「何者」のネタバレあらすじ結末

何者の紹介:2016年10月15日公開の日本映画。『桐島、部活やめるってよ』で注目を浴びた、直木賞作家・朝井リョウのベストセラーを映画化した青春群像ドラマ。力を合わせて就職活動に挑む5人の大学生たちなのだが、1人に内定が出た頃から、次第に人間関係が変化していく…。佐藤健、菅田将暉、有村架純ら若手実力派が共演したことで話題に。

予告動画

何者の主な出演者

二宮拓人(佐藤健)、田名部瑞月(有村架純)、小早川理香(二階堂ふみ)、神谷光太郎(菅田将暉)、宮本隆良(岡田将生)、サワ先輩(山田孝之)、OVER MUSICのメンバー(タイヘイ、オチ・ザ・ファンク『カラスは真っ白』)

何者のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①演劇をしていた拓人とバンド活動をしていた光太郎はルームメイト。光太郎の元カノ・瑞月が留学先で知り合った女性・理香が上階に住んでいると知り、理香の部屋を就職活動本部とした。理香は付き合い始めたばかりの男性・隆良と同棲している。情報交換をしていた5人だが、瑞月に内定が出た時点で人間関係に亀裂が生じる。 ②表面上は互いに協力していた筈の5人だったが、水面下では妬みや嫉みがあった。人間的に素直な瑞月と光太郎は就職が決まり、かっこつける隆良、プライドが高い理香は苦戦。拓人は裏の顔を持っており、就職浪人だった。 ③理香に自己の醜い部分を指摘された拓人は、やりなおそうと決意。未来は明るい。タイトル「何者」は拓人のツイッターの裏アカウント名。

