「東京家族」のネタバレあらすじ結末

東京家族の紹介:2013年公開の日本映画。小津安二郎・監督の不朽の名作『東京物語』をモチーフにして、山田洋次監督が現代の家族像を描くヒューマン・ドラマ。子供たちに会うために東京へやってきた老夫婦の姿を通し、家族の絆を映し出す。老夫婦に橋爪功と吉行和子、長男を西村雅彦、次男を妻夫木聡が演じるなど、新旧実力派たちが多数顔をあわせた。

東京家族の主な出演者

平山周吉(橋爪功)、平山とみこ(吉行和子)、平山幸一(西村雅彦)、平山文子(夏川結衣)、金井滋子(中嶋朋子)、金井庫造(林家正蔵)、平山昌次(妻夫木聡)、間宮紀子(蒼井優)、沼田三平(小林稔侍)、かよ(風吹ジュン)、服部京子(茅島成美)、平山実(柴田龍一郎)、平山勇(丸山歩夢)、ユキ(荒川ちか)

東京家族のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①瀬戸内海に浮かぶ小島から、息子たちを頼って両親が上京する。息子たちの家を回る両親だが、子どもたちは生活に追われて多忙で、なかなか相手ができない。 ②行く末が心配な次男・昌次宅を訪れたとみこは、昌次に可愛くてしっかり者の恋人・紀子がいることを知って嬉しくなる。 ③長男・幸一宅で倒れたとみこは、そのまま亡くなる。昌次は紀子を皆に紹介し、父・周吉につきそって島に滞在した。帰る日、周吉は紀子に丁寧に礼を述べた。

【起】- 東京家族のあらすじ1

2012年5月…。
瀬戸内海の小さな島・広島県大崎上島に住む平山周吉と妻・とみこが、フェリーと新幹線を乗り継いで、はるばる東京までやって来ました。周吉ととみこの子どもは3人とも、現在は東京で暮らしています。
周吉のよき相談役であった同僚・服部が一昨年に亡くなったのですが、その当時周吉は腰を痛めており、通夜にも葬儀にも行けずじまいでした。遅ればせながら、服部宅にせめて線香をあげにいきたいというのが周吉の上京の理由ですが、もちろん子どもたちに久しぶりに会いたいのも理由です。
最初、周吉ととみこは長男・幸一宅に滞在する予定です。幸一は大学の医学部を出た後も東京に留まり、現在は東京の西の郊外・多摩中央つくし野で開業医をしています。
幸一には妻・文子と、塾通いで忙しい中学生の長男・実(みのる)と、あどけない9歳の次男・勇(いさむ)がいました。
先に説明しておくと、周吉らの長女は滋子といい、滋子は都内の商店街で美容室『ウララ』を開いています。夫・庫造は工務店か何かに勤務しており、いつもつなぎの作業着で出勤していきます。
そして周吉の次男の昌次は、舞台美術の仕事をする独身男性です。紀子という結婚を考えている恋人がいますが、両親にはまだ言っていませんでした。
周吉夫婦が上京した日、幸一宅に3人のきょうだいが集まってすきやきを囲む予定でした。
幸一が愛車・フィアットのチンクエチェントというボロい車を出して迎えに行きますが、両親の姿は見当たりません。
というのも、周吉たちが着いたのは品川駅ですが、昌次が迎えに行ったのは東京駅だったからです。
待ちきれない周吉はとみことタクシーに乗って、幸一の家である平山医院に行きました。
幸一の家には幸一一家の他に、すでに滋子も集まっています。孫たちがあいさつをした後、実は弁当を持って塾に行きました。「最近の都会の子は塾に弁当を持っていくのか」と、とみこはあきれぎみです。
実が出て行くのと入れ替わりに、昌次が到着しました。周吉、とみこ、幸一、文子、滋子、昌次、勇ですきやきを囲んだ席では、富岡運輸の健ちゃんの話や、お高(こう)さんの話になります。70歳を超えた周吉の周辺では、このところ他界する人が増えていました。
今回、周吉ととみこが上京するにあたり、愛犬・ゴロー(日本犬)は隣の家の高校生・ユキちゃんが預かってくれました。夕食の後、とみこはユキちゃんに電話してゴローの様子を聞きます。
幸一宅に身を寄せた周吉夫婦は、休みの日に東京見物に行くことにしました。
お台場からレインボーブリッジを回って、横浜の港の変貌を見た後、昼は横浜の中華街に行く…と決めていたのですが、休みの日にもかかわらず吉沢家の息子の熱が下がらず、幸一は往診に出かけました。お出かけはなしになりました。
長男・実は塾に行って留守で、お出かけを楽しみにしていた次男・勇は「いっつもだ」と拗ねます。幸一はよき開業医で、休みの日でもなるべく家を空けないようにしているらしく、お出かけが反故になるのは毎度のことでした。
拗ねて2階から物を落として八つ当たりする勇を、とみこは近所の公園に連れていきます。

