「黒い家(1999年)」のネタバレあらすじ結末

黒い家(1999年)の紹介:1999年公開の日本映画。貴志祐介の同名小説を原作とする。保険金殺人を題材とした内容で、本作品の発表翌年に発生した和歌山毒物カレー事件と内容が酷似していることで話題となった。

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黒い家(1999年)の主な出演者

若槻慎二(内野聖陽)、菰田幸子(大竹しのぶ)、菰田重徳(西村雅彦)、黒沢恵(田中美里)、葛西好夫(石橋蓮司)、松井刑事(町田康)、三善茂(小林薫)、金石克己(桂憲一)、角藤(伊藤克信)、大迫外務次長(菅原大吉)、木谷内務次長(佐藤恒治)

黒い家(1999年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①石川県金沢市の昭和生命北陸支社の若槻主任は、菰田家の息子・和也の首吊り死体を発見。義父・重徳はその日から保険金の催促に連日やってくる。重徳がサイコパスと思った若槻は妻・幸子に警告の手紙を出した。和也の保険金が払われ、落着したかにみえた。 ②再び菰田家から保険金請求の書類が出される。重徳が両腕を欠損して入院していた。サイコパスは妻・幸子の方だと気づいた時には遅く、若槻は幸子に狙われる。若槻は幸子を撃退したが、トラウマは残った。

【起】- 黒い家(1999年)のあらすじ1

石川県金沢市。
昭和生命北陸支社の総務主任・若槻慎二は、若い男性ながらも精力的に仕事に取り組んでいました。
最近では病院ぐるみで保険金詐取などもあるので、若槻の勤務する昭和生命でも査定をきちんと行ないます。
角藤嘉毅という入院患者は、最初は胃潰瘍で病院に入院し、入院中に肝機能障害が現れたとし、さらに今度は糖尿病だといって入院給付金をせしめようとします。
1回の病気におりる給付金の上限が120日なので、ちょうど120日過ぎるごとに病名が変わる…という悪質なケースでした。
病院へ見舞いに行った若槻は、やんわりと契約解除の同意書を出しますが、角藤は怒って追い返します。
悪質なケースには「つぶし屋」なる者を派遣するのが昭和生命の対策でした。
元はばりばりのスジ者(ヤクザ)で、結婚を機に足を洗った中年男性・三善茂を、角藤の元に派遣しました。するとあっという間に三善は同意書を持って帰ります。三善いわく「やりやすい相手だった」とのことです。
生命保険会社には、あの手この手で保険金をせしめようとする輩が現れるので、保険会社の方でもいろいろと対策を練るのですが、若槻はそんな職場でストレスが溜まりました。趣味の水泳をして気を紛らせますが、若槻の泳ぎ方は独特で、水しぶきがやたら立ちます。
若槻のもう1つの心の支えは、恋人・黒沢恵の存在でした。
ある日、若槻は奇妙な電話を受けます。
「自殺した場合、保険金は出るんですか」
女性の言葉に、若槻は女性自身が自殺するのではないかと思ってしまいました。
「ご加入から1年の間は自殺でのお支払いは免責となっておりまして」と説明する若槻を遮り、女性は「メンセキ」と繰り返すので「お支払いできないということです」と答えます。
