「幻肢」のネタバレあらすじ結末

サスペンス映画

幻肢の紹介:2014年公開の日本映画。ミステリー作家・島田荘司が、映画のために書き下ろしたラブミステリーを『オー! ファーザー』の藤井道人監督が映画化。事故で記憶を失った青年が、精神科の先進治療を受けるうちに、次第に不思議な出来事に遭遇していくさまを描く。

幻肢の主な出演者

神原雅人(吉木遼)、糸永遥(谷村美月)、亀井健(遠藤雄弥)、佐々木彩(紗都希)、川端準教授(宮川一朗太)、宮沢教授(佐野史郎)

幻肢のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①医学生の雅人はある日事故に遭い、事故当日の記憶と恋人・遥の記憶を失う。 ②記憶障害でうつ状態になった雅人は、親友・亀井の勧めでTMSといううつ病治療を受けた。これにより自分の恋人・遥の幻を見るようになる。「失われた大切な存在」=「幻肢」の遥と過ごすことで、雅人の記憶とうつ病は改善されていく。 ③雅人はすべての記憶を取り戻す。恋人・遥との口論で、雅人は交通事故に遭っていた。死んだと思い込んでいた遥は生きており、遥は遥で自分がいない方がよいのだと思い込んでいた。誤解をといた両者は再び付き合い始めた。

【起】- 幻肢のあらすじ1

吉祥寺医科大学に通う医学生の神原雅人は、脳科学の人気教授・宮沢の講義を聴講していました。その日の宮沢教授は「幻肢」について説明します。
…ラマチャンドランという神経科学者の研究所の中に、彼自身の体験談が出てきます。ジョン・マグラスというテニス選手が、ある時左手の肘から先を切断する手術を受けましたが、ジョンは左手が今もあると主張します。
ラマチャンドラン博士は、ジョンの左手のあるべき場所の少し先にコーヒーカップを置き、「このコーヒーカップをちょっと左手で掴んでください」と命じました。そしてジョンの見えない左手がカップに届いたと思われる頃、突然カップを手前に引いたのです。
すると、ジョンはうわっと言い、痛そうな顔をしました。あなたがカップを強く引いたので、とても痛いのです、とジョンは答えたそうです。
ジョンの手や指はなくて幻覚ですが、ジョンの痛みは本物でした。ジョンがあまりに痛そうだったので、ラマチャンドラン博士はもう1度実験をする気になれなかったと言います。
これが「幻肢」すなわち、幻の手足、幻の上肢と下肢と呼ばれる現象です。
幻肢とは、自分の手足が失われているという事実を「脳が知らない」ことによって起こります。存在しないはずなのに、肘の先の筋肉がニセの情報を小脳や頭頂葉に流すため、人間の脳は騙されてしまうわけです。
さらに脳はその情報に従って、ないはずの手…つまり幽霊を見るわけです…。
…雅人は大学の同窓生・糸永遥と付き合っていました。ある日、雅人と遥は車でドライブに出かけ、交通事故に遭います。
車ごと崖から落ちた雅人と遥は、自分たちの通う大学病院に救急搬送され、手当てを受けました。
意識を取り戻した雅人ですが、不思議なことに事故の当日の記憶だけは全く思い出せません。どこで事故に遭ったのかも分からず、同乗者のことも覚えていませんでした。
担当医である川端準教授は雅人のMRIを撮り、脳に外傷がないことを指摘します。家族の名前はすらすらと言えることから、雅人は「事故のショックによる一時的健忘」だとみなされました。
男友達の亀井健が見舞いますが、雅人は事故当日の記憶だけではなく、自分に遥という恋人がいたことも忘れています。名前はもちろんのこと、容姿、声、仕草、まるで思い出せないようでした。
亀井から遥の存在を聞かされた雅人は、その夜から頭の中がおかしくなります。「ハルカ」という単語をつぶやくだけで、肉体だけではなく精神も蝕まれていくように感じました。
雅人の身体は順調に回復していきますが、記憶は戻りません。
雅人は、なんとか遥の手がかりを探そうとしますが、携帯電話の待ち受け画面に写っている遥らしき人物は、液晶が割れているために見えません。
大学に電話して、遥が自分と同じ日から登校していないと聞かされた雅人は、「遥と一緒に車に乗っていて事故に遭ったのではないか。そして遥は死んだのだ」と思いました。亀井に聞いても、はっきりと答えてくれません。 この映画を無料で観る

