「紙の月」のネタバレあらすじ結末

サスペンス映画

紙の月の紹介:2014年公開の日本映画。角田光代の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八・監督が、宮沢りえを主演に迎え映画化したサスペンス。銀行で働く平凡な主婦が、年下の大学生との出会いを機に、巨額の横領事件を引き起こすさまを描く。

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予告動画

紙の月の主な出演者

梅澤梨花(宮沢りえ)、梅澤梨花〔中学生時代〕(平祐奈)、平林光太(池松壮亮)、相川恵子(大島優子)、梅澤正文(田辺誠一)、小山内等(佐々木勝彦)、小山内光子(天光眞弓)、名護たまえ(中原ひとみ)、隅より子(小林聡美)、井上佑司(近藤芳正)、平林孝三(石橋蓮司)

紙の月のネタバレあらすじ

【起】- 紙の月のあらすじ1

1994年…。
梅澤梨花は、子供には恵まれなかったものの、夫・正文と平凡で穏やかな暮らしを送っていました。
梨花は4年前からわかば銀行のパートとして働き始め、先日、営業の契約社員となりました。
上司・井上次長からの評価も高く、梨花の仕事ぶりは信頼されていました。
同じ支店の同僚には、厳しいベテランの事務員・より子や、いまどきの若い女子社員の窓口係・恵子らがいます。
一見すると何不自由のない生活を送っている梨花でしたが、家庭では正文との気持ちのすれ違いが生じていました。
たとえば…契約社員になって初の給料で、梨花は夫・正文にペアウォッチをプレゼントします。しかし正文は気に入らないようで、お礼は言いながらも「仕事っていうか、ゴルフでしていく」と言い、しまいこみます。
そして後日、上海への出張土産として梨花に買ってきたのは、カルティエの時計でした。「これくらいのものを身につけてもいいんじゃない?」と平然と言われ、梨花は軽くショックを受けます。
梨花としては金ではなく気持ち…のつもりでのプレゼントです。それに対して正文は、年相応の高級品を梨花に勧めました。互いに悪気はありません。ただ梨花としては、自分が働いた金を軽視された気分になります。
梨花の営業の仕事は外交で、取引相手の各家を回って集金したり、得意客にお勧めの金融商品を紹介したりするものです。
19年勤務した同僚の女性・今井が退職することになりました。異動を蹴っての依願退職で、実質的には「肩叩き(辞めるよう追い込まれた)」です。年齢を重ねて給料が高くなる女性の正社員を辞職に追いやり、安くて若い契約社員を取るのが、わかば銀行の方針でした。
その今井から引き継いだ裕福な独居老人・平林を訪問した梨花は、平林からあれこれ問われます。結婚して何年目だとか、子どもはいるのかとか…。
平林は梨花に茶を淹れろと言い、後ろから梨花の肩に手をやりました。
セクハラされそうになった梨花を助けたのは、平林の孫・光太でした。
梨花は平林から大口の国債の契約を取ります。支店に戻った梨花は、上司・井上から手放しで褒められました。
今井の送別会の日、梨花は平林の孫・光太と駅で再会します。光太が熱い視線を送ってくるのを、気づまりに思いつつも梨花は快感でした。
家賃収入で生活する裕福な老婦人・たまえから預入金を預かった日、梨花は支店に帰る前にデパートの化粧品コーナーに立ち寄ります。 この映画を無料で観る

