「オカルト」のネタバレあらすじ結末

ホラー映画

オカルトの紹介:観光地で通り魔に襲われた事を”神の啓示”とし大量殺人へと暴走していく底辺の男と、それを記録し続けるディレクターとの墜落行を描いた、2009年公開のフェイクドキュメンタリー・オカルト・ホラー映画。監督/脚本/撮影/編集は「ノロイ」「殺人ワークショップ」の白石晃士で、事件を記録するディレクター役で出演もしています。音楽は中原昌也。主演の宇野祥平は監督の熱烈オファーで参加、以降本作の”江野”というキャラクターで同監督の作品に多数登場しています。

予告動画

オカルトの主な出演者

江野祥平(宇野祥平)、ディレクター白石晃士、プロデューサー若槻(高槻彰)、AD栗林(東美伽)、松木賢(野村たかし)、松木の父(ホリケン。)、米原知美の母美穂(吉行由実)、松木の同級生近藤(近藤公園)、谷口英樹(大蔵省)、右田紀子(篠原友希子)、黒沢清、渡辺ペコなど。

オカルトのネタバレあらすじ

【起】- オカルトのあらすじ1

2005年8月12日。風光明媚な断崖の観光地妙ヶ崎の吊り橋で、2人が死亡1人が重傷を追う通り魔事件が発生、犯人の松木賢は事件直後、その断崖から身を投げ行方不明となります。
始まりは、事件当日、妙ヶ崎に観光に来ていた3人のOLが撮影した1本のビデオテープでした。
OLたちは普通に観光中、右田紀子は谷口がトイレに行き1人で、江野はただ通り掛かっただけでしたが、犯人の松木賢は米原知美と右田紀子を襲い首を切って殺害、吊り橋で動けなくなっていた江野の背中を切り裂き、直後に断崖から飛び降りる様子がビデオに納められ、松木の遺体は今も発見されていません。

その3年後。ディレクター白石晃士は、この事件の記録を残すべく取材を始めます。白石と女性AD栗林忍は、事件を撮影したOLの1人豊田治子と現場検証に向かいます。彼女は、事件を撮影するのがなぜか重要な役割だと言う気がして現場から逃げなかったと証言しますが、それは白石がこの取材に感じている衝動と同じものでした。
殺害された女子高生米原知美の母親美穂はやつれた様子で、娘が事件直前に妙ヶ崎に行くと良い事が起こるというお告げのような夢を見て行くことになり、自分は都合で行けなかったと悔やみます。また、最近、知美が帰ってきてゆっくりと「あ ひ ら わ ま」と言い、あり得ないほど口を開いて笑う夢を見るようになったと語ります。
また、婚約者右田紀子を殺害された谷口英樹は、彼女が深夜雑誌で妙ヶ崎を見て行きたいと言い出し、急遽レンタカーを借りて向かったと話します。また、吊り橋で最期を見取ったにも関わらず、最近紀子が実体となって現れ気が楽になったと言い、スタッフに彼女が実体のように映りこんだ1ヶ月前の写真を見せます。

重傷を負ったフリーターの江野祥平は、事件の1週間前「ミョウガサキ エ イケ」という声を聞き、ちょうどTVで妙ヶ崎が紹介されていたため、奇跡に遭遇するためと向かったと話します。彼は、松木に刺されている時「つぎは君の番ね」と言われたと言い、背中に残る文様のような傷跡を見せ、自分は特別だと話します。松木の父親辰吉は、殺害動機は思い当たらないものの、息子には生まれた時から同じような痣があり「神様からのサインだ」と説明したと証言します。
松木の高校の同級生近藤太は彼はオカルトやUFOが好きな変わった少年で、UFOは継続的に見ていたようだと言い、被害者の江野も事件直後入院した病院で、母親と共に巨大なUFOを見たと証言しています。また、近藤に江野の傷跡の写真を見せたところ、松木の身体にも同じものがあったと証言した直後、鼻血を出し嘔吐したため取材は打ち切りとなります。

