「隠し剣鬼の爪」のネタバレあらすじ結末

隠し剣 鬼の爪の紹介:2004年製作の永瀬正敏、松たか子主演の人情時代劇。山田洋二監督による藤沢周平原作映画三部作の二作目に当たる作品で、幕末の時代に東北の小さな藩に生きる下級武士の恋と葛藤を描いていく。第28回日本アカデミー賞では最優秀美術賞に輝いた。

隠し剣鬼の爪の主な出演者

片桐宗蔵(永瀬正敏)、きえ(松たか子)、島田左門(吉岡秀隆)、狭間弥市郎(小澤征悦)、島田志乃(田畑智子)、家老・堀将監(緒形拳)

隠し剣鬼の爪のネタバレあらすじ

【起】- 隠し剣鬼の爪のあらすじ1

舞台は幕末、東北の庄内地方にある海坂藩。下級藩士の片桐宗蔵は独り身ながら、幼い頃から奉公に来ているきえの笑顔に癒しを感じていました。その後、きえは油問屋に嫁いでしまいましたが、ある冬の寒い日、宗蔵はきえと再会を果たします。きえは明らかにやせ細り具合の悪い様子を見せていました。宗蔵はきえのことを心配しつつも、何も行動できない自分自身に情けなさを感じるようになりました。

季節が春になった頃、宗蔵はきえが病で寝込んだという話を耳にします。きえは油問屋でこき使われ病になってしまいましたが、嫁ぎ先はお金を惜しんで医者にも見せていないといいます。これに激怒した宗蔵は武士の身ながら町人の町へ赴き、油問屋を訪ねました。宗蔵は店の奥に押し入り、陰気な狭い部屋で苦しむきえを見つけます。宗蔵はきえを背負って油問屋を出ると、人目をはばかることなく自宅へと向かいました。

宗蔵の妹の志乃、その夫で宗蔵の親友の左門もきえの看病に駆けつけ、きえの容態は少しずつ快方に向かっていきました。きえは元気になるとすぐに宗蔵の身の回りの世話や炊事に取り掛かりました。病み上がりですぐ働こうとするきえの真面目さに呆れながらも、宗蔵はきえの明るい笑顔が戻ったことに喜びを感じていました。きえも宗蔵と再び過ごす時間を楽しみ、二度と嫁に行かないことを心に決めます。しかし、武士の宗蔵と夫婦になることは叶わぬ夢であることも自覚していました。

きえと夫婦のような日々を過ごす中、宗蔵は江戸勤番の親友の弥市郎が謀反を企んだ罪で捕まり、郷入りという極刑に処されることを知ります。将来を渇望された藩士だった弥市郎が切腹も許されず、故郷の獄に入れられるという措置に、宗蔵と左門は強いショックを受けるのでした。

【承】- 隠し剣鬼の爪のあらすじ2

それから間もなく、宗蔵は家老の堀に召し出され、弥市郎が特に親しかった人物の名前を教えるよう求められました。家老は宗蔵と弥市郎が同じ師から剣を習った兄弟弟子であることを知り、仲間の密告を宗蔵に望んでいたのです。ところが、宗蔵は「侍のする事ではありましね」と言って口を閉ざし、家老の怒りを買ってしまいました。

家に戻った宗蔵は何事もなかったかのようにきえとの穏やかな時間を過ごしました。そして夜、父親が勘定間違いを理由に切腹したときのことを宗蔵はきえに打ち明けました。そんな辛い時期に来てくれたのが幼いきえだったといい、宗蔵は改めてきえに深い感謝の意を示しました。

しかし、その楽しい日々にも終わりが近づきつつありました。親友の左門がきえを実家に返し、嫁取りをするよう宗蔵に勧めてきたのです。宗蔵がきえを嫁ぎ先から連れ出したことは藩士の間で噂になっており、それが原因で宗蔵の妹の志乃が左門の家で肩身を狭くしているというのです。宗蔵は左門の話に困惑しつつも、ある決意を固めます。それを伝えるために、ある休みの日、宗蔵はきえを海へと連れ出しました。

美しい海を眺めながら、宗蔵はきえに実家に戻るよう告げました。きえは宗蔵が結婚するまでそばにいたいこと、そして、宗蔵の結婚がいつ来るかわからなくてもずっとそばにいたいと望んでいると涙ながらに伝えますが、宗蔵は「俺の命令だ」と冷たく返答してしまいます。きえは「ご命令だば、しかたありましね」と無理やり自分を納得させ、実家に戻ることを決めます。きえは悲しみながらも実家へと発つ直前まで宗蔵のことを気遣いました。その姿に宗蔵は人知れず心を打たれていました。

それから間もなく、弥市郎が脱獄し百姓を人質にとり家に立てこもるという事態が発生し、弥市郎を討つべく宗蔵が刺客として送られることが決まります。宗蔵は剣の師である戸田寛斎から秘技「隠し剣」を授かった唯一の弟子であることから、家老の堀は宗蔵が弥市郎より剣の腕が上と判断したのです。