【起】- 何者のあらすじ1

合同企業説明会をしている会場には、男女とも皆同じようなリクルートスーツを着用し、膝を揃えて座っています。
「あなた自身を1分間で表現してください」
机に向かって座っている男性が、就職活動をする学生に呼びかけます。
リクルートスーツを着ている人たちは、筆記試験を受け、対面での面接を経験し、エントリーシートを持ち歩き、歩きながらもスマホでリクナビ(求人情報サイト)を閲覧したりと、忙しく動き回っていました。
そんななか、若い男性・二宮拓人はひとり冷静に分析します…「面接の『あなた自身を1分間で表現してください』は、Twitter(以後「ツイッター」表記)の140字のようなものだ。限られた時間のなかで、いかに自分を表現するかにかかっている。就職活動は、それが全てだ」と。
…拓人のルームシェアの同居人の男性・神谷光太郎のライブが、『orange』という小規模のライブ会場で開かれます。今回は光太郎のバンド・OVERMUSICの引退ライブでもありました。この夜をもって光太郎はバンド活動から足を洗い、就職活動に専念するつもりです。
光太郎はツイッターで皆に拡散を希望していました。ハコの入りは上々で、特に前の方には馴染みの客が囲んでいます。
頭を金髪に染めた光太郎は、ハイテンションで曲を披露していました。会場は大盛り上がりです。
拓人は2階の観覧席にいながら、ある人物を探していました。それは光太郎の元カノで、アメリカ留学から帰ってきたばかりの女性・田名部瑞月です。
拓人は入学当初から瑞月が好きでした。それは大学1年の最初のコンパの時、拓人と光太郎と瑞月が同じ机になった頃に遡ります。
コンパが終わって会費徴収になった時、瑞月がお金を集めると志望した女性のことを「すごいなあ」と感心しました。拓人は「(好印象を持たれるよう)計算でやってるんじゃないか」と指摘しますが、瑞月は「だったとしても、お金集めるの面倒だと思う」と言います。
瑞月は拓人のことも「すごい」と表現しました。「脚本なんてどうやって書いてるの。私には絶対できないから」と言われると、拓人はまんざらでもなく、純朴で素直な瑞月に惹かれました。
ところが具体的に何も行動を起こせないうちに、瑞月が光太郎と付き合うことになり、ずっと片思いのままでした。LINE(以後「ライン」表記)で彼女がアメリカから帰ってきたこと、光太郎のライブを見に行くことを知った拓人は、客の中に瑞月の姿を探していたのです。
瑞月に話しかけられた拓人は、光太郎のライブを見ながら、並んで話を始めました。リクルートスーツ姿の瑞月は、同じくリクルートスーツを着ている拓人を見て「拓人君も、シューカツ始めたんだね。拓人君の舞台も、また見たかったよ」と言います。
ライブの翌日、拓人はバイト先のカフェに行きました。バイト先は、昼間はカフェ形式ですが、夜はお酒も飲めるおしゃれな居酒屋になります。
このカフェには拓人の劇団サークルの先輩にあたる男性・サワ先輩が働いています。サワ先輩は理工学部の大学院に進学しており、「理系は卒業するのが大変なんだよ」とぼやいています。
拓人はかつて劇団サークルで、烏丸ギンジと組んで舞台の脚本を書いていました。烏丸ギンジと「にのみやたくと(注:脚本の時の作者名は、拓人はひらがなにしていた)」は次々に『ぼくの惑星』『彼女の瞳に映る紫色を、我々の多くは知らない』などの舞台を手がけてきましたが、烏丸ギンジは大学を辞めて劇団を立ち上げ、月1度の公演をしています。この経緯の詳細については後に触れます。
