「湯を沸かすほどの熱い愛」のネタバレあらすじ結末

湯を沸かすほどの熱い愛の紹介:余命2カ月という母の奮闘や家族との固い絆を描いた感動作。母の決意、そして想像もしなかった究極の葬り(おくり)方とは…。
2016年10月公開の中野量太監督の商業映画デビュー作。第40回日本アカデミー賞では5部門にノミネートされ、主演女優賞と助演女優賞をW受賞した。公開から半年ほど経過したが現在も上映中。

予告動画

湯を沸かすほどの熱い愛の主な出演者

幸野双葉(宮沢りえ)、幸野安澄(杉咲花)、片瀬鮎子(伊藤蒼)、酒巻君江(篠原ゆき子)、向井拓海(松坂桃李)、滝本(駿河太郎)、幸野一浩(オダギリジョー)

湯を沸かすほどの熱い愛のネタバレあらすじ

【起】- 湯を沸かすほどの熱い愛のあらすじ1

『幸の湯』という銭湯を営む幸野家は、1年前に父・一浩がパチンコに行くと言ったまま蒸発し店は休業状態で、母・双葉はパートで家計を支えていました。はつらつとパワフルな双葉に対し内気な高校生の娘・安澄は学校で一部の女子生徒からいじめを受けています。ある日安澄は全身に絵の具を塗りつけられ、双葉が学校へ呼び出されました。気弱ゆえに自分でやったと言い張る安澄に双葉は「母ちゃんはその中の赤が好き」と強気に笑ってみせます。双葉は明日も学校へ行こうと安澄に言って、制服をきれいに洗濯しました。

翌日双葉は勤務中に倒れ、病院で精密検査を受けます。後日の検査結果で双葉は、すい臓の末期がんにより既に肺や肝臓、脳にまで転移していると宣告されました。余命はわずか2,3か月です。落胆した双葉は幸の湯の浴場で夜まで泣いていましたが、電話を掛けて来た安澄の声を聞き奮起します。病気のことは安澄には告げず、双葉は死ぬまでにやり遂げなければいけないことを遂行すると決意しました。

幸野家には毎年4月25日に、沼津の酒巻君江という女性から高足ガニが送られてきます。お礼の手紙を書く役はいつも安澄で、子供が書いた方が喜ぶからだという双葉に安澄は「もう子供じゃない」と答えました。双葉はそんな安澄に新しいブラとショーツをプレゼントします。大事な時に必要だからと、今後の安澄を思い用意したのでした。

双葉は探偵・滝本に一浩の調査依頼し、居場所が判明します。妻を亡くしたという滝本には幼い娘がおり、その子は母のような双葉にとても懐きました。双葉は滝本にもう1つの案件を依頼します。
双葉は一浩が住む隣町のアパートを訪ね、自分の余命を告げます。一浩は昔の浮気相手に数年ぶりに再会し、あの時の子供がいるから一緒に暮らして欲しいと乞われたものの、女性は子供を置いて家を出て行ったのでした。
安澄が帰宅すると食卓にしゃぶしゃぶが登場します。幸野家では誰かの誕生日はしゃぶしゃぶでお祝いと決まっているので安澄が不思議に思っていると、鮎子という9歳の少女を連れた一浩が家に戻ってきました。呑気な一浩は鮎子を「妹」と安澄に紹介しますが、この1年間の双葉の苦労を知っている彼女は簡単に父を受け入れることが出来ませんでした。

【承】- 湯を沸かすほどの熱い愛のあらすじ2

双葉は幸の湯を再開させる決意をします。 “働かぬ者食うべからず”と双葉は子供たちにも銭湯の仕事をするよう指令を出しました。準備も整い営業を再開すると、幸の湯は待ちわびていた常連客で賑わいました。
しかし双葉は手が震える症状も現れ、病院で点滴してもらいます。一浩は改めて医者に相談しますが、もう手の施しようがないと告げられるだけでした。自分のせいだと責任を感じた一浩は双葉に大きな病院への転院を勧めますが、双葉は少しの延命のために自分の生きる意味を失うのは嫌だと拒みます。私にはやならなければいけないことがあるのだと…。

体育の授業後に安澄の制服が盗まれる事件が起きます。新たに買おうという一浩に対し、双葉は絶対に駄目と反対しました。翌朝安澄が学校を休もうとするので、今日諦めたら二度と行けなくなると双葉に叩き起こされ、2人は揉み合いになります。安澄は「立ち向かう勇気なんてない、お母ちゃんとは全然違う」と泣き崩れました。
母の想いが伝わり、安澄はお昼近くになって体操着のまま登校します。ホームルームで制服の話題になると、安澄は同級生の前で体操着を脱ぎました。双葉が買ってくれた下着姿になり「制服返して下さい」と震えながら訴えます。安澄は緊張のあまり行きがけに双葉が飲ませてくれた牛乳を吐き出したため保健室で休んでいると、彼女の行動に怯んだ生徒が制服を投げ入れました。
心配でずっと家の前で待っていた双葉は、制服姿で帰って来た安澄を抱きしめます。その姿を鮎子が羨ましそうに眺めていました。

双葉は鮎子が番台からお金を盗むのを目撃します。不安に思った双葉は鮎子の荷物を確認すると、“来年の誕生日までに迎えに行く”と書かれた鮎子の母が出て行った時の手紙を見つけました。鮎子は夜になっても帰らず、今日が鮎子の誕生日だと気付いた双葉は安澄と共に鮎子が住んでいたアパートへ向かいます。到着すると鮎子は部屋の前でうずくまっていて、双葉が体を抱えた瞬間失禁しました。双葉は優しく鮎子を抱っこして家へ帰りました。
翌朝。昨日お祝い出来なかったしゃぶしゃぶが食卓に並ぶと、鮎子は「この家にいたいです。でもまだママのこと好きでもいいですか?」と泣きながらお願いします。双葉も安澄も温かく彼女を受け入れました。

