ヘルタースケルター

「ヘルタースケルター」のネタバレあらすじ結末

ヘルタースケルターの紹介:2012年7月14日に公開された日本映画。R15+指定。主演・沢尻エリカの5年ぶりの映画出演作。手塚治虫文化賞漫画大賞を受賞している岡崎京子の同名コミックを実写化した、蜷川実花の監督2作目の映画。芸能界で輝くりりこの、繁栄から衰退までを描いている。

映画「ヘルタースケルター」のネタバレあらすじを結末まで解説しています。まだ映画を観ていない方は「ヘルタースケルター」のネタバレあらすじに注意ください。

予告動画

ヘルタースケルターの主な出演者

りりこ〔比留駒春子〕(沢尻エリカ)、麻田誠(大森南朋)、羽田美知子(寺島しのぶ)、奥村伸一(綾野剛)、吉川こずえ(水原希子)、沢鍋錦二(新井浩文)、保須田久美(鈴木杏)、塚原慶太(寺島進)、浜口幹男(哀川翔)、比留駒千加子(住吉真理子)、南部貴男(窪塚洋介)、和智久子(原田美枝子)、多田寛子(桃井かおり)

ヘルタースケルターのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①りりこは芸能界のトップに君臨する女性。ところが彼女は全身整形を施した美人だった。美しさを保つためには整形を続けねばならず、りりこは徐々に精神的に追いつめられていく。 ②りりこの全身整形がマスコミにすっぱぬかれ、りりこはマスコミの前で自らの右目を刺して姿を消す。後日、外国のうらぶれた店で働くりりこは、それでも女王だった。

【起】- ヘルタースケルターのあらすじ1

日本の巷では、ネイルやマスカラが流行しています。プリクラ写真でも、目を大きくしたり整形みたいに顔を加工したりできるようになっています。
プリクラやネイル、マスカラなどのおしゃれに敏感な女子高校生たちがなりたい顔NO.1は、芸能人の「りりこ」でした。
りりこは今売れに売れている若い芸能人女性で、ファッション雑誌の表紙を飾り、CMやドラマ出演が殺到しています。
そんなりりこは「私の中で音がする。カチコチ、カチコチ、音がする。早くしろよと音がする」と感じていました。それは、りりこの中で何かが終わる音…いわば「若さ&美しさが失われ、皆から見放されるまでのカウントダウンの音」でした。
りりこは美しさとスタイルのよさを売りにしています。誰もが認める絶世の美女です。
ただしそれは「全身整形によって得られた」ものでした。りりこは目(眼球)、耳、爪、性器以外はすべて「つくりもの」です。
それに気づく者は殆どいませんでした。
検事の麻田は、脱税、政治家への贈収賄、堕胎した胎児の死体臓器売買および薬事法違反容疑で『麻布プラチナクリニック』に目をつけており、なんとか起訴できないかと調査しています。ところが顧客の大半が政治家や富裕層の御曹司や御令嬢になるため、もみ消されてしまいます。
りりこを見た麻田は全身整形に気づき「興味深い顔だ。崩れている」と言いました。顔の骨格に乗っている筋肉の動きが、表情とまるで合っていないことで、麻田はりりこの整形に気づいたのです。
麻田はどこかの時点で接触をし、りりこに証言台に立ってもらおうと考えました。しかしりりこという「切り札」は1回しか使えないのは分かっているので、最も効果的な時を狙います。人気絶頂機の現在は、まだ時期尚早でした。
りりこはその人気で、手に入れられるものは手に入れています。
「ダーリン」と呼ぶ恋人は御曹司の若い男・南部貴男で、りりこにぞっこんでした。
35歳の付き人・羽田美知子はりりこの言うなりです。但しこれは複雑な関係で、りりこは意地の悪い命令をして羽田を困らせた後は、「私、羽田ちゃんがいないとやっていけない」とすがるように言います。
美しくて絶対的な存在が自分を頼りにしてくれている…そう思うと羽田はりりこを突き放すことができません。次第に羽田はりりこの言うことは絶対に従うようになりました。
人気絶頂を迎えたりりこですが、整形で得た美しさを保つには、いつまでも整形に頼らねばなりません。
帰宅して自室で自分の姿を鏡に映してうっとりしていたりりこは、前髪をかきあげた際におでこに黒い痣ができていることに気づきました。整形の後遺症です。