…さて帰宅した拓人は、光太郎が自宅の風呂場で髪を黒色に染めて、就職活動スタイルにしたのを知りました。美容院で染める金がないからだそうです。
光太郎は拓人に「シューカツ始めるから、いろいろ教えてくれ」と無邪気に頼みました。拓人も頷いて応えます。
光太郎は昨晩のライブの後、身内で打ち上げをしたそうです。その時の寄せ書きを見た拓人は「こういう(寄せ書きの色紙)のこそ、本当の打ち上げだよね。よく打ち上げの様子をツイッターで流す奴がいるけど、寒いよな、そういうの。ラインでやってよって言いたくなる」と洩らしました。
光太郎は、瑞月が打ち上げに現れたことを告げ、「瑞月がスーツだったから萎えたわ」と言います。拓人は「俺もスーツだった」と指摘しますが、光太郎的に拓人のスーツは許せるのだそうです。
拓人は早速、光太郎に伝授し始めました。合同企業説明会は、ツイッターで有名な企業だけでなく、あまり知られていない会社にも足を運ぶべきだとか、一番充実しているインターネットの就職サイトを教えます。
拓人と連れ立って早速合同企業説明会に行った光太郎は「無理だわー」とぼやきました。
その時、2人の住む部屋のドアチャイムが鳴ります。拓人が開けると、いたのは瑞月でした。
なんと瑞月が留学時に知り合った若い女性・小早川理香が、偶然にも拓人と光太郎の住むマンションの真上の階に住んでいたのだそうです。訪問して驚いた瑞月が2人を呼びに現れたというわけでした。
招かれて上の階に行った拓人と光太郎は、理香と会います。拓人たちが御山(みやま)大学の社会学部なのに対し、理香は外国語学部で、語学を武器にして就職活動に活かせます。
理香の家にプリンターが置かれているのを見つけた光太郎が「時々、借りに来てもいいっすか」と言ったのをきっかけに、理香が「じゃあ、ここを皆のシューカツ対策本部にしよう」と切り出しました。拓人、光太郎、瑞月、理香の4人で情報交換する場所に決めます。
飲み物を持ち寄って話を始めると、理香はエントリーシート(志望動機や自己PRをまとめた用紙)を作っていました。素直に感心して見せてもらう光太郎に対し、拓人は「そういうのってゲームのダウトに似ている」と発言します。
どういう意味か問う光太郎に「就職活動ってダウトみたいに、カードを裏返しにして札を出すから、いくらでもウソをつける」と拓人は言いました。なるほどと感心する光太郎に対し、鼻白んだ理香は「戦い方は、人それぞれだよね」と答えます。
そこへ、理香と一緒に暮らしている若い男・宮本隆良が自転車で帰宅しました。隆良はマウンテンバイクを家の中に持ち込みます。
理香と隆良が同棲していると聞き、拓人と光太郎はもちろん、瑞月までもが驚きます。瑞月も知らなかったようです。
情報交換をする4人をよそに、隆良だけはベッドで飄々と読書をしていました。
理香は語学力が活かせる会社で即戦力になる仕事に就きたいと思っており、そのためにOB訪問を考えています。瑞月は具体的なことは考えておらず、ただグローバルな企業に就職したいと思っており、企業に安定性を求めていました。
それを聞いた隆良が「それってさ、自分ひとりで生きていけないってこと?」と瑞月に聞きます。虚を衝かれた瑞月が黙ると、隆良は「今この時代に就職するメリットある? これからは個の時代」と言い、コラムの仕事を貰えたことを説明して「流されたくない、俺は俺のまま、いたいから」と答えました。
話をそらそうと光太郎がいつから同棲を始めたのか質問し、隆良が「付き合ってすぐ。3週間」と答えます。

