「空気人形」のネタバレあらすじ結末

ラブストーリー

空気人形の紹介:2009年公開の日本映画。『自虐の詩』の業田良家の短編コミックを是枝裕和監督が映画化した、せつないラブ・ストーリー(いや、サスペンス、いや、ホラー!?)。韓国の人気女優ペ・ドゥナが、心を持ってしまった人形という難しい役どころに挑戦。キャッチフレーズは、“心をもつことは、切ないことでした”。

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予告動画

空気人形の主な出演者

空気人形・のぞみ(ペ・ドゥナ)、レンタルビデオ屋の従業員・純一(井浦新)、空気人形の持ち主&ファミレス従業員・秀雄(板尾創路)、元国語教師・敬一(高橋昌也)、受付嬢・佳子(余貴美子)、レンタルビデオ屋の店長・鮫洲(岩松了)、萌の父親・真治(丸山智己)、小学生・萌(奈良木未羽)、浪人中の受験生・透(柄本佑)、OL・美希(星野真里)、交番のおまわりさん・轟(寺島進)、ファミレス店長(山中崇)、清掃員(ペ・ジョンミョン)、バスの乗客(桜井聖)、人形師(オダギリジョー)、未亡人(富司純子)

空気人形のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①空気人形・のぞみが心を持ってしまった。のぞみはレンタルDVDショップの店員・純一にひとめぼれし、店で働くように。持ち主・秀雄の目を盗んで人間世界で過ごすのぞみは、人間の苦しさ、つらさ、切なさも知って行く。 ②自分の代わりの人形が来て、のぞみは家出。正体を知っても驚かなかった純一のところへ身を寄せ、自分と同じように純一の中に空気を入れようとするが、穴(腹)をあけると純一は死んでしまう。のぞみは純一をゴミに出し、自分もゴミになった。

【起】- 空気人形のあらすじ1

ある川沿いの小さな町で、うだつのあがらない独身の中年男性・秀雄が暮らしていました。
秀雄は昼間はハンバーグのファミリーレストランで働いています。そしてプライベートの時間は5980円のラブドール(空気人形)を「のぞみ」と名付け、恋人のようにして暮らしていました。
その偏愛ぶりや、寝るのはいつも一緒なのは当然のこと、一緒にお風呂に入って洗ったり、夜中に車椅子で外の公園に連れ出して、お揃いのマフラーをするくらいです。
昼間ののぞみは全裸でベッドに寝かされていますが、セーラー服や水着やメイド服などの衣装も秀雄に買いそろえてもらっています。髪の毛はショートボブの、明るめの茶色でした。
ある雨の翌朝、秀雄が出勤した後のぞみは人間のように動けるようになりました。雨粒を見て「キ、レ、イ…」と言います。
動けるようになったのぞみはメイド服に赤いカバンを持って、ぎこちないながらも外出しました。部屋の外は初めて見るものばかりなので、新鮮です。
ごみ収集所を観察したり、喋る人形を持つ萌という少女に会ったり、未亡人についていったりします。未亡人は派出所のおまわりさん・轟に、新聞やニュースで仕入れたネタを話しかけることで交流を図っていました。
幼稚園の列についていったのぞみは、公園の砂場で子どもたちと一緒に遊びますが、子どもたちが帰るとすることがありません。
帰り道、立ち寄ったレンタルDVDショップ『シネマサーカス』で、のぞみは運命的な出会いをしました。「何かお探しでしょうか」と話しかけてきた若い男性店員・純一に一目ぼれをしたのです。
のぞみはそのDVDショップで働くことにしました。店長の鮫洲と純一の2人だけで回している店は、大手チェーン店ではなく個人店です。
店長はのぞみが映画館に行ったことがないと聞いて嘆きます。店長の一番大好きな映画は『仁義なき戦い』で、純一はミュージカルが好きだとのぞみは知りました。
こうしてのぞみは、夜は秀雄の横でおとなしく人形の振りをして、昼間はレンタルDVDショップの店員をします。
秀雄にいつもより高いシャンプー「ツバキ」で頭を洗われ、へそから空気を入れられ「お前はええな。歳取らんから」と言われてキスされるのぞみは、「私は空気人形。性欲処理の代用品」と思います。
町を歩いたのぞみは化粧品に興味を持ち、そこで、気になっていたビニールの接ぎ目を隠すファンデーションを手に入れました。中身は空気なので影は人間のよりも薄いままですが、接ぎ目は隠せるようになりました。 この映画を無料で観る

