「あゝ荒野(後篇)完結」のネタバレあらすじと結末の感想

あゝ、荒野 後篇の紹介:2017年10月21日公開の日本映画。寺山修司が遺した唯一の長編小説を大胆に再構築し、2部作として映画化した青春ドラマの完結編。生まれも育ちも違う2人の男が出会い、共にプロボクサーを目指す姿がつづられる。

予告動画

あゝ荒野(後篇)完結の主な出演者

新宿新次〔沢村新次〕(菅田将暉)、バリカン建二〔二木建二〕(ヤン・イクチュン)、芳子(木下あかり)、片目〔堀口〕(ユースケ・サンタマリア)、馬場(でんでん)、恵子(今野杏南)、山本裕二(山田裕貴)、劉輝(小林且弥)、君塚京子(木村多江)、マコト(萩原利久)、宮木社長(モロ師岡)、二代目(高橋和也)

あゝ荒野(後篇)完結のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①新次はついに宿敵・山本裕二との対戦が決まる。戦いに向けて燃える新次を見るうちに、建二は新次と戦いたく思い始める。同じジムにいると対戦は叶わず、建二はジムを移籍。 ②裕二に僅差で勝利した新次は、目標を喪失、無為な日々を送る。ジムの閉鎖も決まった頃、建二との対戦を受けた新次は、リングの上で激闘、建二は亡くなる。

【起】- あゝ荒野(後篇)完結のあらすじ1

2021年、東京・新宿。
幼い頃に父が自殺し、母・京子にも捨てられた沢村新次は、教会の孤児院で育ちます。
そこにいた兄貴分の劉輝を慕った新次ですが、劉輝は裕二に殴られて半身不随になりました。新次は刃傷沙汰を起こし、少年院に送致されます。
社会復帰した新次は、裕二がプロボクサーになったのを知り、復讐のために自らもボクサーになりました。「片目」こと堀口の下で特訓し、プロデビューを果たします。
理髪店で働く韓国系の二木建二は、吃音と対人恐怖症に悩まされていました。家に帰ると無職の父・建夫に稼いだ金を奪われ、暴力を振るわれる日々です。
そんな毎日から逃げ出したかった建二も、片目のジムに入りました。建二と新次は共に寝起きし、一緒に訓練しながら親しくなります。
芳子という恋人もでき、着実に勝利を重ねる新次に対し、建二はまだ開花していませんでした…(映画『あゝ、荒野 前篇』参照)。

〔2022年 東京・新宿〕
休みの日、気晴らしに新次を連れて競馬に出かけた片目は、馬の勝ち負けは親の血統が大事と言っていました。ろくな出身ではない新次は、複雑な気分になります。
それでも新次と建二は、たゆまぬ努力を続けていました。
世間では新次が憎む相手・山本裕二に、人気が出始めています。それもバネにして、新次は訓練に励みました。

世間では相変わらず、社会奉仕プログラムの是非が取り沙汰されており、反対のデモも続いています。
高齢化が進み、結婚式場が葬儀場に変わっていました。

ある日、建二は書店でお腹の大きな女性・恵子が不正出血する場に居合わせ、助けます。
病院へ連れて行った建二は、恵子は無事だったものの、赤ん坊は駄目だったと聞かされました。やるせない思いを抱きます。
恵子の腹の子の父は、公開自殺した川崎敬三でした。
新次も同じ頃、勤務先の介護福祉施設で身寄りのない老人の死を見送っていました。
再会した母・京子がやってくると、『帰還兵たちの闇』という本を置いていきます。新次の父は帰国後に自殺したのですが、その時の上司が建二の父・建夫でした。
新次は恋人の芳子に会いに行きます。
芳子は東日本大震災で母と共に生き残ったものの、親戚も知り合いも津波で亡くしました。それをつらく思い、故郷に母を置いて家を飛び出しています。

母のメモを見て、新次は建二の父・建夫に会いに行きます。
建夫はガンを患い、もう長くない身でした。自分を介して息子の建二に連絡を取ろうとする建夫に対し、新次は「自分で言えよ。バリカン(建二)は戦ってるんだよ」と言います。

【承】- あゝ荒野(後篇)完結のあらすじ2

その後、建夫は汚れた手で目をひっかき、両目を失明してしまいます。付き添うマコトは、しきりに建夫を心配しました。
マコトは国の制度に従い、国際平和貢献プログラムという名の徴兵に出ようと決めます。

その頃、Bar『楕円』に従業員として、ある中年女性が入りました。片足が不自由な女性は、片目と懇意になります。
女性は津波で友人や夫を亡くし、家出した娘を探しに東京に出てきていました(芳子のこと)。

