悪の教典

「悪の教典」のネタバレあらすじ結末

「悪の教典」は原作 貴志祐介のサスペンスホラー小説で、第1回山田風太郎賞を受賞しました。映画化にあたり監督を務めたのは三池崇史、主演俳優は伊藤英明です。映画が公開されるにあたり、初日2日間で興収2億9,894万5,000円、動員21万5,059人を動員し、大成功を収めました。

映画「悪の教典」のネタバレあらすじを結末まで解説しています。まだ映画を観ていない方は「悪の教典」のネタバレあらすじに注意ください。

予告動画

悪の教典の主な出演者

蓮実 聖司(はすみ せいじ):伊藤英明、 酒井 宏樹(さかい ひろき):篠井英介、 真田 俊平(さなだ しゅんぺい):山中崇、 田浦 潤子(たうら じゅんこ):小島聖、 柴原 徹朗(しばはら てつろう):山田孝之、 釣井 正信(つりい まさのぶ):吹越満

悪の教典のネタバレあらすじ

【起】- 悪の教典のあらすじ1

蓮実聖司は晨光高校で英語教師をする30才前後の男性です。生徒にも人気がある蓮実ですが、人間的に大きな欠陥がありました。生まれつき共感能力のないサイコパス(反社会的人格障害)だったのです。
幼少期から蓮実は「自分にとって不都合な人物」は排除しようと考え、実行してきました。頭脳優秀な蓮実は犯行のために周到な計画を練って実践するので、露見することはありません。
しかし両親は息子の異変を感じ取りました。蓮実が14歳の時の熊谷先生が死んだ日の夜、蓮実が家を抜けだしていたのを知った両親は、息子のことについて密談します。
蓮実は両親が気づいたことを察知しており、両親を殺めました。全裸にナイフを持って忍び寄った蓮実は両親を殺すと、強盗が入ったと通報し、自分で自分の背中を包丁で刺して被害者を装います。
…大人になった蓮実は多少処世術を覚え、表向きは「愛想のよい理解のあるおおらかで話の分かる教師」の仮面をかぶっていました。しかし内面は変化なくサイコパスのままです。
晨光高校では、携帯メールを使っての一斉カンニング(チーティング)が問題になっていました。一部の優秀な生徒が、携帯メールで答えを他の生徒に送信しているのです。
職員会議で「アマチュア無線部の顧問の釣井先生に動いてもらって、時間限定、範囲限定の妨害電波を流せばどうか」と発言した蓮実は、電波法に抵触するという理由で酒井教頭から却下されました。
妨害電波を出すという案を臆面もなく発言する行動からも、本来ならば著しく社会性を欠いた人格であることであることが分かりますが、それに気づく教師はほとんどいません。ただ一部の教諭…釣井は蓮実の他とは異なる存在に気付き、独自に調査していました。
蓮実は授業の際にも努めて朗らかに対応します。授業中にマンガを読んだ生徒には「タイトルを英語に訳せ」と言ったり、生徒を褒めて伸ばしたりします。
問われた蓮実は、感動の度合いによって「good(グッド)」「great(グレイト)」「exellent(エクセレント)」と使い分けていると答えました。最上級の感動の際には「magnificent(マグニフィセント)」です。
蓮実は古い家屋に住み、古くてボロい軽トラックを使いました。毎日筋トレは欠かさず行なっています。
ある日庭に2羽のカラスがやってきました。ツガイらしきカラスは庭の物干し台に留まり、うるさく鳴きます。北欧神話に登場する最高神・オーディンに付き添う一対のワタリガラスになぞらえ、蓮実はカラスを「フギン(思考)」と「ムニン(記憶)」と名付けました。
夜うるさく鳴いて睡眠を妨害した理由で、蓮実はカラスたちの排除を考えます。物干し台に電気を流す仕掛けを作り、朝に2羽が止まったのを見計らって電気を流しました。フギンは殺せましたが、左目の白い「ムニン」は生き残って蓮実をじっと見つめます。