【承】- 何者のあらすじ2

理香がチューハイを買いに、隆良がファックスをしに出かけた間に、拓人、光太郎、瑞月は内緒話をしました。光太郎は「付き合ってすぐ暮らすもんか~」と驚きますが、拓人は「そうかと思っていた」と答えます。
拓人らは理香や隆良ともラインとツイッターを交換しました。出かけた2人が別々にアップしているのを見て、拓人は「なんでこの2人、一緒に話さないの?」と言いますが、それを聞いた光太郎と瑞月も黙ります。拓人は気づいていなかったのですが、別れた光太郎と瑞月も会話を交わしておらず、拓人を介してしか一緒にいなかったからです…。
…ラインとツイッターを交換したので、互いの就職活動の様子は分かるようになったはず、でした。
理香は「みんなといっぱい喋って、いっぱい吸収して、今日もいい一日だったなあ。私は本当に人に恵まれている。今まで出会った人すべてに感謝」など、ポジティブな発言をする人間でした。
隆良は「いろんな価値観の人と話す。たとえ理解はできなくても、話してみることは大切だ。次のコラムのテーマにもなりそうだ。歩み寄ることと理解することは別」と、クリエイティブな発言をします。
光太郎は「面接官の人が超かわいかったから超見つめてたらその人も超見つめてた! マジか! と思ったら俺のズボンのチャック全開!」と笑いを取る発言が多く見られます。
このように今までの流れからすると「拓人」=「冷静に分析」、「光太郎」=「天真爛漫」、「瑞月」=「地道で素直」、「理香」=「意識高い系」、「隆良」=「クリエイター」な感じの人物です。ちなみに、サワ先輩はツイッターやラインを一切行なわない人間です。
…拓人は光太郎が試験を受ける会社の、WEBテストの手伝いをします。表示された画面を拓人が撮影し、分担して解く「いわばカンニング、不正行為」でした。
「WEBテストは、友人がいるかいないかを量るものだという都市伝説がある」と光太郎が言うとおり、一人で頑張ろうとする理香は、どうやらWEBテストで難儀しているようです。英語ばかり勉強してきて、数学が苦手なようでした。
…ある広告会社の筆記試験を受けた拓人は、「起承転結」形式の出題に出くわします。物語の「起」だけ記載してあり、その後の「承転結」を記せという問題です。
拓人は、舞台の脚本を書く時の癖…首が見えないほど前かがみになる姿勢…で夢中になって書きました。
その試験会場で瑞月と会った拓人は、その会場で、就職活動をしていない筈の隆良を見かけます。
拓人と瑞月は午前の部の試験を受けましたが、隆良は午後の部の試験を受けるようで、会場に1時間以上前から来ています。リクルートスーツ姿の人たちの中で、軽装の隆良は嫌でも目立ちました。
昼食を一緒に摂った拓人と瑞月は、その会場へ猛ダッシュで走る理香の姿も見つけます。理香も試験を受けるようでした。
「あの2人、一緒に暮らしてるのに一緒に会場に行かないんだね」と瑞月が呟きます。
電車に乗った時、拓人は瑞月に「なぜ光太郎は出版企業ばかり受けているのか」と質問されますが、「それ聞いたら『なんか文句ありますー?』って返された」と答えました。
ひとしきり笑った後、瑞月は拓人に、ツイッターなどでは洩らせない自分の事情を話します。
瑞月は母と住むことになったのだそうです。
瑞月の実家がある田舎町で、父が知らない女性とデートしていたところが目撃されました。噂はすぐに広まって、母がヒステリーを起こしたのです。身体より心が弱い瑞月の母は、町の人、皆が自分を嘲笑しているように見えるらしく、それで瑞月のところへ逃げてきたのです。
「このままお母さんが帰らなくても暮らしていけるような、家賃補助が出るような、ちゃんとした企業に就職しなくちゃ駄目なんだ。頑張んなきゃ」と、瑞月は言いました。その発言の重さに、拓人は何も答えられません。
瑞月が就職に安定を求めていたのは、母親を背負わなければならないという枷(かせ)があったからでした。
次の試験があるからと言い、瑞月は電車を降りました。拓人は瑞月の後ろ姿を見送ります。
…理香が名刺を作りました。表には肩書きが山ほど並んだもので、名前よりも肩書きの多さが目につきます。裏面はツイッターとフェイスブックのアカウント名が記載されています。
OB訪問をし続けている理香は、その名刺を配っているとのことでした。OB面接も20人を突破したそうです。
名刺交換でOBの名刺を手に入れると、相手のメールアドレスでツイッターのアカウントが分かると理香が言います。@より前の部分をアカウントにしている人が多いとのことで、それを検索することで、仕事仲間とのやりとりから企業の内部事情がある程度うかがい知れると、理香は言いました(ここ大事なので覚えておいてください)。
非通知の電話が光太郎にかかり、使いかけのパソコンとプリンターを放り出して出て行ったので、拓人はその間に使わせてもらおうと思い、あることに気づきました。
光太郎は、成績証明書を打ち出していました。それを見た理香も驚きます。
成績の中身が大事なわけではありません(笑)。
成績証明書が必要ということは、最終面接までこぎつけていることを意味していました。ということは、先ほどの非通知の電話も、その会社からの合否判定を知らせるものかもしれません。
戻って来た光太郎はけろっとした顔で「違ってたー」と言いました(光太郎は何も隠す気はない)。
…拓人がギンジとうまくいかなくなったのは、あることが原因でした。
ギンジはブログを開設して、そこへいつも劇団の活動内容を記していました。
「有名な誰それと会った。できそうな気がする」「頭の中にいろんなものが詰まっている」
いつも積極的で前向きでクリエイティブなことをしているのだというような内容にうんざりした拓人は、ある時ラインでギンジに「まだやりきってない段階で、これがんばってますアピールするのやめろ」「いろんな人と会って人脈作ったって言うけど、ちゃんと生きてるものに通ってるものを『脈』っていうんだよ」「頭の中にあるうちは、なんだって傑作に思えるんだよ」と、連続で自分の本音を送りつけました。
ラインはすぐに既読になるのですが、全くギンジがリアクションをしてこないのが拓人の怒りを煽り、余計なことまで書き連ねてしまったのです。
やっと返って来たギンジの答えは「俺、大学を辞めて劇団を立ち上げる」でした。そしてギンジは本当に大学を辞め、『毒とビスケット』という名の劇団を立ち上げて、毎月公演を行なっています。
気になる拓人は、時々ギンジのブログを閲覧し、ツイッターもチェックしていました。そしてある時、ギンジが隆良と一緒に「仕事」をすると知ります。

【転】- 何者のあらすじ3

…拓人は、大学の喫煙ルームで会った隆良に、名刺をくれと言いました。理香が名刺を作ったのは隆良の勧めだと聞いたからです。
隆良の名刺は裏面が英語表記でした。ギンジと会っただろうと話の水を向け、ギンジの名刺も見せてもらいます。ギンジの名刺も裏面が英語表記でした。
そこへサワ先輩が入ってきます。文系と理系のキャンパスが違うのですが、文系の図書館に本を借りに来たサワ先輩は、案内してくれと拓人を連れ出すと「あれがいつも言ってる隆良か」と聞きました。「お前、あいつ(隆良)とギンジが似てるって言ってたけど、全然違うよ、2人は。お前こそ、もっと想像力ある男だと思ってた」と言い、サワ先輩は去ります。
一緒に「仕事」をするはずだった隆良とギンジは、方向性の違いから決裂します。「地図を失っているように見える」と隆良はコメントし、ギンジは「みんながんばれ、俺もがんばる」とコメントしました。
…最終面接で落とされたことを光太郎がぼやき、本命じゃなくても内定を取っておきたかったと発言します。その横で、拓人もひそかに内定を気にしていました。もし確定ならば、20時までに電話がかかるのです。
今日は男2人の部屋に理香がお邪魔していました。理香が拓人に「一緒に個展を開く予定のギンジっていう人と隆良と、似てるって思わない?」と話しかけました。拓人は答えに困ります。
理香が去った後、光太郎は「OB訪問してきた子がツイッターで話しかけてきたら、怖くね?」と言い、拓人は理香のことを「学級委員がそのまま大人になった子」と言い、光太郎は膝を打って拓人の表現に喜びました。
拓人は光太郎になぜ瑞月と別れたのか聞こうとしましたが、その時、拓人の携帯に瑞月から着信があります。電話に出た拓人は、瑞月から「私、内定もらった」と聞かされました。
横で話しかける光太郎の声を聞いた瑞月は「光太郎、いるの?」と聞き、拓人は黙って電話を光太郎に渡します。
久しぶりに光太郎と瑞月が会話した瞬間でした。就職の内定を知らせる瑞月に、光太郎は「おめでとう」と言います。拓人は「おめでとう」すら言えていませんでした。
…演劇関係の会社の面接を受けた拓人は、会いたくない相手・理香とかち合います。しかもグループディスカッションが同じ班になりました。
『日本でミュージカルを受け入れられるようにするには』という議題で話し合うことになった学生たちですが、拓人が自分の意見を言おうとすると、理香が遮って必死で自己アピールし始めます。
その日の夜、理香の部屋で瑞月の内定お祝いパーティーが開かれました。
(実はここから以降が、この映画の『肝』である)
パーティーに参加したのは、瑞月、拓人、光太郎、理香、隆良の5人です。
瑞月の内定が決まった会社は、全国でもよく知られている大企業『全日通信』でした。すごいと感心する光太郎や拓人とは対照的に、理香は「もし私も受けてたら、同期だったのかもね」と言います。
瑞月は「すごくない、エリア職だし」と謙遜します。エリア職の意味が分からない一同に対して、瑞月は「総合職は全国に転勤があり、出世もあるが、エリア職は転勤がない代わりに出世の見込みもない」と説明します。理香が「じゃあ総合職とは全然違うんだね」とわざわざ念押ししました。
理香がその席で、拓人とグルディス(グループディスカッションの略)が一緒になったと告げ、「演劇関係の仕事には興味ないって言ってたのに」と告げます。拓人が理香のことを「グルディスの仕切り役で、頑張っていた」と言うと、理香は謙遜しながらも喜びました。
