「理由(2004年)宮部みゆき」のネタバレあらすじ結末

理由(2004年)宮部みゆきの紹介:2004年公開の日本映画。宮部みゆきの直木賞受賞作を、名匠・大林宣彦が映像化。超高層マンションで4人の遺体が発見されるが、死んだ人たちはその部屋の住人ではなかった…。殺人事件の真実を、107名にも及ぶ登場人物の証言を交えて解き明かす。

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理由(2004年)宮部みゆきの主な出演者

片倉義文(柄本明)、片倉幸恵(渡辺えり)、片倉春樹(真鍋卓也)、片倉たえ子(菅井きん)、片倉信子(寺島咲)、小糸信治(山田辰夫)、小糸静子(風吹ジュン)、小糸孝弘(厚木拓郎)、小糸貴子(赤座美代子)、有吉房雄(永六輔)、交番の石川巡査長(村田雄浩)、砂川信夫(綾田俊樹)、秋吉勝子(古手川祐子)、八代祐司(加瀬亮)、佐藤義男(大和田伸也)、佐藤秋江(松田美由紀)、葛西美枝子(久本雅美)、篠田いずみ(多部未華子)、佐野利明(岸部一徳)

理由(2004年)宮部みゆきのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①東京都荒川区北千住の超高層マンションの25階の一室で4人の遺体が見つかる。うち1人は転落死。殺された4人は住民ではなく、しかも血の繋がらない赤の他人同士で身元が分かるまで時間がかかる。 ②殺害したのは転落死した男性・八代。家族の絆を嫌悪する八代が他者の束縛を嫌い殺害。恋人・綾子と赤ん坊を庇い、事件の一部始終を知る買受人・石田直澄が逃亡していたため事件解決まで時間がかかった。

【起】- 理由(2004年)宮部みゆきのあらすじ1

(注:この映画はほぼ原作どおり。原作の小説もドキュメンタリーの方法を取っているが、この映画もルポルタージュの形式を取っている。細部に少し違いがあるもののほぼ原作と同じ。
従って細かなことまで書き始めると相当の字数を食うので、たんたんと簡潔に書かせていただく。いっぽうで、原作と異なるところはきちんと映画の方で記述する)
『東京都荒川区は都南部に位置し、都心部と近接しながらも、隅田川(旧荒川)の持つ豊かな水辺空間に育まれた、古い歴史と文化とを有し、中小企業や住宅が混在する仲を、人と人との温かな結びつきを守り続けてきた、下町情緒あふれる人情の町として知られる。
荒川区に於ける人の生活の始まりは、2~3万年前に遡るという。
水運が盛んで、平安時代には、既に石浜・橋場付近に「隅田の渡し」が置かれていた。
天正十八年、江戸に入部した徳川家康は、文禄三年に、千住大橋を架け、「千住下宿」は江戸の玄関口として、賑わっていた。
道灌山、諏訪台、荒木田の原、真崎稲荷など、殊に日暮里は、「ひぐらしの里」と呼ばれ、江戸時代には、庶民の情緒豊かな遊興の場として親しまれた。
大正十二年、関東大震災を契機として、区内の様相は急変。都心部の人口が流入し、農地は宅地化され、商工業の発展基盤が形成された。
昭和七年、東京都35区制に伴って、荒川区は誕生する。
第二次世界大戦では、区面積の45%、5万戸が焼失したが、戦後の復興も早く、昭和二十年代半ばには「路地の辻」には子供があふれ、貧しかったが、活気のある街であると言われた。
その後の高度成長、バブル景気を通じてこの地にも都市計画道路、補助幹線などが整備されてきたが、これに囲まれた街の内側は、依然細街路が入り組む密集市街地である。
戦後この街で生れ育った世代は、近県に住居を求め、親の世代は高齢化している。借地借家が多く、権利関係も複雑な上、狭小な敷地が三割以上を占め、資力も弱い。下町の人の暮しも活気も、今次第に過去のものとなりつつあるのだろうか。
……
この物語は、荒川の下流に位置する、同じ東京下町の江東区から始まる。』(という文字がまずばーっと流れる)
…1996年9月30日。
江東区高橋二丁目にある、高橋第二交番に勤務する石川巡査長のところへ、顔なじみの少女・片倉信子がやってきました。
石川巡査長は信子の同級生の田中翔子の自転車盗難届を受け付けていましたが、信子が「週刊誌に載っていた人が家にいる」と言い、片倉ハウスに行きます。
片倉ハウスは簡易宿泊施設で、素泊まり(食事が出ない)の宿です。素性を聞かない、言わないという宿で、そこに「荒川の一家四人殺し」の重要参考人とされる石川直澄がいるとのことでした。
石田巡査長は信子と翔子に交番に残るように告げ、自転車で片倉ハウスに行きます。残った信子は「石田さんは人殺ししてない」と翔子に言いました。
この事件はおよそ5か月前に起きた事件でした。
1996年6月2日未明。この日は大雨が降る夜でした。
東京都荒川区ヴァンダール千住北ニューシティーというマンションの2025号室で、事件は起きます。
まずマンションの敷地の植えこみで、若い男の転落死体が見つかりました。これはマンションの1225号室に住む少女・佐藤彩美が、両親に「人が落ちた」と言い、父・佐藤義男がマンションの管理人・佐野利明に連絡を取って、2人で見に行って見つけたものです。それと共に佐藤の妻・秋江は救急車を呼びました。

