「マタンゴ」のネタバレあらすじ結末

マタンゴの紹介:豪華ヨットが難破し流れついた怪しい孤島で、人間がキノコ化すると言う1963年公開のホラー映画。怪獣映画全盛だった当時、追い詰められた人間模様に主幹をしたストーリーは異色で、キノコ化していく過程の特殊メイクも恐ろしく、後年「怪奇大作戦」を始め数々の作品に影響を残した伝説的な作品です。ウイリアム・H・ホジスン「闇の声」を原作としSF作家福島正美が脚色、木村武が脚本化。監督は「ゴジラ」を始め怪獣映画で知られる本多猪四郎。特技監督は「怪奇大作戦」「ゴジラ」シリーズの円谷英二。

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予告動画

マタンゴの主な出演者

大学助教授村井(久保明)、クラブ歌手麻美(水野久美)、艇長作田(小泉博)、ヨットマン小山(佐原健二)、小説家吉田(太刀川寛)、企業社長船主笠井(土屋嘉男)、女子大生明子(八代美紀)、マタンゴ怪人(変身途中=天本英世)など。

マタンゴのネタバレあらすじ

【起】- マタンゴのあらすじ1

ネオン瞬く夜の東京。
東京医学センターの精神科の病室で、男が語り始めます。
「みんな僕をキチガイだと思っているんです。でも僕の話を聞いたら、あなたも僕をキチガイだと決めてしまうでしょう…」

軽快に海原を行く一艘のヨット”アホウドリ号”。
派手な水着にサングラス、エレガントな麦わら帽子をかぶったナイトクラブ歌手麻美は、新進作家の吉田とはしゃぎ、男たちの熱い視線の中、ウクレレを弾いて歌います。女子大生の明子は船酔いで船室に引き上げ、心配する大学助教授の村井に(彼らのノリに)ついて行けなくてだめだわとこぼします。
夜になり、皆が盛り上がる中、天候は悪化し、艇長の作田とヨットマンの小山は、嵐が近づいているのを知り引き返すべきか話し合いますが、作田は彼らが許可するはずがないとこぼします。案の定、船主である企業社長の笠井は、最高級のヨットだから問題は無いと言い、吉田は多少の困難があった方がいいと笑い、女性2人も張り合うように大丈夫だと言います。
が、海は荒れ狂い、男性陣は船上に駆り出されますが、笠井は介抱するフリをして弱った明子に迫り、麻美はふて腐れ、村井は笠井に敵対心を抱きます。やがてマストが折れて通信機器が壊れ操縦不能となった時、笠井は作田に責任をなすり一方的に怒鳴りつけます。作田は国際ヨットレース5位の実力のベテランでしたが、笠井に雇われている立場だったのです。
翌朝、海上には深い霧が立ち込め、ヨットは転覆を免れたものの、マストは全壊、舵も方向探知機も壊れ、南に向かってただ漂流している状態で、ラジオも彼らの捜索が絶望的と伝えただけで電池が切れてしまいます。
幾日も濃い霧の中を漂流するうち、吉田は巨大な船の幻覚に怯え、食料や水の確保に不安を抱く麻美は、笠井が明子を口説くため対応が遅れたと責め、小山は「男が狂うから、船に女は禁物なんだ」と言い捨てます。 この映画を無料で観る

【承】- マタンゴのあらすじ2

やがて霧が晴れ、不気味な島を発見した一同は泳いで島に上陸します。
島は南海の樹木が茂る無人島のようでした。作田と小山が先頭になり、一同はジャングルの奥へと進み小川を発見しますが、人の痕跡を辿るうち、砂浜に座礁し朽ち果てた巨大な帆船を発見して辿り着きます。
始めに作田、小山、村井、笠井の4人が帆船の内部を調べに行きますが、船内は朽ち果て分厚いカビで覆われ、人が住んでいた痕跡はあるものの遺骸が見当たりません。
やがて研究室らしき船室を見つけた一同は、その船が核爆発による海洋汚染の調査船だと気づき、大きな木箱の中から”マタンゴ”と名前がつけられた巨大なキノコの植物標本を発見します。添え書きには「この島で発見されたキノコの新種」とありました。
その頃、麻美たちも船内に入り、洗面所の鏡が外されている事を不審に思い、カビに覆われた船長室を見て悲鳴を挙げ、駆けつけた村井が航海日誌を発見します。また、小山と吉田は船倉で見つけた缶詰を貪っているところを笠井に見つかります。一同は研究室にあった過炭酸で船内のカビを取り除き、缶詰で空腹を凌ぎようやく一息つきます。

