「麦秋」のネタバレあらすじ結末

麦秋の紹介:1951年製作の小津安二郎監督による家族ドラマ。北鎌倉に住む三世代家族の姿から、戦後の日本人のあり方を温かなタッチで描いていく。原節子が「紀子」という役を演じた小津監督「紀子三部作」の二本目にあたる作品であり、本作で原は28歳独身の家族思いの女性を好演した。第6回文化庁芸術祭賞受賞作品。

予告動画

麦秋の主な出演者

間宮紀子(原節子)、間宮康一(笠智衆)、田村アヤ(淡島千景)、間宮史子(三宅邦子)、間宮周吉(菅井一郎)、間宮志げ(東山千栄子)、矢部たみ(杉村春子)、矢部謙吉(二本柳寛)

麦秋のネタバレあらすじ

【起】- 麦秋のあらすじ1

舞台は終戦後の復興が進む日本。美しい浜辺、緑豊かな自然に囲まれた北鎌倉の地で、間宮紀子は両親の周吉と志げ、兄夫婦の康一と史子とその子供二人と暮らしていました。紀子は都内で秘書として働く充実した日々を過ごしており、周囲の心配をよそに28歳でまだ独身であることを気にしていませんでした。そんなある日、大和に暮らす父・周吉の兄・茂吉が間宮家を訪ね、周吉と志げに大和に来るよう望んでいることを伝えました。それに対して周吉は紀子が結婚して落ち着いたら行くと答えますが、それと同じ頃、紀子にある縁談が持ち上がっていました。相手の男性は四国の善通寺にある旧家の次男坊で、現在は松川商事の常務だといいます。なかなか悪くない話に紀子は笑顔を見せ、父の周吉も兄の康一も紀子の縁談話を聞き喜んでいました。

そんなある日、近所に住む矢部たみが紀子の両親を訪れます。たみの息子の謙吉は康一と同じ病院で勤務している医師で、紀子の二番目の兄の省二とは同級生の間柄でもありました。謙吉は妻を一昨年亡くしており、それ以来本ばかり読みふける日々を送っていることを周吉と志げに打ち明けるたみ。そして、省二のその後について尋ねられると、周吉は「もう諦めてますよ」と返答しました。省二は戦争からいまだ帰ってきておらず、生死もわからない状態だったのです。息子の生還を信じ続けている志げは、周吉とたみの会話を聞いて悲しそうな表情を浮かべていました。

【承】- 麦秋のあらすじ2

それと同じ頃、紀子は親友のマリ、おたか、アヤを家に招く準備をしていました。マリ、おたかはすでに既婚者で、もう一人の親友アヤは紀子と同様嫁入りしていないことを気にしていない独身者でした。ところが、当日になってマリとおたかは家庭の事情で来ることができなくなってしまいます。紀子とアヤは多忙な既婚者の親友たちを通して独身者の寂しさを感じるのでした。

ある真夜中、紀子と兄嫁の史子がめったに買わない高級ケーキをこっそり食べようとしていると、謙吉が間宮家を訪ねてきました。思いがけず高級ケーキをごちそうになりながら、謙吉は紀子の縁談話について質問してきました。紀子と史子はその質問をはぐらかし、逆に謙吉に対して残された幼い娘のためにも再婚した方がよいと勧めるのでした。

その翌朝、夜勤明けの康一が帰宅しました。帰宅するとすぐに康一は志げに独自に調査した縁談相手の詳細を報告し始めました。相手はなかなかのやり手の商社マンですが、年は42だといいます。志げはあまりの年齢さに紀子がかわいそうと話しますが、康一は28歳の紀子にとって欲張りな願いだと言い切るのでした。

それから間もなく、紀子は謙吉と都内の喫茶店でお茶を飲んでいました。その喫茶店は謙吉と省二が学生時代によく来ていた喫茶店で、紀子と謙吉は省二の思い出を語り合っていました。その後、謙吉は康一と合流し飲みへと出掛けて行きました。それは謙吉の秋田転勤を祝う会でした。

【転】- 麦秋のあらすじ3

謙吉たちと別れた後、紀子は謙吉の家へとあいさつに向かいました。たみは息子の秋田転勤をたいへん残念に思っており、ついつい紀子にあなたのような嫁が来てくれたら…と本音を吐露してしまいます。それに対して、紀子は残り物でよければと返答し、謙吉との結婚に前向きな姿勢を見せます。この言葉にたみは感激していましたが、そのことを知った謙吉は複雑な表情を浮かべていました。紀子はすぐに家族に謙吉との結婚を報告しますが、家族からは子持ちの謙吉との結婚は避けるべきと迫られてしまいます。それでも紀子の決意は固く、考えを改める気配を見せませんでした。

その後、紀子は謙吉との結婚を報告すべくアヤの家を訪れていました。きっと東京の上流階級の家に嫁ぐと思っていた紀子が秋田に暮らすことに驚きつつ、アヤはいつから謙吉のことを慕っていたのか尋ねました。それに対して、紀子はあまりに近すぎてあの人に気づけなかったと答えました。そして、昔から知っている謙吉なら信頼できるとつけ加えるのでした。

紀子がアヤの家で過ごす間、間宮家では家族会議が行われていました。志げは紀子がかわいそうと語り、康一はもう一度紀子の気持ちを確かめるべきと主張していました。すると、そこに紀子が帰って来ました。家族は史子を残して一目散に自室へと戻っていき、紀子は誰もいない台所で一人遅い夕飯を食べるのでした。

【結】- 麦秋のあらすじ4

後日、紀子は史子とともに砂浜へと出掛けました。紀子は史子に謙吉との結婚はよくよく考えたことだと語り、それよりも心配なのは両親のことと打ち明けました。史子はそんな紀子に、両親は紀子の幸せだけを考えていると励まし、これからはお互いやりくり競争してケーキを食べないようにしようと冗談を言って紀子を笑わせてきました。その後、二人は裸足になってゆっくりと浜辺を歩くのでした。

その後、間宮家から重々しい雰囲気は消え、再び笑顔溢れる日々が始まりました。今では間宮家は紀子の結婚を祝福しており、紀子の幼かった日々を皆で振り返っていました。紀子の嫁入りを機に、周吉と志げは大和に行き、康一はこの家で診療所を始めたいと考えていました。家族が別れ別れになることに紀子は涙を流しますが、周吉は優しく「また皆で会えるさ」と語り掛けるのでした。

紀子が去り、間宮家の家の前では麦が収穫時期となる「麦秋」を迎えていました。周吉と志げは麦畑の横を歩く嫁入り行列を温かな眼差しで見守っていました。二人は家族との時間を振り返り、本当に幸せな日々だったとしみじみ感じていました。麦は風に揺られ、間宮家の時間はゆっくりと過ぎていきました。

みんなの感想

ライターの感想

間宮家のやりとりはどこかコメディタッチな風景ですが、それだけに一家の次男の省二の存在が悲しい戦争の爪痕を象徴するものとして登場するのが印象的でした。また、省二という存在がいるからこそ主人公は謙吉の結婚を望んだ節もあり、物語の構成が大変すばらしい作品だと思います。

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