【承】- 理由(2004年)宮部みゆきのあらすじ2

このマンションは超高層マンションで、ウエストタワーとイーストタワーの2つで形成されています。事件が起きたのは、ウエストタワーの方でした。いずれも住み込みの管理人がおり、今回のような緊急時には即時対応できるようになっていました。
それとほぼ同時刻、2024号室の住人女性・葛西美枝子はタクシーで帰宅していました。大雨が降っているので、濡れないように地下駐車場まで車を乗り付けます。
エレベーターは6基ありますが、23時以降は節電モードになっており、最寄りにある階のものが動く仕組みになっていました。
ちょうど下降するエレベーターがあり、それに乗る筈ですが、エレベーターは1階でしばらく止まっており、美枝子はイライラします。
やっと地下1階に辿り着いたエレベーターには血痕が落ちていました。それを見た美枝子は負傷者がいて、それを下ろしていたから時間がかかったんだと思います。ちょうど救急車が近づく音がしたので、美枝子はより一層確信を深めました。
20階に着き、隣家の2025号室の前を通ると、そこに血が数滴落ちており、隣の人が怪我をしたのだと思います。玄関のドアが10cmほど開いており、中に人影が横切るのが見えました。
さて救急車は佐藤の妻・秋江が呼びましたが、管理人・佐野は通報して飛び降り自殺の件を告げ、警察も呼びます。ところが思った以上に警察が早く到着しました。
警官隊は「1人の人を数人が殴っている」という通報を聞いて駆け付けていました。佐藤がおかしいと思っている頃、佐藤が呼んだ方の警察も到着します。
落ちた男性の部屋を捜すために各階を訪れた警官隊は、小糸家という2025号室が応答せず、施錠していないドアを開けて中に入ったところ、和室に1人、リビングに1人、ベランダに1人の遺体を発見しました。
死体はいずれも後頭部を殴られたもので、凶器と思しき灰皿もあり、青いビニールシートがベランダに敷き詰められていました。そして転落死体もこの部屋の人物だと判明します。
ひと晩で4人が死んだわけですが、この家の住人は41歳の夫・小糸信治、40歳の妻・静子、10歳の長男・孝弘(4年前の入居当時)で、年齢も人数も合わないことが問題になります。
後に判明するのですが、近隣の住民が知らない間に、2025号室の住人がそっくり入れ代わっていたのでした。
小糸信治ら一家は妻側の実家に身を寄せていましたが、事件当初、警察から逃げてしばらく雲隠れしたため、遺体の身元確認に時間がかかります。
また個人情報保護法により住民名簿の提出で揉め、マンションの住人への警察の聞き込みも困難を極めました。2025号室の詳しい出入りを知っていたのは、2026号室の老女・北畠智恵子です。
智恵子は7人の住民を見たと言い、さらに住民を見た時期が微妙にずれていました。それにより、おおよそ1996年の初頭ごろに住人の入れ替えが起きたと見当がつきます。
より詳細に知っていたのは8階の住人・篠田いずみでした。年始の1月5日に2025号室の小糸孝弘が、新品同様のCDラジカセを捨てるのを、ゴミ捨て場で見たというのです。その際に孝弘は「もうすぐ引っ越しをする」と言っていたと証言しました。
この時点で管理会社と警察は、占有屋が絡む事件なのではないかと目星をつけました。
「占有屋」とは、競売(けいばい)物件を落札した人間に対して、居座って妨害を行なう人のことを指します。暴力団を背景に脅す場合と、善意の第三者を装って賃貸契約書を盾に居座る場合とがあり、今回は後者でした。

