「壁男」のネタバレあらすじ結末

ホラー映画

壁男の紹介:”壁の中に存在し人々を見つめる壁男”と言う”噂”に取り憑かれたカメラマンが崩壊していく様をシュールに描いた2007年公開のホラー映画。原作は諸星大二郎の同名漫画。監督/脚本/プロデューサーは第34回札幌文化奨励賞を受賞し、「7/25」で知られる早川渉。主演は「半沢直樹」「リーガル・ハイ」の堺雅人。

予告動画

壁男の主な出演者

仁科光(堺雅人)、金澤響子(小野真弓)、池田(水戸ひねき)、中村(山崎大昇)、遠藤(渡辺香奈子)、番組司会高橋(宮嶋総士)と鈴木(西村麻衣子)、鈴木の娘(大久保理那)、タクシー運転手東海林(永利靖)、ビル管理人杉村(斉藤誠治)など。

壁男のネタバレあらすじ

【起】- 壁男のあらすじ1

何も無い空部屋にぽつんと置かれたテレビのチャンネルが次々と変わり、やがて砂嵐になります。何かが同じ砂嵐のテレビに見入る人々の部屋を移動していきます。
昭和の古い家具に囲まれちゃぶ台で1人テレビを見る老婆、パソコンの前に座り小型テレビを見る青年、テレビを見つめる幼い少女と疲れ切った若い母親…。”それ”は無言で通り過ぎますが、とある寝室に差し掛かった時、ソファに座っていた男がふいに「知ってんだろ?全部。見てんだろ?なんか答えろよ、わかってんだからさ。安心して出てこいよ」と身を寄せ、話しかけます。

夜。カメラマンの仁科光は自宅のベッドで恋人でタレントの金澤響子と甘い言葉を交わし、彼女は笑ってテレビをつけます。ちょうど深夜の情報番組”ミッドナイトエクスプレス”の彼女がレポーターのコーナー「街の噂特捜隊」が始まったところで、露天風呂に柔毛のカニが出るという池田からの投稿を、本人と一緒に検証するものでしたが、茹でた花咲ガニを食べて終わります。
番組では新しい噂のネタを探していましたが、長い廊下を歩く響子にカニのバケモノのマスクをかぶったスタッフの中村が声を掛け、視聴者からの「壁男を知っていますか?」というハガキを渡しながら「”壁男”っておもしろそうっすよね」と言い姿を消します。響子は壁にもたれて読み始めますが、壁から出て来た灰色の手に肩を掴まれ悲鳴を上げます。が、それは仁科の悪夢でした。
翌日、響子はあのハガキが実際に来て、住所だけ書かれていたため行ってみると言います。仁科は心配しながらも、仕事先の写真スタジオに向かいます。
彼の写真は”早い、安い、巧い”と評判で、女性スタッフたちと共にファッション写真を手がけ、現在個展を構想中だと話します。
昨年の個展「IN-OUT」は、被写体となる人間の手と顔を内面と外面として表現したもので、彼は、取材に来た響子も加えると言い出し「一番自分らしくない顔」と言い困惑する顔を、傷があるからと隠した右手を「一番君らしい」と言いながら撮ったのです。それが2人の出会いとなり、その写真は今も仁科の部屋に飾られています。
仁科はアシスタントの遠藤に壁男の噂を聞きますが、気味の悪い都市伝説のようなモノだと言われます。

一方、響子は中村と”壁男”のハガキの取材に行きます。そこは様々な古物が置き去りにされた地下街の廃墟で、管理人はハガキの件を知らず、来月改装工事が始まると言い収穫はありませんでしたが、中村が壁からはみ出た不気味な土塊を見つけ番組で取り上げる事に。
「”壁男”の噂、知っていますか?」…壁男とは妖怪でも人間でもないが、確かに壁の中に住んでいて、壁の中からこちらを見ている、けれど人間と交渉を持とうとはせず、存在理由は謎だがテレビが重要な関わりを持っているらしい…番組ではそのハガキが紹介され、響子たちが地下街の廃墟を探検する様子が面白おかしくレポートされていました。
仁科は番組を見るうち、寝室の壁を撮り始め、帰宅した響子に廃墟の場所を聞きますが断られます。
番組は好評でしたが寄せられた情報は不確かな物ばかりでした。一方、取り憑かれたように壁の写真を撮る仁科は、訝しがる遠藤に「壁はINでもOUTでも無くどちらでもある、ミディアムなんだ」と語り、次の個展のテーマだと笑います。

