「木曜組曲(恩田陸原作)」のネタバレあらすじ結末

サスペンス映画

木曜組曲の紹介:2002年公開の日本映画。俊英・篠原哲雄監督が放つ推理サスペンス。鈴木京香ほか6人の豪華女優陣が、ある女流作家の死を巡り、緊迫の心理戦を展開する。

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木曜組曲(恩田陸原作)の主な出演者

塩谷絵里子(鈴木京香)、川渕静子(原田美枝子)、林田尚美(富田靖子)、杉本つかさ(西田尚美)、綾部えい子(加藤登紀子)、重松時子(浅丘ルリ子)、刑事(竹中直人)

木曜組曲(恩田陸原作)のネタバレあらすじ

【起】- 木曜組曲(恩田陸原作)のあらすじ1

『奇怪な暗い神殿 希望だけを待つ!
それは 死が新しい太陽のように空を飛び
彼らの頭脳の花々を 咲かせるだろうということ!』
――ボードレール『芸術家の死』より――
…4年前、耽美派女流作家・重松時子が薬物死を遂げました。時子が死んだ時、彼女の家にいたのは5人の女性たちです。
屋敷にやってきた刑事によると、時子は青酸化合物による服毒死でした。時子が死んだ時に5人が食事をしていたことを言うと、刑事は不思議に思います。
作家の時子は、いいアイデアを思い付くと、客などお構いなしに書斎に閉じこもることを知っている5人は、特に不自然ではないと言いました。
さらに5人は1人だけを除いて時子の親戚で、皆それぞれ物書きを生業とする仕事です。
・川渕静子…重松時子の異母姉妹。父の輸入代行会社の手伝いをしつつ、静子自身も小さな出版プロダクションを経営している。
・塩谷絵里子…静子の母の妹の娘(静子の従姉妹)。ノンフィクションライター。
・林田尚美…重松時子の弟の娘(姪)。人気ミステリー作家。
・杉本つかさ…尚美の異母姉妹(同じく重松時子の姪)。純文学の作家。
・綾部えい子…唯一親戚ではない。重松時子と同居して、身の回りの世話をする編集者。
親戚ではないのは住み込みのえい子ですが、絵里子は時子と血の繋がりがないため、自分はいつも「傍観者だ」と思っていました。
5人の関係を言われても複雑すぎて、刑事は1度では呑み込めませんでした。
重松時子の部屋の金庫をえい子に開けさせた刑事は、そこに青酸化合物と、綾部えい子宛ての『遺書』という長い文章を見つけます。
全員で回し読みした結果、刑事は「自殺」という結論を下しました。重松時子が死んだのは、2月の第2木曜でした…。
…重松時子は生前、よく「木曜日が好き」と言っていました。
「木曜日が好き。大人の時間が流れているから。丁寧に作った焼き菓子の香りがするから。
週末の楽しい予感を胸に秘めているから。それまでに起きたことも、これから起きることも、全てを知っているような気がするから、木曜日が好き」
…以来、2月の第2週の木曜日を挟んで合計三日間、時子を偲ぶ会合を彼女たちは開きます。今までに3回の集まりがありました。
重松時子は偉大な女流作家で、時子の存在は5人の女性に多大なる影響を及ぼしています。
時子の死後もなお、皆は時子を尊敬して時子の作品を愛してやまない人たちでした。
…4年後。
〔第1日 水曜日〕
重松時子の死後も時子の一軒家に住み続けるえい子が、全員の分の食事を作る係です。えい子は料理が得意でした。
呼び鈴が鳴り玄関に行くと、若い男性の花屋が白い大きなユリの花束を抱えています。「フジシロチヒロ」という人から『重松時子さんの家に集う皆様に』向けて送られたものでした。ピンク色のメッセージカードもついています。
カードを開けることは後回しにして、えい子は花を花瓶に活けました。そうこうしているうちに、つかさが来て尚美が来て、静子と絵里子が到着します。人が増えるたびにおしゃべりが活発になり、メッセージカードの存在を忘れました。
夕食が始まり、食卓を飾る花束のことが話題になって、えい子はメッセージカードを思い出します。開封すると、縦書きのワープロ文字がありました。 この映画を無料で観る

