映画:野獣死すべし

「野獣死すべし」のネタバレあらすじと結末

野獣死すべしの紹介:1980年公開の日本映画。大藪春彦の同名小説の実写映画化作品。主演の松田優作は、本作の役作りのために10キロ減量し、上下4本の奥歯を抜いたというエピソードが残されている。

あらすじ動画

野獣死すべしの主な出演者

伊達邦彦(松田優作)、真田徹夫(鹿賀丈史)、華田令子(小林麻美)、原雪絵(根岸季衣)、柏木秀行(室田日出男)、乃木(風間杜夫)、結城(岩城滉一)、東条(阿藤海)、峰原(安岡力也)、黒岩(山西道広)、奥津(トビー門口)、遠藤(佐藤慶)、永友(草薙幸二郎)、岡田(青木義朗)

野獣死すべしのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- 野獣死すべしのあらすじ1

ある雨の夜、警視庁捜査一課の刑事である岡田警部補が、突然現れた男に刺殺され、拳銃を奪われてしまいます。
数日後、男は奪った拳銃で賭博店にいた者を3人射殺し、賭金3千万円を強奪しました。
警部補への奇襲と違法賭博店で発生した強盗殺人事件に、世間は騒然とします。

一連の事件の犯人は、東京大学卒のエリート・伊達邦彦です。
彼は戦場カメラマンとして、過去にベトナムやアンゴラ、レバノンなどで地獄を見てきました。現在は大手通信社を退職して翻訳家となり、クラシック音楽鑑賞を趣味とした、静かな生活を送っていました。

伊達は次の標的を銀行に定めて、下調べを開始します。
その後、伊達はジュエリーショップの店員である永友を強盗犯に見立てて、支店の様子を観察します。
しかし、銀行の防犯体勢が厳重で、あっさりと永友が確保されたことから、伊達は単独での犯行は不可能だと判断するのでした。

伊達はいつものように、お気に入りのレコード店に立ち寄ります。
そこで以前足を運んだコンサートで隣り合わせた女性・華田令子に声をかけられます。彼女はミステリアスな雰囲気の伊達に興味を示しており、2人は顔見知りとなりました。
伊達がレコードを鑑賞していると、今度は刑事の柏木秀行が現れます。彼は岡田警部補の元部下で、一連の事件を捜査中でした。
柏木は些細な目撃情報から、身体的特徴が酷似する伊達を犯人と睨んでいました。執念深く事件を追っている柏木は、それ以来伊達を尾行するようになります。

【承】- 野獣死すべしのあらすじ2

ある日、伊達は大学の同窓会に出席し、レストランのウェイターの真田徹夫と出会います。
真田はウェイターという立場でありながら、エリートである伊達たちを目の敵にして絡みます。
ついには伊達の同級生と言い争いになり、暴力沙汰となります。真田はその様子を無表情で観察していた伊達に、「何見てんだお前!」と睨みをきかせました。
まもなく真田は、レストランを退職します。

伊達は真田を銀行強盗の共犯者にすることを決め、彼の行きつけのバーで接近します。真田は最初伊達に食ってかかりますが、その後不思議と意気投合します。
真田は恋人の原雪絵と一緒に渡米するために、ウェイターとして資金を稼いでいたのだと語ります。しかし、喧嘩っ早い性格のせいでアルバイトが続かず、うだつの上がらない生活から抜け出せずにいました。
伊達は真田の話を黙って聞き、自分を不自由にしている恋人を殺すようにけしかけます。真田は困惑しますが、雪絵に浮気をされていることもあり、その後勢いで彼女の首を絞めます。
ところが、躊躇して未遂に終わるのでした。

真田に可能性を感じた伊達は、それ以来行動を共にするようになります。
ある日、銃の密売人と取引をした伊達は、白昼堂々街中で誰にも気づかれることなく、密売人を銃殺しました。
一部始終を見せつけられた真田は、伊達に脅えながらも銀行強盗計画に加わるのでした。

伊達はいつものようにコンサートホールでクラシックを聴き、帰宅しようとすると華田に声をかけられます。
2人はタクシーに乗り、自宅に着いた伊達が降りようとすると、華田が手を握ります。伊達は思わせぶりな表情で見つめる華田に反応を示さず、タクシーを出発させるのでした。

【転】- 野獣死すべしのあらすじ3

伊達は賭博店で盗んだ金を使って、伊豆の海辺の別荘を借ります。
そこで真田の射撃練習を開始し、銀行強盗計画の準備を進めていくのでした。伊達の指導によって真田の腕は着実に上がっていきますが、本番では動く標的(人間)を撃たなければいけません。
そこで伊達は訓練の総仕上げとして、真田に雪絵の殺害を強要します。

