「帰ってきたヒトラー」のネタバレあらすじと結末の感想

帰ってきたヒトラーの紹介:2015年製作のドイツ映画で、同国の作家ティムール・ヴェルメシュによる同名の風刺小説を映画化したブラックコメディ。2014年、死んだはずのヒトラーが現代に蘇り、70年前と同じようにドイツ国民の心を鷲掴みにしていく。

予告動画

帰ってきたヒトラーの主な出演者

アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)、ファビアン・ザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)、クリストフ・ゼンゼンブリンク(クリストフ・マリア・ヘルプスト)、カッチャ・ベリーニ(カッチャ・リーマン)、フランツィスカ・クレマイヤー(フランツィスカ・ヴルフ)、キオスクの主人(ラース・ルドルフ)

帰ってきたヒトラーのネタバレあらすじ

【起】- 帰ってきたヒトラーのあらすじ1

2014年、ドイツの首都ベルリン。ある公園の奥深くで煙が立ち込める中、一人の男が目覚めました。男の名はアドルフ・ヒトラー。かつて世界を混乱に陥れたナチス・ドイツの総統が、現代にタイムスリップしてきたのです。戦争時代で記憶が停止しているヒトラーは、自分が置かれた状況が飲み込めずにいました。側近の姿もなければ敵機の姿も見当たらないのです。公園で遊ぶ少年たちには不審者扱いされ、街に繰り出せば道化者扱いされる始末。総統を前にしてまったく敬う様子を見せない人々の姿に苛立ちを感じ始めていたヒトラーは、その後立ち寄ったキオスクで驚くべきものを目にします。新聞の日付が2014年だったのです。ヒトラーはショックのあまりその場で気絶してしまいました。

次に目覚めたとき、ヒトラーはキオスクの物置にいました。人の良いキオスクの主人が介抱してくれたのです。主人はヒトラーを物真似芸人と勘違いし、いろいろと世話を焼くようになります。ヒトラーも当初はこの状況が陰謀によるものではないかと警戒していたものの、やがてすべて主人の善意によるものと納得するのでした。

そんなある日、ヒトラー激似の男がいると聞きつけてザヴァツキという番組制作者がキオスクに現れました。最初は小馬鹿にした様子で話していたザヴァツキでしたが、たちまちヒトラーの弁論の迫力に圧倒されてしまいました。ザヴァツキはこの完成度の高いヒトラーの物真似芸人を特集した番組をただちに企画します。つい先日テレビ局を解雇されたばかりのザヴァツキにとって、ヒトラーは絶好の起死回生のチャンスだったのです。

早速ザヴァツキはヒトラーとともにドイツ各地を回り、人々の本音を聞く旅に出ました。ヒトラーはスーツに着替え、アポなしのインタビューを次々と敢行し、人々の様々な悩みを引き出していきます。移民の大量受け入れによって多くの問題が起きていること、しかし悪しき過去を清算するために国際社会の要望を受け入れざるをえないこと…撮影は思いの外好調でしたが、その途上でヒトラーが車のランプを誤って破壊してしまいました。自費で番組制作をしているザヴァツキは思わぬ出費が出ることに腹を立てましたが、ヒトラーはあくまでも冷静でした。ヒトラーは街に繰り出し、路上で似顔絵スケッチの商売を突然始めたのです。美術学校を卒業している割には画力があまり高くなかったものの、ヒトラーの物真似芸人による似顔絵という物珍しさに人々は集まり、ヒトラーはあっという間に修理費用を稼いでしまいました。こうして二人は旅を再開し人々へのインタビューを行いますが、その間にヒトラーの物真似芸人の名はSNSで話題を呼び、カルト的な人気を獲得していきました。

【承】- 帰ってきたヒトラーのあらすじ2

旅を終えたヒトラーとザヴァツキは企画を売り込むべくテレビ局へ向かいました。しかし、そこで待ち構えていたのは、ザヴァツキを解雇した副局長ゼンゼンブリンクでした。ザヴァツキが必死に説得を試みる横で、ヒトラーはテレビ局の会議に乱入。そして、やり手の女性局長ベリーニら幹部たちを前に得意の演説を披露し、たちまち会議を乗っ取ってしまいます。この企画に既存の番組にはなかった新鮮味を感じたベリーニは、企画採用を即決。こうしてヒトラーのテレビ進出の場が整えられましたが、ゼンゼンブリンクはこの企画を妨害しようと画策していました。それによって、自分の出世の邪魔になっているベリーニを排除したいと思っていたのです。早速、ゼンゼンブリンクはヒトラーが出演する予定のバラエティ番組に根回しし、きわどいテーマを取り上げるよう圧力をかけるのでした。

ヒトラーが初出演する番組は、司会者が痛烈な政治ジョークで笑いを取る生放送のバラエティでした。台本はあらかじめ決められていましたが、ヒトラーは登場するなり観客の前で黙り込んでしまいます。テレビ局のスタッフはヒトラーの沈黙に焦り始めますが、ヒトラーにとって観客の注意をひきつける一つの作戦でした。長い沈黙の後、ヒトラーはようやく口を開きました。ヒトラーは苦しい時代における娯楽の必要性に理解を示しながらも、低能なテレビ番組を垂れ流す業界に苦言を呈しました。

「この国は何だ?子供の貧困、老人の貧困、失業、過去最低の出生率。無理もない、誰がこの国で子供を産む?我々は奈落へまっしぐら。だがその奈落を我々は知らない。テレビは奈落を映さず、料理番組しか流さない。私はテレビと戦う。我々が奈落を知り、克服するようになるまで」

