【転】- 彼らが本気で編むときは、のあらすじ3

トモの噂はすぐに広がり、黒板に悪口を書かれます。学校を飛び出したトモが自宅の方へ向かうと、ヒロミを見かけます。トモは慌てて家に向かいますがヒロミはおらず、母の服を破って泣きました。夜遅くマキオの家へ戻ったトモはリンコに叱られると「ママでもないくせに」と言い放ち、押し入れに籠りました。

翌日リンコは職場でサユリから過去の話を聞かされます。長らく浮気し帰って来なくなった夫が頭に来て、サユリは悶々と編み物を続けたというのです。敏感なヒロミは母が編んだセーターは絶対に着ず、溜まった編み物は夫の棺に入れて燃やしたとサユリは語り、リンコはヒロミやマキオの複雑な境遇を知るのでした。

リンコが帰宅すると、トモが再び押し入れに隠れました。そんなトモにリンコは「暑いでしょ」とラムネと糸電話を襖の隙間から差し入れ、内緒話をしようと誘いました。リンコは襖越しに糸電話で、自分の昔の名前や頑張っても子供が産めないことを告白します。トモの番になり、昨日ママを見かけたと彼女が白状すると、リンコはそれ以上聞くことが出来ず、毛糸を買いに行くと言って家を出しました。
慌てたリンコは転んで頭を打ち、検査のため男性病棟に入院させられます。マキオは人権侵害だと看護師に激しく訴えますが、トモは何も言わずリンコのもとへ駆けつけました。リンコの鞄から毛糸を取り出し、無心で編み物をしたトモは「悔しい」と呟き涙を堪えると、リンコは偉いねと頭を撫でました。

リンコの同僚の挙式に三人で参列します。その帰りリンコは、供養を早く終わらせて女になると宣言すると、マキオも煩悩作りに加わりました。その夜リンコとマキオはフミコに結婚の報告をします。歯に衣着せぬフミコは、マキオの父母が元気だったら結婚は理解して貰えないのだから強運なのだとリンコに言い聞かせ、娘が一番かわいいと嬉しそうに微笑みました。

自然とトランスジェンダーを受入れていたトモは、カイを誘ってリンコと共に遊びました。二人を喫茶店に連れて行ったリンコは、自分の生まれ年の硬貨を持っていると幸運が訪れると教え、二人の生まれ年の平成16年を探します。残念ながら一枚しかなかった16年の硬貨はトモが奪います。その様子がナオミに目撃されていました。ナオミはトモと付き合ってはいけないと、カイにきつく注意していたのです。
その後カイは好きな子に手紙を書きますが、渡す前にナオミにばれて捨てられてしまいます。カイは現実に耐えられず、錠剤を大量に飲み自殺を図りました。幸い一命は取り留め入院したカイは、ナオミに〝罪深い″と言われたとトモに愚痴ります。トモは絶対にそんなことはないと言って、平成16年の硬貨をカイにあげました。

【結】- 彼らが本気で編むときは、のあらすじ4

虐待を疑った児童相談所の職員がマキオの部屋に調査に来ます。トモが好ましくない環境にいると通報があったと言うのです。職員はちょうど帰宅したリンコを見て、怪訝な顔をしました。職員はトモの体を確認しますが痣はないうえに、彼女がリンコに駆け寄る様子を見て、虐待はないと認め帰りました。

暖かくなってきた頃三人は海へ出掛け、煩悩を編みました。トモに乞われリンコは、性転換した後の男根は女性器を形成する際に再利用されるのだと教えました。トモは抵抗も無く聞き、「すげぇ」と感嘆します。そしていよいよ108個完成した煩悩を燃やし、三人は炎を静かに見つめました。

突然ヒロミが帰ってきて、悪びれる様子もなくトモを連れ帰ろうとします。マキオはリンコと二人でトモを育てたいと告白し、トモの母親になりたいとリンコも頭を下げました。しかしヒロミは無理と一蹴し、私の子だと譲りません。無責任にも程があるとマキオがヒロミを非難すると、母である前に女だとヒロミが主張します。その時普段は穏やかなリンコが許せないと語気を強めました。ヒロミは女でもないくせに、母にはなれないとリンコを侮辱すると、トモはヒロミを叩き、「リンコさんはいろいろとしてくれたのにママはやってくれない、なぜ早く迎えに来てくれないの」と泣いて訴えました。
立場が無くなり帰ろうとしたヒロミにトモが、ママと一緒にいると背中に抱きつきます。それをみたリンコは、自分の気持ちを堪えることしかできませんでした。マキオはヒロミに、トモはコンビニのおにぎりが嫌いだと告げ、トモの希望でその日はヒロミ一人で帰らせました。

三人で過ごす最後の夜。せいせいすると強がったリンコに、トモも対抗してみせるもののゴメンねと謝りました。トモはリンコの布団に入り、二人は泣き合います。寝たフリをしたマキオが背中で聞いていました。明け方、リンコは思い立って肌色の毛糸を編み出します。

翌日トモは一人で帰るといい、リンコは何も言わずトモの髪と服を整えて抱きしめ、プレゼントを渡しました。トモが居なくなり静かになった部屋に残された彼女のタオルを握りしめ、リンコが号泣するとマキオは強く抱きしめました。
トモが自宅へ着くとヒロミは留守でしたが、部屋が片付いていました。トモがプレゼントを開けると、リンコが編んだ毛糸の大きなおっぱいが二つ現れ、思わず手を当てました。

みんなの感想

ライターの感想

場面の展開が早かったのですが、人物描写がとても細かく丁寧なため、登場人物の気持ちが手に取るように伝わりました。
トランスジェンダーの方の苦しみや障壁がしっかり描かれていて、きれいごとではなく真に迫る作品だと思います。

糸電話のシーンを見て、“リンコのような心の人”と言ったマキオの言葉が身に沁みました。糸電話を用意したリンコの優しさには、破裂しそうなくらい胸が熱くなりました。リンコの美しい内面を育てたのは、理解ある母があってこそなのですね。

トモ役の柿原りんかちゃんが素晴らしかったです。トモのどこか達観しているような雰囲気の一方で時々見せる子供っぽさ、また憂いを帯びた視線も見事で、作品に欠かせない演技でした。

映画の幕は閉じても、リンコやトモの人生はこれからも続いていく。だからこそタイトルに読点で付いているのでは、と感じました。

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