【転】- 湯を沸かすほどの熱い愛のあらすじ3

双葉の力になりたいけど何もできずうずうずとする一浩は思い切って、何かできることがあったら言ってほしいと双葉に尋ねます。新婚旅行で行くはずだったエジプトに行きたいと双葉は冗談を言ってみますが、一浩には到底できません。今までも口だけの一浩を死んだら全部許すと双葉は笑って見せました。

双葉は安澄と鮎子を連れて沼津への旅行を計画します。子供たちは大喜びですが、双葉には大きな目的がありました。
双葉が好きな赤い車を借り、休みながら進みました。途中サービスエリアに寄ると、ヒッチハイカーの拓海という青年に乗せてほしいとせがまれます。彼は北海道から車を乗り継ぎ、赤い車が好きだと話すので乗せることにしました。
子供たちがうたた寝したころ、拓海の話が全部ウソだと見抜いていた双葉は、最低な人を乗せたと彼を責めました。図星を突かれた拓海は、現在の母は3人目で産みの親の顔を知らないことや、目的を決めたらそこへ向かわなければいけなくなるため、旅の目標もないと本音を零します。次のサービスエリアに着くと拓海はここで降りると言い出すので、双葉は彼を思い切り抱きしめてやりました。日本の最北端を目指すのがあなたの目標だと言った双葉に、彼女の愛を感じた拓海は目標が達成できたら報告に行くと約束します。
その夜箱根の宿に泊まりますが、双葉は体調が悪化し吐血します。具合の悪そうな母を安澄は心配しました。

次の昼、沼津の食堂で高足ガニを食べ、双葉は子供たちを外に行かせ独りで会計をすると、耳の不自由な女性店員の頬を突然叩きました。車に戻った双葉は先ほどの店員が君江で、彼女が安澄の産みの母であることを告げます。君江は15年前の4月25日に安澄を置いて幸野家を出たのでした。双葉は君江に挨拶させるために抵抗する安澄を一旦置いて、出掛けていきました。残された安澄に駆け寄った君江は、自分の娘だと気付きます。君江は手話が出来る安澄に驚きますが、それはいつか役に立つと双葉が安澄に勉強させたのでした。
迎えに来た双葉は疲れ果てて倒れ、病院へ運ばれます。子供たちは母の病気を知り、駆け付けた一浩に泣きつきました。

【結】- 湯を沸かすほどの熱い愛のあらすじ4

双葉は緩和ケアの病院へ入院し、自分を捨てた母が迎えに来る夢を見るようになります。だから母はもう亡くなっていて、自分が死ぬ時は独りじゃないと思い始めていました。
ところが母が見つかったと滝本から報告を受けます。双葉は母の調査を依頼していたのでした。その後結婚した母は娘や孫と暮らしていると聞き、彼女に会いたくなった双葉は無理を言って離れた母の家まで滝本に連れて行ってもらいます。滝本がまず母に事情を説明しに行きましたが、そんな娘はいないと否定されてしまいます。受け止めた双葉はそれでも一目だけでも母を見たいと言って、家の外から母を見つめますが、幸せそうな姿に虚しさを覚え玄関にあった置き物を投げてガラスを割りました。

あれから安澄は君江と連絡を取り続け、君江は今日から3日間幸野家に滞在することになりました。同じ日、目標を達成した拓海が報告にやって来ます。双葉の現状を知った拓海は“凄い人だ”と感嘆しました。夜になり拓海や君江も食卓に集まると、一浩はみんなに頼みごとがあると必死に頭を下げました。
安澄からメールが届き双葉が病室の窓を開けると、そこには一浩と拓海、駆り出された滝本が土台になった人間ピラミッドが出来ていました。拓海は幸の湯で住込みで働くことを双葉に報告し、一浩は「俺がこうやって支えるから安心して」と叫びます。涙の止まらない双葉は、生きたいと呟きました。

二カ月後。幸野家は新しい生活に慣れ始めますが、双葉は会話もできない状態になっていました。そんな双葉に安澄は「お母ちゃんを独りぼっちにしない。ありがとう、もう大丈夫だよ」と声をかけます。その言葉を受けたように、その後双葉は息を引き取りました。
双葉の要望で幸の湯の富士山をバックに祭壇が作られました。依頼された滝本が霊柩車を運転しますが、出棺後に火葬場には向かいませんでした。あの人のためなら何でもしてあげたい。その何倍もしてもらっていると思えるからだと語る滝本は、無茶な依頼も受け入れたのでした。
双葉は幸の湯の釜で焼かれました。彼女が沸かした湯に家族たちが浸かり、そのあたたかさを噛みしめます。煙突からは双葉が好きな赤い色の煙が昇りました。

みんなの感想

ライターの感想

愛とは目に見えなくとも伝わるものなのだと実感しました。次から次と出てくる課題に真正面からぶつかっていく双葉の姿から、フィクションながら勇気をもらいました。もしも双葉に出会えるなら、わたしもぎゅっと抱きしめられたい(涙)
劇中に情報がたくさんあり、一見多すぎるようにも感じるのですが、どのシーンにも大切な意味があるうえに、繋がりが巧妙でした。
中野監督の作品は悲しさの中に前向きさと明るさが詰まっていて、監督自身が明るいお方なのではないかと想像してしまいます。鑑賞後は心がぽかぽかとしました。
中野監督の作品が自分のドツボにハマるということもありますが、こんなに泣いた映画は初めてかもしれません。

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