黙り込んだ女性に対して、若槻は「自殺はよくないですよ」と止めます。すると女性は若槻の名を問いました。若槻は「与(くみ)しやすい(扱いやすい)」とつけ込まれたのですが、この時の若槻は気づきませんでした。
後日、契約者の菰田重徳(こもだ しげのり)という面識のない男から若槻は名指しされ、家に行きます。重徳の家は古い日本家屋の一軒家でした。夏の終わりで、庭には枯れたひまわりが立ち並んでいます。
ドアチャイムを鳴らしても応答がありません。ところがすぐに重徳(劇中の重徳はよく緑色系統の服、緑のアイテムを持っている、軍手の縁も緑色)が戻ってきて、家にあがれと言いました。玄関先に息子・和也の靴があると言った重徳は、人見知りする子なので「ちょっとそこの襖を開けてくれるか」と若槻に指示します。
若槻が襖を開けると、隣室では小学校低学年の息子・和也が首を吊ってブランコのように揺れていました。子どもの首吊り死体を見た若槻は取り乱します。
警察の事情聴取を受けた後、若槻はどうも割りきれないものを感じました。第一発見者に仕立てられたように思ったからです。
調べてみると、菰田家の契約は富山支社が受けたものでした。契約を取ったのはもう辞めている主婦の女性・大西光代です。菰田家の妻・幸子(37歳)と光代は小学校の同級生でした。当時はあまり親しくなかったのですが、パチンコ屋で再会した折に、11月戦(保険の契約で力を入れる月)で必死だった光代が幸子にパンフを渡し、3日後に夫・重徳から電話で連絡が入って契約したそうです。
夫婦で死亡保険金3000万円と、子どもの死亡保険金500万円がかけられ、菰田家の支払いは月々61872円です。決して低い金額ではありません。
死んだ和也は幸子の連れ子で、重徳と幸子は2年前に再婚していました。その際に重徳が苗字を変えて幸子の苗字・菰田になっています。
それを聞いた上司・葛西好夫が「名寄せ(名前検索で過去のデータを照会すること)」しました。すると、旧姓・小坂重徳は「指狩り族」と呼ばれる人物でした。
「指狩り族」とは、自分の指をわざと落とすことによって、障害給付金を得る人のことです(指をなくすと日常生活に支障をきたすので、額の高い障害給付金がおります)。重徳は「左手第一親指の切断」と書かれていました(五本指の中で親指は喪失時の不便が多いので最も高く、次に人差し指が高くなります)。
重徳の妻・幸子が昭和生命北陸支社に顔を出しました。幸子は黄色い服を着ており(劇中の幸子はよく黄色い服、黄色いアイテムを持っている)、若槻が切り出したお悔やみの言葉を遮ると「和也の給付金、いつおりるの? なんでこんなに時間かかるの?」と聞きます。
ここで幸子の異常性にも気づけばよかったのですが、若槻が見つけたのは幸子の手首にあるリストカットの傷でした。先日自殺で保険金がおりるかという問い合わせは幸子だったのかと思うと同時に、幸子が気にしていたのは「和也が自殺に見せかけて重徳に殺されるのではないか」という恐れだったのでは…というふうに考えたのです。「和也が重徳の実子ではなく、連れ子だった」ことも関係しました。
翌日から連日、重徳が北陸支社に顔を出します。重徳は欠損した指を隠すために左手に常に軍手をしているので、保険会社では「軍手の人」と呼ばれました。

