「ハンガー(1983年)」のネタバレあらすじ結末

ハンガー(1983年)の紹介:カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・ボウイを主役に起用し、美貌の牙を持たないヴァンパイアの悲恋を描いた「トップガン」「ビバリーヒルズコップ2」などで知られるトニー・スコット監督の長編デビュー作で、1983年製作のイギリスの異色のホラー映画。原作はホイットリー・ストリーバーの「ウルフェン」。衣装は「マリー・アントワネット」などで4度のアカデミー賞に輝くミレーナ・カノネロ、ドヌーブのみイヴ・サンローランが担当。特殊メイクは「スキャナーズ」のディック・スミスが担当、老いさらばえていくボウイの特殊メイクはアントニー・クラヴェットによるもの。

予告動画

ハンガー(1983年)の主な出演者

ミリアム(カトリーヌ・ドヌーヴ)、ジョン(デヴィッド・ボウイ)、サラ(スーザン・サランドン)、アリス(ベス・イーラーズ)、トム(クリフ・デ・ヤング)、ハンフリー医師(ルーファス・コリンズ)、アレグレッツァ警部補(ダン・ヘダヤ)、公衆電話の男(ウィレム・デフォー)、リリーベル(ベッシー・ラヴ)など。

ハンガー(1983年)のネタバレあらすじ

【起】- ハンガー(1983年)のあらすじ1

深夜、ニューヨークのクラブに現れたミステリアスなカップル。美貌の女ミリアムは優雅に細身のシガーをくゆらせ、ナイトのように寄り添う若い男ジョンに目配せをします。2人は黒レザーの若いカップルと視線を絡ませ、車で郊外のアパートに向かいます。
ジョンはスクリーンの前でエロティックに踊る若い女をキッチンへと誘いついばむようにキスをし、ミリアムは若い男の逞しい胸を開き跨ります。2組は絡み合いキスをしますが、間もなく2人はアンク型のペンダントに仕込んだ小型のナイフで、若い男女の首を切り裂きます。
パークウェスト診療所内の研究センターの檻では、猿が牙を剥き凄まじい叫び声を上げ共食いを始めます。サラはその無惨な遺体を見て酷いと呟きます。
明け方、2人は市内にあるミリアムの瀟洒な豪邸に戻り、若い男女の死体を地下の焼却炉で焼きます。2人がシャワーを浴びている時、ジョンは彼女に「永遠?」と囁きキスを交わします。
薄絹の淡い光の中、天蓋付きの豪華なベッドでジョンだけが目覚め、昔の光景を思い出し、煙草をくゆらせます。ミリアムと出会ったのは18世紀、彼女は豪華なドレスをまとい「あなたに永遠の若さを」と囁いたのです。
サラは、研究室に入り恋人で医師のトムにキスをし、モニターで狂気に陥り暴れまわる雄猿を観察し、血圧が上がったまま、もう50時間以上寝ずに暴れ回り、昨夜は雌猿に求愛したと話します。ハンフリー医師はトムに、正確には連続56時間、愛どころか引きちぎって喰ったと補足します。彼女は監視カメラで残らず記録するよう言い、牙を剥いて威嚇する雄猿に悪態を吐きます。
2人はTVでパークウェスト診療所の女性医師サラ・ロバーツが、8~10歳の子供が急激に老い70歳の肉体になり、16歳程度で一生を終える謎の病気ポルジェリアの研究により、老いを遅らせるようになると語るのを見ます。ミリアムは美しく、ジョンは少しやつれた顔で微笑んでいました。
そこに10代の少女アリスがバイオリンのレッスンにやってきます。彼女はポラロイドで写真を撮って渡しながら、ジョンには酷い顔、疲れてる?と聞きます。が、レッスン中、ジョンはチェロの演奏を途中で止めて席を立ち、目尻に浮き出た小皺を見ていました。ミリアムは眠れないのよ、可哀想にため息を漏らします。

