「クルージング」のネタバレあらすじ結末

クルージングの紹介:80年代初頭、マンハッタンのゲイ・ストリートで起こる連続殺人事件の潜入捜査に挑む警官の葛藤を描いた、1980年公開のアメリカのサイコ・サスペンス映画。監督/脚本は「フレンチ・コネクション」「真夜中のパーティー」のウィリアム・フリードキン。原作はジェラルド・ウォーカーの同名小説。音楽は「エクソシスト」「カッコーの巣の上で」のジャック・ニッチェ。公開当時、激しい抗議デモなどで世界的な話題となりながらも、日本語版ではビデオ化のみで長年DVD化されていなかった佳作です。

予告動画

クルージングの主な出演者

スティーブ(アル・パチーノ)、その彼女ナンシー(カレン・アレン)、エデルソン部長(ポール・ソルヴィノ)、ステュアート(リチャード・コックス)、テッド(ドン・スカーディノ)、ディシモーネ(ジョー・スピネル)、スキップ・リー(ジョイ・アクボーン)、女装ゲイのダビンチ(ジーン・デイヴィス)、レフランスキー刑事(ランディ・ジャーゲンセン)、バーマン捜査本部長(アラン・ミラー)、バンダナショップ店員(パワーズ・ブース)など。

クルージングのネタバレあらすじ

【起】- クルージングのあらすじ1

NYマンハッタンのハドソン川河口で、切断された男性の右腕が発見されます。
バラバラ遺体はすでにいくつも上がり全て別人、複数の殺人事件を示唆しています。が、捜査は進まず、イラついた検死官は事件担当のレフランスキー刑事に皮肉を言いますが、部分遺体では死因がわからず立件できないと返されます。
一方、レザーで身を包んだマッチョなゲイで溢れるクリストファー・ストリートを巡回するパトカーでは、アバタ面の警官ディシモーネが女房と子供が出て行ったと同僚にこぼし「この街はいつか爆発する」と呟きます。彼らは女装ゲイのダビンチと友人を捕まえ、パトカーの車内で脅迫しサービスを強要します。
プライベートクラブ837と書かれた黒い扉には、黒のレザーハットにジャンパー、レイバンのミラーグラスの男が入って行きます。店内はレザーのハードなファッションで身を固めたマッチョな男ばかりで、激しいロックと熱気で溢れ、思い思いの快楽を貪っています。彼を黒髪の男が口説き、2人はセント・ジェームズホテルでプレイを楽しみます。
早朝5時。黒髪の男はレザーハットの男の物音で目覚めます。彼は黒髮の男の首にナイフを当て「ここにいるのはだあれ?俺とお前…」と歌うように呟き、うつぶせにして皮紐で四肢を縛り、背中に何度もナイフを突き立て「自業自得だ」と吐き捨てます。
検死では、犯人は無精子症の男で右利きと断定されます。界隈に詳しいダビンチが呼ばれますが、犯人特定には至りませんでした。彼女は、エデルソン部長に第6分署のシモーネ何たらと言う男に付きまとわれ困ってると訴えますが、そいつは本物の警官か?と追い返されます。
その後、部長室に呼ばれたのは若い警官スティーブ・バーンズでした。彼は男性経験を聞かれ苦笑しますが、真面目に続ける部長にならばミス・キャストだと言います。
部長は壁に貼られた被害者のデータを示し、セント・ジェームズホテルで殺されたのは役者のローレン・ルーカス、6か月前にはコロンビア大教授のポール・ビンセント、他にもバラバラ遺体が多数発見され、手口は全て同じで同一犯だと思われると説明します。そして、被害者はみな30歳前後で64~68㎏、黒髪黒い目の君に似たタイプだと。
部長は彼におとりとしての潜入捜査を依頼します。潜入するのはSM嗜好でヘビー・レザーの特殊な世界、完全な丸腰で、捜査は他言無用、月1回エデルソン部長のみと接触し捜査報告をするという危険な条件でしたが、スティーブは刑事への昇格を約束され任務を引き受けます。
彼女のナンシーは彼の身を案じますが、昇格にこだわる彼に野心家なのねと呟きます。

