「Mr.ノーバディ」のネタバレあらすじと結末、みんなの感想（1件）

画像引用元：YouTube / Mr.ノーバディトレーラー映像

顔に無数のケガを作った男性ハッチ・マンセルは、おもむろにタバコを吸い始めます。両手には手錠がかかっています。咥えタバコで取り出したネコ缶を缶切りで開けると、ふところからシャムの子猫を取り出しました。ハッチは子猫に餌をやっていましたが、その向かい側には男女の警察官が座っています。ここは警察署の一室で、ハッチは事情聴取を受けている最中なのでした。

向かい側にすわっていた女性警官が、呆れながら「あなた、何者？」と質問をします。「俺は…」と答えかけたハッチの前に、大きな文字で「NOBODY（ノーバディ　誰でもない、という意味）」が出ます。

〔NOBODY（ノーバディ）〕

ハッチは冴えない中年男性です。妻・ベッカと、10代半ばの息子・ブレイク、まだ幼い娘・アビーとの4人暮らしです。ハッチは、ベッカの父親が社長として経営する工場で、会計士の仕事をしています。そこには義弟・チャーリーも勤務していました。妻のベッカも働いています。

ハッチはいつも同じ生活を繰り返しています。朝食を作るのはハッチの役割です。火曜はゴミの日ですが、いつも収集車が去ってからゴミのことを思い出していました。出勤してタイムカードを押し、決まった仕事をして帰宅して家事をし…寝て起きて同じことを繰り返します。ゴミ出しを忘れたことを妻のベッカに呆れられても、ハッチは怒りません。ベッカが用意した朝食を食べずに出勤していっても、ハッチは怒りをおさえます。

いつもお決まりの生活を送っていたハッチですが、ある夜、事件が起きます。夜中に目覚めたハッチが階下におりると、銃を持つ侵入者と出くわしたのです。ハッチはゴルフクラブを持って近寄りましたが、侵入者にバレました。侵入者は男女の強盗です。彼らはハッチの腕時計を寄越せと言います。

強盗犯も行き当たりばったりでした。無計画に忍び込んでおり、ハッチの家に小銭しかないと知るとがっかりします。今日びはキャッシュレスの時代で、現金を持っていない可能性に思い至ってなかったのです。

ハッチは…実は犯人の片方が女性だということと、持っている銃に弾が入っていないことを見抜いていました。なので事件にせず穏便に済ませたいと思っています。しかし息子のブレイクが強盗に気づき、飛びかかりました。ブレイクは強盗に顔を殴られます。

強盗犯はハッチの時計と小銭入れの中の小銭を持って、逃亡しました。ハッチは強盗と戦わずに済んだことを、安堵しています。しかし家族はそう思っていませんでした。妻のベッカも息子のブレイクも、強盗犯に向かわなかったハッチのことを「ヘタレ」と思っていました。警察官の若い男性すら、状況を聞くと「もし自分だったら…（家族を守るために戦う）」と、へっと笑ったのです。

戦わずに解決したハッチを讃えるどころか、妻子も警察官もハッチを軽蔑しているのでした。ただひとり、下の娘のアビーだけがハッチを慕っています。

軽蔑した妻子の目を思い出してムカムカするハッチは、眠れずに階下のソファへ移動して横になります。そこへアビーがやってくると、父に添い寝してくれました。「猫を飼おう」というアビーの声に、ハッチも「いいね。パパも考えてた」と甘い態度になります。

翌朝、またハッチはゴミを出すのを忘れました。

息子のブレイクが、学校の宿題のことを話題にします。ハッチが詳しく聞こうと話を振りますが、ブレイクは無視して母・ベッカにしか話しません。宿題は、従軍兵士に話を聞いてレポートにまとめろというものでした。ブレイクは父を最初から当てにしておらず、ベッカも親戚の誰かに従軍経験があるだろうから、その人たちに聞けと言います。

次のページで起承転結の「承」を見る

次のページへ