ほどなくして、ミリアムはサラのサイン会に行き、彼女の著書「睡眠と長寿」を買います。サラは読者に囲まれていましたが、ミリアムが見つめると顔を上げ「何か言いました?」と聞きます。
彼女は診療所に行き、ハンフリー医師に会いますが、血液分析学が専門の彼は血液型と眠りの深さは老化と関連があると言いつつも明快な答えは得られませんでした。
屋敷では、ガウンのジョンが疲れた顔をして抜け落ちた髪を見せ、病院に行ってきたが何も掴んでないと言う彼女に「どのくらいもつ?」と聞きます。彼女は、1週間か数日、何度も見て来たからあなたの状態は解ってる、今度こそ奇跡が起きないかと祈ってたのにと応えます。
彼は「おいで」と言いますが、拒絶し、階段を駆け上がる彼女に、もう私の後釜は決めたのか?アリスか?!…どうしたらいい?!と怒鳴りますが、彼女は「やめて!」と叫び走り去って行きます。その脳裏には、古代エジプトで彼と同じに叫んだ男の姿が過ぎっていました。 この映画を無料で観る

【承】- ハンガー(1983年)のあらすじ2

ジョンはパークウエスト診療所に行き、受付を無視して研究センターへと入りサラと直接話をします。彼は手の甲に浮いた肝斑を見せ、私は何歳に見える?と言い、私は昨日まで30歳だった、若い男なんだと診断を迫りますが、彼女は会議への出席を理由に15分待ってくれたら診ると言います。
彼女は彼を待合室に案内して警備員に連絡し、研究に戻ります。待合室のジョンは見る間に老け込んでいきますが、同時に、サラが見つめる研究室のモニターには、昨日まで狂暴だった猿が急激に衰え、生命の限界をはるかに越えた老衰で亡くなる凄惨な模様が映し出されていました。その死骸は見る間に風化し崩れ去ります。2時間後、完全な老人と化したジョンは憤然として待合室を出ます。
サラはトムに、所長に研究成果となるビデオを見せ、追加の研究費50万ドルを出すよう説得してくれと頼み、彼は二つ返事で承諾します。

ジョンは、洗面所で青年看護師に目を付けナイフを構えますが機を逃し、混み合ったエレベーターでは若い女性看護師の胸元や首筋を見つめます。
彼は、通りがかったサラに「無視したね」と声を掛けますが、あまりの変わりように気づかない彼女に、始めから変人扱いして2時間も待たせた、別に用があるからと言いエレベーターに乗ります。その変貌を目の当たりにした彼女は愕然とし、懸命に引き止めますが無駄でした。
街に出たジョンはタクシーには老いぼれ!と怒鳴られ、廃墟でダンスの練習をしていた青年を襲いますが、失敗し屋敷に逃げ帰ります。
屋敷ではアリスが来て、変貌したジョンだと気づかずミリアムに置手紙をすると言い、強引に上がり込みます。彼女はジョンに面影が似てる、彼の父親かと聞きますが、ジョンは友人だと言い張ります。彼はすでに100歳を越えた老人のようで、声は嗄れ始終口元をハンカチで隠しています。
アリスはジョンに演奏を乞われ、練習中のラロの三重奏ハ短調を弾くと言い、甘い曲だなと言われます。彼女はそれでだわ、ミリアムとは親友だけどジョンとは合わないと話し、演奏を始めます。演奏中、彼は部屋をうろつき彼女の後ろから口を塞ぎ「許せよ」と呟き、その首をナイフで切り裂きます。アリスは凄まじい悲鳴を上げ激しく抵抗しますが、譜面を血に染め息絶えます。

激しい雨となった夜。ジョンは暗い部屋に座り、戻ったミリアムに「永遠と言ったのを覚えてるか?」と言い、若かった時のように激しいキスをしてくれと迫ります。彼女は腰の曲がった老人となり果てたジョンを抱き唇を合わせますが、「できない」と泣き出し離れます。ジョンは「なら殺せ」「解放しろ」と呻くように言います。彼女はそれもできないと言い、床に落ちていたアリスのポラロイド写真から事態を知り、なんてことを!と嘆きます。
彼女は焼却炉に行きアリスの遺体が燃え尽きているのを確認しますが、追ってきたジョンが力尽き階段から転がり落ちます。彼女は屍のようなジョンを抱き、「解放も安眠もあり得ないの」と嗚咽します。そして彼をエレベーターに載せ、「私たちは人間のようには死ねないの、土の中で腐った森で永遠の暗闇の中で、見たり聞いたり感じ続けるしかない」と語りかけ、最上階の丸窓から入る光の中に白鳩が舞う静謐な部屋、かつての愛人らが眠る部屋へと運んで行きます。
彼女は、ジョンを古い木製の棺に納め、滂沱の涙を流し蓋を閉じます。そして彼の前の愛人ローリアの棺の隣に納め、彼はジョンよ、慰めてあげてと語りかけます。

