「わが恋せし乙女」のネタバレあらすじ結末

ラブストーリー

わが恋せし乙女の紹介:捨て子だった美子と兄妹として育った甚吾。いつしか彼は美子に妹以上の感情を寄せていた。
巨匠木下惠介監督がハリウッドの無声映画にインスパイアされた企画を脚本化し撮影した作品。切ない恋物語を甘美に描出した木下流ロマンティシズムが発露されている。戦後の開放的気分の中で公開された1946年(昭和21年)の作品。

予告動画

わが恋せし乙女の主な出演者

甚吾(原保美)、美子(井川邦子)、きん〈母〉(東山千栄子)、次郎(大塚紀男)、野田(増田順二)

わが恋せし乙女のネタバレあらすじ

【起】- わが恋せし乙女のあらすじ1

村から離れたのどかな浅間牧場。ある日、白いドレスにくるまれた赤子が捨てられているのを牧童・喜造が発見し、辺りは騒然となります。身投げした赤子の母親は、美しい子に育てと願いを込めて“美子”と名付けたという遺書が残されていました。

牧場を営む母・きんの愛情を受け美子はすくすくと成長し、きんの息子・甚吾と兄妹として育ちます。甚吾は美子を実の妹のように可愛がり、たくさんの思い出を共有しました。

やがて美子は名前通りに地域でも一番麗しく、歌も上手な女性となります。美子は若い牧童たちの憧れの的で、娯楽の少ない牧場では美子を囲んで彼女の歌声にみな聴き惚れています。5年ぶりに無事戦地から家へ戻ってきた甚吾も、すっかり大人になった美子に感心し、彼女に見とれました。甚吾は美子に妹以上の感情を抱いていたのです。

【承】- わが恋せし乙女のあらすじ2

自分が捨て子だと理解している美子ですが実の母を恨むことも無く、自分がくるまれていたドレスを形見にし、時々日干ししては大切に保管していました。もうじき母の命日がやってきます。

美子は牧場で作ったバターと牛乳を村長と野田という人に届けるようきんに頼まれると、張り切っておしろいをはたき、意気揚々と馬に乗って村へ向かいました。見送った甚吾に、牧童・次郎が「好きなんでしょ」と話しかけてきます。軽くあしらう甚吾に次郎は、今年の春に亡くなった祖父・喜造から美子が捨て子だと聞かされており、さらに甚吾が兵隊から帰って来たら美子の気持ちを聞かないといけないと喜造が話していたというのです。それを聞いた甚吾は、慌てて美子を追いかけました。追いついた甚吾は美子に「何か用?」と問われても黙りこくります。一方の美子は、兄さんが兵隊から帰ったら言おうと思っていたことがあると話し始めますが、なかなか言い出せません。甚吾も言いたことがあると告げるも、簡単には気持ちは伝えられず、2人は5日後の豊年祭の時に話そうと約束をしました。

村に着いた美子は役場に勤める野田という青年にバターを渡します。実は美子には既に想い人がいて、それが野田でした。野田は戦争で負傷し左脚が不自由です。美子は祭の晩に2人の関係を甚吾に伝えると話すと、己の体を気にする野田は、自分から先に挨拶した方がよいのではと躊躇います。あなたのことはみなが尊敬しているから大丈夫だと、美子は澄んだ目で野田を見つめました。

【転】- わが恋せし乙女のあらすじ3

豊年祭の日。甚吾は思いがけずきんから、気心も知れている美子と一緒になってくれればいいと言われ、助太刀をもらったような気持ちで胸を躍らせます。次郎が花飾りを付けてくれた馬車に乗って、甚吾と美子は村へ向かいました。

祭では村人たちが盆踊りに興じ、打上げ花火があがっています。盛り上がる踊りの輪の中に美子の姿がなく甚吾が探しに出かけると、笑顔を浮かべて野田と会っている美子を見つけました。その様子に甚吾は呆然とし、花火や太鼓の音だけが虚しく響きます。もう帰ろうと甚吾は次郎に美子を呼びに行かせると、次郎もまた美子の想いを知ることとなりました。
帰りの馬車。甚吾から話を切り出す約束でしたが、出来る訳もありません。代わって美子が「大好きな人がいる」と涙を流しながら甚吾に打明けました。野田の足が不自由だと告白すると甚吾は反対しますが、誰よりも心は真っ直ぐな人でどうしても彼と一緒になりたいのだと美子は甚吾にすがりました。美子の強い想いを知り、甚吾は現実を受け入れ、明後日の美子の母の命日に野田を家に呼ぶことになります。次は兄さんの番だと美子が促しますが、甚吾はもうくたびれたとごまかすことしか出来ませんでした。

帰宅し1人馬小屋にいた甚吾にきんが駆け寄ります。「俺が兵役している間に美子にはいい人がいたんじゃないか!」と珍しく荒れる息子の気持ちを察し、きんは思わず泣き出しました。せめて美子にお前の気持ちを一言伝えてやりたいときんが興奮しますが、甚吾は美子が幸せになるならいいのだと母を制しました。
その夜きんは美子に、嫁に行っても甚吾に可愛がってもらったことを忘れるんじゃないよと呟きます。みなが寝た後、1人居間に残った甚吾の背中は失意を物語っていました。

【結】- わが恋せし乙女のあらすじ4

美子の母の命日。美子は野田を家に連れてきます。脚が不自由な野田を必死に支えようとする美子の姿を甚吾は牧場の裾野から眺めていました。
甚吾は胸の苦しさを微塵も見せぬよう、紳士的に野田に応対します。2人きりになった甚吾と野田は互いの戦地での経験を語り合いました。「負傷した脚を撫でるとよく生きていられたと思い、たまらなく可愛く思えてくる。醜い脚でさえ可愛いのだから、世の中のことはなおさら可愛い」と語った野田の人柄を見て、甚吾は美子を嫁に行かせることを決意し、彼に頭を下げました。

美子がこの日のためにと作った饅頭を貰いに来た次郎が「死んだ爺さんが美子はいい奥さんになると言っていた」と言いかけると、甚吾は彼の頬をつねり口をつぐませました。甚吾の目から思わず涙が零れます。それを見た次郎が牧場へ逃げたので甚吾は追いかけ捕まえると、もう祖父の話はしないと次郎に約束させました。

その夜。満月の下で野田がバイオリンを聴かせてくれました。そこへ母の形見のドレスを着た美子がやって来ます。美子は甚吾を牧場の奥へ連れ出し、この間甚吾が何を言おうとしたのか問います。戦友に美子を嫁がせようとしていたとごまかした甚吾は、そいつは戦地でお前からの手紙が来るのが一番の楽しみだったから、その人のためにも幸せにならないといけないぞと妹を嗜めました。
きんに「本当にいいのかい?」と念押しされた甚吾は、弟が出来て楽しみだと笑ってみせます。きんは今夜ほどお前を偉いと思ったことはないと潔い息子を褒め、2人は残った饅頭を分け合って食べました。

みんなの感想

ライターの感想

絶妙な長回しや間がロマンチックさ、センチメンタルさを存分に表現していたと思います。肌の露出もなく、言わばチラリズム未満?!にも関わらず、美子の仕草や口調が清潔感の中になんとも言えない色香があり、ドキドキしました。
現代人としてはこそばゆい台詞や設定が多かったのですが、公開当時は多くの人をうっとりさせたのではないでしょうか。
野田がバイオリンで『アヴェ・マリア』を弾いていて、戦後の自由さが現れていると実感しました。

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