【承】- オカルトのあらすじ2

プロデューサー若槻彰を加えたスタッフ3人は江野を事務所に招き、事件映像に映り込んだUFOらしき物体を確認してもらいます。それは江野が松木に刺されている瞬間、上空を横切る黒い小さな影でしたが、江野は心酔した眼差しで見つめて笑みを浮かべ、幼い松木の写真の右胸にある痣を見て自分の傷と一緒だと浮かれます。
そして、刺された瞬間、これが神の導きなら死んでもいいと思った、”うんこみたいな人生”が一転奇跡の連続になり感謝していると話しますが、AD栗林がその詳細を聞いても言わず、超常現象が1日1回は起っていると言うため、白石が密着取材を敢行することに。
江野はいわゆるネットカフェ難民で、派遣先に毎日電話をし翌日の仕事を得る状態でしたが、30歳を過ぎ仕事はほとんどは無く、生活は極めて困窮しています。
翌朝5時40分。江野は不足金100円を白石に借りてネカフェを出て、ファーストフード店で連絡を待ちますが仕事は無く、所持金も無く泊まるところも無いと苦笑いの彼に朝食をおごることに。が、その時、テーブル上の包み紙が何かに引かれるように落ちたのをカメラが捉えます。彼はドヤ顔で奇跡だと言い、事件後UFOや幽霊をしょっちゅう見て声も聞くと饒舌に語りますが、声の内容や事件前のと同じ声かはわからないと言います。

白石は江野を事務所に連れて行き、ハンディカメラを1台預け”奇跡”が撮れればギャラを出すと約束をします。江野は若槻に煙草をねだり、何日か事務所に泊めてくれと言い出し、白石は渋る若槻を説得し、1週間の期限付きで許可し、寝袋を提供します。
彼は1人事務所で意欲を語り、カメラを回したまま眠ります。その背後のスチール棚にぼんやりとした白い影が浮かび、ジロッと睨んで消えます。
その日の夕方仕事が決まり、スタッフ3人と江野で焼肉屋の個室で飲み会をする事に。江野は生ビールと肉を次々と注文して食った挙句、栗林に絡んだため彼女は早々に退席、白石にタメ口でいこうと言い出し互いに君付けで呼び合うことに。
若槻が酔い潰れた頃、彼は、松木は神の意志で殺傷事件を起こし「君の番」と言ってそのバトン(文様の痣→傷跡)を江野に渡し、別次元に行ったと話します。が、白石は神の儀式として殺人を考えているのなら止めると言いますが、彼は殺人を否定します。が、事務所に戻り、江野が寝た後、2人は彼はやはり大量殺人を目論んでいるのではと案じます。
翌日、江野はカメラを持ってバイトに行き、吉祥寺駅で待つ間UFOを撮り逃します。が、仕事を終えた後の映像には、もやっとした物体が映り込み、事務所では白石が積み上げた本が払われたように崩れ落ちる様子が撮れます。

一方、文様を調べていた白石は、漫画家渡辺ペコが”自動書記”した絵が2人のものと似ている事を知り取材をします。彼女は喫茶店でネーム作成中にうたた寝をした直後、ぼんやりしたままそれを描いたと言い、ネームノートを見せますが、栗林が妙ヶ崎の事件を口にした途端無言になり、ノートに絵を描き始めます。
それは白石が事件当日に登った御昼山(おひるやま)の九頭呂岩(クトロいわ)に酷似していて、その下部に何かの存在を示すように放射状の線が描かれています。
白石と栗林は車で現地に向かい、原生林の険しい山道を登り、九頭呂岩へとたどり着きます。3年前、一人旅をしていた白石はこの御昼山の切り立った山頂の巨石の存在を知り訪れたと言い、その際、足首に9匹のヒルが横並びで吸い付いていたと話します。
渡辺が描いたのはその岩の裏側で、放射状の線が描かれた場所には穴があり、そこで2人の痣や傷跡を合体させたような線刻模様が描かれた岩を発見し写真を撮りますが、白石はヒルに吸われた場所から出血しているのに気づき慄然とします。

栗林は御昼山役場に古代文字などに詳しい人物を聞き、映画監督黒沢清の元を訪れます。彼は独学で日本各地の遺跡を調査し、御昼山は20年以上研究していると語ります。また御昼山はイザナギイザナミの初子で奇形のヒルコが祀られていて、周辺からは神代文字や象形文字が数多く発見され、名称もお蛭(ヒル)山に由来していると言います。それは知美の母の証言「あひらわま」=「御昼山」を想起させる事実でした。
また、九頭呂岩の線刻模様を、松木の痣と似た左半分は神託としての殺人、江野の傷跡と似た右半分は神託としての人為的なものを含む天変地異、大災害を表していると読み解きます。後に黒沢が御昼山を訪れた際には穴も線刻文字の岩も無かったそうです。