【承】- 黒い家(1999年)のあらすじ2

重徳は和也の保険金の問い合わせをし、まだ確認することがあると答えると「そうか、まだなのか~~」と嘆くのみで、怒鳴ったりわめいたりはしません(怒鳴る&わめくことをすると業務妨害で追い返すことができるが、嘆くだけだと無碍に追い払えません)。
連日の重徳の到来に、若槻と上司・葛西と木谷内務次長は頭を悩ませました。
若槻は契約に至る経緯を聞きに、富山県新湊市の中伏木に住む大西光代に会いに行きます。
光代と幸子は小学生当時、ほとんど話をしたことがありませんでした。幸子の母は男と駆け落ちし、幸子は父に育てられたそうですが、腕や背中に折檻の痕をつけて登校したそうです。
なんと、幸子の現夫・(小坂)重徳も小学校の同級生でした。重徳は祖母と2人暮らしで、祖母が亡くなった後は全国を転々としていたらしいです。
小学6年の時、同級生の女児が1人行方不明となり、池に浮いているのが後日見つかりました。容疑者は見つかりませんでしたが、重徳がやったという噂が当時流れます。その直前に、女児につきまとっていたからです。
ところが事件当時、重徳にアリバイがあったために容疑が晴れました。アリバイの証言をしたのが幸子だそうです。
小学5年時の女性担任・橋本教諭に話を聞きに行くと、30年近くも前のことだと断って、重徳は色々問題がある子だと覚えており、幸子は目立たない子だったと言いました。橋本教諭は、作文嫌いの子でも書いてくれるということで、将来の夢ではなく「寝ている時に見た夢」というタイトルで作文を書かせて文集にしていました。
『ゆめ 小さかしげのり
 ばあちゃんが、しんだひとはゆめであいにくるんだよと、いってたし、ゆめのなかでとうちゃんとかあちゃんが、ぼくをみてたからうれしかった。だけど、もうあえない。もういっぺんあいにきてほしいのに、もう、ゆめにもでてきてくれなくなってしまいました。おわり』
重徳の文字は大きく、比較的整っていました。
対照的に幸子の作文の字は小さく、原稿用紙のマス目の中央におさまっています(注:劇中では後に出てくるが、便宜上先に紹介する)。
『ブランコの夢 私はブランコに乗ってこぎました。/ブランコでこいでいたら、どんどんかそくがつくようになって、上まで行くようになりました。/一周回りそうになるくらい、高くなりました。/一番高くなってから、私はすべって、ブランコから落ちました。それから、暗い、何もないところへ、ずっと落ちていきました。』
金沢に戻ると、まだ重徳が連日支社を訪れていました。重徳はある時「あんた、どこに住んどるんか。市内のどこ?」と若槻に質問し、若槻が答えないと衝動的に自分の右手の人差し指を血が出るまで強く噛み始めます。
あまりのことに若槻は声も出ず、奥から出てきた上司・葛西が制止しました。若槻は、重徳が怪しいという疑いを深めます。
恋人の恵と会っていても気が滅入る若槻は恵に相談し、大学に勤務する恵は犯罪心理学の専門の教授・金石克己を若槻に紹介しました。若槻は匿名にして、重徳(Kという名で金石に見せた)と幸子(Sという名)の作文を見せます。
重徳の様子と作文を見せると、金石教授は「情性欠如症ではないか」と指摘しました。情性欠如、抑制欠如、爆発性が加わると「反社会性人格障害」つまりサイコパスだというのです。
金石教授は異様なまでに、重徳に興味を示しました。顧客のことなので若槻は名前を伏せましたが、金石教授は重徳に会いたがります。
恋人の恵は、幸子の作文に興味を示しました。似たような感じの夢の話を、どこかで読んだことがあると言いますが、思い出せません。恵は金石教授の意見に懐疑的で「心を持たない人間なんているのだろうか」と疑いました。若槻は保険金会社に勤務して、毎日おかしな顧客と会っていると告げますが、恵はそれでも否定します。
帰宅した若槻の家に、不思議なFAXが届きました。手書きではなくワープロで出力された文字で、「ご想像に、お任せします。」と大きく書かれています。
重徳は相変わらず毎日支社に顔を出しました。ある日、落ち着きのない男性が重徳をカメラで撮ったり、熱心に重徳に話しかけていたと上司・葛西が言い、若槻は金石教授だと思います。
金石教授は若槻を呼び出すと、「あの男はあなたを殺す危険性がある。サイコパスにはごく普通の人の論理が通用しない」と警告しました。最近の日本ではサイコパスの増加で、サイコパスが目立たなくなっている現状も告げます。
恵から手紙を送ったと電話があり、郵便物をチェックするのを怠っていた若槻は取りに行きました。郵便受けには昆虫が入っており、恵の手紙の封筒には緑色のインクが付着していました。重徳の軍手にはよく緑色の塗料が付着していることと重ね合わせ、若槻は不気味に感じます。部屋のファックスからは「しぶき、たてすぎ。(若槻の水泳の指摘)」の文字が、エンドレスで流れました。

