「七人の侍」のネタバレあらすじと結末、みんなの感想（1件）

その後、勘兵衛たちは利吉の家に迎え入れられ、野武士たちの襲来に向け作戦を練り始めました。勘兵衛は勝四郎と五郎兵衛を連れて、村の地形の把握に乗り出しました。村の北は裏山となっており、そこから野武士たちが襲ってくるのは間違いありませんでした。そこで、勘兵衛は裏山に野武士たちが集中するよう、村に繋がる他の道への囲いを作るよう百姓たちに指示しました。さらに、勘兵衛は収穫が終わり次第、田んぼに水を流すことを計画、裏山を除く村への侵入経路を徹底的に断とうとしました。

その最中、勝四郎は一人寄り道をして山野の花畑に寝っ転がりました。そのときでした。勝四郎は男装をした若い娘、志乃と出会いました。志乃の父親の万造は娘が野武士に襲われることを恐れ、志乃の長く美しい髪の毛を刈り、無理やり男の格好をさせていました。この出会いをきっかけに、勝四郎と志乃は恋い慕う仲となっていきました。

一方、他の浪人たちは百姓への戦闘訓練や囲い作りを指導していました。菊千代もまた戦闘訓練をしていましたが、その中で百姓の一人が立派な槍を持っていたことに気づきました。菊千代が問いただすと、百姓たちは落ち武者狩りをして得た武具が大量にあることを白状しました。菊千代はそれらの武具を集め、得意げに勘兵衛たちに見せに行きました。ところが、菊千代の予想に反し、勘兵衛たちは百姓たちに殺された侍の無念に思いを寄せ、途端に百姓たちに怒りを覚え始めました。そんな勘兵衛たちに、菊千代はこう言いました。「百姓ってのはな、けちんぼうで、ずるくて、泣き虫で、意地が悪くて、まぬけで、人殺しだあ！おかしくて涙が出らあ！だがな、そんなけだもの作りやがったのは一体誰だ？おめえたちだよ！侍だってんだよ！」…侍たちの戦のためにいかに百姓たちが追い詰められているのか、菊千代は涙ながらに語りました。勘兵衛はこの話を聞いて菊千代が百姓の生まれだと指摘しますが、菊千代は何も語らずその場を去っていきました。

それから時が経ち、村に雨が降りました。他の浪人たちが雨を避けて家の中にこもる中、久蔵は剣の特訓をするために山に向かいました。その最中、久蔵は勝四郎と志乃の密会の場を目撃しました。勝四郎は余った白ご飯を志乃に渡していました。勘兵衛たちに白ご飯を食べさせるため、百姓たちはひえを食べて飢えをしのいでいたのです。しかし、志乃は白ご飯を自分で食べようとはさず、村の老婆に食べさせたいと望みました。事情を理解した久蔵は、勝四郎と志乃との密会を伏せつつ、飢えた老婆がいることを勘兵衛たちにそれとなく教えました。

勘兵衛たちがすぐに白ご飯を持ってその老婆の元に行くと、ひどく痩せこけた老婆がいました。老婆は身寄りをすべて野武士たちに殺され、人生に絶望していました。平八は持ち前の明るさで懸命に老婆を励ましますが、菊千代はうじうじした老婆の様子に苛立ちを爆発させました。その裏で、勝四郎は志乃との密会には触れずに老婆の飢えの問題を解決させ、それでいてまったくおごろうとしない久蔵に尊敬の念を抱いていました。この出来事があってからは、勘兵衛たちは村の子どもたちに白ご飯の握り飯を分け与えるようになりました。

それから間もなく、季節は移ろい、農作物の収穫時期となりました。刈り入れを前にして、勘兵衛たちは村から少し離れた家3軒を引き払うよう百姓たちに頼みました。村の防衛戦略上、離れ家まで守ることは困難だったのです。離れ家に暮らす百姓たちは反発しますが、勘兵衛は刀を抜いて離れ家の百姓たちを威嚇。勘兵衛の迫力に負け、離れ家の百姓たちは黙り込みました。そんな百姓たちに、勘兵衛は戦がいかに非情なものなのかを説明しました。

その後、村総出で刈り入れ作業が始まり、村の中に隠れていた若い女たちが姿を現しました。菊千代は久しぶりに見る若い女たちに大興奮していました。若い女たちが精を出して働く姿を見て、平八は利吉に早く嫁をもらえばいい、と何気なく語り掛けました。すると、利吉は突然黙り込み、刈り入れ作業を放棄してどこかに行ってしまいました。その夜、平八は利吉と見張り番をすることになり、苦しいことがあれば隠すべきではないと語りかけました。それに対して、利吉は「何も言う事はねぇ」と口を噤んでしまうのでした。

同じ頃、勘兵衛と五郎兵衛は夜の見回りに出かけていました。そのとき、二人は勝四郎が「志乃」と寝言を言っていることに気づきました。勝四郎と志乃の恋を知らない勘兵衛と五郎兵衛は、「隅に置けんのう」と言ってただ笑うのでした。