【転】- ハンガー(1983年)のあらすじ3

翌朝、ミリアムはサラの訪問で目覚め応対に出ます。サラはありのままを話し自分の早計を侘び、ジョンとの面会を求めますが、彼女は夫はスイスに行ったと言い、道路脇に停まった黒い車に気づき、1、2日後にまたと断わって帰します。サラは連絡先のメモを置いて帰って行きます。
やってきたのはアリスの捜査に来たアレグレッツァ警部補でした。彼はアリスの事をあれこれと聞きますが、家出と決めつけているようで差し迫った様子でもなく、その間ミリアムは花や温室の手入れをしながらサラの事を想い、彼女のメモをそっと胸に抱きます。サラはその時、大通りでトラックに撥ねられそうになりますが、間一髪で事無きを得ます。
夜になり、シャワーを浴びていたサラは、電話の音を聞きトムに声を掛けます。が、電話は無く、洗面台の鏡にミリアムの姿を見て振り向きますが、いるはずはありません。その頃ミリアムは屋敷で、黒いベールを着けピアノを弾き、ジョンの喪に服していました。その夜、その光景を夢に見たサラは、彼女と同じ哀しみの涙を流します。翌日になっても、サラの耳には電話のベルが聞こえ、ミリアムの影がつきまといます。

彼女はミリアムの屋敷を訪ね、ご主人から連絡はあったかと聞きますが、つい来てしまったと白状し笑います。
ミリアムは微笑んで彼女を招き入れ、ジョンから私たちの事を聞いたかと聞き、聞いてないと言う彼女にそれでいいのよと話します。サラは、屋敷に飾られている高価なアンティークに目を見張り、美しいものがいっぱいねとため息を漏らします。
ミリアムは彼女にシェリー酒を勧め、女性の胸像がサラに似てる、私は好きだわと話します。また、このまま何時間でも話せそうだが、忙しいのよねと言い、自分はあなたと比べたら怠け者で、時間もすべて私のものと話します。サラは、遊びも晩餐会も思うままだろうが、ご主人が留守で寂しくないの?と聞き、彼女のアンク型のペンダントに興味を持ちます。
ミリアムは、エジプトのもので永遠の命のシンボルだと話し、その時弾いていたドリーブの”ラクメ”の話をします。ラクメはインドの女王で女奴隷のマリカと魔法の庭で水源地へ行こうと歌うのだと。そして、2人とも女なのに愛の歌なのよと話します。サラは、それなら恋歌ね、もしかして誘惑してる?と聞きます。ミリアムは”ミリアム”と呼んでと言い、無意識にそうしているのかもと応えます。
サラはTシャツの胸元にこぼしたシェリー酒を拭くうちシャツを脱ぎ、2人はベッドで優しくキスを交わし絡み合います。ミリアムは陶然と身を委ねるサラの腕の動脈を噛み、流れ出る血をすすります。
その夜、トムとレストランに行った彼女は、貝料理を断わり分厚いレアのステーキを注文しますが食べません。トムは彼女が着けているアンク型のペンダントの件を含め、君がおかしい理由は何だ?と聞きますが、彼女は食欲が無いだけだ、ペンダントは午後に会ったプレイロック夫人にもらった、そういう人なのよと笑います。彼は強い口調で問い質しますが、彼女は隣のプールで泳ぐ若い女性の肢体を見つめ上の空で、揚句に彼女の夫は今スイスの療養所で死にかけてる、それを慰めてただけなのに!と逆ギレされ黙ります。
けれど深夜、ひどい吐き気に襲われた彼女は、翌日、診療所で血液を調べ、彼女の血に異種類の血が混ざり戦っている事が判明します。それは人間の血に似ているが病菌に強力な抵抗力を持つ、正体不明の血液でした。彼女は腕の動脈の咬み跡を指摘されますがとぼけ通します。