【承】- 幻肢のあらすじ2

雅人はうつ状態になり、悪化していきます。見かねた亀井は雅人に「TMSを受けてみないか。雅人の超得意分野だろ」と言いました。
TMSとは「経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激法」といい、左背外側前頭前野(ひだりはいがいそくぜんとうぜんや)のDLPFCを磁気刺激することです。
脳医学では、脳の扁桃体(へんとうたい)にあるDLPFCと呼ばれる場所の働きが低下すると、扁桃体の暴走を抑えきれなくなり、うつ病に陥ると考えられています。
このうつ病治療の最先端技術とされるのがTMSと呼ばれる治療で、雅人はTMSの研究をしている最中でした。日本の大学病院では、吉祥寺医科大学にしかその機械が入っていません。
雅人はうつ病だけではなく、記憶を取り戻すのにもTMSは効果があるのではないかという仮説を立てていました。
自分自身に試してみるのも悪くはないと、雅人は考えます。またTMSには目立った副作用はありませんでした。
川端準教授に申し出た雅人は、TMSの治療を受けます。
巨大な土管の形状をした機械に入れられて、工事の音のような騒音が脳に流されます。この治療はMRIに非常によく似ていました。
すると雅人の頭の中に一瞬、女性の映像が見えました。雅人は、何回かに分けてTMSの治療を受けることになります。
自分の研究室に立ち寄って資料を見ていた雅人は、急に頭痛がして、ビーカーを割ってしまいました。それを拾おうとしてふと見上げると、目の前に女性が立っています。
「遥?」と雅人が聞くと、女性は頷きました。「話せないの?」と聞いても頷きます。
遥を見たと亀井に言っても「それはない」と即座に否定されました。「絶対に見たんだ」と言った雅人は、これが「幻肢」だと確信します。
宮沢教授が授業で説明した「あるはずのないものを、脳がニセの情報を流してあるように見せかける」というものが「幻肢」です。
遥のことを「失われた、自分の大切な存在」と考えた雅人の脳が、TMSの治療によって遥の幻影を見せているのです。
遥は「自分にしか見えない幽霊のような存在だ」と気づいた雅人は、積極的にTMSの治療を受けたいと思いました。脳への負担があるので、次に受けるのは来週です。
雅人は宮沢教授に、自分の体験を話しました。事故で死んでしまった恋人・遥が、TMSの治療で見えるようになったことを。宮沢教授も興味を示し「もしまた変化があれば、ぜひ聞かせてほしい」と言いました。
2回目のTMSの治療からは、川端準教授ではなく主に雅人の親友・亀井が付き添うことになります。2回目の施術の後は、より鮮明に遥が見えました。
遥は相変わらず喋りませんが、雅人と一緒にいる時間が長くなりました。頭痛がすると、遥が立ち去るようです。
退院して家から通院するようになった雅人は、ある日、パソコンで遥の動画を見ました。そこには動く遥と共に、遥の声も入っています。

【転】- 幻肢のあらすじ3

3回目のTMSの後には、幻影の遥は喋れるようになりました。「亀井君には見えないの」と言う遥は、「雅人が私の声を思い出したから、喋れるようになった」と答えます。
遥は喋れるようになっただけでなく、徐々に雅人と一緒にいる時間も長くなりました。最初は少しの間だけだった遥が、家に帰り着くころまで一緒にいられるようになります。
遥を思い出したことで雅人はうつ状態から脱し、記憶も少しずつ蘇り始めました。幻肢の仮説について雅人が研究発表をした際に質問したのが遥で、それが2人の出会いでした。
雅人は遥のことを「これは幽霊に近い存在だ」と思いながらも、自分の心の安定に導くためのよいものだと受け止めます。
鮮明に見えるようになってからも、遥は雅人にしか見えない幻影でした。喫茶店に一緒に入っても、ウエイトレスには「1名様ですね」と言われます。
やがて雅人は、遥の実家が青森の八百屋で、赤りんごと青りんごのどっちが甘いか話したことを思い出しました(答えは青。赤りんごは日光を当てて赤くするために果実周辺の葉を取り除くが、結果、栄養がゆきわたらず甘くならない。日光が遮られていた青いりんごのほうが甘くなる)。
それを皮切りに、雅人はどんどん記憶を取り戻しはじめます。遥と初めて付き合ってくれと言った日のことや、キスした時のこと…。
しかし一方で、徐々に雅人は疑問にも思い始めました。横で一緒に過ごしてくれる遥は、「しょせん僕が求めている遥の幻影であって現実ではなく、僕がそれに癒されているだけだ」と。それに甘んじていていいのかとも考えました。
歩行訓練も順調に進み、松葉づえも取れ、走れるようになった頃、雅人に佐々木彩という女性が現れて「よく平然としてられるわね」と言い放ちます。彩は遥の友人でした。
雅人を罵り続ける彩を亀井が連れ去りますが、雅人はそれを「遥が死んだのによく平然としていられるなと言われた」と受け止めます。
佐々木彩は同じ大学ですが、整形外科志望で、脳科学のことは専門外です。幻肢のことも知りません。
記憶が蘇ってきて、うつ状態からも脱した雅人ですが、事故当日のことを思い出すのが怖くなりました。たぶん、遥との間に何かが起こり、それで事故に遭っているのだと思うと、思い出すのが怖いのです。
雅人は2人の初デートの動画を見ました。そこは「伝説の島」と呼ばれる浜辺で、浜辺には巨大な石があり、真ん中に大きな割れ目があります。
石には昔からの言い伝えがありました。幸福な夫婦の夫が、ある日漁から帰ってこなくなり、妻が石の前で拝んでいると、石に落雷があり真っ二つに割れて萌え始め、夫が現れたというのです。
雅人はそれを「石に落雷があって磁気が生じ、夫の記憶の幻肢が妻に現れたのだ」と解釈していました。
その動画を見ていた雅人は、事故当日にこの石の場所にいたことを思い出します。それ以上思い出して幻肢の遥を失うことを恐れる雅人に、幻影の遥は「大丈夫」と声をかけました。 この映画を無料で観る