【転】- 黒い家(1999年)のあらすじ3

…警察が息子・和也の死を自殺と判断し、保険金支払いが決定します。
これで一件落着だと大迫外務次長と木谷内務次長は安心しますが、上司・葛西は「まだ、むしろこれからかも」と言い、若槻も保険の必要性がないのに高額の保険金を支払い続けていることから、葛西の意見に同意しました。
次は妻・幸子が危険な目に遭遇するのではないかと考えた若槻は、警察に勤務する者だと嘘をついて、幸子に警告の手紙を送ります。次の犠牲者はあなたかもしれないから、今すぐ保険の解約をするか、受け取り人の名義を変更した方がいいと無記名で書いて送りました。
若槻の名刺を持った遺体が発見されます。遺体は着衣がなくバラバラにされており、唯一の手がかりが名刺だったので、若槻は遺体の身元確認に立ち会いました。それは金石教授の遺体でした。
金石教授のてのひらに一直線にできた傷を若槻が聞くと、警察は「1週間から10日以上換金され、水しか与えられず、継続的に拷問を受けて死んだものと思われる(傷は拷問の時にできたもの)」と答えます。
若槻は応対した松井刑事に重徳の異常性を訴えますが、サイコパスの存在を信じられない松井刑事は、若槻の言葉を取り合いませんでした。
恵が作文について自分なりの結論を言います。但し重徳ではなく、幸子の作文の方にです。
フォン・フランツという心理学者の例を挙げた恵は、幸子の作文には情緒的な言葉が記載されていない…つまり、この人間には心がない、と言いました。
サイコパスは重徳ではなく、幸子の方だったのです。この事実を知らされた若槻は驚きました。和也が幸子の連れ子だったことや、幸子の手首の傷を見て、重徳が異常者だとばかり思い込んでしまっていたので、幸子の方を疑ったことがありませんでした。
その矢先、菰田家から再び保険金請求の書類が提出されました。若槻と上司・葛西が病室を訪ねると、重徳の両腕の肘から先が欠損しています。
重徳は口をきかず、代わりに付き添っている幸子が淡々と応対しました。事故の経緯を教えてくれと頼む葛西に答えます。
以前から重徳は工場で裁断機を使う仕事をしていましたが、火曜日から機械の調子が悪く、仕事が終わってからも重徳は機械の点検をしていたそうです。その時、刃をストッパーで止めるのを忘れてしまい、何かの弾みでスイッチが入ってしまったとのことでした。
工場の上司は残っておらず、たまたま帰宅が遅い重徳を見に工場へ行った幸子が、事故直後の重徳を見つけたそうです。
幸子は重徳の容態を気にする素振りもせず、臆面もなく若槻らに「それで、保険金、いくら出ますの?」と聞き、「高度障害っていうの? この人死んだら、またお金もらえますの?」と重ねて聞きました。
重徳の手術を担当した女医・波多野医師は「切断された腕が見つかっていれば繋げることは充分可能だった。腕は4~5時間経って幸子が持ってきた。ビニールに包んで氷で冷やして持ってくれば、6~12時間はもつのに、幸子はむきだしのまま新聞紙にくるんで持ってきた(だから繋げることができなかった)」と言います。
若槻は上司・葛西に、和也が自殺する前に匿名で「自殺で保険金が出るか」という問い合わせがあったことを話し、葛西は幸子を指して「あれは人間じゃない」と判断を下し、つぶし屋・三善の派遣を決定しました。
三善は重徳の病室を訪れ「ここまでやるとは、やりすぎ」と言って幸子に契約解除の同意書を突きつけます。幸子は印鑑を取りに行かねばならないと言って三善を家に連れ込み、監禁&殺害しました(後に出てくる)。
若槻は幸子が再婚だったことを思い出し、前の姓・白川から名寄せします。白川幸子時代にも、息子・義男が死んでおり保険金が支払われていました。死因は「縊首・絞首及び窒息による加害にもとづく障害及び死亡」とあり、和也とそっくりな死に方です。
三善を拉致した幸子は、若槻のマンションの部屋に上がり込みました。帰宅した若槻は、偶然ですが自分の部屋に入りこむ幸子の姿を見て、急いで非常階段で階下におりると、外の公衆電話から自室に電話をかけます。そして電話機を遠隔操作して、部屋のモニターをしました。
幸子は手あたり次第、若槻の部屋のものを破壊しながら「ちくしょう」などとぶつぶつ喋っていました。その中に若槻の恋人・恵を既に拉致していて、殺してやると言っているのを聞いた若槻は、警察に電話して松井刑事を指名し、恋人の恵が殺されると言います。
そしてタクシーを拾って菰田家に行くと、庭側のガラス窓を割って土足のまま侵入しました。家の電灯がつかないので、ライターの火をつけて部屋を捜索します。ある部屋にはマネキン人形とバイブレーターがあり、落ちた拍子にバイブのスイッチが入りました。若槻は放置して部屋の捜索を続けます。
台所は荒れており、手前の床下収納を開けると三善の死体が入っていました。怯えながらも懐中電灯を見つけた若槻は、続いて浴室に行きます。
浴槽の中に新聞紙とガムテープでぐるぐる巻きにされた恵を見つけました。恵は幾度も拷問を受けたようで、若槻が起こしても若槻と気づかず、パニックに陥ります。 この映画を無料で観る