伊達は真田と雪絵を別荘に残して、離れた場所から監視します。
伊達の言葉に追い詰められた真田は、何度も銃を握り直しますが、ついに目の前で情熱的に踊り狂う雪絵に引き金を引きました。
雪絵を射殺して意気消沈する真田でしたが、伊達は大喜びして「今の君は神を超越するほど美しい」と称えます。
そして倫理感や社会性を捨て去って、野獣として生きていく術を彼に説くのでした。真田の心は、完全に伊達に支配されてしまいます。

そして銀行襲撃の当日、伊達は華田が銀行に入っていくのを見かけます。
一瞬動揺する伊達でしたが、変装用のマスクを装着して、予定通り真田と銀行に乗り込みます。
2人は銀行員や警備員を次々と射殺して、地下金庫から大金を強奪します。計画は順調に進んでいましたが、華田は伊達の正体に気づいていました。
華田の視線に気づいた伊達は、マスクを外してゆっくりと振り向きます。華田が切なそうに伊達の名を呼ぶと、顔色一つ変えずに彼女に向かって銃弾を送り込むのでした。

その後、伊達と真田は捜査の裏をかいて、車ではなく電車を乗り継いで逃走を図ります。
警察の追跡を巧みに突破したかに思えましたが、そこへ伊達を追い回す柏木がやってきます。
柏木は伊達の向かいの席に座り、他愛ない話をしますが、無人となった深夜の車内で流れてきたラジオの情報に耳をそばだてます。銀行襲撃時に殺害されたただ一人の客が、華田であることがわかったのです。
伊達を犯人と断定した柏木は銃口を向けて、尋問を始めます。ところが、柏木の背後から真田が現れ、柏木はあっさりと銃を奪われてしまうのでした。

柏木は伊達のロシアンルーレットの標的となり、アメリカの短編小説の「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話を聞かされます。
美味しい酒に酔っ払って眠ってしまった男が、目覚めたときには何十年も経過しており、妻が他界していたという話です。
柏木は作中に出てくるのは何の酒かと尋ねます。伊達はラムとコアントロー、レモンジュースをシェイクしたものだと答えます。そして、「これで終わりって酒だ」と告げると、柏木に引き金を引きました。
しかし、弾は出ず、伊達は柏木の運の良さを笑います。柏木は顔中に冷や汗をかいて、脱力するのでした。

【結】- 野獣死すべしのあらすじ4

その後、柏木はスキを見て逃げ出そうとしますが、伊達はすかさず彼の背中に弾丸を撃ち込みます。
見かねた真田が伊達を制止しますが、それを振り払って倒れた柏木を容赦なく蹴り続けるのでした。
戦地の幻覚を見ている伊達は、車内で戦闘服に着替えて機関銃を抱えます。駆けつけた乗務員を瞬殺し、戦地の軍人のような口調で真田に命令を下します。
伊達と真田は柏木を残して、電車の窓を破って脱走します。

やがて辿り着いた廃墟では、男女が情事に耽っていました。
伊達は真田に彼らを殺すように命じます。真田は彼らに近づき、男に発砲して殴りかかります。伊達の狂気を目の当たりにして理性を失った真田は、残された女を強姦するのでした。
それを見ていた伊達は戦場での体験を思い出し、カメラを取り出して夢中でシャッターを切ります。伊達は戦地で命の危険にさらされ、初めて人を殺したときに快感を覚えたと告白します。
恍惚の表情で悲惨な体験を語り続ける伊達でしたが、女の死体に向かって一心不乱に腰を振り続ける真田を見て、戦地で年端もいかない少女が犯されていた記憶がフラッシュバックします。
憤った伊達は、唐突に真田を撃ち殺しました。そして天を指差し、闇の中へと消えていくのでした。

伊達は無人のコンサートホールで目を覚まします。
そして、「あっ」と奇声を発しながら、会場を後にします。
伊達が外に出て階段を降りていると、突然腹を押さえてその場に倒れ込みます。陽炎の中に柏木の姿が揺れて、さらに伊達が背中を撃たれて体を反り返らせて崩れる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

正直、意味不明なところも多かったのですが、松田優作の異様な存在感を堪能したい方におすすめしたい作品です。おそらく戦場での凄惨な体験によって変わり果ててしまった伊達の狂気が、これでもかというほど描かれています。特に中盤からラストにかけての彼の暴走は、目が離せなくなるほど強烈でした。ラストシーンは抽象的に表現されており、一連の殺人がコンサートホールでクラシックを聴いている間の夢という解釈も可能です。観る人が自由に想像を膨らませることができるのではないでしょうか。

映画の感想を投稿する

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください