「フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)」のネタバレあらすじ結末

フィッシュストーリーの紹介:2009年公開の日本映画。伊坂幸太郎の同名小説を、中村義洋・監督が映像化。売れないパンクバンドが最後に残した1曲が、めぐりめぐって彗星が衝突する地球を救うという話を描く。

予告動画

フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)の主な出演者

繁樹(伊藤淳史)、五郎(高良健吾)、麻美(多部未華子)、雅史(濱田岳)、正義の味方・コック(森山未來)、レコード屋店長(岡崎の息子)&岡崎(大森南朋)、谷口(石丸謙二郎)、健太郎(山中崇)、悟(波岡一喜)、晴子(高橋真唯)、強姦魔(滝藤賢一)、運命の女性(大谷英子)

フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)のネタバレあらすじ

【起】- フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)のあらすじ1

(注意:この作品は「1953年」「1975年」「1982年」「1999年」「2009年」「2012年」というパーツに分かれて複数の話が併行して進むタイプの映画。
ラストに、そのからくりが分かるようになる仕組み。
このあらすじでは分かりやすさ重視のため、敢えて時系列順に並び変える。これにより面白さは半減するが、ご理解いただきたい)
〔1953年〕
戦後すぐの出版業界は、外国の本を数多く出版したくとも、圧倒的に翻訳者が足りない状態でした。
本の版権は取ったものの翻訳者不足にあえぐある出版社は、履歴書を見て「ハーフだと思った男(実際はハーフではなかった男)」を翻訳者として採用します。
ハーフではなかった男は生粋の江戸っ子で、妻子を養うために本の翻訳を引き受けたものの、英語がまるで理解できず、辞書と首っぴきで必死で翻訳しました。
できあがった本は『フィッシュストーリー』というタイトルで出版されますが、すぐに返本&回収対象となります。まるで違う内容に仕上がってしまったからです。
そもそも「fish story(フィッシュストーリー)」とは「ほら話(釣り師がおおげさに手柄を語ることから)」という意味なのですが、翻訳した男は素直に「魚の話」だと思いこみ、終始そのように訳してしまっていました。
返本騒動で岡崎の叔母が勤務していた出版社は潰れ、岡崎の叔母は好奇心から『フィッシュストーリー』の本を、1冊だけ拝借しました…。
〔1975年 パンクの先駆者『セックスピストルズ』デビュー〕
ロックン・ロールはあっても、まだ世の中に「パンク」という言葉自体が浸透していなかった時代。日本ではバラードが流行しています。
1972年、場末のキャバレーでバンド活動をする〝逆鱗(げきりん)〟のメンバーは、リーダー兼ベースの繁樹を筆頭に、ボーカル・五郎、ギター・亮二、ドラム・鉄矢の4人で構成されていました。
彼らはまだ理解されないパンクを歌いますが、客からは殿さまキングスなどの歌謡曲を要求されます。やむなく『長崎は今日も雨だった』を歌い始めますが、しっくりこない繁樹たちは勝手にアレンジを加え、途中からパンク調に変調して客のひんしゅくを買います。
レモンレコード株式会社の制作部に勤務する岡崎憲夫だけは〝逆鱗〟を見出し、スカウトしました。但し「理解されるには時間がかかる」と言います。
2年後の1974年、〝逆鱗〟は3枚のアルバムを出していますが、はっきりいって売れていません。社長から「次のアルバムが最後」「ボーカルの五郎だけならソロとして残してもいい」と言われていました。
最後のアルバムのメインとなる曲が作れてなくて焦る繁樹に、岡崎は他界した叔母から貰った本『フィッシュストーリー』を手渡します。繁樹は本の冒頭に書かれた「僕の孤独が魚だったら 巨大さと獰猛さに鯨でさえ逃げ出す」というフレーズに触発され、一気に歌詞を書きました。曲名は本と同じ『FISH STORY』にします。