【結】- 黒い家(1999年)のあらすじ4

若槻は恵を連れて脱出しようとしますが、その時に幸子が戻ってきた物音がしました。逃げられなくなった若槻は、廊下の突き当たりにあるクローゼットに恵を連れて隠れます。
帰宅した幸子は、ブレーカーを上げて電気をつけました(若槻侵入時に部屋の電灯がつかなかったのは、外出のたびに幸子がブレーカーを落としていたため)。バイブが動いているのを見て侵入者があったのを知った幸子は、肉切り包丁を持って部屋を見回ります。
小さな物音を立ててしまい、幸子が廊下突き当たりの若槻らが隠れている場所へ近づいてきました。包丁をクローゼットの隙間越しに突き立てられそうになった瞬間に、パトカーのサイレンが響きます…。
…幸子は車で逃亡しました。若槻と恵は救出され、菰田家では三善の死体のほか、十数体の白骨化した遺体が発見されたそうです。うち1体は幸子の前の夫・白川のものと確認されましたが、残りはまだ身元が判明していません。
恵は精神を患い、実家に戻っていました。若槻は恵の実家に電話をかけますが、恵の母親に取り次いでもらえません。
幸子が逃亡に使った車が運河に沈んでいるのが発見されましたが、幸子の生死は定かでないままでした。
何事もないまま日が経ち、若槻も少しずつ事件の衝撃から立ち直ってきました。
6月、百万石祭りの時期、保険契約の成績優秀者の中年女性・高倉嘉子から屋外電話がかかってきます。外線にはカメラがついており(菰田家の一件で警備を強化して新たにつけたのか、事件前からカメラがあったのかは不明)、高倉は「折入って話したいことがあるので、今夜10時に会いたい、お願いします」と言いました。注意して見れば高倉の左横に黄色い服(幸子)がちらっと見えるのですが、若槻は気づきません。夜10時という遅い時間指定に首を捻りながらも、受けました。
電話の直後、若槻らのオフィスに投石があり、窓ガラスが大きくひび割れを起こします。
女性事務員から新人研修の弁当が1つ足りないという報告を受けました(幸子が潜伏している)。
残業をしている若槻に、守衛が声をかけます。何かあれば守衛室に声をかけてくれと言って、守衛は立ち去りました。
10時を過ぎても高倉は現れず、若槻は用を足しに席を立ちます。廊下に出ると女子トイレの電気が点滅していました。
男子トイレで用を足していると、窓ガラスに巨大な三日月が見え、それが満月になりました。見入っていた若槻は、それがボウリングのボールと気づいた瞬間、ボールは窓ガラスを割ってトイレに落ちてきます。ボウリングは幸子の趣味で、たびたびボウリングに行く幸子の姿が幾度も出てきていました。
落ちたボールを触ろうとして両手のひらをガラスの破片で切った若槻は、破片を払うとトイレットペーパーで血を拭い、便器に流そうとします。
流そうとした瞬間、洋風便器の水たまり部分に赤い金魚を見つけた若槻はレバーを戻そうとしますが、時すでに遅く、金魚も流れていきました(若槻は幸子に荒らされた自室の部屋に、赤い金魚を飼っていた。同じ金魚ではないと思うが念のため記載しておく)。
ショックを受けながらトイレからまろび出た若槻はオフィスに戻りますが、蛍光灯が点滅し始め、電話は繋がりません。
廊下へ出た若槻はエレベーターも反応しないと気づき、廊下の照明も点滅し始めたので、非常階段でおりようとしました。4階におりた時、首を切られて倒れた守衛の遺体を見つけて、若槻は驚きます。