【承】- 東京家族のあらすじ2

続いて周吉ととみこは、長女・滋子宅に行きました。滋子宅は軒の連なる商店街の一角にある、美容室の2階を居室としています。
不運なことに、滋子宅に行くと雨が続きました。雨の中を出かけるわけにもいかず、周吉ととみこは終日、2階でぼうっとするだけです。
見かねた滋子の夫・庫造は周吉を駅前の温泉に連れ出しますが、美容院を経営する滋子は両親を東京見物に連れて行けず、弟・昌次に声をかけました。
次の休みの日、昌次は両親をハトバスに乗せ、東京見物をします。周吉ととみこは秋葉原や東京スカイツリーを興味深く眺めますが、昌次は疲れてバスの中で居眠りをしました。
昼食は帝釈天の参道にあるうなぎ屋に行きます。そこで周吉に仕事の内容を聞かれた昌次は「舞台美術」と答えました。歌舞伎にかぎらず舞台演劇のカキワリ(舞台のセット)の絵を描く仕事です。
「その仕事で将来の見通しがあるのか」と問われた昌次は、ついムキになって「この国だって先のことは分からないじゃないか」と答えました。
現役時代に学校の教師をしていた周吉は、滋子には甘かったのですが昌次には厳しく、昌次も父である周吉のことが苦手でした。いつしかふたりの間には溝ができ、それを取りなすのはとみこの役目です。
確かに昌次は舞台美術の仕事だけでは食べていけず、歌舞伎の舞台の転換(舞台セットの配置を変える)の力仕事などもして、生活していました。しかし正面切って父親に説教されると、なんだか反発したくなるのです。
昌次が両親を連れて東京見物をしている頃、滋子は兄・幸一と相談して、横浜のホテルに両親を宿泊させる案を出しました。美容室の客に横浜のホテルの支配人の奥さん・堀川がおり、そのホテルに泊まってもらおうというのです。
「うちにいたって面白くないだろう。綺麗なホテルでゆっくりしてもらいたい」という親孝行の気持ちもありますが、滋子には「厄介払いしたい」という気持ちも働いています。というのも、近々商店街の会合がたまたま滋子宅の当番で、その日に両親にいてもらうと手狭で困るからでした。
兄・幸一と滋子は金を出し合って、横浜のホテルに両親を泊めます。2泊3日の予約を取り、もし両親が気に入れば延泊も考えていました。
しかし…せっかくゴージャスなホテルに泊まっても、周吉ととみこはすることがありません。高級なホテルなので部屋着のまま食事には行けず、だから着替えることもできず、部屋に通されても周吉はスーツ、とみこは和服のまま、ただ座って目の前に広がる観覧車と横浜の港の景色を眺めるだけでした。
「鯛のポワレ」とか言われてもグリルとしか考えられず、周吉はフォークの扱いに困っています。
食事の後はまたすることもなくぼーっと夜景を見ているだけでした。その夜景を見ながら周吉は、結婚前のデートで広島の東洋座で見た映画『第三の男』のことを思い出します。
夜中は廊下で中国人が騒ぎ立て、ベッドが立派すぎて寝られません。
翌朝、横浜公園で海を見ながら愛犬・ゴローのことを話した周吉は、そろそろ本題である服部宅への訪問を考え始めました。

