「卍まんじ(1964年)」のネタバレあらすじ結末

ラブストーリー

卍 まんじ(1964年)の紹介:1964年公開の日本映画。人妻と若い女が同性愛の関係になり、やがて主人も加わって倒錯した関係が展開される、谷崎潤一郎の小説『卍』の映画化。女性同士の同性愛をテーマとした作品。

卍まんじ(1964年)の主な出演者

徳光光子(若尾文子)、柿内園子(岸田今日子)、綿貫栄次郎(川津祐介)、柿内孝太郎(船越英二)、校長(山茶花究)、梅子(村田扶実子)、清子(南雲鏡子)、春子(響令子)、先生(三津田健)

卍まんじ(1964年)のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①弁護士・孝太郎の妻・園子は美術大学で美しい女性・光子と出会い、惹かれる。やがて女性同士の肉体関係になった園子と光子。楽しい時間はつかの間。やがて光子に自称婚約者・栄次郎の存在が明らかに。 ②園子も夫・孝太郎との仲がこじれる。園子と光子は心中の振りを装い、その隙に光子は園子の夫・孝太郎と関係を結ぶ。孝太郎は栄次郎と光子の仲を裂いてくれたが、三角関係はこじれたまま。 ③栄次郎が3人の関係を暴き、3人は心中を図るが、園子だけが取り残された。園子は死んでいった光子を憎いと思いつつ、恋しい気持ちを抑えきれずにいた。

【起】- 卍まんじ(1964年)のあらすじ1

昭和40年。
垣内園子は先生を訪問し、先生の前で昨年(昭和39年)に起こった出来事の一部始終を告白します。以下は、先生に園子が当時のことを振り返りながら述べた内容です。
出来事は昨年の2月頃、園子が桜橋にある女子美術大学へ通い始めたことから始まりました…。
…垣内園子は法律事務所を経営する弁護士・孝太郎の妻です。園子は裕福な資産家の娘ということもあり、結婚してから子どももいないので、美術大学へ通い始めました。家のことはもちろん、お手伝いの清子がすべてしてくれます。
園子は日本画の教室に通っており、ある日女性のモデルを見て観音像を描けと言われました。
園子は観音像の顔を、友人の女性・徳光光子の顔に似せて描きます。それを校長先生に指摘され、すぐに学校中の噂になります。
いつも和装の園子と対照的に、光子はいつも洋装のハイカラな女性でした。まだ独身で織物屋の会社社長の娘の光子は、自由奔放に生きており、園子は光子がこうなりたいという、理想の女性です。
噂になったのは仕方のないことです。日本画の教室で園子と校長が議論した折に園子が「理想」と言っていたのは、日本画の誰もが知ることでした。
しかしそれが同性愛にまで勝手に話が膨らみ、園子は光子に申し訳ないと思います。
化粧室で光子と会った時、園子は光子から「噂を広めたのは、ほかならぬ校長自身だ」と聞かされました。詳しい話を聞くために、園子は光子について中華料理屋で食事を共にします。
光子は金持ちのぼんぼん息子との見合い話が持ち上がっていました。ところが市会議員の娘がその男性を狙っており、校長は買収されて光子の醜聞をわざと流したのです。
園子は、光子が気分を悪くしていないと知ってほっとしました。
どうせ噂を流されたのだから、校長や学校の人たちの鼻を明かすために、本当に仲良くなりましょうと光子は言います。園子は憧れの光子にそう言われ、有頂天になりました。
次の日曜、奈良県の山の中を、2人は手を繋いで歩きます。
観音像の絵を見た夫・孝太郎は、どうせなら表具絵にすればどうかと提案しました。それを聞いた光子は、絵を描き直してくれと言います。 この映画を無料で観る

【承】- 卍まんじ(1964年)のあらすじ2

顔は光子と似ていても体つきが違うと言った光子に、では身体を見せてくれと園子は言いました。園子の家に招かれた光子は寝室で肌を見せ、そのまま2人は深い関係になります。
以来、光子は園子のことを「姉ちゃん」と呼ぶようになりました。
その時分には、光子と園子はよく文(手紙)のやりとりをしました。電話もお互いに掛け合います。
毎日のように学校を休んで互いに仲睦まじく過ごすようになると、さすがに夫・孝太郎も2人の仲を心配しました。どんな関係かと園子は聞かれ、夫婦喧嘩に発展します。
孝太郎は園子に「正気の沙汰じゃない」と言い、園子は孝太郎の頭のかたさを指して「人間の化石」と言い合いました。
喧嘩して1日後、夫・孝太郎が出した仲直りの条件は「会うな、この部屋(夫婦の寝室)に入れるな」でしたが、園子は拒否します。
光子は園子になぜ子どもができないのか聞き、園子はアメリカ製のいい薬(避妊薬&堕胎薬)を服用していると言いました。光子が友人の中川さんのために分けてくれと言い、園子は与えます。
園子はすっかり光子に夢中でしたが、寝耳に水の出来事が起きました。
ある日光子から電話があり、着物を盗まれたので持って来て欲しいというのです。ミナミのS字屋という宿屋(今で言うラブホテルのようなもの)で、しかも男物の着物も届けて欲しいと光子は言いました。
光子には自分だけが恋人だと思っていたので、園子は光子の付き人・梅子についていき、血相を変えて宿屋に駆け込みました。
梅子に聞くと、4月頃から光子はその男と何度も逢瀬を繰り返していたそうです。
宿屋に着くと、若い男・綿貫栄次郎が園子に会い、頭を下げました。綿貫は光子の婚約者だと言ったうえで、光子が園子のことを好きだというのは百も承知していると言います。
それでも裏切られた思いの園子は、その夜、夫・孝太郎に泣いて「これからは尽くす、光子のことはあきらめる」と告げました。孝太郎は優しく受け入れます。
さらにその後、大阪・中之島の病院の人が会いに来ました。園子がいつぞや処方した薬を服用し、中川さんが大変な状態に陥っているというのです。
実際にやってきたのは光子でした。しかもトイレで血まみれの演出をし「痛い、もう死ぬ」と言います。