【承】- 木曜組曲(恩田陸原作)のあらすじ2

『皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます。』
フジシロチヒロとは、重松時子の最後に書いていた原稿『蝶の棲む家』の主人公の名前でした。『蝶の棲む家』の主人公は、最後は妹に殺されてしまいます。
メッセージカードを読んで、場は一気に静まり返りました。
しかし実は5人の女性はそれぞれ、重松時子の死に対して割り切れないものを抱えていました。どうせなのでこの3日間、今まで互いに重松時子の死をどのように考えていたのか打ち明けあおうと絵里子が言います。
静子が突如として「あたしが時子姉さんを殺したんだわ」と言い出しました。これを皮切りに、告白合戦が開始されます。
時子が死ぬ何日か前に、静子は時子と銀座のシラカバ画廊で会いました。その時、時子の肩が悪くて右腕があがらなくなっていたことを聞かされます。時子は万年筆で執筆していたための職業病です。
4年前に家に来た時に2階の寝室にいる時子を見たと静子は証言しましたが、その人物はレースカーテン越しに右手を肩まで上げていました。時子ではなかったのです。
誰かが嘘をついており、その誰かをかばってしまった…その意味で「殺したかも」と静子は言いました。
時子はよく「自分の後継者」の話をしており、最後の作品『蝶の棲む家』を他者に書かせていた可能性があると指摘した静子は、尚美に打診します。
尚美は4年前に2階の寝室にいたことを認めました。出口から2階に上がって、探し物をしていたそうです。探していたのは手紙でした。
時子は尚美を後継者に指名すると言い、『蝶の棲む家』の続きを試しに書かせていました。尚美は時子の小説を愛しており、後継者になりたいと思っていました。
家のどこかに尚美宛ての手紙を隠しておくと時子が言い、尚美はそれを探していました。
尚美はえい子に「この家は時子の檻にしか見えなかった」と言い「手紙を隠すのは、えい子に見せないつもりだからと言っていた」と告白します。
時子は、晩年の自分の作品にえい子が手を入れていると疑っていました。えい子は一部手直ししたことを認めますが「時子の妄想だ」と言い、時子の死は自殺だと言って去ります。
その日はお開きになりました。絵里子とつかさはワインを飲むために残り、つかさが事件当日だけ玄関の絵がなかったことを指摘します。
絵の額縁を外すと『林田尚美様』宛ての手紙がありました。2人は酔いの勢いも手伝い、開封します。
『事態は思っていたよりも切迫しています。
あたしに何かあったらあとは計画をよろしくお願い。
きっと、あたしはもうすぐ静子に殺される。 重松時子』
〔第2日 木曜日〕
昼、読書する静子をはじめ皆思い思いのことをします。絵里子が煙草を買いに行くと言い出して、つかさと尚美も名乗りを上げ、3人で買い出しに出かけました。
家に残ったえい子と静子のところへ電話があり、「フジシロチヒロ」と名乗ります。えい子がスピーカーをオンにして音量を最大にすると、喧騒が聞こえました。
帰宅した3人に電話をかけていないか、静子は問い詰めます。音量を最大にした時に、3人が買い出しに行った近くの駅の名がアナウンスされていたのです。
絵里子が認めますが「夕食の時に話す」と言いました。

