映画:ディリリとパリの時間旅行

「ディリリとパリの時間旅行」のネタバレあらすじと結末

ディリリとパリの時間旅行の紹介:2019年公開のフランス・ドイツ・ベルギー合作映画。第44回セザール賞アニメーション映画賞受賞作品。脚本・監督は「キリクと魔女」などで知られるミッシェル・オスロ。新海誠の実娘である新津ちせと斎藤工が日本語吹き替えを担当したことでも話題になっている。

あらすじ動画

ディリリとパリの時間旅行の主な出演者

ディリリ(プリュネル・シャルル=アンブロン)、オレル(エンゾ・ラツィト)、エマ・カルヴェ(ナタリー・デセイ)

ディリリとパリの時間旅行のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- ディリリとパリの時間旅行のあらすじ1

ディリリとパリの時間旅行のシーン1 舞台はベル・エポックと呼ばれる、19世紀後半から20世紀初頭のパリ。
資本主義によって女性の社会進出などの社会的な変化がもたらされ、さまざまな芸術も花開いた輝かしい時代です。

半裸で生活する原住民の一家が、料理を作ったり楽器を奏でたりする姿が映し出されます。
彼らはパリ万国博覧会の人間動物園「カナック村」に出演中の人々で、着飾った紳士淑女の前で原住民の生活を再現していたのです。
その中にいたのが、ニューカレドニアからやってきた少女ディリリです。カナック村を見ていたハンサムな配達人の青年オレルは、ディリリに声をかけて会う約束をしました。

仕事が終わると、ディリリは真っ白なワンピースに着替えてオレルと落ち合いました。
先ほどまで現地の言語を話していたディリリでしたが、とても流暢なフランス語で丁寧に自己紹介をします。そしてオレルがくれたポテトを頬張りながら、フランスまでやってきた経緯を語ります。

広い世界が見たかったディリリは、ニューカレドニアからこっそり船に乗り込みますが、捕まってしまいます。
しかし、船の中で知り合った無政府主義者のルイーズ・ミシェルに助けられ、彼女の助けを得てパリまでやってきたのです。現在はミシェル夫人の家に身を寄せて、昼間は万国博覧会でアルバイトをしていました。
また、ディリリはカナック族とフランス人のハーフで、どちらにも属せないことに悩んでいました。
ニューカレドニアにいた頃は周りの人々よりも肌の色が明るいことで良く思われず、居場所を求めて出てきたのです。ところがフランスにきても、今度は色が黒いと言って好奇の目にさらされていました。
ディリリは「両方でいたいの、ほっといてほしいわ」と本音を漏らします。

優れた観察眼を持つディリリはオレルの人柄を見抜き、2人は友達になります。
ディリリは得意の縄跳びを披露してから、オレルの仕事用の三輪車のカゴに乗って、パリの街を案内してもらうことになりました。
「私はずっと人に見られていたのよ。今度は私がパリを見る番!」と意気揚々と出発するのでした。

オレルはパリを自分の庭と称して、ディリリを数々の美しい名所に連れて行きます。
しかし、どこへ行っても「男性支配団」と名乗る犯罪組織のうわさで持ちきりでした。彼らは連続少女誘拐事件の犯人で、窃盗や強盗などもおこなっていましたが、誰一人としてその実態を知りませんでした。
幼い少女が次々と誘拐されていることを知ったディリリは、さっそく彼女たちの救出に乗り出します。

道中、ディリリも男性支配団の一味に目をつけられて、誘拐されそうになります。
オレルが助けに入りどうにか逃げられて、彼らが牛のような鼻輪をつけていることがわかりました。

その後、オレルは物理学者・科学者のマリ・キュリーの娘のエーヴを学校に迎えに行きます。
キュリー夫人の茶会に招かれたディリリは、男性支配団の正体を突き止めるべく、頭脳明晰な彼女に次々と質問を投げかけました。
残念ながら、キュリー夫人もくわしいことはわかりませんでした。

ディリリはパリで出会ったたくさんの人の名前を忘れないように、逐一メモに書き留めていました。

【承】- ディリリとパリの時間旅行のあらすじ2

ディリリとパリの時間旅行のシーン2 ディリリたちは、画家のパブロ・ピカソやアンリ・ルソー、フリーダ・カーロ、コンスタンティン・ブランクーシなどが集まる「洗濯船」というアトリエにやってきました。
そこでピカソが「悪魔の風車」という場所に、男性支配団のアジトがあるらしいと情報を提供します。
ディリリの肌の色を個性としてほめる画家たちは、こぞって絵のモデルになってほしいと頼みます。しかし、ディリリは「少女の救出が先」と申し出を丁重に断って、オレルと共にモンマルトルの丘の上へと向かうのでした。