【承】- 紙の月のあらすじ2

店員に話しかけられ、化粧品のセットを買おうとした時、思った以上に高額の値段を請求されました。
梨花はクレジットカードを持っていません。以前に夫・正文に申し込みたいと言ったことはあるのですが、「必要な時に銀行でおろせばいい」と返されて、そのままでした。
フェイスパウダーを外してもらっても38728円で、手持ちのお金が足りません。
梨花は、たまえの集金分から1万円だけ拝借して支払いを済ませ、その後ATMでお金をおろし、集金袋に戻しました。
…しかし…これが全ての始まりでした。この「ATMから現金を引き出す、ひと手間の面倒くささ」から端を発したのです。いえ、元々梨花にその素質があったこともありますが、それは後に述べます。
その日の帰り、地下鉄の駅の向かいのホームに光太を見つけた梨花は、相変わらず熱い視線を送って来る光太に応えるように向かいのホームへ行きました。
満員電車に乗った光太と梨花はホテルへ行き、身体を重ねます。
カルティエの時計をしている梨花に、同僚・恵子が注意しました。他人の金を扱う銀行は、銀行員の持ち物にも目を光らせていると言います。
不倫相手から貰ったロレックスの時計を「勤務中は外す」と告げた恵子は「でもいろいろと我慢してるのが嫌になって」「やりたいことは、やりたいじゃないですか」と梨花に同意を求めます。
図らずも年下の相手・光太と不倫したばかりの梨花の本音に当たり、梨花の気持ちを後押しするかのような一言でした。光太と情事を重ねる梨花は、次第に罪悪感が失せます。
保険の満期の払い戻し金を新規定期預金に回す平林が、会話のついでに孫・光太に「あの年で借金がある」とぼやきました。光太は大学3年生です。
梨花が光太を問い詰めると、消費者金融に150万円の借金がありました。しかしそれは父がリストラにあって払えなくなった「学費のための借金」でした。
平林の新規定期預金の証書を作ってもらった後に「書損処理(キャンセル処理)」して現金200万円を手に入れ、光太に渡しました。
「利子なしで貸したと思って」と言われた光太は、梨花の家庭が裕福なのだと勘違いします。
夫・正文の上海転勤が正式決定しました。正文は梨花を連れて行くつもりでしたが、梨花は「責任のある仕事を任されている」と言い、日本に残ります。正文は単身赴任しました。

【転】- 紙の月のあらすじ3

1995年…。
光太と梨花の関係は続いていました。逢瀬のたびの会計は、梨花がするのが当然になっていました。「クレジットカード使わない人?」と光太に問われた梨花は、カードを作ることを考えます。
光太は梨花に、月々5万円の返済をしていました。封筒に入れて返済し、そのたびに感謝の言葉を述べる光太を、梨花は嬉しく思います。
光太の大学の女性の同級生2人に街で会った梨花は、「お姉さん?」と訊かれて「そうだ」と答えました。
裕福な老婦人・たまえ宅に呼ばれた梨花は、たまえに認知症の気配があるのを察知して、たまえの金300万円を着服します。山手信用金庫へ新規の自分用の口座を開設した梨花は、300万円を預けるとクレジットカードを作りました。
光太と梨花は3泊4日の贅沢なホテル暮らしをします。たくさんの買い物をし、部屋で出前を取った2人は楽しい時間を過ごしますが、その週末だけで150万円近くを浪費しました。
もっと着服して金を得ねば、と梨花は思います。それからは、自宅にパソコンとプリンタを購入し、わかば銀行の証書を持ち帰り、証書を偽造したり印鑑を複製したりしました。
営業の仕事にも精を出し、金持ちの夫妻に孫の積立預金を勧めたりして、次々に横領していきます。
…実はこの梨花の「素質」には予兆がありました。
カトリック系の女子校に通う中学生時代の梨花は、『愛の子供プログラム』という募金活動に人一倍熱心でした。
その学校で募金をつのり、寄付した相手からは感謝をこめた手紙が返ってきます。梨花には左頬に火傷の痕がある少年に送られていました。
学校の教え〝受けるより与える方が幸いである〟を、梨花は痛感し、周囲が募金活動に飽きるなか、自分ひとりでせっせと募金を続けます。
そしてある時、父の財布から盗んだ金5万円を寄付しました。
この大口寄付が問題となり、『愛の子供プログラム』は中止になります。しかし梨花は納得がいきません。寄付のために父の財布から金を盗む行為…梨花は罪悪感がありませんでした。
光太は梨花に依存していきます。梨花にマンションを借りてもらい、Macのパソコンを買ってもらった光太は、梨花に内緒で大学を辞めていました。
問い詰める梨花に「就職浪人ばかりで卒業しても先が見えている」「先輩の仕事を手伝うことにした。ホームページ作成の勉強をする」と光太は言います。
その頃、梨花は恵子の不倫相手が、上司・井上次長だと知りました。