【承】- フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)のあらすじ2

盗用に当たらないか心配する繁樹に、この本は回収対象となったから現在は1冊しかないと岡崎は言いました。
レコーディングの日、バラード調にした方がいいと言う音楽プロデューサーの助言を拒否し、繁樹たちは自分たちの音楽スタイルを貫きます。「やりたいことをやっていいのはアマチュア」と音楽プロデューサーは吐き捨てますが、岡崎は好きにしたらいいと言いました。但し一発録り(1回しか録音しない)です。
曲の間奏の際、ボーカルの五郎が「岡崎さん、岡崎さん、これは誰かに届くのかなあ。なあ、誰か聞いてんのかよ」「届けよ、誰かに」と喋りました。若者の詩みたいだと、音楽プロデューサーはぼやきますが、岡崎は録り直しを指定せず、間奏の1分間だけ無音にしようと言いました。
打ち上げで〝逆鱗〟のメンバーと岡崎は、その曲が数年後、数十年後誰かの心に確かに届くという話をします。
たとえば、ある男性が曲を聞いていて、無音のところでたまたま女性の声が聞こえると思い、ヘッドフォンを外して店内にいた女性と出会って恋に落ち、2人が結婚して子が生まれ、その子が第三次世界大戦を止めてノーベル平和賞を受賞する…。
他愛もない空想をした5人の男たちは、『FISH STORY』の曲がいつか世界を救うんだと言いました。
妻が出て行ったので岡崎が連れて来た息子が、ヒーローもののテレビ番組・ゴレンジャーを見損ねて、隣のテーブルでオムライスを一心に食べていました。
〔1982年 彗星の衝突まであと30年〕
気弱な大学生・雅史は、友人の健太郎と悟に使われてばかりです。その日も彼らのために車を出して、コンパに向かう途中でした。
健太郎は車のカセットプレーヤーで曲をかけます。売れなかったバンド〝逆鱗〟というバンドのアルバムで、マニアにとっては伝説となっている呪いのテープでした。
アルバムの中の『FISH STORY』の間奏に女性の悲鳴が入ったためレコード会社の人が消して1分間の無音となったのだけれども、そこに女の悲鳴が聞こえるというのです。悟はそう説明し、健太郎は喜んで流しました。
信号待ちに1分の無音の部分が当たり、運転する雅史はびくびくしますが、何も聞こえません。雅史はほっとしました。
コンパに行っても雅史だけはみそっかす扱いで、雅史も慣れています。
コンパの相手の女子大生で霊感の強い晴美が「今日私と会う男は、いつか世界を救う男、世界を救う重要な役目を担う男だ」と言って雅史を見ました。そして「あなたは今日、運命の女性と出会う」と言います。
「バカにされ続けていいのか。一度でも立ち向かったことがあるか。立ち向かわないと運命の女性は別の人のものになる」と言われた雅史は、さすがにこたえます。
晴美と健太郎を送ることになった雅史は、健太郎がラブホテルの前で降りて晴美と去るのを止められません。慌てて追いかけますが、角を曲がると2人はいなくなっていて間に合いませんでした。

【転】- フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)のあらすじ3

やりきれなさに運転しながら雅史がハンドルを叩くと、振動で〝逆鱗〟の『FISH STORY』がプレーヤーに入って再生されます。テープを取り出そうとしても出てきません。
夜の山の中で1分の無音が怖くてトンネル手前でエンジンを切った雅史は、ふと女の声が聞こえた気がしました。外を歩くと倒れた自転車と中身が散乱したバッグがあります。
前方に何か見えたので車の前照灯をつけると、強姦魔に強姦されそうになった女性がいました。強姦魔にびびって一度は逃げた雅史ですが、棒切れを拾って引き返して強姦魔に殴りかかります。
強姦魔に逆にぼこぼこにされかかった雅史でしたが、女性が大きな石を拾って強姦魔に殴りかかり、女性が勝ちました。
雅史は「運命の女性」と出会い、恋に落ちて結婚し、2人の間には男の子(※)が生まれました。
〔1999年 『ノストラダムスの大予言』による、恐怖の大王が襲来する、7の月〕
健太郎と悟は、1982年に晴美に言われた予言「今日私と会う男は、いつか世界を救う男だ」を信じ、会社を辞めて「ノアの方舟」の宗教家・谷口と共に島へきていました。
宗教家・谷口は「これが最後の太陽だ」と言いますが、翌日も世界は存在し、よく晴れて太陽がさんさんと照っていました。何が最後の太陽だと、健太郎や悟はキレます。
そもそも予言が書かれた月と現在とでは、10年ずれているらしいです。
宗教家・谷口は「2012年に何かが起こる」と言い、周囲のスタッフ・スズキとタナカは「2009年だ」と言いました。
〔2009年〕
女子高の修学旅行で「神戸発、東京経由、苫小牧行き」のフェリーに乗った女子高校生・麻美は、居眠りしている間にフェリーを降り損ねました。麻美は一度眠ると、どんな物音でもなかなか起きないのです。
東京を発ったフェリーは北海道・苫小牧まで止まりません。救出用の浮輪を手にフェリーを降りようとした麻美は周囲に止められ、泣きながらフェリーの船内にいました。
麻美を慰めようと、フルーツタルトを持ってきた若い男性のコックが、北海道までの間、笑える話をすると言います。
そのコックは昔、父から「正義の味方」になるように育てられたというのです。彼の父は「大事なのは職業や肩書ではなく、動じない心を作る『準備』なのだ」と言い、幼年時代から彼に筋力トレーニングと禅修行を課し、中島敦『弟子』を与えます。
『弟子』を読んで孔子の時代から悪が栄え正義が打ちのめされたことを知ったコックは、「なぜ父は正義の味方になれと言ったのでしょうね」と言い、老夫婦の注文したアップルパイが焼き上がったので一時席を立ちました。
その直後、フェリーがシージャックに遭遇します。銃を持った男が乱入し、しかも乗客の中にもメンバーがいて、誰が味方で誰が犯人か分かりません。
シージャック犯は「ノアの方舟」と名乗り、新世界に向けて旅立つと言いました。宗教家・谷口ではなくスズキとタナカの計画です(谷口は「世界の終わり」を2012年だと思っているから同席していない)。