丘へ向かう途中、貧民街に足を踏み入れたディリリは、キレイな洋服を着ているせいで男性の浮浪者に恐喝されます。
難を逃れたディリリは、怖い思いをしながらも「いつか貧しい人の役に立ちたい」と呟くのでした。

目的地まで辿り着いたディリリは、果敢にも一人でアジトに乗り込みますが、そこに待ち受けていたのは狂犬病の犬でした。
犬に襲われそうになったディリリをオレルは身を挺して守り、足を噛まれて感染しまいます。
ディリリはオレルを三輪車に乗せて、彼の命を救うべく細菌学者のルイ・パスツールの研究所へ向かいました。オレルが「狂犬病だ」と叫びながら、モンマルトルの丘から猛スピードで下っていき、研究所の扉を突き破って到着します。
手遅れにならないうちにパスツール医師の治療を受けられて、オレルは一命を取り留めました。

怪我から回復したオレルは、ディリリをオペラ座へ連れて行き、稀代のオペラ歌手であるエマ・カルヴェに会わせることにします。
エマの運転手をしている中年男性のルブフは、ディリリたちに対して無愛想で横柄な態度をとります。さらに、ディリリに向かって人種差別的な発言をしますが、彼女も負けずに「あなたの顔は豚みたい」と言い返すのでした。

エマは地下でクロード・ドビュッシーと新作オペラのリハーサルをしていました。
「お会いできてうれしいです」と礼儀正しく挨拶をするディリリを、エマはすぐに気に入ります。
地下の湖には下水道への隠し扉があり、エマの白鳥の乗り物で移動中、オレルは先ほどのルブフの失礼な発言を蒸し返します。
それを聞いたエマは、ディリリをなぐさめて抱きしめようとしますが、彼女は抱擁の意味を知りませんでした。エマに抱きしめられたディリリは、そのぬくもりに感激します。
途中、遠くで黒い魚のような不気味な乗り物が移動するのを見つけました。

池の畔にやってきたディリリたちは、クロード・モネとピエール=オーギュスト・ルノワールに出会います。
モネとルノワールは並んで絵を描いており、エマは「モネは色彩にしか興味がなくて、ルノワールは幸福だけを見ている」と言いました。
ディリリたちは、2人から「ムーラン・ルージュ」へ行くよう勧められます。うわさによると、そこに男性支配団の一味が出入りしているというのです。

ムーラン・ルージュに楽屋から潜入したディリリたちは、女流作家のシドニー=ガブリエル・コレットと遭遇します。
コレットはこれまで夫名義で作品を発表させられていたことに対する不満を述べて、「今度は自分の名前で書く」と語るのでした。

カンカンの踊り子を見ていると、画家のアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックが、その様子をスケッチし始めました。
ロートレックはディリリに一枚紙をくれて、一緒にスケッチをします。
すると、踊り子を見にきたわけではなさそうな、鼻輪をつけた怪しい男性を発見します。仲間らしき別の男性も合流し、ディリリは小さな身体を生かしてテーブルの下へ潜って、2人の会話に耳を傾けることにします。
彼らは「30分後にアイリッシュ・アメリカン・バーへ」と言葉を交わし、バーを出て行きました。

ディリリたちは、さっそくアイリッシュ・アメリカン・バーに向かいます。
ロートレックは憎まれ口ばかり叩く画家のエドガー・ドガに絵をほめられて、上機嫌になっていました。
バーでは作曲家のエリック・サティが優雅にピアノを弾いており、しばらくすると先ほどの一味が入ってきました。
再びディリリが植木鉢に隠れて聞き耳を立てます。そこで男性支配団がロワイヤル通りの宝石店を襲撃する計画を立てていることが発覚します。

バーからの帰り道、ロートレックはディリリに誘われて、一緒に三輪車に乗ります。
3人は夜のパリを爆走して、ロートレックは誰よりも大はしゃぎするのでした。

【転】- ディリリとパリの時間旅行のあらすじ3

ディリリとパリの時間旅行のシーン3 さらにディリリは、男性支配団の会話から「サラ・ベルナール」「秘密兵器」「地獄の門」というキーワードも盗み聞きしていました。
大女優であるサラについて知るために、作家のマルセル・プルーストを訪ねます。そこで男性支配団がサラを狙っていることが判明するのでした。

続いてディリリたちは、「地獄の門」の作者である彫刻家のオーギュスト・ロダンに会いに行きます。
アトリエには数多くの作品が置かれており、ディリリが一番気に入ったと指差した作品は、ロダンの弟子で恋人でもあったカミーユ・クロデールのものでした。