拓人がギンジと隆良の仕事がなくなったことに触れると、理香はそれを知りませんでした。理香は理由を求め、隆良は避けたいために「煙草がなくなった」と言って外に出ようとしますが、逃げ切れなくなり説明します。じっくり練って作品を作りたい隆良と、毎月公演を打って結果を出したいギンジとで、考えが合わなかったのです。
さらに隆良は、ギンジの劇団のネットでの評価が低いことも挙げたうえで、「10点や20点のものを客に見てもらうなんて、俺はできない」と言いました。
ボールは意外なところから投げられます。瑞月が「ねえ、隆良君のその考えは、たくさんたくさん考え抜いたうえでのものだよね。そうだったらいい。でも、そうじゃないんだったら聞いてほしい」と言います。
「人生が線路のようなものだとしたら、これから社会に出て行くにつれて、自分と同じ目の高さで見てくれる人は減っていく。私たちはもう、自分だけで、自分の人生を見つめなきゃいけない。したこともないくせに、自分に会社勤めは合ってないって、自分をなんだと思ってるの? 会社勤めをしている世の中の人よりも、自分のほうが感覚が鋭くて、繊細で、感受性が豊かで、こんな世界では生きづらいって、どうせそんなふうに思ってんでしょ。10点でも20点でもいいから、自分のなかから出しなよ」
皆がしんとなり、瑞月は去りました。拓人も「頭の中にあるうちが傑作なんだって」と言って席を立ち、瑞月を追います。
瑞月は外で泣きながら「あたしもう、あの部屋に行けないな」と言いました。そして瑞月は光太郎に再び告白してまた振られたことも言い、「同じ人に2回も振られると、逆に気まずくなったりしないんだね」と拓人に笑いかけます。
光太郎にはずっと好きな女性がいるのだそうです。その女性は翻訳家になるために海外に行ったらしく、光太郎が出版関係の会社を受けているのは、仕事上でいつかその女性と会えたらと思ってのことだと、瑞月は言いました。「光太郎は自分の中にドラマを見つけて、その主役になれる人。だから私が邪魔しちゃいけない」と言って瑞月は立ち去ります。
…続いて、光太郎に内定が出ました。拓人は自分がバイトする店で光太郎を祝います。
拓人の紹介で、瑞月もその店でバイトを始めていました。サワ先輩と会った光太郎は感激し、バイト先の女の子は光太郎のバンドのファンだったので、光太郎と会えて感激しています。
光太郎に内定を出した会社は『総文書院』でした。倍率が高い出版業界で内定をもらったと知ると、サワ先輩もバイト先の女の子も驚きます。
光太郎とバイト先の女性は意気投合して話し、拓人は外で煙草を吸います。そこへサワ先輩が現れると「俺はツイッターとかやってないからよく分からないけど」と前置きしたうえで、ギンジと隆良が違うと改めて指摘し、「140字が重なっただけで、束ねて片付けようとするなよ。ギンジはどっちかというと、お前に似ている。ギンジはカタカナで、お前はひらがなだけど(拓人の脚本家の時の名はひらがな表記にしているから)」と告げました。
帰りのタクシーの車中、酔っている光太郎の横で、拓人はスマホをいじります。
光太郎が「思い出せそうだけど思い出せないAV女優の名前を探すからスマホ貸して」と取り上げようとし、拓人は奪われまいと慌てて画面をシャットダウンしました。「キレるなよ」と光太郎に言われます。