【転】- 東京家族のあらすじ3

立ちあがって移動する時、とみこが歩こうとしてよろけます。心配する周吉ですが「大丈夫」ととみこは言いました。
周吉ととみこは1泊しただけで滋子宅に戻りますが、困ったのは滋子でした。つい言葉尻も乱暴になり、商店街の飲み会があることと「この家にいられると困る」と言い放ちます。
昔は優しい子だったのに…と思いながら、周吉ととみこは別行動を取ることにしました。周吉は服部宅に線香をあげにいった後、今は関東で息子の家に身を寄せている沼田宅に泊めてもらうことにし、とみこは次男・昌次の家に行くことにします。
2人は滋子に何も言わず、ひっそりと家を出て別行動を取りました。
周吉は予定通り服部宅を訪問し、沼田と共に未亡人・京子に会います。線香をあげてお悔みを言った後、ふと見ると仏壇には最近加わったばかりの女性の写真と位牌がありました。
聞くと、京子の母の位牌でしたが、亡くなったのが「去年の3月11日」と言われて、周吉は、はたと気づきます。京子の母は東日本大震災で亡くなったのでした。
「父は出征の途中で船が沈んで他界したが、骨が戻ってこなかったので、生存を信じた母が墓をたてなかった。その母も津波で海に沈み、今では海の底で再会しているだろう」という京子の言葉に、周吉は改めて仏壇に手を合わせます。
その後、沼田と飲みに行った周吉は、本来は酒を控えているのですが「お前と飲むのはこれが最後かもしれんのやぞ」と連呼され、お猪口を重ねました。
沼田は妻亡き後、息子のところに身を寄せていますが、息子は嫁に頭が上がらない状態だとぼやき「だから申し訳ないが、泊められない」と言いました。
『居酒屋 かよ』に通っているのは、おかみのかよが亡くなった妻に似ているからだと沼田は言います。本当は息子・幸一に地元で開業してほしかったと洩らした周吉は「娘も下の息子も東京へ行き、地元は廃れるばかりだ」と嘆きます。気づくと周吉はすっかり酔っ払っており、酔いつぶれた周吉と沼田は店で寝てしまいました。
その後、滋子宅に送られた周吉は、深夜に美容室で盛大にワゴンを倒した後、店にゲロをぶちまける醜態を演じたそうです。朝一番で周吉は、幸一宅に連れていかれました。
とみこはというと、昌次に連絡を取り、昌次の住むアパート「コーポ・エスポワール」に行きました。昌次は「これがチャンス」と思い、恋人・紀子に家に来るよう言います。先に母・とみこと会わせたかったのです。
心配する紀子に「大丈夫、君は年寄りに好かれるタイプだから」と昌次は声をかけます。
昌次の家でご飯を作ったとみこは、昌次がご飯を食べるのを嬉しそうに眺めました。結構家が片付いていて驚いた、という母・とみこの言葉をきっかけに、恋人のことを話そうとし始めた矢先、紀子が先に到着します。
まだ言えてない…とぼやく昌次は、気を取り直して紀子のことを「2駅先の本屋で働く女性、九州出身」などとプロフィールを紹介しました。
とみこは紀子を見た瞬間から一切を理解します。紀子は器量がよいだけではなく気立てもよく、よい印象を抱いたとみこは、夜遅くまで紀子と昌次と3人で楽しい時間を過ごしました。
さらに深夜、とみこは昌次に紀子との出会いを聞き出します。震災のボランティアで福島の南相馬に行った時に出会ったという昌次は、3回目のデートの後にプロポーズをし、紀子はそれに対して指切りで約束してくれたそうです。
幸福そうに紀子との出会いを話す昌次の姿を見て、とみこは安堵しました。うまく父に話してくれと言う昌次に「そういうのは自分の口で話せ」ととみこは諭します。

