「スモールタウン マーダーソングズ」のネタバレあらすじ結末

スモールタウン マーダー ソングズの紹介:カナダの湖畔の田舎町で起こった殺人事件に翻弄される人々の中、懸命に生き直そうとする中年署長の葛藤を描いた2010年カナダ製作のサスペンス映画。監督/製作/脚本/編集は本作が長編デビューとなるエド・ガス=ドネリー。主演は「ファーゴ」「コンスタンティン」のピーター・ストーメア。ブルース・ペニンスラによるゴスペル曲も重厚な空気を醸している。

予告動画

スモールタウン マーダーソングズの主な出演者

ウォルター(ピーター・ストーメア)、リタ(ジル・ヘネシー)、スティーブ(ステファン・エリック・マッキンタイヤー)、ジム(アーロン・プール)、ワシントン刑事(アリ・コーエン)、ウォルターの妻サム(マーサ・プリンプトン)、老女オリーブ(ジャッキー・バロウズ)、他。

スモールタウン マーダーソングズのネタバレあらすじ

【起】- スモールタウン マーダーソングズのあらすじ1

”主は汝のために戦われる。ただ静かにしていなさい”‐出エジプト記14章14節‐
”悔い改め 信仰を宣誓せよ”
――深夜の事件現場。
道端には数台のパトカーのランプが瞬き、リタと数人の警官が何かに困惑し立ちつくしています。その目線の先にはウォルターがいて、すがるような眼で彼女を振り返ります。

カナダの小さな町オンタリオの警察署長ウォルターは、中年となった今、洗礼を受けます。
ピックアップトラックのヤサぐれた住民スティーブ・ヒンデンは、彼に違反切符を切られ「リタに聞いたぞ。相当な”暴れん坊”だそうだな」とからかいますが、彼は静かに「ポイントビーチで何か捨てるのを見た、不法投棄だぞ」と諭しますが、彼は笑って違反切符を投げ捨て走り去ります。
また、田舎で老いた父親と移民労働者たちと共に牧場を営む兄に会いに行っても「暴力はダメだ」と諭され、何も言い出せないまま帰る事に。妻のサムは彼の苦悩を知ってか知らずか、ベッドでもウェイトレスの仕事の愚痴をこぼします。

そんなある日、湖畔の寂れた草むらポイントビーチで殺人死体遺棄事件が発生し、ワシントン刑事がやってきます。
ウォルターの相棒で警官のジムは、現場に来るようにとの通報があり悪戯だと思ったらしいと言い、被害者の女性は衣服をほぼはぎ取られ所持品もありません。
ウォルターは刑事に、被害者は町の住民ではなく、数日前の日曜ジムと釣りに来た時、スティーブの車から運転手が何か捨てるのを見たが、遠くて運転手の顔は判らなかったと証言します。
ジムは奴ならやりそうだと言いますが、刑事は状況から見て被害者はここで殺されてる、目撃情報としては不十分だと言います。
捜査の間、ワシントン刑事は近くのモーテルに滞在し、署に捜査本部を置きウォルターに協力を求めます。湖の周囲80㎞圏内には3軒ほどの家と10数軒のキリスト教メノー派(非暴力・平和主義)のコミュニティがあるだけです。

”世間に振り回されてはならない”
町の住民たちは初めての殺人事件に動揺し、ジムの家でも妻が思春期の娘デボラを外出禁止にします。ウォルターは町中を回り、ガソリンスタンドや床屋に被害者の似顔絵を貼り、女性の身元を探します。
1人暮らしの老女オリーブは彼を手作りクッキーでもてなしますが、従妹のメアリーの殺害事件を思い出し、あの時はトムが犯人扱いされ、皆で並んで浜を捜索したが遺体はコヨーテに食い荒らされ犯人は結局判らず仕舞いだったと嘆きます。
またジムが、通報者の声はリタ・ルイスだと言い出し、ウォルターもしぶしぶ認めます。リタはウォルターの元恋人で、今はスティーブと深い仲です。
早速彼らは2人を参考人として署に連行し事情を聞く事に。リタの家では獰猛なシェパードが繋がれ吠え続けていましたが、ウォルターは木切れであやして近づき撫でていました。
事情聴取の間中、ウォルターは通路脇のデスクに向かい、リタとの関係を聞くジムを怒ります。
リタは土曜日は一晩中スティーブと家にいたと言い張り、スティーブはゴミの不法投棄がバレると思い彼女に通報させただけだと言い、ウォルターの暴力沙汰の話をして帰ります。発見から通報まで2日かかった理由は不明でした。
ワシントン刑事は、死亡時刻も死因も身元も不明だ、シフトを増やして一軒一軒聞き込みに回れと言い、ウォルターは億劫そうに出掛けて行きます。
彼は町では子供たちにも笑顔で応える優しく穏やかな”署長さん”です。けれどスティーブだけは訳知り顔でニヤついていました。

