「招かれざる客」のネタバレあらすじ結末

招かれざる客の紹介:1967年製作の人種差別問題を主題としたアメリカの人間ドラマ。黒人男性との結婚を望む娘を前に、白人の老夫婦が結婚の承諾の決断を迫られる。第40回アカデミー賞ではキャサリン・ヘップバーンが主演女優賞を獲得し、脚本賞も受賞した。

招かれざる客の主な出演者

マット・ドレイトン(スペンサー・トレイシー)、クリスティナ・ドレイトン(キャサリン・ヘプバーン)、ジョン・ウェイド・プレンティス(シドニー・ポワチエ)、ジョーイ・ドレイトン(キャサリン・ホートン)、マイク・ライアン(セシル・ケラウェイ)、プレンティス夫人(ビア・リチャーズ)

招かれざる客のネタバレあらすじ

【起】- 招かれざる客のあらすじ1

「ちょっぴり笑って ちょっぴり泣いて ほんの少し雲が流れる前に これが物語 すばらしい愛の物語」。
舞台は1960年代のアメリカ。1930年代のヒットポップ「The Glory of Love」の美しい旋律を背景に、晴天の空の下、ハワイからの飛行機がカリフォルニアに到着し、1組のカップルが空港からサンフランシスコに向かって行きます。そんな二人の様子を周囲は怪訝な表情で見つめていました。なぜなら、そのカップルが白人女性と黒人男性という組み合わせだったからです。

白人女性の名前はジョーイ・ドレイトンという若い娘で、黒人男性の名前はジョン・ウェイド・プレンティスといい、医学界で素晴らしい功績を挙げている人物です。ジョンは数年前に妻子を不幸な事故で亡くしていましたが、10日前にハワイで出会った年下のジョーイと情熱的な恋に落ち、結婚を真剣に考える仲にまで発展していました。ジョンは世界保健機関の仕事で近いうちにスイスに発つことになっており、片時もジョンと離れたくない思いからジョーイはすぐ結婚し、スイスで挙式したいと考えていました。今回二人がサンフランシスコにやって来たのは、ジョーイの両親に結婚の承諾を得るためでした。しかも、ジョンは今夜仕事でニューヨークに発つことになっており、それまでにジョーイは両親から承諾の回答を得ようとしていました。

あまりにも性急な話な上に、黒人との結婚に両親はショックを受けるはずだとジョンはジョーイを止めようとしますが、ジョーイは楽観的でした。ジョーイの父親は新聞社を経営しており、差別問題とずっと闘ってきたリベラルな思想の持ち主なのだから、きっと結婚に賛同するはず…これがジョーイの考えでしたが、いざジョーイの家に行くと、ジョンが予想した通りの結果になってしまいます。母のクリスも父のマットも黒人のジョンとの結婚を望む娘に言葉を失い、場は緊迫した空気感となっていました。さらに、長年ジョーイの家に仕える召使いの黒人女性ティリーはジョンにあからさまな不快感を示していました。ティリーの目には、高学歴の医者のジョンは思い上がった黒人にしか見えなかったのです。

【承】- 招かれざる客のあらすじ2

マットとクリスはジョンを客人として今夜の夕食に招くことにしますが、それまでにどんな結論を出すべきか考えあぐねていました。書斎で二人が悩んでいると、そこにジョンが一人現れました。ジョンは自分を肌の色で差別せず、同じ人間として見るジョーイの人間性に深く惹かれたといいます。そして、もし二人の承諾が得られなければ結婚を諦めるつもりであり、この決意はジョーイに秘密にしていることを二人に伝えました。自分と結婚することでジョーイと両親との間に深い溝ができてしまうことをジョンは恐れていたのです。両親の教育通り、ジョーイが人を差別しないまっすぐな女性になったことを喜ぶ一方で、ジョンの高潔な精神に心打たれるマットとクリス。娘の幸せを喜んであげたいと思いつつも、結局二人は結論を出せずにいました。

夕食までの間、マットはジョンと会話を重ねます。生い立ち、仕事のビジョン、二人の将来…会話を通してマットはますますジョンの人間性と優秀さに魅せられていきますが、二人の子どもが不幸になることを心配していました。ジョンは困難を乗り越える覚悟を持っていましたが、マットはそんなジョンに時代はそう速く変わらないと冷たく言い放つのでした。

その後、ジョーイのアイディアでジョンの両親も夕食に招くことが決まります。ジョンは両親に結婚を考えている女性がいることを伝えてはいましたが、その相手が白人であることは伝えておらず、どう両親に説明し承諾を得るか頭を悩ませることになってしまいました。

それと同じ頃、マットの親友のライアン司教が家にやって来ました。ライアン司教は大勢の異人種カップルを知っており、高潔な人物であるジョンと天真爛漫なジョーイとの結婚に賛成し、ひたむきな愛は報われるべきと二人に伝えます。二人の唯一の味方として、ライアン司教もまた夕食に招かれることになるのでした。