【結】- 東京家族のあらすじ4

翌朝、昌次が家を出た後に、出勤前の紀子が顔を出しました。昌次が物入りになった時用に用意しておいた金をとみこは紀子に渡し、内緒にしておくようとみこと紀子は約束の指切りをします。
その後、幸一宅へ行って二日酔いの周吉と会ったとみこは、上機嫌なまま2階へ向かう途中の踊り場で倒れ、意識不明で救急搬送されます。
西多摩総合病院で検査したとみこの結果は悪く、翌朝までもちそうにありませんでした。文子は滋子や昌次に連絡を取り、昌次は紀子に「母親が倒れて入院したから会えない」とメールし、心配な紀子も駆け付けます。
仕事終わりに駆け付けた昌次は紀子を連れて、病室に入ります。紀子の存在を知らず戸惑う面々に、昌次は前日の出来事を話して聞かせました。
翌未明の午前4時半、とみこは息を引き取ります。
突然のことに放心状態の周吉を置いて、周囲は慌ただしく葬儀のことなどを相談しました。とみこの火葬だけ済ませて、葬儀は後日島で行なうことにします。
フェリーで島へ帰る周吉に付き添ったのは、次男・昌次とその恋人・紀子でした。桟橋に迎えに来た周吉の顔見知りは、皆とみこの死を嘆きます。
その後、島で葬儀が行なわれ、きょうだいも島へ来て揃いました。抜け殻状態の周吉は、ふと横浜公園でとみこがよろけた話をして「あの時に(幸一に)言っておけばよかった」と悔やみますが、幸一はそれが原因ではないと思うと返します。
精進落としの席で早くも滋子が形見分けの話を始め、昌次が怒る一幕もありました。
幸一が東京で同居しないかと、周吉に持ちかけます。かねてから考えていたようで、文子も増築の話だけは聞かされていました。
しかし周吉は「東京には二度と行かん」「子どもたちの世話にはならん」と言い放ちます。
葬儀が終わると幸一と滋子の家族はそそくさと帰り、残ったのは昌次と紀子でした。しかし2人もいつまでも島にいるわけにいかず、数日後、昼のフェリーで帰ることにします。
東京へ帰ることを告げた紀子を呼び止め、周吉は「嫌な顔ひとつせず、いてくれてありがとう」と述べました。初対面がとみこの臨終の場で、以後ずっと周吉は放心状態だったので、紀子とまともに話をしていませんでした。
周吉は、昌次宅から戻ってきたとみこが上機嫌で、上機嫌の理由を言う前に倒れたことを告げ、とみこが30年間使っていた時計を紀子に握らせます。
そして昌次のことを「今までは女々しくて頼りない息子だと思っていたが、母親似の優しい子で、その優しさが何よりの値打ちだと気づいた」と言い、どうかあの子をよろしくと、畳に手をついて紀子に頭を下げました。紀子は思いがけない周吉の思いやりに触れ、涙します。
帰りのフェリーで、紀子は昌次に形見をもらったと告げました。もちろん、周吉と話した内容も伝えますが、昌次は照れくささもあって「へえ、あの親父がね」とだけ言います。
後日、ひとり暮らしになった周吉の元に、隣の高校生・ユキが来ます。ゴローの散歩を買って出て、困ったことがあれば言ってくれとユキは告げました。
「みんないなくなって淋しいですね」と言うユキに「東京の者は忙しいけぇの」と、周吉は答えます。遠くでは、瀬戸内の海がきらきらと光っていました。
(エンド後)〝この作品を小津安二郎監督に捧げる〟の文字

みんなの感想

ライターの感想

なんにも予備知識がない状態で見て「今回は山田洋次作品というより、小津安二郎みたいな作品だなあ」と思ったら、なんとリメイク! なるほど。
キャストは皆そうそうたるメンバーなので、非常に安定したナチュラルな演技。
上映時間は146分(約2時間半)と長いめで、話の展開もスローモーなのだが、展開よりも「見せる」ことに主眼を置いているのが判る。
東日本大震災のことをさりげなく話題に盛り込んだり、日本の未来がどうなっているのか判らないというメッセージを入れたりしている。
リアリティがあるんだな、脚本に。母親の死は悲しいけれど、悲しんでばかりもいられなくて、それよりも形見分けのことが気になる長女・滋子…ああ、こんな人、いそう、と思ってしまった。
じっくり、ていねいに描いている作品なので、ぜひじっくり、ていねいに見てほしい。

映画の感想を投稿する

映画「東京家族」の商品はこちら