【結】- フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)のあらすじ4

アップルパイを運んできたコックが、パイを持ったまま素早くシージャック犯を3人倒しました。乗客から拍手が起こります。
麻美の後ろに座った男が銃を取り出し、コックは右肩を被弾しました。「最初の犠牲者は女子高校生と決めていた」と言った男の指示で、コックは座席に縄で縛りつけられます。
コックは〔正義の味方ができるまで〕の続きの話をします。子供の頃から目隠しして柔道トレーニングをし、ペンキ塗りや窓ふきをしていたコックは、なぜ修行をするのか自問自答しつつもやはり父が大好きだったと言いました。コックは雅史の息子(※印の男の子)で、いつか世界を救うのだと思われ、幼少期から訓練を受けていたのです。
話しながら骨を外して縄抜けした男は、骨を戻すと「それでは行ってきます。礼なら父に」と言って前方デッキに集まるシージャック一味に立ち向かい、1人で全員を倒しました。麻美は助かります…。
〔2012年〕
巨大な彗星が地球に近づきます。アメリカの宇宙船が半年前に彗星に核爆弾を埋めましたが、不発に終わり、宇宙船も生還しませんでした。
あと5時間で世界が終わります。彗星の衝突は避けられず、地球にぶつかった場合、衝突した場所は一瞬にして消滅し、衝突しなかった地域にも100m以上の津波が到達するとされました。
世界中が最後の避難を果たしたものの絶望したムードの中、宗教家・谷口は電動車椅子で街を闊歩します。
宗教家の谷口は「世界の終わり」に向けて、若い頃からやりたいことはやってきました。胃がんが骨転移し末期癌で、借金もありますが、もう世界が終わるのでどうでもいいことです。
ふとあるレコード屋が営業しているのを見つけて店内に入った谷口は、そこでレコード屋の店主(岡崎の息子)と客が普段どおりの会話をしているので驚きました。
店主と客は、あと5時間で世界が終わるというのに、レコード談義に花を咲かせているのです。店主はパンクという言葉ができる37年前に発売された〝逆鱗〟のレコード『FISH STORY』を流します。時代に先行し過ぎていて、受け入れられなかったグループでした。
レコード屋の店主は「正義の味方が地球を救う。正義の味方は5人いるんだ」と言いました。〝逆鱗〟のプロデューサー・岡崎の息子であるレコード屋の店主は、オムライスを食べながら昔、そういう話を聞いていました。この期に及んで何を…と谷口は絶句します。
あと1時間という時、半年前のアメリカの宇宙船が埋めたとされる核爆弾を誘爆させるミサイルを発射するため、インドの宇宙船・アルン号が出発しました。その計算は高度で複雑で、成功率は0.000013%とも言われていましたが、ミサイルは発射されて核爆弾に当たり、彗星は空中で飛散して粉々になりました。
地球は救われました。
インドの宇宙船・アルン号の中には、4人のクルーのほかに、2009年に正義の味方・コックに救われた麻美がいました。麻美はその後大学に進学し、数学系で天才的な能力を発揮します。そして今回のミサイル発射角度軌道計算をしたのでした。

みんなの感想

ライターの感想

伊坂作品ならではの畳みかけ戦法で、最初はまるで関係ないかのようなできごとがラストでぱちりぱちりと嵌まっていく、痛快さがあります。
正義の味方の5人とは
・〝逆鱗〟の4人と、彼らを発掘したレモンレコード株式会社制作部・岡崎憲夫
・インドの宇宙船に乗り込んだクルー4人と麻美
・『フィッシュストーリー』翻訳者ハーフではなかった男&繁樹(本を元に曲を作った)&雅史(曲がきっかけで運命の女性と出会い、正義の味方を作った)&正義の味方(地球を救う女性・麻美を救った)&麻美(彗星から地球を守った)
いかようにも取れます。最後の説は、繁樹に本をもたらした岡崎も入れたいところですが、そうすると6人になっちゃうな。
テーマになる『FISH STORY』の楽曲のプロデュースは斉藤和義が行なってます。曲だけでも聞いてみる価値ありです。

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