【結】- 幻肢のあらすじ4

遥が「なんで私を殺したの?」と責める夢を見た雅人は、宮沢教授に相談します。宮沢教授は「幻肢は視覚体験に基づくものであるから、未経験の映像が現れることはない」と言いました。ということは…雅人は自分が遥を殺したのではないかと疑います。
TMSの治療を受けた雅人は、事故の日の記憶を完全に取り戻しました。
雅人は遥を深く愛しており、遥の周囲に自分以外の人間が近寄ることを極度に恐れていました。自分の親友の亀井と遥が喋っているのを見て嫉妬した雅人は、大学の成績も徐々に落ちます。
川端準教授に成績降下を注意された雅人は、大学院に進学できないと悩みました。遥と亀井に嫉妬し、成績降下で悩んだ雅人は遥に冷たく接します。
遥に「伝説の島」に行こうと誘われて、現地で「私がお祈りしたら、出会った頃の雅人が出てきたりして」という冗談を言われた雅人は、怒りました。
遥は冗談のつもりだったのですが、雅人は怒ったまま、帰りの車中で口論になります。「しばらく距離を置こうか」と遥に言われた雅人はショックを受けました。
亀井との仲まで邪推した雅人は乱暴な運転をし、ハンドルに顔をうつ伏せたまま時速80km以上で山道を運転していて事故に遭ったのでした…。
…記憶が戻った雅人の前に、幻肢の遥と、もう1人遥がいました。現実の遥です。
実は遥は生きており、雅人と同じように治療を受けていたのでした(外科治療)。遥の方が重傷で、彩が付き添っていました。遥が大けがを負ったのに見舞いにも詫びにも来ない雅人を、彩は「よく平然としてられるわね」と責めていたのです。彩は雅人の記憶喪失を知りませんでした。
意識は戻っても事故当日と自分(遥)の記憶がないと知った遥は、自分を責めます。「もし私がいなかったら、事故も起きず、苦しまなかったのではないか」と考えた遥は、亀井に「死んだと言ってほしい」と告げました。雅人が大学で「亀井と仲良く話す遥」を見た時は、実際は遥は亀井に雅人とのツーショット写真を見せて、のろけていたのです。
亀井は遥に、雅人の容体を逐一報告していました。実は雅人の入院中も1度だけ実際に会っているのですが(TMSの治療を受ける前に、お互い車椅子で看護師さんに押してもらいながら中庭を散歩している時)、雅人は遥だと気づいていませんでした。
雅人と遥は、もう1度やり直そうと決めます(復縁)。
…後日、TMSの研究発表をした雅人は、この機械がうつ病治療だけではなく記憶の改善にも効果があることを告げ、2020年を目標に医療の分野で実用化したいと考えていました。
研究発表は成功に終わり、遥が笑いながら雅人に呼びかけ、2人は連れ立って外に出て行きます(注意:この時、宮沢教授は遥を見て不審な表情を浮かべる。宮沢教授は雅人経由でしか話を聞いていないので、「遥は死んだ」とまだ思いこんでいる。だから怪訝な表情を浮かべた)。
公園を歩く雅人に「雅人…」とかすかに遥の声が聞こえます。それは、消えて行った幻肢の方の遥の声でした。

みんなの感想

ライターの感想

冒頭の宮沢教授の講義のシーンが、すんごく長い!
もちろん、この幻肢のことを理解していないと、以降のストーリーについていけないからではあるが、長すぎた気もする。
割に細かな内容を綿密に綴った映画。なので、「幽霊みたいな存在の、幻肢の遥さんですよ」と言われても違和感がなかった。
サスペンスな感じで始まった映画だが、ラブストーリーだし、なんかラストは青春ドラマっぽいし。
綺麗にまとめすぎだな、というきらいはあるけど、興味深い内容であった。

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