「ポテチ(伊坂光太郎)」のネタバレあらすじ結末

ポテチ(伊坂光太郎)の紹介:2012年公開の日本映画。『ゴールデンスランバー』などのヒット作を生み出した仙台在住の人気作家・伊坂幸太郎と中村義洋監督の名コンビが、東日本大震災をきっかけに製作した心温まるミステリー・コメディ。一連の伊坂&中村作品の常連である濱田岳を主演に据え、注目の新進女優・木村文乃をヒロインに抜擢。仙台でのオール・ロケにも注目したい。

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予告動画

ポテチ(伊坂光太郎)の主な出演者

今村忠司(濱田岳)、大西若葉(木村文乃)、黒澤(大森南朋)、今村弓子(石田えり)、中村親分(中村義洋)、落合修輔(中林大樹)、ミユ(松岡茉優)、尾崎選手(阿部亮平)、堂島監督(桜金造)、通行人(竹内結子)

ポテチ(伊坂光太郎)のネタバレあらすじ

【起】- ポテチ(伊坂光太郎)のあらすじ1

今村は、空き巣を生業とする若い青年です。仲間に「親分(ときどき専務)」「若葉」がいます。また同業者に黒澤という中年男性もいますが、彼は孤高の空き巣で、今村が誘っても「空き巣は個人競技だ」と言いました。
今村はある日、黒澤を呼び出して他愛もない話をします。
「こないだ俺、健康診断を受けたんですよ」「俺、すごいことに気がついたんです」「母にも健康診断を受けさせようと、実家に帰ったんです」
「縁側で寝転んでいたら、木からリンゴが落ちたんです。あれって、ひっぱる力があるから、落ちるんじゃないですか。ひっぱる力が、地球の真ん中にあるんじゃないかって」
…話を聞いていた黒澤は、冷静に「今村、お前、ニュートンって、知ってるか?」と訊き返しますが、今村は知りません。「ニュー、トン?」と真顔で問い返す今村に、「いや、いいんだ」と黒澤は言いました。
支離滅裂な話をしたのは、今村は黒澤に、話しづらいことを依頼したいからです…(後述)。
…今村と若葉の2人は、ガス屋の扮装をしてプロ野球・尾崎選手の部屋に忍び込みました。ガス屋の扮装をすると、マンションの住人と廊下ですれ違っても違和感を抱かれない…これは黒澤の入れ知恵です。
空き巣に入った今村は、尾崎の部屋の筋トレマシンを動かして喜びます。今村は尾崎選手のファンで、甲子園時代から尾崎を知るほどでした。
一方の若葉はというと野球に詳しくなく、尾崎がプロ野球選手だということも、空き巣に入ってから知ったくらいです。
そもそも野球自体にうとく、「ホームランってどこがすごいの? ただ遠くに飛ばすだけじゃん」という認識です。
今村が若葉に熱心に尾崎選手のすごさを説いている時、部屋の電話が鳴りました。今村はふと「過去にこれと同じシチュエーションがあった」と言います。
…(回想)その日、中年男性・中村と今村が空き巣に入ったのは結婚詐欺師の部屋でした。中村は今村の師匠なので、中村のことを「親分」と呼ぶのですが、中村は気に入っていません。
「じゃあ課長」「なに課なんだよ」「じゃあ、専務」そんな感じで親分という呼称が専務に決まりかけた時、結婚詐欺師の部屋の電話が鳴ります。
2人がじっと耳をすませていると電話は留守電になり「今から飛び降りる。遺書にあんたの名前を書いた」という伝言が入りました。
2人はどきどきして胸に両手を当てており、中村はやっぱり「親分」名称に戻りました。 この映画を無料で観る