ある晩、響子はタクシー運転手の東海林から、市内のアパートで突然壁が崩れ、住人が重傷を負ったが、崩れた穴が人の形だったという壁男の話を聞きます。タクシーは直後に偶然池田を乗せ、響子を乗せた話をしますが、彼は内緒で響子が座ったシートを撫でていました。
その頃、響子は仁科と洒落た隠れ家レストランでデート中でした。仁科は、この店は壁男と同じで、店名もメニューも無く、何も考えずただそこにいるがサプライズがある、次の個展のテーマはミディアム=”壁”にするつもりだと話します。
響子はミディアムの複数形はメディアで、神と人間を取り持つ巫女女王メディアが語源だと思ってた、君はテレビと言うメディアの女王だと言う仁科に、自分が伝えているのは単なる情報だと話します。仁科は壁男は何か伝えたいのでは?と考え込みます。
その夜、響子は体の内と外を分けるのは皮膚だけど、あなたは心の内と外を分けるものが何なのか知りたいのでは?と言い早めに帰宅することに。帰りしな、彼女は仁科が撮った寝室の壁のネガを見て「なんかヘン」と呟き、壁男のためにとテレビをつける仁科と一緒に「たまには外に出なきゃダメだぞ」と声を掛け去って行きます。2人が去った後、テレビのチャンネルが勝手に替わり、タクシー運転手の東海林が事故死したニュースが映ります。
一方、小道具部屋では、中村が恋人の遠藤にカニのマスクを被らせ自主映画を撮っていて、アバンギャルド=わかんないからおもしろいんだと言います。翌日、遠藤は中村に、仁科が壁の写真ばかり撮って変だと打ち明けます。

【承】- 壁男のあらすじ2

一方、東海林から聞いたアパートが解体され始めているのを見て、取材に行った響子と中村は愕然とし、壁男もお陀仏かとこぼします。
その時、駆け寄ってきた少女に「壁男は死んじゃったの?!」と聞かれ、他の壁に飛んで行ったと言いますが、暗い声で「死ねばよかったのに」と言われます。その子は番組のMC鈴木涼子の娘のようでしたが、迎えに来た鈴木には無視されます。
”それ”が再び巡回を始めます。ぽつんと置かれたコンセントに繋がっていないテレビには”ミッドナイトエクスプレス”の壁男の続報がかかり、同じ番組を見る老婆の部屋には中年男がいてにこやかに笑いかけ、パソコンの青年=池田はデスクトップの響子を見てニヤついています。気だるそうな鈴木の部屋では娘が菓子パンを食べながら”それ”に気づき、笑いかけます。

仁科はあらゆる壁を撮り続けますが追い詰められ、ある日、遠藤から廃墟の場所を聞き、1人で出掛けて行きます。
彼は、暗い廃墟で懐中電灯を消し、廃材や薄汚れた壁を撮り続け、やがて割れた鏡のかけらに映った自分気づき何回もシャッターを切ります。部屋に戻った彼は、自分がもたれた寝室の壁の写真を撮り続けますが、突然テレビがつき、チャンネルが次々と変ります。
彼は「ほんとかよ!」と呟き壁を撫でますが、突然テレビ画面に響子が現れ、「仁科さん!そっちを向いちゃダメ!」と真剣な顔で言われます。彼は愕然として壁と彼女を見比べ、大声で笑いだします。テレビの画面はいつの間にか砂嵐になっていました。
仁科は局のラウンジに響子を呼び、壁男を見つけたと言い、寝室の自撮り写真を見せます。彼女はわけがわからないまま仕事に戻りますが、仁科は真顔でインタビューを考えなきゃと呟きます。
また、彼は仕事の撮影後、モデルの女性に白い布の衣装を着せ、立て込みの壁の前に立たせカメラを構えますが、なかなかシャッターを切りません。モデルは困惑しますが、彼はカメラを構えたまま「動かないで!」と繰り返し、「いいんだよ。君が本当に動かなくなるまで待つから、全て動かなくなるまでちゃんと待つから」と呟きます。
また、町に出た彼は、建物の壁を撫でる老婆の部屋の中年男に気づきます。男は彼に気づくと気まずそうに「くだらん噂だが、婆さんが怖がるから」と言い訳します。彼は壁男が怖いですか?と聞きますが、なんだかわからんものだからねと言われ、じゃあなんだかわからない僕は怖くないのかと聞き、去って行きます。
男は家に戻り警察に電話をしようとしますが、ふいに老婆に、やめとこう、わしが見張ってるから大丈夫、壁男は来やせんよ、何も怖いもんなんてありゃせんよと言い抱きしめます。壁にはダンボールが積み上げられ、老婆は人形のように揺れていました。