上からボウリングのボールが落ちて来たので、若槻は上ばかり気にしておりました。その若槻の背後に幸子が刺身包丁を持って立ちはだかります。
幸子が切りかかって来て、若槻は右手のひらをすぱっと切られました。背を見せて逃げる若槻に幸子がのしかかり、耳を噛みます。若槻は肘で幸子の腹に攻撃し、振り落とすと包丁を握りました。幸子は「あ゛ーーーー! あ゛ーーーー!」と言いながら若槻の股間を蹴り、若槻を仰向けに倒すと首を絞めます。
「私も切られたの。寝てる時に、親に手首を。保険金もらうために。同じことして何がいけないの? ね、何がいけないの?」と言った幸子は、若槻に唇を重ねると「乳しゃぶれーーー!」と言って胸を露出し、若槻に舐めさせます。
その後「下手くそー!」と言って両頬をビンタしました。若槻も奇声をあげながら両手で幸子の首を絞めます。
動かなくなった幸子にびびりながらも、若槻は消火器を持って噴霧しました。視界が悪くなり、霧が晴れた時に包丁を持った幸子が若槻の左ふくらはぎをすぱっと切ります。
幸子は包丁を手に這いながらのぼり、若槻も這いながら階段の上に逃げました。若槻はボウリングのボールを拾って振りかぶると、幸子の頭めがけて投げました。幸子の頭部に当たり、幸子は階段の下の壁に頭を打ち、崩れ落ちました。幸子は死にます。
若槻は恐怖のあまり、失禁しました。
…幸子は死亡しましたが、若槻は正当防衛が認められます。
恵が精神病院から退院しました。恵に会った若槻は「またいつものように会えるんだよね」と抱きしめますが、恵は無反応です。2人の関係が元に戻れるかは不明です。
仕事終わりに、上司・葛西らに誘われた若槻は、ボウリングに行くことになりました。若槻は一瞬たじろぎますが、同僚6人と出かけます。
ストライクを取った若槻を皆が褒め、若槻は少しいい気分になりますが、ボールリターン(ボールが戻って来る機械)から出て来た黄色いボールを見て、幸子の「あ゛ーーーー!」というわめき声を思い出しました。若槻が事件のトラウマから完全に立ち直る日は、まだまだ先のようです。

みんなの感想

ライターの感想

見終わった後「お疲れさま」と出演者全員に言いたい。いやあ、力作。
DVDのパッケージにもなっている「子どもの首吊り死体が揺れている」この映像は、ほんとに印象が強い。これが映画序盤のこと。
序盤では重徳があやしいとミスリードさせるので、重徳の奇怪な様子がよく描かれている。なんか普通の人じゃない感じがよく出ている。
(原作では確か、発達障害みたいなふうに描かれていたように思うのだが、すみません。原作を読んだのがだいぶ前なのでうろおぼえです)
しかし妻・幸子もじゅうぶんあやしいのだというのは、けっこう初めのほうから出ている。大竹しのぶの独特なしゃべりかたが、またなんとも気持ち悪い感じをよく出している。
原作にない映画オリジナルで非常にインパクトがあるのは、終盤の「乳しゃぶれ」。
これはいきなりカオスの世界に放り込まれた感じで、最初に見たとき吃驚した。
非常階段のシリアスなバトル。そのなかで急に出てくる「乳しゃぶれ」発言。幸子の異常ぶりが際立つ、非常にいい演出。
こんな目に遭遇しちゃったら、社会復帰するの、たいへんだろうな。

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