ディリリたちは男性支配団の計画について警察に届けますが、何故かてんで相手にされませんでした。
仕方がないので自ら彼らを捕まえるべく、ディリリとオレルは宝石店の前で待ち伏せします。
男性支配団の一味は馬車に乗って現れ、一人が店の中へ入り、もう一人は店の前で待機します。ディリリがアクロバティックな縄跳びで一味の関心を引いている間に、オレルが馬車のロープを切ることに成功します。
そして、ディリリは店から出てきた一味の足を縄跳びで拘束し、辺りに宝石が散らばります。馬だけ逃げて犯人たちは取り残され、駆けつけた警官に逮捕されるのでした。

警察はディリリたちが強盗を捕まえたことを信じようとしませんでした。
しかし、そこへ紳士がやってきて、ディリリの勇気ある行動を褒め称えます。
紳士はのちのイギリス国王となるエドワード7世でした。彼は「多様な人々が互いを理解して助け合うことを望む」とディリリに言いました。

新聞には「男性支配団初めての失敗」と大々的に書き立てられ、ディリリの顔写真も一面に掲載されました。
人々はディリリの存在に大騒ぎし、当人はオペラ座のテラスからその様子を見て笑い声を上げます。
ディリリは事件解決によって有名人になったと同時に、男性支配団のターゲットとなってしまいました。
エマはディリリを守るため、ルブフに馬車でミシェル夫人の家まで送り届けるように頼みます。
そこへ現れたのが、ディリリを誘拐しようとした男性支配団の一味です。
彼はルブフに「何故女の命令に従っている?」と語りかけ、女性に自分の世話をさせるべきだと持論を展開します。そしてディリリを連れてきたら男性支配団の団員になれると言うと、彼は去って行きました。
ディリリが気に入らないルブフは、敵の巧みな話術に乗せられて、なんと引き受けることにしたのです。
男性支配団と入れ替わりにディリリたちが現れました。ディリリはルブフの馬車に乗り、どこか不安そうにオレルとエマに別れを告げるのでした。

その後、ルブフは何も知らないディリリを指示された場所へ連れて行きます。
男性支配団は、別の少女を連れてきたら今度は鼻輪がつけられると言いました。

中々戻ってこないルブフを心配するエマの元へ、ディリリがミシェル夫人の家に帰っていないと、血相を変えたオレルがやってきました。
するとルブフが何食わぬ顔で帰宅し、2人にディリリを男性支配団に引き渡したことを告白したのです。

あれからルブフは、地下道にある男性支配団のアジトに連れて行かれました。
司祭のように君臨しているボスから、ルブフは「君が今腰かけているのは女だ」と告げられます。
すると椅子だと思って座っていた黒い布の隙間から、少女の目がうらめしげに覗いたのです。ルブフはぎょっとして少女から立ち上がりますが、ボスは「我々は四つ足と呼んでいる」と平然と話を続けます。
誘拐された少女たちは、皆黒い布を被り四つん這いにさせられて、団員たちの動く乗り物として使われていたのです。
なぜ少女を誘拐するのかとルブフが尋ねると、ボスは女性の社会進出に対する不満を述べます。男性支配団は女性が開くサロンなどを毛嫌いしており、かつては成人した女性も誘拐していたものの、柔軟性がなかったと吐き捨てるように言います。
そこで少女の時期から「四つ足」としての生き方を教育しているのだと言うのです。
ボスの話を聞いたルブフは我に返り、男性支配団の悪行に激しい憤りを覚えるのでした。

ディリリと少女たちを救うため、オレル、エマ、ルブフの3人は下水道に船を漕ぎ入れます。
下水には紙の切れ端がいくつも浮かんでおり、それにはディリリが出会った人々の名前が書かれていました。オレルはディリリがこの近くに捕われていると確信し、先を急ぎます。
しかし、進路には鉄の柵があり、これ以上進むことができませんでした。
オレルが不自然なレンガの壁を剥がしてみると、中には誘拐された大勢の少女たちが、四つ足歩行の訓練をさせられていました。そしてディリリも他の少女たちと一緒に、四つん這いになって訓練を受けていたのです。
手袋をなくしたディリリが立ち上がって探そうとすると、支配団の仲間らしき中年女性が怒鳴りつけます。
ディリリは覚悟を決めて、下水に飛び込んで逃げ出します。女性は「どうせ出られない」と言い放ち、ほかの少女たちは誰も後を追おうとしませんでした。

ディリリは出口まで泳ぎ続けますが、柵の前に辿り着いてがっくりとうなだれます。
そこへオレルたちがやってきて、柵の隙間からディリリを救出しました。
ルブフはディリリに謝罪して、強く抱きしめます。ディリリは「こんなに汚れているのに何で抱きしめられるの?」と言って号泣し、オレルとエマもディリリを抱きしめて「汚れているなら洗えばいい」と言葉をかけるのでした。