名も無き店でワインを飲んでいる仁科と響子。仁科の「優美な死骸は新しいワインを飲むだろう」という20世紀のシュールリアリストの言葉遊びの話を聞いた響子は、それは今のテレビと同じで情報の羅列に過ぎずアートなんかじゃない、20世紀の人間はそうやって発明と発見を繋ぎ合わせて来ただけだと話します。
仁科は「だから今こそ、それをずっと内でも外でもない場所から見つめ続けてきた壁男の話を聞くべきだ、彼は新しいメディアなんだ」と言い、壁男は人との繋がりを持たないのでは?と言われると、その中にも変わり者はいるさと笑います。
家に戻ると、響子は切り刻まれた壁の写真を見て愕然とし、「個展は中止だ、写真なんか撮ってる場合じゃない、今は壁男の話に耳を傾けないと」と言う仁科に「ダメよ!」と怒ります。
その頃、鈴木の部屋では娘がチェストの下から箱を見つけて隠し直し、池田はカニの写真に響子の顔を貼り付けてニヤつき、中年男は老婆に粥を食わせていましたがボタボタとこぼれ落ちるだけでした。

仁科は高層ビルの窓辺から街を見下ろし、人は壁に囲まれていなきゃ生きていけない、なのにどうして壁と向き合おうとしないんだろうと話し、響子は写真を撮らないあなたはあなたじゃない、写真を撮り続けるあなたと向き合って生きていたいと懸命に話しますが、壁男の話を止めず遠くを見るばかりの仁科に、どうして(傷のある)右手が私らしいと思ったの?と聞きます。
仁科は初めて彼女の手を取りじっと見つめて、皮膚と言う壁の隙間から君自身が見えた気がしたと言いますが、響子に”私自身”てなに?と言われ、壁男の事はちゃんと決着つけるから大丈夫、安心してと答えます。響子は小さく頷いただけでした。
番組の壁男話は迷走し、響子の上司佐藤も頭を抱えています。響子はキメ台詞を「壁男とはいったいなんなんでしょう?体験談を聞けば聞くほどわからなくなる、壁男さん、この番組を見ていたら応えてください」にしたらと話します。同じ頃仁科も寝室の壁に向かって「応えてくれ」と言い、2人が同時に「あなたは誰ですか?」と聞きます。
”それ”が巡回していた部屋や街頭ビジョンなど全てのテレビに、仁科と響子の顔が半分づつ合わさった顔が映し出されますが、群衆は茫洋とただ見つめるだけでした。

【転】- 壁男のあらすじ3

その夜、帰宅した響子は寝室の壁一面に鈴の付いた文字カードが貼られているのを見て唖然とします。
仁科は壁男に言葉を与えたと言い、私を見て!話を聞いて!と怒鳴る響子にインタビューしろよと言います。彼女は部屋を出て行き、仁科は壁男に安心して出てこいよと話しかけます。
壁男の話は関連グッズや心霊番組、討論番組などに波及し暴走します。
その頃、中村と遠藤の自主映画が完成し、小道具部屋で満足げな彼に遠藤が、壁男の噂広がっちゃったね、始まりは私たちが作ったハガキだったのにとこぼします。中村はぼんやりした目で、すごい反響だったけど、みんなの中に壁男に対する何かがあったからこそで、誰かが死んだりしたわけじゃない、罪の無いテレビネタだと言いますが、仁科がついに部屋にこもったまま写真も撮らなくなり、壁男に取り憑かれてる感じだと言う彼女に、おっさんは単純だなぁ、噂を間に受けんなと笑います。2人は少し黙りこみ、暖かいとこに行きたいねと話します。

ある夜、局で打ち合わせ中だった響子は、件の地下街の改装工事を妨害している男が彼女を呼んでると警察に呼ばれ、取材班と共に現場に駆けつけます。
妨害男は池田で、ナイフを自分の首に当てて彼女に手を振り、壁男の棲み処を守れー!と喚いていました。彼女は取材陣や管理人、警察や工事関係者にもみくちゃにされながらもインタビューしますが、池田に壁男はそもそもあんたが言い出したんじゃないかと言われ、番組だからと口ごもります。彼は「君は壁男を知らないのか?俺は壁男の気持ちがわかる!壁男はテレビが好きなんだ!だから見てんだ!みんなそうだろ?響子ちゃーん!!…」そう叫びながら連行されていきました。
疲れ切って局に帰った響子に中村が、仁科が壁男に取り憑かれてると聞いてたから心配したけど違ってよかったと話します。響子は、実は自分もそう思った、現場に行って彼じゃないと知った時、ほっとする半面なんで彼じゃないんだろうと思ったと。そして現場に着くまでの間、自分が妨害男の仁科にインタビューをして彼は連行され、2人の中は引き裂かれ、それがテレビ中継される…そう考えてゾクゾクしてたと吐露し、ダメだなぁと涙ぐみます。中村は、仁科を心配していた遠藤も連れて一緒に見に行きましょうと励まします。