【承】- ポテチ(伊坂光太郎)のあらすじ2

「聞いた内容は忘れよう」と決めた2人ですが、内容が内容だけに気になります。今村は着信の番号に電話をかけ直し「今から行くから! キリンに乗って行くから! すごいよ、仙台の街にキリンだよ。見てから死ねばいいのに」と言います。
そして女性のいるビルの屋上に行きましたが、当然、今村はキリンに乗ってません。「ってか、乗ってないし。ってか、あんた誰?」尤もな質問です。
今村は必死で説得し「もし飛び降りても専務(戻った)がキャッチする」「高校球児だった専務は、一度もフライを取れたことがなくて野球が嫌いになった。でもボールとじゃサイズが違うから、今度はキャッチできる。君をキャッチしたら野球嫌いが治るかも」「君をキャッチしたら、専務は生まれて初めてフライを捕ったことになるんだ。ほら、飛びなよ」(注意:10階建てのビルです)…女性は、飛び降りる気力を喪失しました…(回想終わり)。
「てかそれ、私じゃん!」と若葉が言います。それが今村と若葉の出会いのきっかけで、現在は若葉は今村と同棲しています。
…さて、目の前の尾崎選手の留守電はというと「おじさん、あいつから呼び出された。これから行かなくちゃ。『ミールズ』ってカフェに行く」という伝言でした。
今村は尾崎選手の代わりにカフェに行きます。若葉も同行します。
カフェにいたのは、若い少女・ミユでした。事情を聞いた今村と若葉は、ミユが以前からストーカーに付きまとわれていたこと、1週間ほど前に尾崎に助けられたこと、次もし危険な目に遭ったら電話してこいと連絡先を教わったこと…と聞き出します。
「あれがその男」とミユが指さす先には、青い乗用車が停まっていました。車は立ち去りますが、今村は車のナンバーを控えます。
黒澤に相談した今村は、運輸局に申請すれば車の所有者の情報が得られると教わりました。
やる気まんまんの今村に対し、若葉が「(車の)持ち主見つけてどうすんの?」と聞き、今村は「尾崎選手の代わりに、やっとこうと思って」と答えます。
今村が運輸局に行った間、今村の部屋にかかってきた電話を取った若葉は、今村の母・弓子と外で会いました。
弓子はずっと娘が欲しかったそうで、若葉の服を気前よく買い物すると、呑みに行きます。
「女の子が欲しかったのなら、もう1人生めばよかったのに」と言う若葉に対し「もし次も外れたら、目も当てられない」「はずれって!(笑)」と意気投合しました。

【転】- ポテチ(伊坂光太郎)のあらすじ3

弓子が出産した当時は産科病院も盛況で、出産日はラッシュで子どもを入れるベッドも足りなかったくらいです。
「その時にどさくさで女の子と入れ替えればよかった」という若葉の案に「ほんとだ!」と弓子は答えました。
翌朝、二日酔いの若葉は、今村が必死で三角形を描いているのを見ます。「すごいんだよ。どんな三角形を描いても、内部の角度の合計は」「180度なんでしょ」「知ってたの!?」「てか、それ常識じゃん」…。
車の所有者が落合修輔という人物だと判明し、今村と若葉は部屋に潜入しようとしますが、意外なものを目撃します。落合の部屋から、ミユが連れ立って出てきたのです。2人はかなり親しい様子です。
黒澤に相談した今村は「狙いは尾崎だろう。美人局(つつもたせ 女が色仕掛けで接近し、男がそれをネタに脅迫すること)で、尾崎から金を奪おうとしたのではないか」という答えを得ました。
尾崎選手を騙そうとした落合とミユに対し、我がことのように今村は立腹し、「腹が立ったら喉が渇いた」と言って買い物に出ます。若葉はポテチコンソメ味を指定しました。
戻ってきた今村はポテチコンソメ味を食べ、若葉はポテチしお味を食べて間違いに気づきますが「食べてみたら、意外においしい」「間違えてもらって、よかったかも」と言います。その言葉を聞いて、今村は泣きました。突然のことなので、若葉は意味が分かりません。
今村と若葉は落合の部屋に先回りし、落合とミユの帰宅を待ちました。尾崎を騙そうとしたことをミユが認めますが、落合もミユも尾崎がプロ野球選手だということを知りませんでした。
尾崎は大したことない選手じゃないかという落合の発言に今村はキレて、家具をひっくりかえします。
車に戻った今村は、黒澤に「生きてるのがつらいっす」と言い、黒澤は「お前はえらいよ」と返しました。「僕、どうすりゃいいのか」「何もしないでいい」…若葉が横で「ちょ、ちょ、2人だけの会話しないでよ」と嫌がります。
その後、落合&ミユコンビには黒澤が脅しをかけ「こないだの地震じゃ足りない。男女2人組の生贄が必要。特別にチャンスをやる」と持ちかけます…(これも後述)。
今村が帰宅すると母・弓子が来ており、若葉と3人で呑みに行きます。酔いつぶれた今村を見て弓子は「死んだ父は酒豪だったのに」と嘆きました。
若葉は母・弓子に、尾崎選手は今村と同い年で、しかもごく近所の同じ病院で生まれた同級生だと知ります。
若葉は黒澤に事情を聞きます。「俺は人間の感情が分からない」と前置きして、黒澤はあることを説明し始めました(冒頭の依頼の話になる)。