彼女はミリアムの屋敷に行き、彼女に異質な血が混ざってた、私に何をしたの?!と激怒します。ミリアムは「怖いの?」と聞き、私に任せとけばいいの、時間をくれて信じてればと落ち着き払っていました。また、「あなたに永遠の命と言う贈り物をした、血は私のものなの」と話します。
激昂したサラは彼女に掴みかかりますが敵わず、ミリアムは傷はお互い様、2人で血を吸い合ったのよと腕の傷を見せ、私たちはもう離れられないのと言い切ります。サラは、ふらふらと立ち上がり出て行きますが、ミリアムはその背中に「飢えが酷くなれば必ず教えを乞いに戻る」と言い捨てます。
サラは、大通りでタクシーを探しますが捕まらず、トムに電話をしても帰宅したと言われ、その間も症状は急激に悪化し、ミリアムの幻覚がつきまといます。公衆電話で彼女に声を掛けた男たちは、ありゃジャンキーだぜと笑っていました。
やむなく屋敷に戻った彼女は怯えて弱り切っていて、サングラスとショールで顔を隠したミリアムは、飢えを満たせる誰かを連れてくると言い出掛けて行きます。
彼女は街角で男を拾い、居間で待たせてベッドに行きます。サラは高熱にうなされ痙攣していましたが、男は勝手に酒を飲み、エレベーターで屋敷の上へと向かいます。ミリアムはそれを襲って首を掻き切り、サラの心に呼びかけます。サラはふらりと立ち上がり、階段下で口元を男の血で染めた彼女を見つけます。 この映画を無料で観る

【結】- ハンガー(1983年)のあらすじ4

深夜、トムがサラを探しに屋敷にやってきます。ミリアムはきちんとした身支度で応対に出て、サラは具合が悪くて2階の寝室にいると誘います。
彼は床に身を屈め痙攣していたサラを見てベッドに戻し、ひどい熱だ、僕が来たから安心だとなだめようとしますが、サラは激しくキスを求めたかと思えば、突き飛ばし出て行け!と怒鳴って暴れ、ひどく混乱していました。彼は懸命に彼女を落ち着かせ抱きしめますが、サラは異様な目つきで彼の首筋を見つめ、ペンダントのナイフを抜きます。
ミリアムはピアノを奏でながら事が終わるのを待ち、初めて奴隷の血をすすった、エジプトのあの夜の事を思い返していました。
やがて胸元を血に染め満足した様子のサラが来て、初めてで難しかった?と聞かれ、鼻を鳴らし歪んだ嗤いを浮かべます。ミリアムは、1日に6時間眠り、1週間に1度血を吸えば1秒も年を取らない、あなたは私の一部、もう放さないわ…そして、私の命は永遠、解放も無ければ終わりも無い、あなたと一緒に愛し合うの、過去はすぐ忘れるわと言い、シェリーの杯を交わします。
サラは彼女の首筋に指先を這わせ、穏やかなキスをします。ミリアムは、後の世まで、永遠によと囁き深い口づけを交わします。
その時、サラはミリアムのペンダントのナイフを抜き、自らの頸動脈を突き刺します。唇には大量の血が溢れ、サラは、慄き愕然とする彼女にキスを続けます。ミリアムは倒れたサラに「逝かないで!」と言いますが、彼女は「ダメよ」と言い息絶えます。
彼女は慟哭し、血塗れのサラの遺体を抱え、愛人たちが眠る部屋へと運びます。