【結】- 何者のあらすじ4

光太郎は「内定って、まるごと自分が肯定された感じがする」と言った上で「俺は単にシューカツが得意なだけだったんだ。シューカツ終わったけど、何にもなれた気がしない」と呟きました。
そして拓人に「俺、なんで拓人に内定出ねーか分かんねえんだよ。イヤミとかじゃねえんだよ」と声をかけます。拓人は分かっているというふうに、頷きました。
プリンターを借りに理香の部屋に行った拓人は、理香しかいないことに気づきます。
聞くと、理香が携帯をなくしてしまい、隆良が理香の立ち寄ったコンビニや公園を見て回ってくれているそうです。
理香が拓人に「どうせだから私の携帯に電話かけてよ(呼び出し音で探したい)」と言い、拓人は理香の電話の番号を知らないことを告げました。理香はだったら自分でかけると言って、拓人のスマホを借ります。それと交代で、拓人は理香のパソコンを借りることにしました。
そしてお互い、表示されていた画面を見て気まずくなります。
拓人のスマホで検索しかけていた(光太郎がAV女優の名を検索したいと言って、慌ててシャットダウンした画面)のは「総文書院 2ちゃんねる 評判」という検索画面(光太郎の内定が決まった会社)で、理香がパソコンのグーグルでネット検索しかけていたのは「ぜん→全日通信(瑞月の内定が決まった会社 さらに予測変換で「全日通信 エリア職 ブラックなども表示されている)」でした。
口火を切ったのは理香でした。光太郎と仲がよかったのではないかと拓人に詰め寄って、「こんなこと調べて、拓人くん本当は誰のことも応援してないんじゃない? あんた、みんなのこと笑ってるでしょ」と指摘します。
「私は違う。私は…あんたのことを笑っていない」と言った理香は、拓人の核心を衝きます。「私、知ってるんだよ、あんたのツイッターのもう1つのアカウント」。
…実はそうなのです。拓人はずっと今まで冷静な観察者を装っていましたが、皆に知らせているアカウント以外にもう1つのアカウントでもツイッターをしていました。そして裏では皆の悪口を書き連ねていたのです。
そのアカウント名は「@NANIMONO(何者)」でした。理香が以前、メールアドレスを知るとその人のアカウント名が分かると言った時、この段階で既に拓人の裏のアカウントが理香にばれていたのです。
「いいかげん気づこうよ。そんな観察者ぶって、自分の観察と分析は最高にかっこいいって思ってるんだろうけど、私は誰かを観察してひそかに笑って、それで自分が別の次元に立っているなんて錯覚しない。あんたと私は違う。あんたは、誰かを観察して分析して、自分じゃない何者かになってる。そういう場所が欲しいんだよね」
そう言った後、理香は「でも私も内定出てないし、おんなじようなもんか」と呟きました。「だって、ツイッターで自分の努力を実況中継してないと、立ってられないから。立ってられないから!」と絶叫します。
2人のやりとりを全く知らない隆良が帰宅しました。立ち去ろうとした拓人を見て、「俺も真面目に就職活動に取り組むことにした。いろいろ教えてくれよ。拓人はシューカツ2年目なんだからな」と隆良は無邪気にお願いします。
そう、拓人は裏アカウントを持っているだけではなく「就職浪人」でもありました。
隆良は自分探しの旅で1年間休学し、理香と瑞月は留学で1年間海外に行っており、光太郎はバンド活動で単位を落として留年しています。しかし拓人は就職が決まらず、就職活動が2年目に突入していたのでした。
拓人が裏アカウントでツイッターした実況中継が流れます。
「同居人(光太郎)の引退ライブ。3人揃って単位が足らず留年したバンド。内輪な空気の中で酔っている印象」
「一つ上の階のコが、友達の友達だった。五年生が揃っているからか不気味な結束力」
「エントリーシートを出した時にダウトに見立てると、あのコ(理香)はさりげなくシートを裏返した。このコは相当プライドが高い」
「宅飲み(家で飲むこと)なのに綺麗な皿しか出てこない。チノパン、ニット帽、このカップルは互いに格好つけたまま一緒に暮らし始めた」
「スーツを着ない主義を貫きながら、1時間の余裕を持って会場に来るあいつ(隆良)。寝坊でもしたのかぎりぎりでかけこむあのコ」
「上の階のあのコはついに名刺を作った。学生特有の肩書ばかりの名刺で、名前に目がいかない」
「自分のしている活動を『仕事』と言うあいつは、名刺ですら(ギンジと)同じセンスを持っている」