【転】- 木曜組曲(恩田陸原作)のあらすじ3

夕食の時、時子の死に不可解な点が残ることを気にした絵里子は、『押して』みることにしたと言います。時子のファンである友人にフジシロチヒロ役を頼んで花束を送ってもらい、電話もかけてもらいました。メッセージカードは友人のアドリブだったので、絵里子は本当に驚き、それを静子が確認していました。
時子の作風は以前から家族をテーマにしたものでしたが、晩年は「きょうだい」関係にシフトしており、それを利用して「静子を『押して』みる(ゆさぶりをかける)」ことにしたと絵里子は言います。
さらに、昨晩つかさと発見した手紙についても触れました。「絵里子、恐ろしいことを考えてたのね」と笑いながら、静子は新たな真実を語り始めます。えい子は家事で中座しました。
晩年に筆が衰えてきた時子を批評しても聞き入れてもらえない静子は、時子を主人公とした小説をワープロで書き、送りつけました。書けなくなった元一流女流作家がみっともない状態にあることを、心理描写なども事細かに描写して、最後は自らの命を絶つというものです。時子を追いつめたのは私だと、静子は考えていました。
絵里子の指摘により、さらに新たな事実が分かります。金庫の中にあった『遺書』は、静子が時子に送りつけた小説の一節だったのです。
ワープロで書いたものを時子の自筆で書き直されていたので、静子も当時は気づかずにいました。「時子姉さんはあれを小説として発表する気だったのだ」「私に対抗するために」と静子は言います。
…空気が重くなったので明るい話題に変えようと、つかさの見合い話になりました。つかさは超大手損害保険会社の男性と見合いしたのですが、相手の男性が「得意料理はトマトと茄子のスパゲッティを挙げた、危険度ナンバーワン」と言います。
なぜかと問う3人に「トマトと茄子なんて色が綺麗だし完成すると満足感があるから、料理した気になる。しかし所詮はスパゲッティ。それを得意という奴は、それしかできない奴」「自分は料理が得意だと思い込んでいる、自分を過大評価している奴なのだ」と熱弁しました。
皆はあっけに取られつつも納得し「なんだか急にスパゲッティが食べたくなった」と言って作り始めます。えい子は別室で煙草をくゆらせていました。
ミートソースの缶を温めるとくさい臭いがし、味見したつかさは「苦い」と言います。つかさにうがいしろと言った静子が缶詰の裏をチェックすると、一部の缶に穴が開けられ、それを薄い金属の板で密閉していました。誰かが缶詰に加工しています。
えい子は自分でミートソースを作るし、突然大量の缶詰が必要になる時は女性陣が集まる時…つまり狙われたのは自分たちだと気づいた4人は、愕然としました。
おかしいと絵里子は考え始めます。
〔第3日 金曜日〕
散会する日ということで、朝から女性5人は忙しく動いています。絵里子はまだ考え続けており、ふとデュラレックスの大量生産のグラスを見て、ある結論に到達しました。
朝食後「後悔しない?」と聞いたのち、絵里子は自分が辿り着いた結論を話し始めます。
女性5人を殺そうと思った時子ですが、ミートソースの缶は細工するのが大変なので、作業途中で止めました。これが一部の缶しか加工されてない理由です。