【転】- 隠し剣鬼の爪のあらすじ3

宗蔵は来る弥市郎との対峙に向け、戸田寛斎の元を訪ね指導を仰ぎました。短時間ながら戸田から戦うための剣を教え込まれた宗蔵は、翌朝に迫る戦いの準備を進めていました。すると、そこに弥市郎の美しい妻が訪ねてきました。弥市郎に心底惚れている妻は、宗蔵に弥市郎を逃すよう依頼、望むのなら自分の体を差し出してもいいと言ってきました。宗蔵はその頼みを断りますが、弥市郎の妻は家老の堀に掛け合ってみると言い残し、宗蔵の制止を聞かずその場を去ってしまいました。

翌朝、宗蔵は万が一のときのためにきえに手紙を残し、家を出ました。藩の鉄砲隊が取り囲む中、宗蔵は百姓家に接近、弥市郎と久しぶりの会話を交わします。宗蔵は弥市郎に腹を切るよう説得しますが、弥市郎は目を血走らせながら自らの行為の正しさを主張するばかり。そして、四年前に御前試合で宗蔵に敗れたことを取り上げて、弥市郎は今こそ再戦のときと興奮し始めました。

戦いを拒む宗蔵に構わず、弥市郎は刀を振りかざしてきました。宗蔵も刀を抜き、緊迫した空気が二人の周りに満ちていきます。防戦一方の宗蔵に、弥市郎は知られざる秘技「隠し剣 鬼の爪」を見せろと求めますが、宗蔵は戦いのための剣ではないと拒否します。その後も弥市郎に圧倒されながらも、宗蔵は突然神妙な面持ちで剣を構え始めました。そして、宗蔵は弥市郎が一瞬見せた隙を逃さず、一撃を加えました。腹の傷を抑えながら弥市郎は反撃を試みようとしますが、右手を振り上げた瞬間、その手は血しぶきを上げ飛んでいきました。鉄砲隊が早まって発砲したのです。弥市郎はそのまま息を引き取り、剣ではなく銃弾に倒れたかつての友の姿に宗蔵は深い悲しみを覚えました。

【結】- 隠し剣鬼の爪のあらすじ4

暗い気持ちを抱えながら帰途に着く宗蔵の前に、弥市郎の妻が現れました。妻の話によれば、昨夜家老の堀に相談し弥市郎の命を助けることを約束されたといいます。家老の堀の策略によって弥市郎の命だけでなく、妻の名誉まで奪われてしまったことに宗蔵は強く憤ります。しかも、堀自身は弥市郎の妻の体を弄んだにもかかわらず、騙したことをまったく悪びれず、むしろ妻に対して侮辱の言葉を吐いていました。それから間もなく、弥市郎の妻は自ら命を絶ち、ますます宗蔵の堀への怒りは膨らんでいきました。

宗蔵は一本の小柄を持って堀のいる場内に密かに潜入し、一人になった隙を見て堀に接近しました。素早く堀の心臓に小塚を突き刺し、その場を後にする宗蔵。その後、堀の死は医者に確認されますが、医者はまっすぐ心臓を突き刺した傷口からまったく出血が見られないことに疑問を抱いていました。これは人間の仕業ではないと医者が結論を出していた頃、宗蔵は弥市郎と妻の墓を訪れていました。宗蔵は「どうか、成仏してくんなへ」と語りかけた後、堀の命を奪った小柄を土の中に埋めました。この小柄による必殺剣こそが戸田寛斎から授けられた「隠し剣 鬼の爪」だったのです。

その後、宗蔵は二度と人殺しはしたくないという理由から武士をやめ、蝦夷に旅立つことを決めます。宗蔵はきえの実家に寄り、蝦夷に一緒に行き夫婦になって欲しいと伝えました。きえは突然のことに困惑しつつも、笑顔で「それは、旦那はんの命令でがんすか?」と質問してきました。「んだ。俺の命令だ」。そう返答する宗蔵に、「ご命令だば、しかたありましね」と恥ずかしそうに答えるきえ。二人は手を繋ぎ、照れながらも穏やかな表情を浮かべました。

みんなの感想

ライターの感想

人と人との会話をじっくり撮った作品ですが、何気ない場面に時代背景や人物描写をさりげなく挿入し、静かに時代が変化しつつあることを観る者に確かに伝えてくれています。また、冒頭ではほのぼのとしたやりとりを通じて人情を描いているのに対し、終盤における武士道を貫く弥市郎とその妻、そしてそれとは対照的なずる賢い家老の堀の姿からは、時代の変化の前に去り行く武士の姿が象徴されているように感じました。激動の時代、鉄砲の前に倒れる武士と、幕末の悲劇が淡々と描かれていきますが、それだけに主人公二人の純粋な愛の美しさが際立ち、深く感動させられました。

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