【承】- 空気人形のあらすじ2

海を知らないのぞみを、純一がバイクで連れて行きます。初めてのデートにうきうきしたのぞみは、拾った空きラムネビンを気に入って持ち帰りました。
食事の時、隣に座った萌が誕生日を祝ってもらうのを見て、自分には誕生日がないと気づきます。
公園のベンチでひなたぼっこする老人・敬一に、のぞみは吉野弘の詩を教わりました。のぞみは朗読します。(注:この詩は映画で非常に重要な役割を担っているので、敢えて記載します)
『生命は    吉野弘

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない』
のぞみの周辺にいる町の人たちは、皆それぞれ悩みを抱えています。
秀雄の家の近くに住む萌という少女は、父親に可愛がられてはいますが、母親は家を出てきり戻ってきません。母から買い与えられたアリエルという人形は喋りますが、壊れかけています。
未亡人は話相手がなく、とにかくニュースを仕入れては、毎日派出所のおまわりさん・轟に話しかけました。孤独なのです。
公園のベンチでひなたぼっこする老人・敬一は、老いてだんだん死へ向かっている現実を受け止めたくありません。
ほかにも、会社の同僚の24歳の受付女性・みさとの若さに嫉妬し、年増の受付嬢・佳子はありとあらゆるアンチエイジング商品を試します。
浪人生の透は、DVDショップでメイド服を着ているのぞみのパンチラを覗き、家で似たような画像を見つけてオナニーします。
OLの美希は実家・青森の母がうるさく電話をかけてきて、ストレスを食べることで解消していました(過食症)。
それらすべて、のぞみの知らない世界です。しかし、生きて、心を持つことは切ないことだと、のぞみは思い知りました。
ある日、店内の飾りつけをしていた時に脚立から落ちたのぞみは、右手首を釘にひっかけて破いてしまいます。

【転】- 空気人形のあらすじ3

空気が洩れてしぼんでいく姿を見られたくないのぞみは「見ないで」と言いますが、純一はセロハンテープを持ってきて手首の穴に巻くと、へそに息を吹き込んでくれました。
「もう大丈夫だから」と純一が言い、のぞみは嬉しく思います。正体を知っても、純一はのぞみに優しく接してくれました。
「そういう人(中身がからっぽの人)、けっこういっぱいいる」と純一は言い「僕も同じようなもの」と言います。のぞみは、純一も空気人形だと思い込みました。
純一への思いが高まったのぞみは、秀雄の「夜のおつとめ」が嫌になり、秀雄が寝入ってから執拗にシャワーを浴びます。
純一の部屋に行ったのぞみは、純一と元彼女のツーショット写真を見つけました。いつも純一はのぞみをバイクの後ろに乗せてくれますが、のぞみがかぶるヘルメットは、元カノがかぶっていたものと同じで、のぞみはかすかに嫉妬します。
ある日、のぞみが働くレンタルショップに秀雄がやってきましたが、気づかずに去りました。店長がすり寄ってきて「君たち(純一とのぞみ)、もうやった?」「今の(秀雄)彼氏?」とのぞみに聞きます。
店長は、秀雄が以前夜中にのぞみを車椅子で連れ出していたのを、知っていたのです。
弱みを握られたのぞみは店長に乞われるまま、身体を与えます。店長は妻・はるえとの初デートの話などをして店でのろけていましたが、実際はすれ違いの生活を送っていました。
のぞみは空気入れを捨て、押し入れに隠れます。秀雄は実家の母に電話して、家の中の物を勝手に捨てたかと怒りました。
そして…秀雄は新たな「のぞみ」を手に入れました。新型のラブドールを購入して記念日と称して祝う秀雄に、のぞみは詰め寄ります。
のぞみが心を持ってしまったことを知ると、秀雄は「元の人形に戻ってくれへんか」と頼みました。「のぞみ」という名も昔の彼女の名前です。
「(人間関係が)面倒くさいんや。面倒くさいから、お前にしたのに」と言われ、のぞみは家を飛び出しました。
からっぽだ…そう思ったのぞみは、老人・敬一宅を訪問します。敬一も「私は高校の代用教員だった。ずっと空っぽの代用品」と言い、「ちょっと触ってもらえるかな」と言います。
のぞみは勘違いして下半身を触りますが、敬一はその手を額に導き「気持ちいい」「手の冷たい人は、心が温かいっていうんだよ」と告げました。敬一の言葉に、のぞみは励まされます。
のぞみは自分の生みの親である、ツチヤ商会の人形師に会いに行きました。そこには大量の、のぞみと同じ顔をした人形が置かれてあり、人形師はのぞみを見ると「おかえり」と言います。