彼らは食堂に集まり今後の生活を話し合いますが、作田と村井は、この帆船は核実験の調査船でスパイ船かもしれないと言い、麻美と吉田は、生活は人任せで1人船長室にこもって横柄な態度で寛ぐ笠井に反感を持ちます。
船長と村井は、食料が1週間分しかないため、男性は外で食料探し、女性は水汲み、ヨットは修繕して、救援隊に向けてのろしを上げることを決めます。ただし、航海記録の記述や乗組員の遺骸が無いのは、キノコが原因のようだと言い、幻覚作用があるため、絶対食べてはならないと念を押します。
吉田は山頂でのろしを上げながら、都会のバーでこのメンバーが優雅に遊び暮らしていた日々を思い舌打ちをします。また、森に狩りに行った村井と笠井は、割られた鏡の破片を見つけて不審に思い、海鳥が島を避けるのを見て島自体に問題があると感じますが、奥地で不気味なキノコの群生を発見、巨大なキノコのようなモノが動くのを見て発砲しますが、死体は無く、気のせいだと決めつけます。
作田と小山はヨットを浜に回す途中で海中に沈んだ夥しい船の残骸を見つけ、この島は船の墓場だと呟き、麻美と明子は水汲みに精を出します。

その日の深夜、女性たちの船室に忍び込もうとした小山は、不気味な人影に怯え、笠井は船倉に缶詰を盗みに入り不気味な人影と遭遇、甲板を歩き回る足音で目を覚ました作田と村井は、船室から逃げ出した女性2人と出会った直後、腰を抜かして助けを求める笠井を助けますが、それを追って顔中に腫れモノのある不気味な男が船室に入ってきたため、悲鳴を挙げます。

【転】- マタンゴのあらすじ3

翌日は大雨となり、皆は昨夜の出来事を集団幻覚だと決めつけますが、ぬかるみにははっきりと足跡が残っていました。
朝食の席では小山が暴言を吐き、吉田と揉み合いになりますが、彼は裕福な暮らしに慣れ労働を嫌う彼らを嘲り、草の根を齧り貝や海藻を拾って食料を探せよ!とハッパを掛けます。
雨の中、麻美と明子は無言のまま磯で海藻を取り、村井は草むらで芋を見つけますが、作田とヨットの修理をしていた小山は途中で投げ出し、浜で見つけたウミガメの卵をすすり、残りを森のほこらに隠しているところを、作田に見られます。
一方、船に残っていた吉田は研究室のアルコールに酔って、笠井が止めるのも聞かずライフルを持ち出し、昨夜のバケモノを退治すると森に行き、群生しているキノコを手にします。
戻った作田はキッチンにいた女性たちに小動物らしき獲物を差し出し、船長室で寛いでいた笠井から船倉のカギを取り上げ、皆と一緒に寝起きして一緒に働けよ!と怒鳴ります。笠井はこれまで食わせてやった恩を忘れたか!と怒鳴り返しますが、「友だちの顔をして実は飼い犬のつもりだったんだろ?!」と言い返され、言葉に詰まります。
キッチンでは村井が芋を、小山がウミガメの卵を出しますが、戻った村井は満腹だからと夕飯を断ります。
また、小山は皆に隠れて笠井に法外な値段でウミガメの卵を売りつけ、この金を生き金にすると息巻いていました。

その夜、キッチンで抱き合っていた麻美と吉田に小山が襲い掛かって乱闘となり、船長と笠井に止められます。麻美は「みんな私が欲しいのよ」と言って明子を鼻で笑います。が、間もなくライフルを構えた吉田が現れ、キノコをたらふく食ったと告白、全員を殺して明子を略奪すると言い出したため、船長と笠井に取り押さえられ船長室に閉じ込められます。
翌日、笠井はヨットを修理していた作田に、2人で残りの缶詰を積んでヨットで逃げようと持ち掛けますが、拒否されます。が、その後、作田は笠井を縛り上げて船倉に閉じ込め、食料を奪いヨットと共に消えてしまいます。
3人が愕然とする中、船長室に閉じ込めていた吉田と麻美が共謀し、ライフルで脅して明子を略奪、笠井と村井を殺そうと企てますが、戻った小山に見つかり射殺しただけで、笠井と村井に取り押さえられます。
笠井は吉田と麻美を船から追い出しますが、事件をきっかけに心を病み始めます。小山の遺体の傍には笠井からせしめた札びらが散らばっていました。

