「悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズ」のネタバレあらすじ結末

悪魔の手毬唄(1977年)の紹介:1977年公開の日本映画。横溝正史の同名小説を、石坂浩二を主演に迎えて市川崑・監督が映画化。名探偵・金田一耕助シリーズの第2作。村の二大勢力と悲恋について描く。

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悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズの主な出演者

金田一耕助(石坂浩二)、青池リカ(岸恵子)、別所千恵(仁科明子)、青池歌名雄(北公次)、由良敦子(草笛光子)、由良泰子(高橋洋子)、別所春江(渡辺美佐子)、立花捜査主任(加藤武)、権堂医師(大滝秀治)、仁礼嘉平(辰巳柳太郎)、磯川警部(若山富三郎)

悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①岡山県の鬼首村で二十年前に起きた迷宮入りの事件があり、磯川警部は金田一を呼ぶ。ところが二十年ぶりに村で連続殺人事件が起き、三人の娘が殺された。 ②真犯人は磯川警部が思いを寄せる二十年前の被害者・源治郎の妻・リカ。被害者は加害者でもあり(同一人物だった)、リカは息子の結婚相手の候補が異母兄妹にあたるのを知り、殺害した。

【起】- 悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズのあらすじ1

(この映画のスタート時は昭和二十七年だが、古い事件も関係してくるので、時系列で説明させていただく)
古いしきたりにとらわれた村が、岡山県にありました。周囲を村に囲まれて、外界から孤立したその集落は、名前を鬼首(おにこべ)村と言います。
本来は「おにこうべむら」と呼ばれましたが、徐々に詰まって「おにこべむら」と呼ばれるようになりました。
この村には、旧幕時代には多々良(たたら)という庄屋筋の家が、圧倒的な勢力を持ち、村を牛耳っていました。
ところが多々良は放庵(ほうあん)の代になってから落ちぶれます。というのも、放庵は妻を八人も娶るなど放蕩三昧で、持っていた財産や土地を手放さざるを得なくなりました。
新たに突出してきたのは、由良(ゆら)家と仁礼(にれ)家でした。
由良家は多々良家の山林を買い叩いてのしあがります。通称・枡屋です。
しかしその後、仁礼家がぶどう栽培とぶどう酒造りで財をなしました。通称・秤屋です。
村にはほかに、錠前屋と呼ばれる別所家もありました。
仁礼家が力を蓄えて来たことに、由良家はあせります。
昭和六年の秋。
鬼首村に恩田幾三という男が現れました。恩田は三十五~六歳の金縁眼鏡をかけ、鼻の下にちょび髭を生やした男です。
恩田はモール作りを農家の副業に持ち込みました。クリスマスの時などに木に飾るキラキラした飾りのことで、輸出するためのものです。
ちょうど満州事変の始まった頃で、不景気だったこともあり、由良家の当主が恩田の案に飛び付きました。
しかし恩田は詐欺師だったのです。あせってモール作りに手を出した由良家は、これがきっかけで没落してしまいました。
そして事件は起こります。
亀の湯の主人・青池源治郎が恩田に会いに行った後、顔を囲炉裏で焼かれた死体で発見されたのです。
顔が焼かれていたため、判別はつかなかったものの、衣服から被害者は源治郎と思われました。そして犯人と思しき恩田は、以後消息不明です。これが約二十年ほど前のできごとです。
さて現在、昭和二十七年、岡山県鬼首村。
名探偵の金田一耕助は、磯川警部に呼ばれて鬼首村へやってきました。今回の依頼主は磯川警部です。
磯川警部は二十年近く前の事件がずっと気がかりでした。亡くなった源次郎の妻・青池リカのためにも、なんとか事件を解決したいと思って、金田一を呼んだのです。 この映画を無料で観る