【転】- 理由(2004年)宮部みゆきのあらすじ3

少し話が相前後します。
この2025号室は元々あまり住人が居着かない部屋でした。
最初に購入した住人は転売目的でした。次に入居したのは新婚の若い夫婦でしたが、後に離婚してしばらく妻の方が住んでいましたが、1年後に売られます。その時購入したのが小糸一家でした。
小糸信治は、妻・静子の実家から頭金を出してもらいましたが少し額が足らず、信治の姉・貴子に借金を頼んで断られます。
貴子は無理をして高額なマンションを購入するなと、弟に反対しました。しかし信治は聞き入れず、以後絶縁状態になります。貴子は信治の妻・静子が見栄っ張りなことに不満を持っていました。
結局、信治らは入居したものの4年足らずでローンを支払えなくなり、マンションは住宅金融公庫により競売(けいばい)にかけられることになります。
その頃信治が仕事がらみで知り合った不動産屋・早川一起から、占有屋という方法を知りました。競売で安く買い叩かれた物件を、また買い戻せるかもしれないと思った信治は一任します。
早川の手法は古典的でした。小糸家に賃貸契約書を交わさせ、住んでいる住人は小糸ではないとさせるのです。すると競売で落札した人は実際に住んでいる人に立退きを強く言えず、金にゆとりのない人ならば早々に買うことを諦めるというのです。
信治がようやく出頭したこともあり、早川不動産の名が出て住人、つまり被害者が判明しました。早川が送りこんだ住人は砂川一家です。
警察が着目したのは、競売物件を買った買受人・石田直澄でした。立退きで揉めて、殺したのではないかと考えたのです。石田直澄が逃亡したこともあり、重要参考人として手配しました。
しかし事態はもっとややこしいと、警察は踏んでいました。
それというのも、被害者は砂川一家と判明しましたが、合致したのは世帯主・砂川信夫だけで、後の人物は健在だったからです。妻と母と息子は元気でおり、砂川信夫は十数年前に失踪して以来、連絡がなかったそうです。
そこでテレビニュースで、後の3人の特徴を明かし、該当する人がいないか広く呼びかけました。そして妻と母に該当する人物の正体が判明します。
妻と思われた人物は、男と故郷を出ていった秋吉勝子という女性でした。母と思われた人は、特別養護施設で行方知れずになり、若者グループに襲われて頭を撃ち、記憶障害になったと思しき三田ハツエです。
20歳前後の転落死した男性だけは、該当する人物がありませんでした。買受人の石田直澄も依然として行方知れずです。
石田が片倉ハウスに泊まりに来た際に、最初に正体を知ったのが娘の信子でした。父・片倉義文の問いに石田は肯定し、出頭すると言い出しますが、その前に1か所だけ電話をかけさせてくれと頼みます。
その電話先は、宝井綾子宅でした。「約束を守れなくなりそうだ」と告げ、綾子一家は片倉ハウスに駆け付けます。
砂川家は全く血の繋がらない赤の他人の寄せ集めでした。まず砂川信夫と秋吉勝子が一緒に住み、そこへ信夫が拾ってきた記憶障害の車椅子の女性・三田ハツエが加わります。
さらに両親の愛を知らず家出をした八代祐司が、信夫らと住み始めました。こうして4人は占有屋として共に暮らしていました。
そしてマンションの部屋にいた3人(夫妻とその母)を殺害したのは、息子とされた八代祐司という男です。 この映画を無料で観る