【承】- クルージングのあらすじ2

スティーブは、ジョン・フォーブスと名乗りグリニッジ・ヴィレッジのアパートに入居します。
隣人の売れない脚本家テッド・ベイリーは、人懐こく明るい青年で、同居人のダンサーグレゴリーは公演で不在でした。意気投合した2人はさっそく近所のカフェでランチをし、テッドはゲイ殺人で新聞に載らなかったコロンビア大の教授は、アパートでバラバラ遺体で見つかったのに、刑事が2日間ほど調べに来ただけだったと怖れていました。
夜、ジーンズでゲイ・ストリートの下見に出かけたスティーブは、道を埋め尽くすゲイたちに圧倒され、見向きもされませんでした。が、眉を描きジーンズに黒のレザーベストで挑んだところ、数人が彼に目を付けようやく1人に声を掛けられます。
体を鍛え、黒のランニングで現れる頃にはバーにも馴染み、ゲイ相手の駆け引きやバーテンとも親しくなり、彼らが野外プレイを楽しむ公園へも通うようになります。トンネルで佇む彼に数人が目配せする中に、第6分署のディシモーネもいましたが、スティーブは黒髪でジーンズの男と森に消えます。
河べりのビリヤード・バーでエデルソン部長と会ったスティーブは、トミー・マンクージの話をしますが、彼はバーのオーナーで警察のマーク済み、手出しができない男だと言われます。
一方、公園の橋で1人佇む黒のレザーハットの男は、黒髪で黒い目のジーンズの男と合意し森に入ります。が、茂みの奥で突然レザーハットの男が消えます。震える声で呼ぶジーンズの男をからかうように「ここにいるのはだあれ?俺とお前…」と囁き声がし、彼の背中にナイフが突き刺さります。
その頃、スティーブはナンシーと激しく愛し合い、翌朝、彼女を抱きしめ捨てないでくれと呟きます。彼女はそんな彼を強く抱きしめます。
また、テッドからはグレゴリーの公演が中止になり帰ってくる、仕事に就けと言われたと打ち明けられます。彼が海岸で肌を焼くために、僕は脚本が書けなくなるんだと落ち込む彼を、スティーブは力になりたいと励まします。
次にジーンズのジャンパーに黒のタンクトップでクラブ837に入ったスティーブは、ホイッスルの音と無数の警官が絡み合う異様な雰囲気に圧倒され、「警官か?」と聞かれ反射的に取り繕い、スタイルが違うと追い出され、彼を追ってきた黒のレザージャンパーの若い男に声を掛けられますが断ります。その晩はナンシーともうまく行きませんでした。
一方、表通りのショップオーナーマルチーノは、仕事帰りに街角の小さなコイン・シネマに入ります。店内で黒のレザーハットにミラーグラスの男と目が合った彼は、誘われるまま個室に入り、ナイフで刺殺されます。男は血だらけの手でマシンにコインを投入し「自業自得だ」と呟きます。
バーマン捜査本部長に呼ばれたエデルソン部長は、捜査の進展がないと責められますが、今のまま(スティーブのおとり捜査)継続すると言います。またコイン・シネマの殺人ではコインから犯人の指紋が出ます。
その晩、クラブ837では過激なプレイが行われ、先日スティーブが振った青年がゲーム台でケンカを始めます。バーテンに聞くとあいつはワルのスキップ・リーで、ナイフをちらつかせるから近寄るなと忠告されます。スティーブはフロアに犇めく彼らと一体になり、薬に酔って激しく踊る事に初めて快感を覚えます。そんな彼を黒いレザーハットの男や、スキップ・リーがニヤつきながらじっと見つめています。
スティーブの報告から犯人はスキップ・リーに絞られ、レフランスキー刑事はダビンチから、彼がステーキハウスのウェイターで、コイン・シネマの殺害時、ここにいるのは何とかというわらべ歌を聞いたやつがいると聞き、ステーキハウスのナイフを入手、遺体の傷口と一致することを確認します。
盗聴器を隠し持ったスティーブは、夜、スキップをモーテルへと誘い出します。が、盗聴器の不調で会話が途切れ、刑事らが突入してしまったため、うつぶせにされ皮紐で縛られた全裸のスティーブと、激怒するスキップをやむなく逮捕することに。
取り調べで、刑事たちはスキップを問い詰めますが、誘ったのは名前も知らないこいつ(スティーブ)で、ナイフなんか持ってない!と怒るばかりで埒があきません。部長はやむなく別室の黒人マッチョを導入、彼はいきなりスティーブの頬を平手で張り飛ばし、スティーブは動揺したまま別室に連れ出され、スキップもマッチョから暴行され刑事たちの前で自慰を強要されます。
が、彼の精液は正常で、指紋もコインとは不一致、バーマン本部長はシロだと断定し、捜査は終了します。

【転】- クルージングのあらすじ3

顔に手形の青痣が残り、レザーの出で立ちで現れたスティーブをナンシーはいぶかしみ、通すのをためらいます。彼女は理由も言わず抱かなくなった彼に、しばらく会うのを止めようと言います。
駅のエスカレーターでエデルソン部長と会ったスティーブは、取り調べがゲイに対する差別で人権侵害だと憤慨し、捜査を降りると言い出します。が、彼の怒りの核心は、自分が変わっていくことへの不安と恐怖で、震える声でのめり込みそうで怖いと吐露します。
けれど部長は、君だけが頼りだ、後には引けないと頼み、被害者の教授のゼミを受けた生徒の写真付き名簿を確認してくれと差し出します。スティーブは名簿をひったくり去って行きます。
部屋で名簿を見ていた彼は男に気づきます。
それは初めのゲイ・バー以来何度も出会い、自分を見ていた黒のレザーハットとジャンパーの男でした。彼は大学に電話をし、男の名がステュアート・リチャーズでクレアモント通りの学生寮に住んでいることを知り、張り込みを開始します。
彼の生活は朝の長いジョギングから自室でのウエイト・トレーニング、図書館で勉強と規則正しく、父親から度々送金が止められ車も持たず質素で、学友からスチューイと幼名で呼ばれるのを嫌っています。
が、スティーブの張り込みは刑事のそれとは違い、誰にも報告せず、彼の姿をひたすら追い、部屋から丸見えの公園から顔も隠さず見つめ、時には公園で日光浴する彼の横に、黒のタンクトップで寝そべり目を合わせるといった、危険で自滅的な行動でした。
ある日、彼の留守中、スティーブはスチュアートの部屋の窓付け換気扇を外し室内に侵入します。
部屋には幼い彼と父親らしき男性のモノクロ写真が数枚飾ってありましたが、父親の上半身は破られています。また、哲学や美学、精神病の本のイラストやメモが数枚壁に貼られ、古いアップライトピアノが1台、服も持ち物も少なく簡素でした。
が、寝室の小さなクローゼットからあのレザーのコスチュームを、その下の箱からは父親に宛てた手紙の束を見つけます。手紙はきちんと揃えられ内容は抽象的で全て未投函、彼の心情は一途でしたが父親からの手紙はありません。
帰宅したステュワートは換気扇が外れていることに気づき、コスチュームのクローゼットが荒らされていた事でスティーブの仕業と知ります。窓からスティーブを見た彼は怯えた子供のように立ち尽くします。
困惑する彼は、日中、公園のベンチで父親と会います。彼は父親の隣に座り「一度でいいから僕を認めて。何をしても満足してくれない」と訴えますが、知的で紳士然とした父親は無表情で「成すべきことはわかっているはずだ、ステューイ」と言い、彼は自室に戻って黒い革靴からあのナイフを取り出します。
アパートに戻ったスティーブはイラつき、テッドの部屋を訪ねます。が、出たのはくたびれたTシャツのグレゴリーで、いきなり彼を間男扱いし、テッドは夜勤のパートに出ていていないと追い返します。去り際に泥棒猫!と罵られカッとなったスティーブは部屋に乱入、掴み合いになりますが、包丁を突き付けられ引き上げます。

【結】- クルージングのあらすじ4

夜、スティーブはステュアートの寮の呼び鈴を押します。
彼は公園のスティーブを見て、黒のレザーハットにジャンパーで件の公園へと向かいます。スティーブは小走りでそれを追い、公園のベンチの背もたれに腰掛けるステュワートの隣のベンチに座ります。雨上がりの公園には彼らの他、誰の姿もありません。
煙草を吸うステュワートに火をねだり、間を詰めたスティーブは、置いてあった彼のレザーハットをかぶり、あのわらべ歌を口ずさみます。「変わってるな」とステュアート。
駆け引きで合意し、2人はトンネルに向かいます。
トンネルを背にステュアート、その向かいにスティーブが立ち、「尻か、口か」と聞きます。ステュワートはズボンのチャックを降ろし、スティーブは脱いだズボンを畳み、恥ずかしいかと聞き、彼にも脱げと促します。
が、ステュアートがスティーブから目を逸らさず屈みこんだその瞬間、スティーブはナイフで彼の腹を刺し、倒れ込む彼の手からナイフが落ちます。
スティーブは下半身を晒したまま、その足元にへたり込みます。
入院したステュアートにエデルソン部長が質問します。警官服のスティーブもいます。お前が襲ったのは警官だと言う部長に、俺が襲われたんだとステュアートが答えます。マルチーノ殺しはコインの指紋が一致したため確定、それだけでも懲役20年だが、他の殺人も吐けば8年に減刑してやると言う部長に、彼は「誰も殺してない」と答えます。
病室を出て、大陪審で君の正当防衛が認められれば捜査は終了だと言う部長に、チャンスを与えてくれて感謝しますと笑うスティーブ。
ステュアートの家宅捜査をする刑事は、手紙の束を見て彼の父親の話をする学友に、父親は10年前に亡くなってると話します。
ほどなくしてグリニッジ・ヴィレッジのアパートで殺人事件が発生、エデルソン部長が駆けつけます。
担当警官はディシモーネでてきぱきと状況説明をし、バスルームの血塗れの遺体はあのテッドでした。彼は友人と海に行き帰宅直後に刺殺され、連絡が付かない同居人グレゴリーは指名手配、ゲイの痴話喧嘩の果てに起った殺人だと判断されました。
部長は初めてディシモーネのバッジに目を止め、名前と分署を改めて聞いて考え込み、話し続ける彼に隣人の名を聞き直します。
ジョン・フォーブス?…彼は再びバスルームの遺体の顔を見つめ、「なんてこった」と呟きます。
その晩、クラブ837には、再び黒のレザーハットとジャンパーの男が入っていきます。
翌日、部屋に戻ったナンシーは、髭を剃っていたスティーブに、以前のように明るく楽しげにようやく終わったんだ、今夜泊まっていい?と聞かれ、安心します。ボッケリーニの曲が穏やかに流れる中、観葉植物でナチュラルにまとめられた窓辺の椅子にスティーブの持ち物が置かれているのに気づき、身に付けていく彼女。
黒のレザーハット、レイバンのミラーグラス、そして黒のレザージャンパー…。
髭を剃り終え、鏡を見つめるスティーブの眼は、何かをじっと見つめています。
タグボートがゆったりと行き交うハドソン河は夕日で染まり、その川面は穏やかに凪いでいました。

《ライターの解説》
日本語ビデオ版では冒頭に、「この映画はホモ糾弾を意図するものではない。ここに描かれているのはごく少数派のホモの世界である」と入っていたのですが、日本語復刻版DVDではカットされています。
また、テーマ曲willy deville の「it's so easy」始め音楽が魅力的な本作ですが、日本語ビデオ版はHiFiステレオ、日本語復刻版DVDはモノラルです。
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ライターの感想

テーマ曲willy deville の「it's so easy」始め音楽が魅力的な本作ですが、日本語ビデオ版はHiFiステレオ、日本語復刻版DVDはモノラルです。
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