【承】- 悪の教典のあらすじ2

蓮実の担任の生徒・梨奈がいじめられていると、梨奈の父・清田が何度も学校に押し掛けました。事実の誤認だと学校側は言いますが、清田は納得しません。
清田は勤務中でも仕事先のスーパー・西湖屋のジャケットを着て学校にやって来ては、仕事場のうっ憤を晴らすかのように煙草を吸いながら、学校側に文句を言いました。
学校には裏掲示板と呼ばれるインターネットのサイトがあり、そこに生徒たちがIDとパスワードを設定すれば書き込めるようになっています。
清田はそこに、タデという名の生徒がいて、タデが梨奈を中傷していると文句を言います。
うんざりした蓮実は、清田の排斥を考え、ジョギング中に清田宅を下見します。清田家は一般的な民家で、猫よけに大量のペットボトルを壁に沿って並べており、横に煙草の吸殻が落ちているのを確認しました。
蓮実はペットボトルの中身を灯油にすり替えます。
ある夜、タバコをポイ捨てした清田の吸殻がペットボトルを溶かして引火し、清田家は炎上して清田は亡くなりました。たまたま梨奈は外出しており、無事でした(但し梨奈が死んだとしても蓮実は良心が痛まなかったと思われる)。
生徒の美彌が体育教師・柴原からセクハラを受けていると蓮実に相談します。美彌は万引きしたことをネタに脅され、体を要求されていました。露見したら淫行条例にひっかかって柴原の立場が危なくなると指摘したメールを美彌に送信させ、解決させます。
テストの日、蓮実は断りなく妨害電波を流してカンニングを防ぎました。アマチュア無線部顧問の釣井先生は気づきます。
生徒の前島雅彦は、美術教師の久米と、同性愛で恋人同士の仲でした。蓮実は学校中に仕掛けた盗聴器でそれを知り、久米の実家が名家で裕福なのを利用しようと考えます。
柴原先生を撃退したことで、美彌は蓮実に思いを寄せるようになりました。ある日屋上で美彌に抱きつかれた蓮実は、美彌とキスを交わします。その現場を生徒の蓼沼に見られました。
蓮実は蓼沼の抹殺を考え、蓼沼のハンドルネーム・タデを利用して学校の裏掲示板に書き込みをして炎上させます。
気落ちした蓼沼を慰めるふりをして飲みに誘い酔いつぶした蓮実は、ナイフで蓼沼を刺殺して軽トラで運び、庭の片隅の土中深くに埋めました。
美彌と関係を持つために美術教師・久米を脅した蓮実は、街中の豪奢なマンションを用意させて美彌との逢引場所に使います。
学力優秀な生徒・圭介は、蓮実のクラスの怜花や雄一郎とよく行動を共にしていました。集団カンニングの首謀者でもあります。
圭介はテスト時にメールが送信できなかった件で、それとなく釣井に鎌をかけ、釣井は「ウェルテル効果(自殺の連鎖)」と答えました。
圭介はその言葉から蓮実の過去を調べ、蓮実の前任校・都立北原高校で4人の高校生が自殺していることを突き止め、釣井にさらなる情報開示を要求します。