【結】- 理由(2004年)宮部みゆきのあらすじ4

八代は宝井綾子と恋愛し、綾子は息子を生みますが、家族の愛を知らずに育った八代は結婚を拒否します。
家族を嫌悪していた八代は、同居していた信夫らも疎んじ始めていました。
買受人・石田直澄に自分たちが占有屋だと告げた八代は「1000万払えば、残りの3人を殺して立退きに応じてやる」と交渉します。
石田は気味が悪いと思い、断りました。しかし殺すなどと物騒なことを言った八代のことが気にかかり、断っただけではなく、世帯主の砂川信夫に忠告します。
さらにその日の夜、妙な胸騒ぎがした石田はマンションへ行きました。そこで八代が本当に一家を殺害したのを見て、驚きます。
八代はベランダに広げたビニールシートで、遺体を包もうとしていました。
しかしそれだけではありませんでした。
八代の恋人・綾子も同じく妙な予感がして、赤ん坊を連れてその日八代を訪れたのです。石田と八代と綾子が鉢合わせしました。
綾子は警察を呼ぶと言い出し、八代は包丁を出してそれを石田が止め、石田は手のひらに傷を負います。
石田が赤ん坊を気にかけている間、綾子と八代はベランダに出て揉み合いになり(注:これを見て第1の警察への通報があった)、綾子が八代を突き飛ばして八代は転落死しました。
綾子と赤ん坊を守るため、石田はずっと逃げ続けていたのでした。
片倉ハウスからの連絡を受け、宝井家の綾子と両親、弟・康隆がやってきて、綾子も石田と一緒に出頭することに決めます。
…1998年6月、事件は小説化。
…2003年初冬、映画化(この作品のこと)。
出頭のシーンを撮影しています。信子はビニール傘を持って走りながら交番に駆け込みます。
後日、結局この部屋は買い手がつかず、現在も空き部屋のままです。時々小糸家の息子・孝弘が見に来るだけです。
孝弘は砂川家のメンバーと面識がありました。八代以外は皆優しく、孝弘は間借りしたいと言ったこともあります。
マンションに幽霊が出るという噂が立ちました。ところが妙なことに砂川家ではなく、殺した方の八代の幽霊が出るのだそうです。
考えてみれば2024号室の葛西美枝子が見た人影は、すでに八代の幽霊ではないかと管理人・佐野は言います。時間的には石田、綾子の立ち去った後ですから。
出てくる幽霊は、いつも部屋をうろうろした後、ベランダから落ちて行くそうです。
小糸孝弘は「もし、僕も曲がりできていたら、いつかおばさんたちを殺したんだろうか」と言います。
『八代祐司の幽霊に会うことがあったら、それを訊いてみたいと小糸孝弘は言う。
小糸孝弘の求める答えを、八代祐司は知っているだろうか。
彼も知らないのではないか。
だが、いつか未来のどこかで、それも思いの外近い未来のどこかで、ごく普通の人びとが、ごく普通に、小糸孝弘の疑問に答えることのできる時期が来るだろう。
それは否応なしに来るのかもしれないし、我々が積極的に求めて到来させるのかもしれない。
八代祐司の亡霊は、そのときようやく、成仏することができる。
その時までは、彼はヴァンダール千住北ウエストタワーのなかにいるだろう。
誰も彼を恐れることがなくなるまで、彼を怖がるものがいなくなるまで、彼の青白い影を探す人たちと共に、ずっとそこにいるだろう。』(という文字が流れる)
最近、田舎に帰ろうと思うと、管理人・佐野は言います。生まれたところから離れて、八代祐司という若者を作ったのはなんだろうかと考えようと思う、そう告げます。
『今、彼は――どこにでもいる。』

みんなの感想

ライターの感想

実に2時間40分もの大作。いまだったら、前後編で放映されるかな。しかし長くは感じない。
この映画が原作通り取材という形を取っているため、登場人物がとてつもなく多い代わりに、ぐいぐい話をひっぱっていってくれる。
内容の濃さだけでなく、現代の核家族について、マンション暮らしの人間関係の希薄さについてなど、いろいろ考えさせてくれる作品。
蓋を開けてみれば「そうだったのか」なんだけど、そこに至るまでのプロセスがとにかく重厚。
各々の人物について実に細かく描かれているため、主要人物だらけなのだ。
映画ではいちおう、管理人・佐野が主要となって局所局所で出てくる。
原作との相違は「原作では2軒先の2023号室の美枝子が2024号室に、2024号室の北畠が2026号室になって、2025号室を挟む形になっている」
「警察と管理会社は当初から占有屋の目星をつけているが、原作ではもっと先の段階で占有屋に思い至る」
あと若干、はしょったところもある。敷地への出入りの開放期と締切期…ただしはしょったところは、そう重要な部分ではない。
キャスティングも超豪華。もし機会があればぜひご覧あれ。

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