【転】- 卍まんじ(1964年)のあらすじ3

さすがに園子もこれは芝居だと気づきました。園子とよりを戻したいための光子の演技です。
それでもいとおしいと思った園子は、騙された振りをしました。光子も、園子にばれているのを知ったうえで、知らぬ振りを装います。
こうして園子と光子の仲は戻りました。夫・孝太郎には光子が妊娠していると告げ、調子がよくないので会いに行くという口実で園子と光子は密会を重ねます。
そうなると面白くないのは、自称婚約者の栄次郎です。
7月下旬、栄次郎は光子の腹の子の父親だから光子と結婚しないとならないと言い、園子に協力しろと言います。
栄次郎に光子を独占されるよりは、誓約書を交わして3人の仲を保った方がいいと考えた園子は、うまく栄次郎に言いくるめられて誓約書にサインしました。
さらに栄次郎は自分と園子の二の腕を切り、互いの血をすすって「きょうだいの契り」を交わします。園子は、光子と栄次郎の結婚の応援をせねばならなくなりました。
ところが光子は光子で、栄次郎は子どもの頃のおたふく風邪が原因で不能だと告げ、でも無理やりに押し倒されて別れられないと園子に訴えます。そう言われると園子も、光子と栄次郎を引き離さないとならないのかと考えます。
思い悩んだ頃、園子の夫・孝太郎の法律事務所を栄次郎が訪問し、園子に無理やり書かされたと誓約書を突きつけました。
園子と光子がよりを戻したと知った孝太郎は怒り、園子は反省している振りをします。というのも、本当に悪いのは栄次郎だと思った園子は、栄次郎を光子から引き離すために、なんとかせねばと考えていたからです。
追いつめられた園子と光子は心中の振りをしようと考え、書き置きを残して睡眠薬自殺を図りました。そうすれば2人の思いが夫・孝太郎に伝わるだろうと思ったからです。
ところがここにも光子の罠がありました。光子は園子よりも少ない量の睡眠薬を服用し、早く目覚めるようにしていたのです。
そしてその間に、駆け付けた孝太郎を騙し、光子は園子のすぐ隣で孝太郎と関係を持っていました。
目を覚ました園子は、あまりの事態にものも言えなくなります。世間知らずの夫・孝太郎なので、本当に孝太郎が光子に騙されたのだろうと園子は考えました。 この映画を無料で観る

【結】- 卍まんじ(1964年)のあらすじ4

光子はそのようにして、ひとりでも多く自分の崇拝者を作りたかったのです。
夫・孝太郎も新たな関係に悩みました。いっそのこと光子と3人で住もうと言い出した孝太郎は、まず栄次郎をなんとかせねばならないと考え、園子と栄次郎が交わした誓約書を10万円(一概には言えないが現在での約40万円あまり)で買い取ります。
そうして栄次郎との関係を絶ち、残るは光子と園子と孝太郎の関係だけになりました。おかしな話ですが、夫婦で光子を奪い合うようになったのです。
光子は上手に夫婦を操りました。帰宅する前には2人に睡眠薬をのませ、光子が帰った後に園子と孝太郎が夫婦生活を送れないよう、2人が寝入ったのを見守ります。
薬をのまされながらも、夫婦は「今日は自分だけ薬をのまされて、もう片方は光子とよろしくやっているのではないか」と疑心暗鬼に陥りました。
孝太郎と園子は夫婦ともに弱っていきます。もしかしたらこの衰弱すら、光子のたくらみではないかと考える2人ですが、それならそれでもいいと考えるようになりました。
とうとう3人の関係が世間に露見します。栄次郎は誓約書の写真を撮っており、それを新聞社に売りつけたのでした。
新聞社は各紙こぞって上流階級の三角関係を取り上げ、栄次郎も園子も、光子ですらも、追いつめられます。その当時はスキャンダルは破滅と同じようなものでした。
3人は心中しようと考えます。今度は本気です。
光子を描いた観音像を拝んだ後、白装束に着替えた3人は薬をのむと、中央に光子、左隣に園子、右隣に孝太郎で横たわりました。光子の手を夫婦は握ります。
…ところが、園子は死にきれずに目を覚ましました。横では光子と自分の夫・孝太郎が死んでいます。
またしても光子に騙されて、夫・孝太郎だけをあの世に連れて行かれたのでした。園子だけが置き去りです。
あまりの仕打ちに対して、園子は光子が憎らしくてなりません。すぐにでも2人のあとを追って自殺したいと思います。
でも…もし死んだとしても、あの世で光子と孝太郎に邪険にされたらどうしよう…そう思うと自殺すらできません。
憎い、でも恋しい…そう、園子は先生に泣きながら訴えるのでした。

みんなの感想

ライターの感想

うーん。なんとも濃いどろどろの人間関係(笑)。
谷崎潤一郎・原作の『卍』、ほぼそのままです。
原作では「先生という人に宛てた手紙形式」で綴られる文章ですが、映画では「先生」という人に話をしているという形を取っている、このくらいしか変更点はありません。
園子側の心情はすごくよく理解できます。一方で、実は光子側はどのように思っていたのか、なにゆえにこんなことを仕掛けたのかが一切明らかにされません。
それでもまあいいか…と思ってしまう内容。谷崎文学の真骨頂ともいうべき作品です。

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