【承】- 悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズのあらすじ2

また磯川警部は事件を調査し直して、「被害者と加害者が入れ代わっている可能性もある」と考えていました。昭和初めの事件なのでDNA鑑定もできず、一般人は写真もあまり撮らない時代の話です。そしてそれは、昭和二十七年になっても同じことでした。
青池リカには子どもが二人います。長男の歌名雄と長女の里子ですが、里子は生まれつき身体の左半分に赤い痣があり、それを気にしてあまり外に出ません。
青池リカの息子・歌名雄は現在、葡萄酒工場に勤務しており、由良泰子という恋人がいました。ところが仁礼家の娘・文子も歌名雄に思いを寄せており、父の権力を使って見合い結婚に持ち込もうとします。
特に仁礼家は結婚に積極的で、ぜひ文子の婿にと歌名雄の母・リカに言っていました。歌名雄が村でも人気者の男性であり、それを由良家に取られたくないことと、娘・文子が本当に歌名雄のことを好きだからでした。
さて金田一は村へやってくると、早速二十年ほど前の事件について調査し始めました。最初に恩田を村へ連れて来た多々良放庵のところへ、話を聞きに行きます。
放庵は話をした後、金田一に代筆を頼みました。自分の五人目の妻・おはんが再縁を望む手紙を書いて寄越したので、返事を書いてほしいというのです。金田一は代わりに筆を執って手紙を書きました。
村にいた別所春江の娘・千恵は、現在は国民的スターとなっていますが、その父親は恩田だと聞いた金田一は、総社まで調べに行きます。
村境で金田一は、おはんと思しき老女が村へ入って来るのを見ました。
総社で井筒いとから話を聞いた金田一は、確かに別所春江と恩田が関係があったことを聞きました。ほかにも、村人の間では秘密にされていることですが、恩田は仁礼咲枝との間に文子を、由良敦子との間に泰子を作っていました。
金田一が総社から戻って来ると、放庵は行方不明になっています。部屋には吐血の痕があり、土間の水甕の蓋の上にはヤマトリカブトという毒草が置かれており、甕の中にはサンショウウオが入っていました。
村の出身・別所春江の娘・千恵は大空ゆかりという歌手になっていました。千恵がやってくるというので、村は歓迎ムードです。
その歓迎会の夜、由良泰子がいなくなりました。歌名雄と友人の別所五郎が探しまわり、午前4時に滝壺で泰子の遺体を見つけます。

【転】- 悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズのあらすじ3

泰子の遺体は、漏斗(じょうご)を口に入れられて、枡(ます)が添えられた状態で発見されました。この村に古くから伝わる手毬唄になぞらえた形です。
手毬唄の一番は「うちの裏の前栽に雀が三羽とまって一羽の雀が言う事にゃ言う事にゃ
おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き わけても好きなが女でござる
女だれが良い升屋の娘 升屋器量よし蟒蛇(うわばみ)娘 升で量って漏斗で飲んで
日なが一日酒びたり酒びたり それでも足りぬと返された」というもので、最後の「返された」は、昔は方言で殺されたという意味でした。
この手毬唄の歌詞を知る人物を訪ねて金田一が行きますが、老女・由良五百子(いおこ)は認知症が進んでいるのと耳が遠いのとで、なかなか会話になりません。
先に歌詞の要所だけ触れておくと、一番は枡屋つまり由良家の娘のことを歌っており、二番は秤屋つまり仁礼家の娘で、「大判小判を秤に掛けて」、三番は錠前屋つまり別所家の娘で「錠前狂えば鍵合わぬ」という内容でした。但しこの段階では、残念なことに五百子は歌詞を思い出せず、殺人が起きてから思い出すありさまです。
また犯行現場には「あなたのお父さんの秘密を知りたければ来い」という泰子宛の手紙が、放庵の名で残されていました。
恋人が死んだことで歌名雄は嘆きますが、歌名雄を婿にと考えている由良家にとっては、幸運なことでした。
由良家の娘・文子は、本当は嘉平の娘ではありません。嘉平の妹・咲枝が恩田との間にできた子を娘として引き取り、咲枝はその後、鳥取に嫁に出していました。
その文子が今度は遺体となって発見されます。ぶどう酒の酒蔵の中で殺されており、大判小判と分銅型の秤が遺体の上につるされていました。
別所千恵の母・春江に恩田の身体的特徴を聞くと「足の中指が人よりも長かった」と答えます。それをもとに警察署に保管されている二十年前の資料を見ると、遺体は足の中指が長く、死んだのは源治郎ではなく恩田の方だと判明しました。
この時点でまだ三番の歌詞は不明でしたが、金田一はある推測に基づいて次は別所家の者・千恵が狙われると考え、磯川警部にそれを告げて村を留守にします。
表向きは総社へ行くと出かけた金田一は、本当は神戸に行きました。そして青池リカの夫・源治郎について調べます。
源治郎は若い頃、青柳洋二郎という名で弁士(無声映画の時代に解説をする役目)の仕事をしており、寄席で三味線を弾くリカと出会って結婚しました。