けれど部屋の中は異様な空気に満ち、大きく傾いで棺が崩れ落ち、朽ちた愛人たちがわらわらと現れ彼女に迫ります。彼女は「みんな愛してるのよ!」と叫びますが、愛人たちは枯れた唇でキスを求め、必死で振り払う彼女の手に当たった場所は崩れ落ちます。彼女は丸窓の光の下で愛人たちに取り囲まれ、髪を振り乱し、いや!と何度も叫び飛び出して行きます。
廊下には、老いさらばえたジョンがいて、彼女に無理やりキスをし、彼女は追ってきた愛人たちと揉み合ううち階段の手すりへと追い詰められ、凄まじい悲鳴を上げながら、中央に開いた穴へと落下します。
手すりにぶつかりながら落下したミリアムは、床の上で暫しもがいていましたが、その顔は老女から屍へと変貌し朽ち果てて行きます。
愛人たちはその最期を看取ると一人また一人と部屋に戻り、思い思いの場所で崩れ去って行きました。

アレグレッツァ警部補が訪ねた時には、屋敷はすでに空き家になっていて、不動産屋が応対に出ます。彼はこの屋敷は所有者が急死して競売に出された、譲渡金はパークウェスト診療所に寄付される事になってる、今も内見客を待たせているからと戻って行きます。警部補は、床に落ちていた美貌のミリアムの写真を拾い見つめます。
とある高層マンションの1室。部屋には薄絹のカーテンの淡い光が満ち、グランドピアノとバイオリンのケースが置かれています。ソファには若い青年が座り、少女の面影を残す美しい女性は窓辺に立つサラに軽く口づけをします。地下室にはたった一つ棺が残され、サラ、と呼ぶ声が聞こえます。
サラはゆったりとベランダに立ち、眼下に広がる街を見つめていました。

みんなの感想

ライターの感想

素晴らしい映像美はホラーとしても異色で、ぜひとも映像でご覧いただきたい作品です。
精密に計算された耽美と残酷、美と醜、血の赤と暗黒、そぎ落とされた台詞の数々の緊張感はハンパなく、どの場面をとっても一枚の美しい絵画のように仕上がっています。それと裏腹に猿の共食い、終焉シーンなどは、叫び声も含め冷徹で目を覆いたくなるほど凄惨で残酷です。
ヴァンパイア物としては初の”牙無し”の吸血シーン、また強靭な抵抗力を持つDNAからの異生物として描かれたのも本作が初で、後に「ブレイド」などに継承されていきます。
ミリアムことカトリーヌ・ドヌーヴが纏っているのは全てイヴ・サンローラン、ジョンことデヴィッド・ボウイは当時最先端だったパンクスタイル。屋敷のカーテンは薄絹で風に揺蕩い、アンティークと大ぶりで凛とした白百合が大鉢がいくつも置かれ、そこに警部補だのトムだの凡庸な人々が踏み込むたび、ああ汚い、排除したいと言う衝動に駆られてしまうほどです。
衣装は「時計仕掛けのオレンジ」「マリー・アントワネット」などで知られ、4度のアカデミー賞に輝くミレーナ・カノネロ。ボウイの特殊メイクは、彼女の紹介のアンソニー・クラヴェットが担当し、あのオッド・アイが無惨に垂れ下がった瞼に埋もれ、プラチナブロンドが力無く抜け落ちる憐れさ凄惨さはいろんな意味で実に見事(CG以前で特殊メイクの技術競争が激化していた当時、頭部巨大化などという批判もありましたが今となっては些末な事で、むしろマペットに逃げなかった根性を讃えたいです)。その他屍愛人たちは「エクソシスト」「スキャナーズ」のディック・スミスの見事な職人技です。
冒頭のライヴ曲はバウハウスの「Bela Lugosi's Dead(ベラ・ルゴシの死)」。主旋律は「シューベルト/ピアノ三重奏曲第2番変ホ長調 第2楽章」。
公衆電話の男にかのウィレム・デフォーが出演、サイン会場の老女役にはトーキー時代に一世を風靡したベッシー・ラヴが出演し、本作が遺作となったそう。監督も奇しくも鬼籍の人となり、ボウイの訃報は未だ信じられず、ドヌーヴは「しあわせの雨傘」などでイイ感じのお婆ちゃんになってしまった今日この頃。
ドヌーブもボウイも美の極みだった本作だからこそ、ミリアムには老い崩れていくジョンの口づけを拒み眉を顰める特権があった…「永遠よ」と言う彼女の囁きは、耳に残る事うけあいです。

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