【結】- 空気人形のあらすじ4

なぜ心を持ったのかの問いに「作った僕にも分からない」と答えた人形師は、工場の天井裏にある廃棄処分予定の人形を見せます。
「みんな違う顔をしている。ちゃんと愛されたかが、表情に刻まれる」と言った人形師は、「人形は燃えないゴミ、人間は燃えるゴミ(ゆきつく先は同じ)」と告げました。
「君が見た世界は汚いものばかりだったかい? 美しい、綺麗なものもなかった?」と聞いた人形師に対し、のぞみは「生んでくれてありがとう」と言うと、人形師に綺麗にしてもらって再び出かけます。
のぞみが出た先は、純一のところでした。「望むこと、なんでもする」と言うのぞみに、「何をしてもいいの?」「空気を抜きたい」と純一は言います。
純一は買ってきた花をすぐガクの下からちょん切るなど、少し残虐性のある人物でした(犯罪レベルというほど悪いことはしていないが、少し残虐なことをしたいと思っている)。
「大丈夫、また僕が吹き込んであげるから」と言う純一にのぞみは身を任せます。純一は何度も何度ものぞみのへそから空気を抜き、吹き込むことを繰り返しました。
寝ている純一にのぞみはお返しをしたくなり、純一のへそ部分にナイフで穴を開けると、息を吹き込みます。以前、純一が「僕も同じ」と言ったので、のぞみは純一も空気人形だと思いこんだままでした。
しかし…純一は人間なので、腹を切ると血が出るだけで、いくら息を吹き込んでも意味がありません。のぞみはセロハンテープで穴を開けたところを塞ぎますが、血は止まりません。
純一はそのまま息絶えました。のぞみは、純一をポリ袋に入れると、もえるゴミに出します。
のぞみは、自分もゴミになることを選択しました。自分に息を吹き込んでくれる相手・純一はもういないからです。だから燃えないゴミのところに好きなもの…空き瓶やリンゴを並べて、自分も横たわりました。
やってきた萌がのぞみの指にはまっている安物の指輪を取り、交換に壊れたアリエル人形を置いて去ります。
のぞみは、夢を見ていました。のぞみに多少なりと関わった人たちが、のぞみの誕生日を祝ってくれる幻想です。
泣きながらろうそくを消すようにたんぽぽの綿毛を飛ばすと、それは関わった人たちの元へ届きました。関わった人たちは、皆少しだけ前向きになっています(例:未亡人は敬一と知りあって公園のベンチで仲良くおしゃべりしている)。
過食症の女性・美希が窓を開けてのぞみと空き瓶を眺め、「キレイ…」と呟きます(外界の世界に活路を見出した)。

みんなの感想

ライターの感想

主演のペ・ドゥナさんが惜しみなくヌードを披露してくれる。スレンダーなボディは美しく、それだけでも見る価値あり。
しかも、この映画の中で何度か出てくる「空気を入れる、空気を出す」シーンの動きが上手! ほんとに人形みたい。
内容はけっこうハード。
スタートがいきなり濡れ場(ラブドールの場合「濡れ場」と言っていいのか悩むが)。その後うきうき、途中からは切ない感じ。
そしてラスト…え、純一を刺しちゃう! 殺しちゃう!? まさかの展開。
劇中で朗読される、吉野弘の「生命は」が、まさしくテーマなのだと思う。
のぞみと純一は悲しい結末になったけれど、それでも確かにのぞみは存在し、他者の欠如を満たす媒介として存在したのだ…それを描きたかったのだろう。

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