”右の頬を殴られたなら左の頬を差し出しなさい”
その日の夕食でウォルターは、なぜ被害者の下着を直してあげなかったの?気の毒だわと泣き出した妻のサムに、捜査だから遺体やまして下着に触るなどもってのほかだと話し、共に被害者に祈りを捧げます。彼の脳裏には、あの夜の自分の姿が過ぎります。
また、翌日、彼は教会に行き、助司祭に「私は変わった」と呟きます。彼は相手を暴力でねじ伏せ、叩きのめしていた時を思い出します。牧師には「人の本質は変わらないが衝動を抑える事は出来る、”どんな人になりたいか”を考えなさい。人は許してくれる。人としてまっとうに生きる事だ」と言われます。
また彼は警官数人と共に、兄の牧場に行き働いている移民たちを含めて事情を聞きます。彼らとは通訳を通して話し、兄からは嫌がらせか?と煙たがられます。
そしてサムの勤めるカフェでは、路上で口げんかをするリタとスティーブを見かけ、彼の過去をしつこく言いふらす常連のオバサン=グレタに思わず声を荒げ「変わってないね」と言われます。

【承】- スモールタウン マーダーソングズのあらすじ2

一方本部には、被害者の死亡推定時刻は土曜の夜11時頃、死因は絞殺、薬物反応有り、死亡後にあの場所に遺棄されたという鑑識結果が届きます。ワシントン刑事はヤクの元締めから割れるかもと言い、80㎞ほど離れたミッツィのストリップ劇場には麻薬売買の噂があり、若いダンサーを始終集めてると言う情報から、ウォルターとジムが聞き込みに向かうことに。その途中、パトカーのカーラジオからは別の行方不明事件のニュースが流れています。
店は昼間にも拘らず営業中で、ミッツィは産休で不在でしたが、被害者の写真を見たバーテンは先週ミッツィが連れてきたメリッサと言う娘で日曜から欠勤してると言います。また管理が厳しくなって店ではドラック禁止だが外では野放し、先月2人がクビになったが彼女は問題無かったと話します。またスティーブの写真を見せると、土曜の晩、こいつが女の子らとカラオケで盛り上がりメリッサも一緒だったと証言します。
つまりリタの証言は嘘で、ジムは先に刑事に報告しよう、行くのはマズいと止めますが、ウォルターは彼を自宅に送り、リタの家に向かいます。
リタは、訪ねてきたウォルターに約束違反だと怒り、彼を迎えに出てきた犬のジューリを家に押し戻しバカ犬!と罵ります。
ウォルターは、スティーブはこの家に入り浸ってるのか?と聞きますが、彼女はあんたこそ来ないで!迷惑よ、終わったのよと返し、「土曜の晩、奴は被害者と一緒にいるのを目撃されてる、その上遺体の第一発見者なんて変な話だと思わんか?君は刑事に嘘をついたろ?」と言われても、頑健に一緒にいたと言い張り「彼は何もしてないし、あんたは最低な男だ、何も変わっちゃいない」と罵ります。
そこにスティーブが帰宅し、吠えかかったジューリを蹴飛ばし「私有地だぞ!リタはお前に用は無いってよ!」と怒鳴り散らします。ウォルターはその怒鳴り声を背に、大人しく去って行きます。

ジムの家では娘が彼の隣に座り何か言いたげにしています。彼は最近は口もきいてくれないのに珍しいなと笑いながら「事件の事が気になるのか?」と言い、その手を握り返します。
一方、ソファでうたた寝していたウォルターは、捜査に進展の無いオンタリオ警察を批判するTV番組で起き出し、私服で庭のパトカーに乗り込みますが、誰かを散々殴りつけ怒鳴り散らす自分を思い出しただけでした。

【転】- スモールタウン マーダーソングズのあらすじ3

”神はどんな自分にも会いに来て下さる”
小雨が降る早朝、パトカーの窓を叩いたのは彼の父親で「州警察は引き上げるのか?…ならばお前だけが頼りってことか」とだけ言い、帰って行きます。彼はその背中に「ありがとう、父さん」と呟きます。
けれど署では、ワシントン刑事にスティーヴの目撃情報をなぜ黙ってた?と聞かれ、リタとスティーブから禁止命令の要請が出た、リタから半年前まで深い仲だったと聞いた、調べたら彼女と君は2年間付き合って別れた、それでスティーブに罪を着せようとしたのか?と責められます。
そして弁明には一切耳を貸さず、「君のせいでたった一人の容疑者に手を出せないんだ!奴が夜中に君が嫌がらせに来たと訴えれば捜査は終わりだ!」と怒鳴り、捜査から外れてもらうと言い渡します。
ウォルターはその捜査の最後の仕事として、メリッサの母親の遺体照合に立ち会い、彼女を車で送ります。母親は「犯人は野放しで、捕まったってせいぜい2年、犬なら処刑されるのに不公平だわ、時間の無駄よ」と涙をこぼしますが、彼は黙って聞いているだけでした。

ウォルターの夕食は、いつも通りサムの神への感謝の祈りで始まります。
けれど彼女はとうとうと事件にまつわる町の人々の反応を話し始めます。ジャンは事件以来子供を湖で泳がせなくなった、大げさだしまるで湖が汚染されたみたいよね…事件現場をたまり場にしてたテリーは罰金を取るべきだ…中でも最悪なのはメアリーで、被害者は売春婦だから自業自得だと言いふらしてた、私はあんな場所(ストリップ劇場)に入った事無いから分からないけど、彼女たちだって多分普通の人で子育てしたり借金苦だったりするだろうに、お堅いメアリーにとっては踊り子は悪魔と同じだもの云々…。
ウォルターは黙って聞いていましたが、彼女が「あなたは必死で犯人を捜してるわね」と言った瞬間、泣きそうになり、どうしたの?何かあったの?と聞く妻に「黙れ!」と怒鳴りテーブルを叩きます。サムは無言で席を立ち、彼は一口二口食べて口元を拭います。

ウォルターはその夜遅く、自家用車に乗り私服でリタの家に行きドアをノックしますが、彼女は彼の顔を見るなり冗談でしょ!勘弁して!と突き飛ばし、事実を話せ!と迫る彼に帰ってよ!大嫌い!顔も見たくない!と怒鳴ります。
そこにバットを持ったスティーブが出てきて彼を罵りますが、ウォルターは「やったんだろ?お前が殺したんだ」と呟き、ジムに電話をすると背を向けた瞬間掴みかかってバットを奪い、地面に転がったスティーブに向かって振り上げます。
けれど止めて!と叫ぶリタを振り返り、かつて誰かを殴っていた自分、それをどうにもできず見つめる彼女を思い出し、バットを捨てて去ろうとします。
その瞬間、スティーブは彼に掴みかかり、何度も殴り蹴りつけますが、ウォルターは、かつて彼にもそうしていたように必死で止めようしているリタを見て、殴り返さず去って行きます。

【結】- スモールタウン マーダーソングズのあらすじ4

翌朝。口と耳から血を流し教会の椅子に座っていたウォルターの元にジムがやってきます。
ウォルターは「リタは?」と聞きますが、彼は「署までご同行を」と応えます。
彼は笑って「危うく殴るところだったが私は獣じゃない、変わったんだ…奴が犯人だ」と言い、「私は正義を果たしたか?」と聞きます。ジムは難しい顔で「いいえ」と言い「でもリタは白状しましたよ」と話します。

リタの家にはパトカーが集まり、家の周りには立ち入り禁止の黄色いテープが張られます。連行されるスティーブは、涙で目の周りを黒くしたリタに笑って見せますが、彼女は暗い顔で黙って家に入って行きます。
オリーブはメアリーの時と同じく窓から様子を窺い、ジューリは何かの死骸をくわえています。
ウォルターは教会で、何かをやり遂げたような顔で微笑んでいました。

みんなの感想

ライターの感想

クリーピーでもクレイジーでもないピーター・ストーメアが、大柄な町の”署長さん”をちんまり演じる佳作です。75分と短めだし、ゴスペルのような音楽も牧歌的な田舎町の情景も素晴らしく、小難しい宗教や理屈も絡まず、血なまぐさいシーンも無いので(死体もほぼ遠景)、さくっと気軽に楽しめるかと。
サムに下着を直さなかったと泣かれるシーンと食事シーンは思わず解るわぁと唸らされた。これまで大した困難も無くまっとうに暮らしてきた”さいわいな人々”って、なぜ”不幸な人々”の噂が大好きで”他人を(上から)憐れむ事”に衒いが無いんだろう?そそくさと席を立つのもたまらない。移民であろう寡黙で働き者の彼の家族、そしてこの妻を含め、彼がなぜリタと引き合ったのか、そして殴る事に慣れて行ったのかが透けて見える気がします。多分彼とリタが可愛がっていた犬のジューリもポイント高いです。
ジャック・ニコルソンの「プレッジ」やトミー・リー・ジョーンズの「メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬」など、深々と心に染みる作品がお好きな方には間違いなくおススメです。

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