【結】- ポテチ(伊坂光太郎)のあらすじ4

健康診断を受けた今村は自分の血液型を初めて知り、両親のそれと矛盾することに気づきました。そこで黒澤に調査を依頼したのです。黒澤は副業で、探偵の仕事もしていました。
調査した結果、生まれた産院で赤ん坊の取り違えが発生していました。今村の本当の母は尾崎の母で、今村弓子の実の息子は、尾崎選手だったのです。DNA鑑定で裏付けも取れました。
人の感情が理解できない黒澤は、その調査結果を今村に伝えますが、そこでひどく今村が落ち込んだことが想定外でした。なぜなのかと若葉に聞きます。
若葉は「お母さんが可哀想だと思ったのだろう。もっと優秀な子どもを持っていたかもしれないと思って」と答えました。今村の本当の母親である尾崎の母は、前年に心臓の病で他界しています。
若葉と黒澤は今村親子のために、あることを決意します。若葉&黒澤はホテルの部屋に行き、尾崎を嫌ってなかなか出さない、女好きの監督・堂島の情事の写真を収めました。さらに情事の相手はミユで、美人局の落合も現れます(黒澤が落合らに取引した「生贄」の内容がこれ)。
黒澤と若葉は写真と美人局をネタに、「明日の試合に、これぞという時、代打で必ず尾崎を出せ」と堂島監督を脅しました…。
…野球場に、黒澤、今村、今村の母・弓子、若葉の4人が観戦に行きます。専務・中村は来ていません(フライが捕れずに野球が嫌いだから)。
その日は尾崎選手が所属する仙醍キングスと、東郷ジャイアンツの試合でした。尾崎選手はその日も控えで、メンバーに入っていません。それでも今村は応援します。
試合の途中でセカンド・二宮から代わって、尾崎が代打に立つとアナウンスされました。今村の母・弓子は喜び、今村は興奮します。
観客席も、尾崎コールが始まりました。
バッターボックス席に立った尾崎は、最初の2球はストライクになり、その後は打ってもファールばかりです。
しびれを切らした今村は、観客席のフェンスを乗り越えて、ホームランエリアの芝の上に立ち「尾崎、ここだぞーー!」と絶叫しました。
今まで野球にうとかった若葉も「そんなもんじゃねえだろ」と叫びます。
期待に応えて、尾崎が超ド級のホームランを打ちました。球場は湧きに湧き、尾崎はガッツポーズをしながら塁をまわり、今村にうなずき返します。
若葉は感動して涙します。人の感情が理解できない黒澤ですが、なんとなく理解できたような気がしました。
(エンド途中)タクシーを拾おうとした「専務」、挙げた手にすぽっとボールが入る、フライを捕った!?

みんなの感想

ライターの感想

70分ほどの短い作品。
今まで何度か伊坂作品を演出してきた中村義洋が、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け、
お世話になった仙台への恩返しをしたいという思いで本作を制作することを決意。
同年8月下旬から9月中旬にかけて仙台市内で撮影が行われた作品が今作品である。
そのため、科白の中にも「地震」のことが触れられている(黒澤の生贄発言のくだり)。
全体的にはのほほんとしたムード漂う内容だが、話の肝となる子ども取り違えが判明するまで
(ちらっちらっとヒントは出てくるのだが)今村がなにを考えているのか判らない仕立てとなっている。
今村はポテチのしお味もコンソメ味も買って来てたのだが、自分がコンソメを食べてしまい、若葉に渡したのがしお味。
「食べてみたら意外においしい」「間違ってもらってよかった」という発言で今村が泣いたのは、わが身が置かれた環境(子ども取り違えで、ろくでもない息子を母に背負わせてしまった罪悪感)を救ってもらえるひとことだったから。
作品内で触れられるが、1957~1971年の間に赤ん坊の取り違えは日本で32件起きていたらしい。
戦後の復興期で、赤ん坊を生む場所が自宅から産院へ移行していく時期に発生したミス。後年になるに従い減ってはいるらしい。
重い題材を扱っているにも関わらず、さらっとしていて短時間でうまくまとまり、しかもほんわかした余韻…名作。

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