【転】- オカルトのあらすじ3

後日、スタッフは”(神託の)儀式”の内容を探るため、彼のバイト中に手荷物を調べ、貯金残高が70万以上ある通帳を発見、若槻は大量殺人の準備資金では?と疑います。
その頃、仕事を終えた江野は派遣のリーダーにいびられ翌日は来るなと脅されますが、彼が車に轢かれる予知をして後を尾けていました。リーダーはその頭上に黒い影のような物が現れた直後に車に撥ねられます。江野は慌てて逃げ言い訳をするうち、空や町中に大量に出現して飛ぶ黒い影を次々と撮影します。その影は最後に上空で巨大な黒い塊になり飛び去って行きました。
映像を見たスタッフ3人は色々な意味で言葉を失いますが、江野は自慢げです。若槻はリーダーを心配しますが、彼は自分には(事故に遭わせるなど)出来ないと謙遜してギャラを請求、若槻が2万3千円払うと焼肉をおごると言い、白石と焼肉屋に向かいます。

白石はチューハイで酔って眠たげな江野に、今日の映像を見てたとえ”儀式”が反社会的な事でも自分には映像に残して世界に知らせる使命がある、協力したいと説得し、江野はついに、声が「自爆殺戮渋谷交差点」と言っていたと打ち明けます。
また、松木も自分も選ばれた人間だから自爆しても死なず別の高次元へと行くだけで、巻き添えで死亡した人々も同じ次元=神の元へと行けると言い、”神託の儀式(=殺人、殺戮)”を成すことこそが松木、自分、そして白石の使命だと言い、貯金は軍資金で爆弾の勉強もした、白石がやる気になった今がやるべき時だと話します。
が、そこで白石は「協力するのは嘘」と言い、憤慨する江野に友だちだからこそ人殺しをさせたくない、その世界がどんなところかもわからないのに行きたくない人まで巻き込むのはおかしい、と説得します。が、江野は「こんなクソみたいな世界より絶対マシ」と言い張り、白石君には絶対バチが当たると言いますが、何の異変も起きないままお開きになります。

その帰りの工事現場脇で、江野は突然嘔吐し、周囲のゴミ箱や空き缶が突然倒れて転がり、空には巨大な白いクラゲのような物が出現します。江野は顔が黒い触手で覆われた松木に変わり「次は君の番だ」と言います。悲鳴を挙げる白石は、元に戻った江野に使命はわかってるはず、君にも神様の刻印があると言われ、見るとあのヒルの吸い痕から再び血が流れています。江野は白石君の使命はこれを記録し世間に発表することやと言い手を差し述べ、決意した白石はその手を握り立ち上がります。

【結】- オカルトのあらすじ4

翌日の昼間、江野と白石はホームセンターで爆弾の材料を買い込みますが、住宅街で突然男が駆け寄り「地獄だぞ!キ×××!」と言い、汚れたタオルを振り回して襲いかかり、材料を詰めたバッグを持ち去ろうとします。江野は男と格闘しバッグを死守して逃げ切ります。
2人は事務所の床に材料を広げて何本ものパイプ爆弾を作成、それをベストに仕込んだものを白石に”奥さんが旦那に着せるみたいに”着せてくれと頼みます。白石は重要な役だと言いながらそれを着せ、江野をヒーローっぽくてかっこいいと褒めます。また、江野は本番ではビデオカメラを貸してくれと言い、向こうの世界を撮って白石君に送ると約束します。
その時、突然栗林が事務所にやってきます。2人は焦って材料を隠し、取り繕ってやり過ごしますが、悪戯を見透かされた子供のように慌て、江野は「もう、終りやからいいやん」と呟きます。