【結】- ディリリとパリの時間旅行のあらすじ4

ディリリとパリの時間旅行のシーン2 エマにお風呂に入れてもらったディリリは元気を取り戻して、捕まっていた場所を特定できないか考えます。
煙突から空が見えたことを思い出し、エマは飛行船を使って探すことを提案します。
さっそく発明家のアルベルト・サントス=デュモンの元へ行きますが、「一人を乗せるのがせいぜい」と言われてしまいました。
ディリリたちは全員でペダルを漕ぐと訴え、デュモン伯爵は大勢の人間を乗せるなら大きな布地もいるも答えるのでした。

それからディリリたちはエッフェル塔へ行き、ギュスターヴ・エッフェルに協力を仰ぎます。
交友関係の広いエマはドイツにも電話をかけて、フェルディナント・フォン・ツェッペリンに支援を要請しました。
煙突に特徴はなかったかと聞かれたディリリは、ヘビの風向計がついていたと答えます。その情報から少女たちが捕まっているのは、19区の北の工場地帯だと予想されました。

その後、宝石強盗で逮捕された男性支配団の一味が脱走したというニュースが入ります。
警察に不信感を抱いたディリリたちは、オレルが住んでいるアパートの屋根の上から、警視総監の部屋を覗きました。
そこで目にしたのは、四つ足として椅子にされている女性たちでした。警視総監も男性支配団の一味だったのです。

サラやキュリー夫人たちが集まって、作戦会議が始まります。
大人たちの話についていけなくなったディリリは、サラのペットのチーターの背中に乗って、ゆるやかに散歩をします。
きらびやかな邸宅をさまよっていると、アンリ・ルソーが描く美しい森のような部屋に辿り着きました。

いよいよ少女たちの救出へ向かう際、ディリリは動きやすい服装に着替えます。
するといつにも増してめかしこんだエマが「救出に行くときも服装は大事」と言って、デザイナーのポール・ポワレを呼びつけます。
ディリリは腰に金色のリボンを巻いて、オシャレな羽飾りをつけてもらうのでした。

完成した飛行船は豪華な電飾に彩られ、花びらが舞う仕掛けも搭載されていました。
その夜、デュモン伯爵の運転のもと出発し、ヘビの風向計がついた煙突を見つけます。
ディリリとオレルとルブフは、縄はしごで建物の中に侵入し、まずは眠っていた一味の女性を拘束します。ディリリは自由になっても四つ足で歩こうとする少女たちに、「自分で立って歩くのよ」と促しました。
それから一人ずつ縄はしごを登らせて、飛行船に乗せていきます。エマは救出された少女たちに「お星さま」などとロマンティックな言葉をかけてやるのでした。
そこへ騒ぎに気づいた男性支配団の連中が駆けつけます。オレルがなんとか彼らを撃退して、最後の一人まで無事に乗り込むことができました。

少女たちは意気揚々とペダルを漕ぎ、エマが歓喜の歌をうたいます。
エッフェル塔の下には少女たちの家族が迎えに来ていました。エマが歌い終えると、飛行船を降りた少女たちは家族と再会を果たします。
家族のいないディリリは、その光景を寂しそうに眺めていました。すると、少女たちがしきりに「ディリリが助けてくれた」と家族に伝えます。
ディリリが「私一人の力じゃない」と呟くと、オレル、エマ、ルブフが近づいてきます。「あなたには私たちがいる」と言って、彼らは大好きなディリリを抱きしめるのでした。
ディリリは「人生にとても満足するときもあるけれど、まだ始まったばかり」と言いました。

エンドロールでは、男性支配団が壊滅して捕らわれていた女性たちも全員解放されたこと、ルブフと男性支配団の一味のあの女性が結婚したことが語られました。
皆で「太陽と雨」と歌って踊る場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

現代にも残っている人種や性差別などをテーマとしているのに、観終わった後幸福感に包まれました。主人公ディリリは聡明で自立心が強く、女の子というよりも小さなレディのようです。寂しい思いをしたり怖い目に遭っても、いつも自分の意思を大切にして、強く生きる姿に心打たれました。本作の見どころはたくさんありますが、なかでもルブフの成長が印象的でした。頭の固い市井の労働者である彼が、男性支配団の愚行に気づいて少女たちを救い出す姿を見て、映画を観ている自分も動くことで世の中を変えられるのかもしれない、と希望が持てました。独特で美しい映像を堪能できることはもちろん、有名人がこれでもかと出てくるので、それだけでも楽しめます。実在する登場人物についてもう少し勉強してから、観直したいと思いました。

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