3人が行くと、仁科の部屋の中は暗く、鈴付きの文字カードが部屋全体の壁に貼り付けられていました。遠藤と中村は恐る恐る奥へと進みますが、響子はテーブルに伏せられていた自分の顔と右手の写真に気づきます。その時遠藤の悲鳴がして寝室に行くと、仁科が壊れた壁に頭を突っ込んだまま血だらけで倒れていました。響子は何度も名を呼び揺すりますが反応は無く、中村と遠藤は救急車を呼びに出て行きます。
その時ふいに鈴の音がして、響子は息をのみます。
鈴は「ニ・シ・ナ・シ・ン・ダ」の順で鳴り、そこにいるの?!あなた誰?!と叫ぶ響子に「カ・ベ・オ・ト・コ」と応えます。彼女は無言で大粒の涙をこぼし、息絶えた仁科に取りすがります。

【結】- 壁男のあらすじ4

仁科は自殺と断定されニュースにはならず、その後、壁男の噂も立ち消えます。沖縄に移住し、雨の日以外は壁の無い生活をしているという中村と遠藤からは元気なビデオレターが届きます。
響子は、番組が手を引いた壁男の話と再度向き合うつもりで、壁男と会ったと連絡をしてきた池田と局内のラウンジで再会します。
池田はこれが壁男の手だと言い、大切そうに欠け落ちた石膏のような右手を見せますが、触ろうとすると壊れやすいからと制します。
彼は、以前から壁男に興味を持ち、壁男とコンタクトをとるうち、壁に引き入れられ壁男となった知り合いの女性(壁女)と手紙を通じてやり取りをしていたと言い、先週事件が起きたと話します。
彼が帰宅した時、壁で何かがもがく気配がして”タスケテ”と言う裏字がナイフで切られたように壁に刻まれ、その手が救いを求めるように出て来たと。自分は必死でその手を掴んだが、引っ張るうち手が折れ、それが手元に残ったというのです。
響子は「その壁女、いや、女性はどんな方だったんですか?」と聞きますが、池田は「響子さん、あなたじゃないですか」と笑いその右手の手の平を見せます。
その手には響子と同じ傷がありました。
池田はその手を彼女に突きつけ、「仁科さんの後を追って、壁の中に入って行ったのはあなたじゃないですか。この手が何よりの証拠ですよ」と言い、見ると響子の右手は無惨に折り取られたように無くなっていました。ラウンジの別な席では血だらけの仁科が「待ってたよ、響子」と微笑んでいて、彼女は悲鳴を上げます。

仁科は寝室で飛び起き、隣で寝ていた響子も身を起こします。
彼は心配そうな響子の右手をシーツの上から握り、大丈夫、変な夢を見てたと言い横になりますが、響子は「夢じゃないよ」と微笑み壁を見つめます。
”それ”は壁の中から、響子と愕然とする仁科をじっと見つめていました。

みんなの感想

ライターの感想

原作は未読なのですが、諸星大二郎の空気感とは別の、概念や理屈が先行したスタイリッシュな作品で、地味ながら不思議な魅力を醸しています。また堺雅人が「リーガル・ハイ」「半沢直樹」でブレイクする以前の作品なので、”優しい微笑みの中に邪悪が潜む(監督談)”彼の、紳士的で都会的な写真家と言った役柄も目新しいかと思います。
”壁男”が巡回する部屋は全て密室で、壁と言う一方方向から見るジオラマのようなのですが、そこに住む住人たちの壊れ具合が”壁男”によって晒し出されていくのがじわじわ恐いです。
監督がホームタウンとし活動拠点としている北海道が舞台で、野外ロケは全て雪の中、スタッフや出演者のほとんどが北海道にゆかりがある方だそうで、タクシー運転手からストーカーまで個性的で愛嬌のある実力派俳優たちが脇を固めているのも見どころかと。
”世にも奇妙な物語”の不条理系ファンの方にもおすすめです。

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