【結】- 木曜組曲(恩田陸原作)のあらすじ4

4年前「5人が集まる日の調理中の鍋に直接毒を盛ってしまえ」と考えた時子は、カプセルの毒をグラスに入れた水に溶かして、鍋に入れるタイミングを図っていました。グラスは時子の部屋の机に置かれています。
えい子は外出の用事で絵里子に神棚の水を替えるよう言います。グラスを持った絵里子は時子の部屋へ行き、机に置かれたグラスを見て神棚の水だと勘違いしました。取り換えたコップを持った絵里子は、途中で尚美と椅子に座って尚美の愚痴を聞きます。
電話で席を立っていた時子は自室に戻り、机の水を調理中の鍋に入れます。
絵里子が台所へ行くと、シンクがふさがっていました。仕方なく絵里子はテーブルの上にグラスを置きます。偶然にもお盆の上でした。
その後、時子が持病の薬を飲む時間になって水を所望し、つかさがお盆の水を持っていきます…。
・毒入りグラス…時子が用意→絵里子が神棚の水と勘違いして持って行く→台所の机に置く→時子の薬を飲む水として、つかさが持って行く→時子が飲む
・神棚用の水(ただの水)…静子が用意→絵里子に持って行かせる→神棚の位置を知らない絵里子が机の上の水と勘違いし交換→時子の机の上→毒入りだと思った時子が、調理中の鍋に入れる
すべてのグラスを、全く同じもので統一したために起きたことでした。
…話を聞いた他の4人は黙りこんだ後、静子が「幻想だ」と言い、尚美は「状況証拠が不十分」、えい子は「書き直し」と言います。
えい子は「そろそろみんな、時子を題材とした作品を書いてもいいんじゃないか」と提案しました。時子の死を扱った内容の小説を毎年1作品ずつ持ち寄って、読もうではないかと言います。
皆は否定しつつ、すでに頭の中ではストーリーを構築し始めていました…。
帰り道、絵里子は静子に「時子に宛てた静子さんの小説から読みたい」と言います。処分したと言う静子に「物書きならフロッピーに残している筈」と絵里子は言い、静子は苦笑しました。
静子と別れた絵里子は、えい子に電話します。
今回の仕掛けは、えい子が絵里子に依頼して、全員の心情を吐露させるお膳立てを整えたものでした。作戦は成功します。
…しかし…。電話を切ったえい子は、回想しました。
自らの筆の衰えをとうに察していた時子は、4人の自分たちの「後継者たち」を育てようと考えていました。「小説に答えなんてない。余韻を残せばいいのだ」と言った時子は、「あの子たちを使って、最後に重松時子を書かせる」と決めて自殺の道を選びます。
実は時子が最も目をかけていたのは、絵里子でした。ノンフィクションライターではあるものの、未知なる可能性を秘めた絵里子を目覚めさせたいと時子は考えており、自殺すれば絵里子が動くと想像しました。
えい子は横で時子の計画の一部始終を聞いていました。
そして4年前、時子のデビュー作『蛇と虹』の最初の空白のページに赤字でボードレールの詩を引用した後「1時間で戻ります」と書き添えて、外出します。
時子はそれを読んで本を机にしまい、口紅をさした後、自らのグラスに毒を入れて呷りました…。
赤い字で書いたボードレールの詩のページを暖炉の火にくべながら、えい子は、時子の後進が育っていることを確信しました。

みんなの感想

ライターの感想

舞台劇のような仕上がり。登場するのは主に女性5人ですが、それと同じくらい回想シーンで浅丘ルリ子も登場し、その存在感は、やっぱ大きい!
ちなみに竹中直人扮する刑事は、冒頭にちょびっと出てくるだけ(笑)。
恩田陸の同名小説が原作だけど、…私は原作よりも映画のほうがいい仕上がりだと思っている。
原作のほうでは結末が違う。
絵里子が劇中で披露した「時子は5人を殺すつもりで毒入りの水を用意したが、不幸な偶然の積み重ねで自分が飲むことになった」
ここから先、原作では「それをえい子は気づいていたのだが、気づいていない振りを装った」
「家の構造に最も疎い絵里子に神棚の水を替えさせ、毒入りの水が時子のほうへ行くように仕向けた」
…すべての黒幕、真犯人(?)は、えい子なのだ。
これに対し映画のほうでは「絵里子は自説を披露するが、実はそれは正解ではない」
「正解は、えい子のみが知る」←但し、これは絵里子がうすうす感づいている
「時子は自殺した。自分の死を受け止めた4人の女たちが、成長することを祈りつつ」
…映画の黒幕はなんと、死んだ時子なのだ。ひーーっ。
映画のなかでインサート・カットで、徐々に時子の死が明らかにされる。
…ただ実のところ、このラストですら「4人のうちの誰か(絵里子)の描いた小説」である可能性も残されている。
時子が劇中のラスト部分でえい子に向けて言う「小説に答えなんてない。余韻を残せばいい」。
この映画はそれに尽きる。

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