【承】- ヘルタースケルターのあらすじ2

りりこの所属するタレント事務所の社長であり、りりこが「ママ」と呼ぶ多田寛子は、りりこのメイク担当をするオカマの男性・沢鍋錦二に口止め料として8カラットのルビーを渡した後、りりこが全身整形していることを告げて、フォローするよう命じました。沢鍋はそれまで全く知らなかったので驚きますが、以後、りりこの身を案じます。
メイクで隠してその日の撮影を終えたりりこは、麻布プラチナクリニックで再手術の予定を入れました。売れっ子のりりこはスケジュールが詰まっていますが、それ以上に「りりこの美しさをキープする作業」は大事なので、スケジュールを外して手術に充てます。
クリニックの患者には一般の顧客もいますが、キープし続ける治療費を払いきれずに整形が崩れ、それを苦にして自殺する女性も出ていました。
女医の和智久子は「綺麗にしてあげたら、定期的なメンテは必要になるのは当たり前。その分の費用は働けばいいではないか」と言ってのけます。
胎児の胎盤から得たプラセンタ、いわば他人のものを美容のために混ぜているため、クリニックで整形をすると一生免疫抑制剤を服用せねばなりません。それも高額です。
再手術をして美しさを取り戻したりりこですが、その頃から「美しさはいつか失われる」ことを自覚していました。
自分の付き人の羽田が35歳ですっぴんなのを見て、口紅をあげます。渡しながらも「気をつけな。ドラッグみたいなもので、こんなのやればやるほど、もっとやりたくなるのよ」と言います。確かに化粧もし始めれば止まらなくなるので、りりこの言っていることは正鵠を射ていました。
メイクを落としたりりこは、目の横と額に黒い痣が広がっているのを見て笑います。その頃には、いつまで整形してもきりがないことや、孤独、空しさ、せっかく美しくなっても芸能界ではすぐ忘れられてしまう無力感で、りりこの心は限界でした。
りりこは羽田に「羽田ちゃん、私、綺麗かなあ」と聞いた後、股間を舐めるよう命令します。羽田はその気迫に押されて、従いました。
ママこと寛子の元にりりこの妹・比留駒千加子が訪ねてきます。寛子は食事をして追い返しますが、後日千加子はりりこに手紙を送り、りりこは千加子に会いに行きました。
「強いから、お姉ちゃんは綺麗になったんだよ」と言う千加子に対し、りりこは「綺麗になれば、強くなれる」と答えます。
りりこは美しさを保つために何度も手術をせねばならず、痛く苦しい思いをしました。それでもりりこはトップとして君臨するべく我慢します。
そんなりりこの様子を見て、検事の麻田は「ヘルタースケルター(しっちゃかめっちゃか)だ」と言いました。

【転】- ヘルタースケルターのあらすじ3

同じ事務所の18歳の女性アイドル・吉川こずえが人気急上昇し、りりこは共に仕事をするようになります。
こずえは元々美しい女性でした。整形せずにモデルの仕事をしていることがりりこには妬ましく、憎悪を抱きます。
なぜよりによって人気が出たのが同じ所属事務所のこずえなのか、なぜ整形した自分が整形していない奴に負けねばならないのか…追いつめられたりりこは、違法薬物に走りました。
精神的に追いつめられたりりこは、次第に意識が混濁していきます。
芸能界の仕事などもう辞めたいと思いつつ、でも美しさを保つには美容整形を続けねばならず、その資金を稼がねばなりません。
りりこの恋人・南部が政治家の令嬢と電撃婚約したと、りりこは週刊誌で知ります。
電話して事の真相を聞くと、真実でした。南部は「立場ってものがある。結婚は形だけ」と言いますが、りりこは令嬢よりも自分の方が格下に扱われたことが許せません。憎悪の対象は令嬢に向かいました。
その頃からりりこは羽田をいたぶることで、憂さを晴らすようになります。羽田と同棲する若い恋人・奥村伸一の存在を知ったりりこは、羽田のいる前で奥村と身体を重ねるのを見せつけました。「見てよ羽田ちゃん、あたし今からあんたの彼氏とすっごい、やらしいことするから」と言われた羽田は2人から目を離せず、以降は羽田と奥村の2人ともが、りりこの奴隷のような扱いを受けました。
羽田と奥村は南部の婚約者の令嬢を襲って、顔に硫酸をかけました。
麻布プラチナクリニックの患者の自殺が相次ぎ、麻田は今こそ動くべきだと考えてりりこに会います。
りりこサイドでも限界に近付いていました。整形を重ねても痕が消えなくなり、事務所の社長・寛子は「りりこはもうおしまいかな」と呟いています。
水族館でロケをするりりこに、南部は会いに行きました。りりこを「タイガー・リリー」と呼んだ南部は美容クリニックの不法行為を訴え、法廷で証言をしてもらいたいとダイレクトに言います。
「分かるよ、君のことは。皆を楽しませるために、必死で羽を散らしている。こんな出会い方しかできなかったことを、哀しく思うよ」と言った南部は、資料を渡して立ち去りました。りりこは静かに動揺します。
帰宅して資料を開けたりりこは、今度は激しく動揺しました。クスリを打ち「どっぷり堕ちてるわ」と言ったりりこは、翌朝、アイスのCMがこずえに奪われているのを見て、羽田に「この子をめちゃくちゃにして」と頼みます。
花やしきで写真撮影をするこずえの休憩中を狙い、羽田はカッターナイフで襲いますが「いいよ、やれば」と言われて戸惑いました。
こずえは芸能界の入れ代わりの早さをよく理解していました。