決行日のAM5:42。前日から渋谷で飲み明かした2人はカラスの大群に遭遇します。交差点ではたくさんの人々がその異様な光景を見上げる中、江野は「俺を祝福してるんや!」「白石君、俺、あっちの世界に行くからな!」と嬉しそうです。
彼らは一旦事務所で眠った後、タクシーで渋谷に向かいます。運転手は実入りが悪いとこぼし、江野は渋谷でテロとか起きたらどうなんですかねぇと話し、いいんすかねぇとぼそりと聞く白石に間違ってないよと言い切り、交差点へと降り立ちます。
PM0:24。コインロッカーに荷物(爆弾)を預けた2人は、センター街でインドカレーのランチを食べた後、歌舞伎町に向かい、儀式まで3時間29分で時間もちょうどいいと言い映画を見ます。
見終わった後、2人は再び件のファーストフード店で、全てのものは繋がっていると話し、もう一度映画を見たいという江野に(決行を)延ばせばいいと白石が言いますが拒否されます。電車の彼は沈黙し、時折目を閉じて黙想しているようにも見えます。

AM4:35。渋谷。決行まであと25分。2人はロッカーから爆弾を出し身障者用のトイレに入ります。江野は爆弾を仕込んだベストを白石に着けさせ、白いトレーナーを着てリュックを背負い、首からビデオカメラを自分に向けて下げ、スイッチをペンダントのように下げ、大きなスポーツバッグを持って歩き始めます。
AM4:54。決行まであと6分。交差点に着いた江野は「次信号変わったら行くわ」と言い、ビデオのスイッチを入れます。また、借りっぱなしの100円を返すと言って差し出しますが、白石は、ビデオカメラと一緒に向こう側から送ってくれ、その方が楽しいやんと笑い受け取りません。
AM5:59。儀式決行まであと1分。白石は寂しいかちょっとわからんけど、と言いかけ、信号が青になったと言い、江野は頷いてありがとう、と言い交差点の中央に歩き出します。交差点は地面が見えないほど混雑しています。

白石はそれを見送った後、小走りで交差点から離れ、地下道入口の陰に隠れようとしますが、その時、栗林が現れいきなり白石に詰め寄ります。彼女は朝から2人を尾けていたと言い、2人で何やってんですか?!警察に連絡します!と激怒していて、白石が危ないから!と懸命に呼び掴もうとするのを振り払い、携帯で電話をかけたその瞬間。
彼女の身体は凄まじい炎に吹き飛ばされ、画面が途切れます。次に映ったのは白煙で煙り、ひどく咳き込む白石の声と、無惨に千切れた無数の死体の断片と栗林の首でした。

JR渋谷駅前爆破事件は、死者108名、負傷者245名の大惨事となり、江野の遺体は発見されず、白石は共謀罪により20年の服役刑となります。

21年後。出所した白石をカメラで出迎えたのは若槻で、2人は件の焼肉屋で出所祝いをします。メニューにはルイボスティーとバイオの桃や鶏のサワーが並んでいます。若槻はウーロン茶はもうほとんど見ない、狂牛病で10万人くらい死んだためここも今月で閉店だとこぼします。
その時、白石は足の吸い痕から再び出血し、何も無い空間からビデオカメラが落下、その下には20年前の100円玉が落ちていました。

ビデオの映像はあの日の100円のやり取りから始まり、江野がスイッチを押した途端、画面は真っ白になり、助けてー!と叫ぶ焼け爛れた江野の周りを、栗林や犠牲者たちの首が地獄だ!地獄だ!と叫びながら飛びまわっています。周囲にはクラゲのような生物や黒い触手が蠢いていました。

みんなの感想

ライターの感想

江野って、下賤で矮小でケチで卑屈で俺様イチバン、女性蔑視、図々しく言い訳がましく愚痴っぽく、最底辺の最低男なんですが、特に白石監督と君付けで呼び合うようになってから、なぜか切なくなってくる。カラスの大群シーンはCGではなく、実際に呼ぶ技を持った方がいるそうで。あのシーン、好きなんですよね。江野にとってはうんこみたいな人生の中のたった1度の晴れ舞台で、本当に本当にうれしそうで。
この脚本が出来た頃、秋葉で件の事件が発生し、公開を危ぶむ声もあったそうですが、この構図はずっと以前からあったはずなのに、世間から見れば本当に些少な事象であるがゆえにスルーされ続けてきた事なのだと改めて思わずにはおられません。
ちなみに江野は「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章」でも再登場し、カメラマン田代(白石晃士)を翻弄した揚句に白石君と呼んだりもしてちょっとだけかっこよさがアップしています。

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