【転】- 悪の教典のあらすじ3

赴任当初から「まぶしい」まま変わらない蓮実の印象を不審に思った釣井は、蓮実の経歴を調査し、妙な「経歴の隙間」を発見していました。
蓮実は東京生まれ東京育ちで開業医の父を持ちますが、中2の冬に強盗事件の被害者となり、以降は京都に転校して過ごします。
京都大学法学部に入学したものの1か月で中退し、翌9月にアメリカ・ハーバード大へ留学して卒業し、MBAを取得しました。
さらにアメリカでモルゲンシュテイン社(ヨーロッパ系の名門投資銀行)北米本社に入社したものの2年で退職し、帰国した後、都立北原高校の教諭となります。
経歴が不自然だと釣井が圭介に話す会話を、盗聴器で蓮実が聞いていました。
その日、電車で帰る釣井を狙った蓮実は、人の目を巧みに避けて傘で殴り、電車の吊革の鉄棒部分にひっかけて首吊り自殺を装います。
釣井の「自殺」報道に動揺した圭介は朝礼を抜けだし、教室の盗聴器を見つけますが、「exellent!」と叫んだ蓮実に見つかりました。圭介はナイフを出して応戦しますが、歯が立たずに捕まります。
蜂の巣のように皮膚に穴が開く拷問用具を使って拷問された圭介は、蓮実にカンニング事件の共謀者を訊かれますが、仲間を売ることなく死にました。
蓮実は遺体を軽トラで運び、また埋めます。埋めながら蓮実は『マック・ザ・ナイフ(モリタート)』の鼻歌を口ずさみました。上機嫌な時の蓮実の癖です。
釣井の知らない蓮実の過去がありました。アメリカ・ハーバード大学時代、蓮実は快楽殺人者のクレイと出会います。
クレイと組んで殺人の腕を磨いた蓮実でしたが、ある時不要になったのでクレイを殴って生きたままドラム缶で火をつけて殺しました。
このことがモルゲンシュテイン社勤務時に知れ、アメリカから逃げるように蓮実は帰国したのです。
逢引の折、蓮実のバッグをあさった美彌が蓼沼の携帯電話を見つけました。蓼沼は世間では、行方不明の扱いです。詰め寄る美彌に誤魔化したものの、掲示板でタデを名乗る炎上騒ぎの書き込みを蓮実の仕業ではないかと疑う美彌を見て、蓮実は始末しようと考えます。
家に帰ると蓮実は「柴原の奴隷でいるのはイヤ。こんな体は捨てるしかない」という遺書を用意しました。
翌日は文化祭の出し物製作で、お化け屋敷を作る2年4組は盛り上がっています。梨奈も久しぶりに登校していました。
屋上に呼び出した蓮実は美彌の頭部を殴って気絶させ、ショーツを柴原への土産ではぎ取った後、屋上から落とすと、靴を揃えて置きます。
しかしこの時に美彌を追ってあゆみがやって来たのが計算外でした。靴を発見したあゆみは背後から蓮実に首を折られて死にます。
あゆみを殺したものの、これに関してはどうにも犯罪を隠匿できないと考えた蓮実は、クラス全員を皆殺しにして美術教師・久米の仕業にしようと考えました。雅彦との同性愛の関係を知られた久米が、皆を殺して心中を図ったという筋書きです。