【結】- ヘルタースケルターのあらすじ4

「みんなすぐ忘れる。私たちはどうせただの欲望処理装置。可愛い、すごい、ああなりたい。無責任な欲望だけが、名前と顔だけが、ただすりかわっていくだけの存在」と自覚して肝を据えているこずえを前に、羽田はナイフを振りおろせませんでした。
番組収録中に幻覚が見え始めたりりこは、放送中に奇怪な行動を取った挙句、白目を剥いて倒れます。社長の寛子に休養を取れと言われたりりこは「忘れられるのって死ぬのと同じ。あんたたちに分かってたまるか!」と羽田に叫びました。
追いつめられ自滅していくりりこを救おうと思った羽田は、部屋で見つけたクリニックの不法行為の資料を大量にコピーして、マスコミ関連に送ります。
休養していたりりこの元に、マスコミの取材が殺到しました。麻布プラチナクリニックの件が表沙汰になり、騒動が起きていました。
検事の麻田はデータ洩れを責められますが、それも計算のうちだったようです。
りりこは記者会見を開くことになり、社長の寛子から原稿通りにしゃべれと指示されました。ぼろぼろになったりりこに、沢鍋は優しく接します。
りりこは「見たいものを見せてあげる」と決意し、何も言わずマスコミの前で自らの右目をナイフで刺しました。
ナイフで刺した瞬間、マスコミのシャッターの音は一瞬止まりますが、再び激しく焚かれます。りりこは最後までエンタメ性を貫きとおしました。
麻田は「そんなサービスしても意味がない。15分も経てば忘れられる。皆、自分のことで忙しい」と思いますが、りりこは「だから私は私を決めて、私を殺すのだ」と考えます。
…世間は夢中になるのも早いですが、忘れるのも早いものです。りりこは「いなかった説」「CGだった説」「1回死んだのが出てきた説」がまことしやかに語られます。
またりりこの顔を携帯の待ちうけ画面にすると二重になるとか、りりこの写真を枕の下に入れて眠るとにきびが治るなどという都市伝説もできました。
世間の流行は早くも次のアイドルに移っています…。
…麻布プラチナクリニックの公判は回を重ね、訴訟を起こした患者はのべ126名にのぼりました。自殺者は9名、行方不明者の1名はりりこです。
りりこは伝説となり、復刻版の写真集が発売されるそうです。りりこの妹・千加子は上京し、りりこにならって整形し始めていました。
…こずえは一時のようなブームはないものの、安定した人気を保っており、海外で写真撮影をしていました。
写真集の打ち上げでやばいショーを見せる店に連れられたこずえは、店員の中にかつて自分を襲おうとしたりりこの付き人・羽田がいるのを見つけます。店員には奥村の姿もありました。
羽田を追って裏へまわったこずえは、そこに片目に眼帯をしたりりこが見世物になりながらも、相変わらず君臨しているのを見ました…。
(りりこにとって不幸なのは「世間から忘れられること」なので、見世物になってもりりこは幸福。芸能界に戻るつもりはない、現状に満足している)

みんなの感想

ライターの感想

美に関して貪欲過ぎた結果によるものなので、自業自得とも言えます。でも、少なからず女性には美しくなりたいという気持ちがあるので、共感できる部分も大いにありました。美しくなり過ぎても、醜すぎても自分自身が強くなければ、結局は思い通りになんてならないのだというメッセージがあったように思います。
しかしながら、この主人公はどんな状況でもまた這い上がってきそうな雰囲気も残していて、最後の最後に見せた笑顔の裏に隠された女の怖さを見たような気がしました。

ライターの感想

沢尻エリカが惜しみなく身体を投げ出して作った作品!
多少ごてごて感はあるものの、映像も美しい。
考えさせられる内容。整形はつくりもの。じゃあまつげを長く見せるマスカラをつけたまつげは本物? 紅を塗ったくちびるは本物?
目を大きく加工編集することができるプリクラの写真は、本物? …そういったことまで本作品では言及し問いかけている。
切ない話ではあるのだが、ラストで羽田と奥村がりりこのそばにいてくれて、救われた。
見世物の世界に身を投じたとはいえ、そこで存在を認められたりりこは、「忘れられるのは死ぬのと同じ」なわけだから、たとえそれが見世物であったとしても、充分倖せなのだろう。

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