「まさかあのコとグループディスカッションでいっしょになるとは。それにしても、人の発言を遮るなんて、どうかしてしまったのだろうか」
「中堅の出版社に決めた同居人。思い出の人に会えるかもなんてドラマの主人公だと、どれだけ勘違いしてるのだろう」
…これらの@NANIMONOツイッターは、舞台で演じているという演出がなされます。カーテンが降りてステージに取り残された拓人は、観客から拍手を送られていましたが、観客席に瑞月がいるのを見て動転し、観客席を抜けて逃げるように走り去りました。
…今日も内定が出ない。なぜだろう。
そう自分に問いかける拓人は、その答えを自分で導き出せません。
…バイト先に行くと、瑞月が拓人を待っていました。広告代理店で一緒になった時のことを話します。
瑞月は筆記試験の最中に拓人がいるのを見つけていました。拓人が熱中した時の癖…首が見えないほど前かがみになる姿勢…で用紙にペンを走らせているのを見て、懐かしいと思ったと言います。
「寝てんのって思うくらい、首落とすんだよ。あたし、ひらがなの『にのみやたくと』の考える話、好きだったよ」
そう言われた拓人は、自分の生き方、姿勢を問いなおします。
ギンジはがんばってる感を出しまくっていたかもしれませんが、独立して月に1度の公演を開き、どんなに悪評をネットで書きまくられても「星一つの愛情」と受け止めようとしていました。
拓人は…就職活動において、場数を踏んだり冷静に観察したりはしていたかもしれませんが、自分を出せていませんでした。「10点、20点でもいいから、自分のなかから出しなよ」という瑞月のことばは、隆良に向けられたものでしたが、本当はそのまま拓人にも当てはまるのです。
そして本音のところで拓人が最も毛嫌いしていた理香が指摘した、裏アカウントと心の叫びは、正鵠を射ていました。理香も迷走していますが、裸で向き合ってくれているわけです。
定型文ではなく、型どおりのことばではなく、自分のことばで、真摯に向き合ってきちんと就職活動をおこなおうと、拓人は考えました…。
…「あなた自身を1分間で表現してください」
机に向かって座っている男性が、就職活動をする学生に呼びかけます。
それに対して拓人は、たどたどしいながらも自分のことばで話し始めました。
「はい…。えー…、私は、学生時代、演劇をやっていました。厳しい稽古に耐え、初日を迎えた時には…すいません。
仲のよい友人がいたんです。でも僕はそんな自分たちのことを客観的に見て、絶対無理だと、醒めた目で見ていました。自分たちから出る痛々しさを、見過ごすことができなかったんです。友人はまだ公演をしています。
先日、初めてその公演を見に行きました。かっこ悪く、みっともないものでしたが…。
…すいません。
1分間では、話しきれません。ありがとうございました」
そう言って深くお辞儀をすると、拓人は面接の途中で面接会場を立ち去ります。
しかしその背中は迷いがなく、扉を開けて外へ出た後ろ姿は、ぴんと伸びていました。これからが拓人の本当のスタートです…。

みんなの感想

ライターの感想

あらすじに補足。拓人に内定が出ない理由は明らかにされないが、「確固たる自分」というものを持っていないことを面接官に看破されているからかも。
映画のタイトル『何者』は「何様?」と言い換えてもいいかも。裏アカウントが判ってからの種明かしがすごい。
原作も同様の感じ。
原作との相違点は「原作では隆良も裏アカウントを持っているが、映画ではそれがない」
「原作では拓人のツイッターが出てくるが、映画ではほとんど出てこない(裏アカウントが出されるまでは)」くらいか。
途中まではまっとうな「就職活動をする5人の青春ドラマか」と見せかけておいて、実は…な展開は充分サスペンス。ホラー…まではいかないか。
表の顔と裏の顔が極端に違い、それを隠しているところを、今作品では描いている。
表の顔と裏の顔がいかに違うかというのを見ると、非常に気持ち悪い。ただ今作品では、ラストに希望が見出せる形になっていてよい。

    よっしーさんの感想

    拓人がずっと落ち続けている理由、それは裏アカウントが担当者にバレているからです。理香の「メアドから簡単に調べられる」というセリフが伏線になっています。なのに、それに気づかずひたすら努力を続ける主人公。。。というのがブラックなオチなんですね。

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