雨は降り続き、森に群生したキノコはますます巨大に育っていきます。
船では、俺は何もできない男だ、いっそ殺してくれと泣き出す笠井を置いて、村井と明子が食料探しに出かけます。
残された笠井は、突然戻った麻美の妖艶さに息を呑み、その足にすがりつきます。彼女は笠井をキノコの群生する森の奥に誘い、目の前でその一つを齧り「美味しいわぁ」と呟きます。笠井もキノコを貪り、陶酔した笑みを浮かべ、華やかなショーのダンサーが明子に変わり彼に手を差し伸べる幻覚を見ます。
麻美は、これを食べるとやがてはキノコになる、でも食べ始めたらやめられなくなると言いますが、笠井は、藪の中で、手や顔が菌に侵された吉田が奇妙な笑いを浮かべているのを見て逃げ出すものの、キノコと化した人間に囲まれくずおれます。
外から戻った村井と明子は、笠井が消え、再びカビで覆われた船内に愕然とします。笠井は泣いてすがる明子を「負けちゃいけない!」と励ましますが、2人は既に疲れ果てていました。
ほどなくして磯で食料探しをしていた笠井は、海上を漂っていたヨットを発見しますが、船内に作田はおらず、壁に遺書と思しき書付を発見します。
「…以上6名、無人島に漂着して死亡、我単独脱出を試みるも食尽き、力尽き、南海に身を投ず 艇長作田直行」…笠井は畜生と呟いて×で消し、島に戻ります。
彼は、船で休んでいた明子に小さな芋を与え、その一件を伝えますが、彼女は心折れ、私たちはここから出られない、この島で生きていくためにはキノコを食べ、キノコになるしかないと泣いています。彼はその頬を叩き、何とかすると励ましますが、彼女は「先生はいつも理性的だけれど、私にはできない」と嗚咽します。

【結】- マタンゴのあらすじ4

その時、朽ちたドアや窓が割られ、大勢のキノコ化した人間たちが襲ってきます。笠井がライフルを撃って必死で抵抗するうちバケモノは逃げ出しますが、明子は連れ去られてしまいます。
彼は明子を追って森に入りますが、森は巨大に育ったキノコで覆われ、狂ったような笑い声が響き、キノコと化した人間が歩き回っていました。彼は明子を呼び、キノコ人間を避けながら「先生~、先生~」と呼ぶ声の方へと向かいます。が、明子は地べたに座りこみ「美味しいわぁ」と微笑みながらキノコを食べていたのです。
彼は彼女を連れ戻そうとしますが、キノコ人間に囲まれ、明子は再び連れ去られてしまいます。森の中ではキノコになりかけた吉田と麻美が怪しく笑い、明子はキノコ人間に埋もれながら「せんせぇ~、せんせぇ~」と呼び手招きしていました。
彼はキノコ人間に弄られ、悲鳴を挙げて逃げ惑ううち、岸辺に漂うヨットに泳いで辿り着き、何日も漂流した後、救助されます。

「救助された時の記憶はありません…」
東京医学センターの精神科の病室で話していたのは、笠井でした。それを大勢の医師や看護師が鉄格子の向こうから観察しています。
「でも今は、後悔しています。あの人を愛しているならキノコを食べ、共にあの島で暮らすべきだった…どんなに辛くても苦しくても僕は一切れも食べなかった、けれどそうすることでずっと彼女を苦しめていたのです。一体なんのために!」…そういって振り返った彼の顔は、菌に侵され、キノコに変化し始めていました。
医師はそれでも君が生きて帰った事は祝福すべきことだと言いますが、彼は「東京だって同じじゃないですか、みな人間らしさを失って…あの島で暮らした方が幸せだったんです」と呟き、華やかなネオンを見つめていました。

みんなの感想

ライターの感想

ゴジラから始まった怪獣映画全盛の1960年代にあって、大人向けの人間ドラマを根幹にした伝説的作品です。キノコと化していく過程にもビビりましたが、ムズカシイオトナの事情にもドキドキハラハラしていたのを思い出しました。
やたら威張っていた笠井は笠井産業の御曹司であり跡継ぎで、艇長の作田にとっては雇用主、だから頭が上がらなかったんですね。ちなみにその笠井が作田と共に所有していたヨット”アホウドリ号”の本体価格は笠井に口説かれた麻美によれば4千万だったとか。サラリーマン月収2万5千円、いすゞ117クーペが172万だった時代、口説き話を差し引いてなお「ばっかみたい」と麻美に揶揄されるほど法外な”お遊び”だったようです。
メンバー最下層のヨットマン小山は、「ゴジラ」を始め怪獣映画には欠かせないイケメンで理性的な紳士のイメージがある佐原健二ですが、本作では前歯の欠けたバイタリティ溢れる野生男を怪演しています。また、初めに船を襲うマタンゴ怪人は数々の怪演で知られる天本英世が演じているとか。
怪しい森でむくむくと成長するキノコは、当時まだ使い道のなかった発泡ウレタンを使った特殊効果で、出演者たちが食べていたキノコはあの風月堂が映画用に作った和菓子なのだとか。
マタンゴの標本が、当時の日本では知られておらず、1990年代以降に人工栽培され普及したエリンギっぽいのもご愛嬌です。

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