【結】- 紙の月のあらすじ4

光太はどんどん横柄になっていきます。最初は封筒に入れて返していた金も、今では裸のまま2万円渡すようになり、「先輩が仕事なかなか回してくれなくてさ」とぼやきました。
バイトを探して金を返すと言い出す光太を、梨花は制止します。
光太は部屋に別の女性を連れ込み、梨花に露見すると「いつまでこんな生活が続くのかと思うとたまらなくなる」と言い、光太は梨花に別れを告げました。
空いた部屋を使い、梨花は証書の偽造を続けます。
ベテランの事務員・より子が本店への異動を打診されます。肩叩きです。
若手だけだと務まらないと井上次長に食い付いたより子は、ここ半期のミスを探して提出すると豪語し、調べていて書損処理の証書がないことに気づきました。書損処理をおこなったものについては、原本を保管しておく決まりです。
担当者の印鑑は恵子のものですが、梨花が怪しいと睨んだより子は、それを井上次長に告げます。200万円の平林の国債です。
梨花を呼び出した井上は、梨花に恵子との不倫をネタに脅され、一旦は引きさがりました。より子は井上の尻を叩きます。
本格的に調査したより子は、梨花の横領が複数あり、しかも合計額が巨額にのぼると気づきました。
井上次長だけではなく支店長も知ることになり、呼び出された梨花は詰問されます。全額返済できれば刑事告訴は免れる…支店長も責任問題を問われるので、自己保身のためできればどうにかしたいと考えました。
しかし額は支店長たちの想像以上で、さらに梨花は横領していてもなお、600万近い額の借金を抱えていました。
井上次長と支店長が席を外した間に、より子は借金を肩代わりしてもらえる親族がいないか梨花に訊きます。
「みじめだ」と呟く梨花に、より子は「あなたはしたいことをしたんでしょ」と言います。特にしたいことがないまま漫然と生きているより子にとっては、巨額を横領した梨花の方が人生を満喫していると考えたのです。
「紙の月(紙でできた偽物の月)はニセモノだから壊したっていい」と梨花は言いました。いっぽうで、お金では自由にはなれないと痛感します。
椅子で窓ガラスを割った梨花は、より子に「一緒に来ますか?」と問いかけました。不意を突かれたより子はひるみ、梨花は全力疾走で会議室から逃げ出します。
…その後、東南アジアの街角に梨花はいました。
落ちた青リンゴを拾う少女を手伝った梨花は、1つの青リンゴを貰います。少女の父は左頬に火傷の痕がありました。
火傷のある男性の前で青リンゴを齧った梨花は、うっすら笑うと街角へ消えていきました…。

みんなの感想

ライターの感想

「年下の男に貢いで、大金を横領した」
ひとことで言えばそうなる話? いえいえ、テイストは全く異なります。
確かにあらすじを読むと光太のために横領を始めたみたいな感じではあるのですが、そうじゃないんだな。
「人に感謝されることに快感を覚える」「味をしめてしまって犯罪に手を染めた」…梨花には吃驚するほど罪悪感はありません。
夫・正文に感謝されながら生きていれば、それなりに幸福な主婦でいられたんだろうなと思う。
それがどんなに些細なことでも、「ありがとう」のひとことが貰えれば幸福。梨花はそういう人間です。
軸が変な方向にぶれちゃったために、横領という手に走ってしまっただけ。
証書を偽造する梨花は職人さながら。大金を得るために、終盤では自作のチラシまで作ってます。
この念の入りようがすごい! 梨花の才能を見抜いて上手に活用すれば、有能な社員になったろうに…と思わせてくれます。
タイトル『紙の月』は舞台の書き割り、紙でできた偽の月、という意味です。
「ニセモノの月は消える」→「幸せはいつか終わる」→「だから壊したっていい。本当にしたいことをした」
ラストのより子と梨花の対決シーンは圧巻です。
より子はぶれることなく生きているわけですが、「一緒に来ますか?」という問いに一瞬、絶句してしまう。この演技、すばらしいです。

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