【結】- 悪魔の手毬唄(1977年)-金田一耕助シリーズのあらすじ4

若い頃の二人は神戸で暮らしていましたが、トーキー映画(音声入りの映画)が普及するにつれて仕事がなくなり、青池夫妻は鬼首村へ戻ります。
親の承諾なしに恋愛結婚をした二人は、最初、村でも肩身の狭い思いをしました。二人の理解者は放庵のみでした。源治郎は村にあまり顔を出さずに過ごします。
金田一は弁士時代の源治郎の写真を手に入れて、村へ戻りました。
ところがその間に、第三の犯行が起きてしまいます。ところが殺されたのは別所千恵ではなく、青池里子でした。青池リカは嘆きます。
村へ戻った金田一は、源治郎の写真を別所春江と、葬儀のために鳥取からやってきた文子の母・咲枝に見せました。すると二人とも恩田の写真だと口を揃えて言います。
実は…恩田と源治郎は同一人物でした。
源治郎はモール作りの仕事を持ち込む際に、以前に村人に冷たくされたこともあり、恩田という偽名を使います。
そして名家の娘たちと次々に肉体関係になって、由良泰子、仁礼文子、別所千恵という娘をなしました。
ところがその頃、放庵が恩田の正体を源治郎と見抜き、源治郎の妻・リカにその話をします。
一人二役を終わらせるために、リカは夫を殺し、恩田という架空の人物に罪を着せました。
当座はそれでよかったのですが、二十年後になって再び青池リカは悩まされます。
自分の息子・歌名雄が泰子と恋人同士になり、結婚したいと言い出したからです。
歌名雄と泰子、文子、千恵はいずれも母は異なりますが、父親は恩田であり源治郎です。近親相姦になります。
それを言えないリカは、歌名雄の結婚相手となりそうな泰子、文子を殺したのです。念のために歌の三番のとおり千恵も殺そうとしましたが、真相に先に気づいた娘・里子が千恵の振りをして母の犯行を受けました。
放庵は、リカが源治郎を殺したことを知っており、二十年前の殺害現場でリカを脅して手込めにしていました。
その恨みから、リカは放庵の犯行に見せかけようとして放庵を最初に殺し、遺体は放庵の妻の墓に入れて隠していました。
金田一に真相を暴かれたリカは、罪を認めます。そして墓の遺体を確かめに金田一と磯川警部が留守になった隙に、巡査の目を盗んで沼に入り自殺しました。
二十年前の事件も、今回の事件も解決します。
総社駅まで磯川警部が金田一を送りに来ました。磯川警部はリカの息子・歌名雄を引き取って、岡山の農業専門学校に通わせるそうです。
「リカさんを愛していましたね」という金田一の問いは、汽笛でかき消されましたが、見送る磯川警部の横の柱に「総社(そうじゃ=そうだ、肯定)」という駅名が大きく表示されました。

みんなの感想

ライターの感想

金田一耕助シリーズの映画。おどろおどろしい内容で、手毬唄になぞらえた見立て殺人を扱っている。
時代設定は終戦の割にすぐ後だし、現在見るとやはり理解しにくい点が多かろう。
特に写真があまりない…ということがびっくりかも? 写真が一般の人にも流通したのって、この数十年くらいのことなのだなあ。しみじみ思い知らされる。
けっこうごちゃごちゃする割には、動機があっさりしているというか、「殺さず真実告げればいいじゃん」と思ってしまいがちなのだが、母・リカとしてはそれができなかったのだろう。
磯川警部の純愛も見どころ。

    シンさんの感想

    確かに、三人も殺す(一人は間違って犯人自身の娘が犠牲になるのだが)くらいなら、真実を告げればよほどいいだろうという点には深く頷けます。
    やむにやまれぬ事情というほどのものは感じらず、結末は拍子抜けする感は否めません。

    ヨガ戦士さんの感想

    先日旅先で総社市を通過しました。それだけで涙ぐみそうでした。40年前に映画を見て以来「悪魔の手毬唄」=「そうじゃ」です。磯川警部がいじらしかった。石坂浩二ファンでしたがこの作品は断然若山富三郎が印象深かったです。

    なななしさんの感想

    「横溝×市川」映画はどれも大好きですが、「悪魔」は風景の映像がとても“恐い”。林檎の木の感じも恐い。
    何度も観てますが、「何も殺さなくても…」とか「昭和初期の日本警察って、そんな雑だったの?」と思ってしまうのは確か。
    幼少の頃、初めて観た時から忘れられないのがオオサンショウウオの登場シーン。かなりのトラウマで当時はお風呂の蓋を開ける度に思い出していた…

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