【転】- 招かれざる客のあらすじ3

マットとクリスは夕食までの時間を利用して、頭を整理するためにドライブに出かけました。マットはアイスクリーム屋のドライブインに立ち寄り、お気に入りの味のアイスを注文します。ところが、一口食べて味が変わってしまうことに落胆するマット。しかし、食べ進めるにつれて「悪くない」と上機嫌になっていきました。そんなマットに、クリスはかつて自分が抱いていた喜びを思い出していることを伝えます。夫を支える喜びに浸る我が娘の姿を見て、新聞社を立ち上げたばかりのマットを支えた自分自身の姿を重ね合わせていたのです。その言葉に心揺れるマットでしたが、ドライブインを出ようとしたとき不注意で後方にいた車にぶつかってしまい、車に乗っていた黒人の若者にマットは容赦なくまくしたてられてしまいます。この一件で、マットは一気に不機嫌になり、二人の結婚を承諾しないと決めてしまいました。クリスは怒りをむき出しにするマットに、自分は娘の味方になると宣言するのでした。

それから間もなく、ライアン司教が一足早く夕食に現れました。クリスはライアン司教を歓迎しますが、娘の結婚をめぐる夫との対立に悲しみ泣き出してしまいます。クリスの苦しみを察したライアン司教はマットの説得を試みます。これまでの価値観が今日一日で転覆したことに怒りを覚えているだけだと、ライアン司教はマットの急所を突いてきました。この言葉にさらに感情的になったマットは、ライアン司教に父親の気持ちは君にわからないと心無い言葉を浴びせるのでした。

一方、その頃ジョーイはこのまま家に残るのではなく、今夜ジョンとともにニューヨークに発とうと考えていました。そして、ジョンの両親を迎えに空港に行くと、ジョンが予想した通り、両親はジョーイを見て言葉を失っていました。そんな両親に、ジョンはあと4時間で承諾するかどうかを決めるよう伝えるのでした。

【結】- 招かれざる客のあらすじ4

いよいよドレイトン家に客人が全員揃いました。夕食を始める前に、二人の結婚について両家の両親が議論を始め、やがて話は父親同士、母親同士で交わされるようになりました。父親たちは性急すぎると反対し、母親たちは賛成の気持ちがあるものの、夫が反対していることに困り果てていました。

ジョンはテラスで自分の母親と二人きりになると、妻子を失ってからの8年間がいかにつらかったかを語り、ジョーイのおかげで生き返ったことを伝えました。すると、父親が呼んでいるとマットがジョンを呼びにテラスにやって来ました。ジョンが去り、二人きりになるマットとジョンの母親。ジョンの母親は二人の結婚に対するマットの考えを悟り、自分の夫とマットにある共通点があることを涙ながらに語り始めました。それは、若かったときの愛の情熱を忘れていることだといいます。ジョンの母親がその場を後にすると、マットはしばらく考え込み、こうつぶやきました。「私は最低だ」。

同じ頃、ジョンは父親から激しく罵倒されていました。すべてを学費につぎこんだのに、道を踏み外したというのが父親の主張でしたが、ジョンはそれに感情を露にして反論します。父親は養育の義務を果たしただけであり、自分は親の所有物ではない…合理的なこの反論に父親は黙り込んでしまいます。そして、ジョンは再び穏やかな表情を浮かべ、父親にこう告げました。「父さんは自分を黒人と考え、僕は自分を一個の人間と考えている。さあ、僕は決心しなきゃ」。

ジョン父子のやりとりが一段落すると、マットがリビングに客人全員と召使のティリーを呼び出しました。マットは各々とのやり取りを振り返り終えると、先ほどのジョンの母の言葉を取り上げ、若い頃の情熱を忘れていないと反論しました。「ジョンが娘に抱く情熱は、そっくりそのまま私が妻に抱いたものだ」。マットのこの言葉に涙ぐむクリス。マットはそんなクリスと目を合わせ、穏やかな笑顔を浮かべました。そして、改めて二人の結婚に議論を移し、マットはクリスとジョンの母親とともにジョンの父親を説得することを皆の前で約束し、困難があっても挫けるなと二人に励ましの言葉を贈りました。そして、短い言葉で話を締めくくりました。「何よりも悪いことは、君たち二人が互いをよく知り理解しあい互いの気持ちを知りながら、結婚しないことだ」。そして、ティリーに「食事はまだか?」とマットは尋ね、一同は食卓に移動し始めました。マットはジョンの父親と談笑しながら、食卓の席につくのでした。

「ちょっぴり笑って ちょっぴり泣いて ほんの少し雲が流れる前に これが物語 すばらしい愛の物語」。
物語冒頭で流れた「The Glory of Love」が再び流れ、ダレイトン家と客人たちが食卓で笑顔を浮かべる場面を映しながら物語の幕は閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

本作が公開された1967年はラヴィング対ヴァージニア州裁判で異人種間結婚を禁じる法律が無効にされた年ですが、本作はそうした変化するアメリカ社会に真正面から切り込んだ作品です。娘の幸せを願うキャサリン・ヘップバーンの演技は情感豊かで、対する夫役のスペンサー・トレイシーのラストの演説も圧巻です。その他のキャストの演技もすばらしく、特に高潔な黒人医師を演じたシドニー・ポワチエの時折見せる感情を爆発させる演技も印象的です。重々しいテーマでありながら、どこか笑いを誘う場面もあり、鑑賞後はとても心地よい気分になりました。

映画の感想を投稿する

映画「招かれざる客」の商品はこちら