観客、視聴者、そしてベリーニを始めとするテレビ局スタッフは、この数分間でヒトラーの圧倒的な迫力に魅了されてしまいました。この番組をきっかけに、ヒトラーの人気は鰻上りに上昇。実際に人々の声を聞き歩いてきたヒトラーの言葉には強い説得力があったのです。

【転】- 帰ってきたヒトラーのあらすじ3

ヒトラーはその後も好評を獲得し続け、ゼンゼンブリンクの思惑に反してベリーニの評価も上がっていきました。しかし、ベリーニも不安を感じていました。いくら調査しても、ヒトラーの物真似芸人と思われる男の正体がつかめなかったのです。本人に確認しても、ヒトラーはありのままの総統としての経歴を話すばかり。ベリーニは不安を抱えたままヒトラーのテレビ企画を進めますが、そんなある日大きな問題が起きてしまいます。ザヴァツキと初めて取材の旅に出たときに、ヒトラーが自分になつかない犬を所持していた拳銃で殺した映像が流出してしまったのです。映像をリークしたのはゼンゼンブリンクで、この一件でヒトラーの人気は急落、ベリーニは責任を取りテレビ局を退職する事態にまで発展してしまいます。

しかし、これで引き下がるヒトラーではありませんでした。ヒトラーは世間から身を隠す間、一冊の本を書き上げます。本のタイトルは「帰ってきたヒトラー」。自らの日記を本にまとめたこの本はたちまちベストセラーを記録し、その一方で、ベリーニの後任として局長に就任したゼンゼンブリンクは手掛ける番組で次々と低視聴率を記録していました。いまやヒトラーなしに高視聴率を稼ぐことは不可能となっていたのです。

本の大ヒットを受けて、ヒトラー本人の主演で映画化が決定します。監督を務めるザヴァツキは念願の映画監督デビューに心を躍らせていました。ところが、撮影が順調に進む中、ザヴァツキはある疑念をヒトラーに抱き始めます。それは、この目の前にいる物真似芸人は本物のヒトラーなのではないか?という疑いでした。そのきっかけとなったのは、ザヴァツキの恋人でヒトラーの秘書を務めるクレマイヤーの家をヒトラーとともに訪れたときのことでした。クレマイヤーの祖母がヒトラーの顔を見て突然取り乱したのです。「あんたが私の家族をガス室で殺したんだ」。ザヴァツキやクレマイヤーが落ち着かせようとしても、祖母はさらに続けてこう言いました。「昔と同じだね。同じことを言っている。みんな最初は笑ってた。だまされないよ」。ザヴァツキは祖母が見せた怒りの表情に強い衝撃を受け、さらにその帰り道にヒトラーが発した言葉に驚きを隠せずにいました。「クレマイヤー嬢がユダヤ人とは」。ユダヤ人を侮辱する言葉を続けるヒトラーに、ザヴァツキはいよいよ疑念を深めていきました。

【結】- 帰ってきたヒトラーのあらすじ4

ザヴァツキの疑念はすぐに確信へと変わりました。ヒトラーが公園で目覚めた場所を調査すると、そこが総統地下壕跡であることが判明したのです。ヒトラーは現代にタイムスリップしたに違いない、ザヴァツキはこの恐ろしい現実を人々に知らせる術を模索しますが、ヒトラーの人気が絶頂にある今、状況を打開する手段は一つしかありませんでした。

ザヴァツキは撮影スタジオにいたヒトラーに銃をつきつけ、屋上へと追い詰めて行きました。しかし、ヒトラーに銃を恐れる様子はありません。ザヴァツキに怪物呼ばわりされても、「怪物を選んだ者を責めるんだな」と冷静に返答するヒトラー。「彼らの本質は私と同じだ」と語るヒトラーの不気味な迫力に耐えきれず、ザヴァツキは発砲してしまいます。頬に銃弾を受けたヒトラーはそのまま屋上から落下していきましたが、次の瞬間にはザヴァツキの後方にヒトラーが立っていました。「私から逃れられん。私は人々の一部なのだ。よいこともあった」。

そこで「カット」の声がかかりました。ザヴァツキと思われていたのはシリコン製のマスクをつけた俳優で、映画のワンシーンの撮影だったのです。この撮影で映画のすべての撮影が終了し、クランクアップの祝賀会がただちに催されました。その場で「この場に来られなかった戦友のことも偲びたい」と語るヒトラー。それと同じ頃、ヒトラーが戦友と語ったザヴァツキは精神異常者として体の自由を奪われ真っ白な部屋に隔離されていました。邪魔な存在となる前にヒトラーに処分されていたのです。

その後、ヒトラーはベリーニとともに高級オープンカーに乗り、ベルリンの街をドライブしていました。ヒトラーが手を振ると人々は笑顔で手を振り返す…ザヴァツキが恐れていたことが今現実になろうとしていました。

みんなの感想

ライターの感想

笑っていけないとわかっていても笑わずにはいられない作品でした。本作の大きなテーマは劇中に登場する老婆のセリフ「みんな最初は笑ってた。だまされないよ」に尽きると思います。ヒトラーの言葉に共感を覚えさせつつ、その恐ろしさを強烈な映像で伝える演出は非常にうまく、ヒトラーはいったいどんな極悪人だったのか?という問いに新たなアプローチで取り組んだ作品だと思いました。ヒトラーというドイツの黒歴史を語る上で重要な教訓となる映画です。

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