【結】- 悪の教典のあらすじ4

蓮実は携帯で久米に連絡を取るとおびき寄せ、学校に妨害電波を流して学校内の携帯を通話不能にしました。やってきた久米を後ろから殴って気絶させて拘束すると、口に詰め物をして隠します。
その後、クレー射撃で利用する久米の趣味の猟銃を持ち、ドラム好きの3人組を殺した後、さすまたを持って駆け付けた柴原の頭部を撃ちました。
射撃音に驚く生徒に向けて、蓮実は校内放送で「不審者が侵入したから、1階には降りるな。屋上に行って鍵をかけて待て」と指示します。
素直に屋上に行く組と、下に降りて公衆電話から通報しようという組とに分かれました。蓮実は校内を巡回して見つけた生徒は片端から殺していき、途中職員室で殺した生徒を名簿でチェックします。殺し損ねた生徒がいないか確認するためです。
屋上は施錠されており、直前の階段で待機する生徒の前で蓮実はレインコートを着用すると、撃ち始めます。猟銃で間に合わない生徒は、乱雑に階段から落とします。蓮実の頭には『マック・ザ・ナイフ』の曲が流れていました。
1階の公衆電話が使えないと知った生徒・翔が走って外へ逃げ出し、バス停にいたサラリーマンに通報してもらうと、恋人・さとみを救うために学校に戻ります。
そのさとみはロープを伝って階下に降りていました。最後に落ちて足首を痛めたものの着地できたさとみは、校庭で翔と会います。思わず翔が「さとみ!」と叫んだため蓮実の目を引きました。
翔はアーチェリーで蓮実を狙いますが、猟銃には敵いません。さとみも殺されました。
残った生徒をあぶり出すよう、発煙筒と灯油で火をつけた蓮実は、防火シャッターでたてこもった一団のロープを伝ってのぼり、撃ちまくります。
1階職員室で久米を見つけた雅彦は、蓮実が久米の靴を履いているのを見て悟ります。雅彦はカッターを持って立ち向かいますが、首をナイフで刺されて絶命しました。
雄一郎と怜香は逃れ、脱出用避難袋(シューター)を使ってある作戦を立てました。それは遺体に自分たちの制服を着せてシューターから落とし、自分たちが死んだと見せかける方法です。
これが功を奏し、蓮実はシューターに猟銃の弾を撃ち込んで、殺したものと思い込みました。雄一郎と怜香は隠れます。
生徒の数が合致したので、蓮実は「congratulations(おめでとう)」と言って喜びました。あとは筋書きを整えるのみです。
『男子生徒と不適切な関係にあった美術の久米教師が猟銃を持って侵入し、私に暴行を働いて手錠をかけて拘束した。そして校舎内にいた生徒たちと体育教師を射殺したあと自殺』
『一方で、体育教師のセクハラに耐えかねた女子生徒が屋上から投身自殺』
パトカーのサイレンを聞きながら自分で頭を机にぶつける蓮実は、この2つの事件を結び付ける要素はないと確信し、逃れられると思います。
…しかし、雄一郎と怜香の生存者があったことで、蓮実の立場は揺らぎました。理想の教師像の仮面をかぶった蓮実に雄一郎は逆上しますが、保健室のAED(自動体外式除細動器)を見つけて再生します。
雄一郎たちは避難の模擬授業でAEDに録音機能がついているのを知っていました。保健室で殺された生徒・修平たちに対し蓮実が発言した「1発で2人殺るのは難しい」「これは久米先生の仕業だ」という録音が物的証拠となり、蓮実は逮捕されます。
連行される蓮実は怜香の「圭介、生きてるよね」という問いに笑いました。蓮実には、怜香の左目が白く見えます。ちょうど、生き残ったカラスのムニンのように。
蓮実は怜香に「これは全部神の意志なんだ。頭の中に響く声がした。4組の生徒は悪魔にとり憑かれていた」と告げ「オーディンに伝えておいてくれ、ムニン」と呼びかけます。
「完全に狂っている」と言う雄一郎に対し、怜香は「違う、こいつはもう次のゲームを始めているんだ」と答えました。蓮実は怜香に「magnificent(蓮実にとっての最上級の讃美)」と去りながら言います。
同じ頃、屋上で突き落とされた美彌が蘇生していました。
(画面中央に『to be continued』)

みんなの感想

ライターの感想

主演の蓮実 聖司役の伊藤英明の怪演が見どころです、特に、印象的なのは自分がサイコパスで、過去の殺人について感づかれた同僚を、電車で殺す場面です。殺人のシーンというと殺す側も必死にというイメージがありますが、実に軽やかに楽しげに手際良く自殺に見せて殺すところはサイコパス感が良く出て印象的でした。
また、蓮実が口ずさむ「モリタート」は殺人鬼のことを歌った歌詞なのに、あえて明るくてポジティブなメロディーがつけられていて、蓮実の表面的には明るくていい先生だが、実はサイコパスの殺人鬼という二面性を象徴している曲で、蓮実というキャラにピッタリなチョイスです。

ライターの感想

まずこれを。ラストは「to be continued」で締められますが、続編は2015年11月段階では存在しません。
三池崇史監督が、原作やパンフレットで「続編を作りたい」と思うための演出で、原作者である貴志祐介も、機会があれば続編を書きたいと言っています。
原作のほうもかなり綿密に描かれていますが、実写版も詳しい描写によって、「ハスミン」こと蓮実の不気味さが出ています。
この映画のメインで肝となる大量虐殺シーンでは、アップテンポ調の『マック・ザ・ナイフ』が流れ、そのリズムに合わせながら蓮実が生徒を殺していきます。それが淡々と描かれることによって蓮実の非人間性を上手に演出しています。
そうそう、原作者の貴志祐介さんもチョイ役で出ています。妨害電波の職員会議のシーンで蓮実に「期待していますよ」と話しかける人物で、当時出たばかりの新刊本『新世界』が机の上に置かれているのが目印です。

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