新次と建二には、練習三昧の日々が続きます。
順調に勝ち進む新次に対し、建二はまだ試合で吹っ切れていませんでした。相手に殴られそうになると、目をつぶってしまうのです。
臆病な建二にとっては、年下でありながら相手に猛進する新次は、憧れの存在でした。自分も憎しみをばねにして戦おうと思うのですが、建二にはそれができません。
新次とライバルの山本裕二との対決が決まりました。新次は「リングの上だったら殺してもいい」と思い、より一層練習に励みます。
その矢先、ジムに宮木社長が「二代目」石井を連れてきました。『海洋(オーシャン)拳闘ボクシングジム』のスポンサーである会長の息子です。
新次も建二も知りませんが、利益にならないボクシングジムを畳む動きがありました。
ジムを見学する二代目に、宮木社長は今勝ち進んでいる新次を紹介しますが、二代目が注目したのは建二の方でした。後で呼び、話をします。

裕二との対戦が決まった新次は、半身不随になった劉輝に会いに行きました。
劉輝は今では裕二を許しています。「どれだけ憎んでも、お日さま浴びてる奴には勝てない」と言って、劉輝は新次を諭しますが、それでも新次は裕二を憎く思います。
横でそんな新次を見守る建二は、次第に「自分もそんな目で見られたい」と思うようになりました。憎悪という対象でもいいから、新次の注目を浴びたいと思います。
(注:同性愛とは違うのだが、非常に酷似してもいる。自分が持ちたくても持てないものを持つ新次に憧れる建二は、次第に新次の注目を自分に集めたいと思うようになった。
一種の愛情ではあると思う。深夜に新次の寝顔をデッサンするシーンもあるので、同性愛を否定もできない)

【転】- あゝ荒野(後篇)完結のあらすじ3

ある時建二は新次に対し「新次みたいになりたい」と言いました。新次はそれに対し、即座に「無理だろ。俺は俺、兄貴は兄貴。違う道、走ってるんだ」と答えます。
それを寂しく思った建二は、新次と同じジムにいる以上、対戦することができないと感じました。
新次の試合の3日前、新次のスパーリングを買って出た建二は、今までになく積極的に新次に向かっていきます。
その日の夜、建二は店でこっそり新次へ泣きながら手紙を書きました。

新次と裕二の試合の日。
裕二の人気もあり、観客はたくさん入っています。
新次は序盤から飛ばしました。それでもまだ新次にしては、冷静に戦っている方です。
戦いは途中から激闘になりました。新次は裕二をやたら挑発します。
殴り合いのケンカの様相を呈しますが、判定にもつれこみ、僅差で新次が勝利しました。
新次は勝利したものの、嬉しく感じられません。こんなものなのかと思います。
試合の後、建二が山寺ジムに移籍したと、新次は聞かされました。いつも一緒に練習していた建二がいなくなり、新次はさびしく思います。
ジムに戻ると、建二からの手紙が置かれていました。そこには、新次と戦いたいというボクサーとしての目標ができたと書かれていました。
(同じジムに所属していると、戦えない)

二代目にスポンサーになってもらい、建二は山寺ジムに移籍しました。
理髪店も辞め、生活の面倒の全てをみてもらいながら、建二はひたすら練習に励みます。
目標ができた建二は、それまでの悩みをふっ切ったように連勝を続けました。大躍進です。
建二が本屋で助けた女性・恵子が接近し、関係を持とうとしますが、建二は「僕はあなたと繋がれない」と拒否しました。
建二が本当に繋がりたいと思っているのは、新次だけです。

建二が去ったのと同じ頃、新次の前から芳子も去りました。新次は少なからずショックを受けます。
芳子は、そばにいながら新次がボクシングのことしか考えていないことに、孤独を感じたのです。勤めていた中華料理屋『甲州屋』も辞めており、連絡が取れなくなりました。
いよいよジムを畳まねばならなくなり、片目はそれをどう新次に切り出そうか悩んでいました。

【結】- あゝ荒野(後篇)完結のあらすじ4

ジムが傾いたため、新次も目標を喪失します。ライバルと思っていた裕二との対戦も終えた今、何に向かえばよいのか分からなくなり、新次は無為な生活を送っていました。

建二が二代目に頼みこみ、新次との対戦が決まります。
試合までの海洋拳闘ボクシングジムの家賃を二代目が肩代わりし、試合当日に宮木社長は夜逃げする予定です。
宮木社長は京子に一緒に来ないかと誘いますが、京子は断ります。
建二は壁に新次の絵を描き、闘争心をかきたてるようにしました。
新次も練習に熱が入ります。
ジョギングで互いにすれ違っても、お互い無視しました。

新次と建二の試合のことを、マコトはポスターで見ました。建二の父・建夫を連れて行きたいと思います。
同じ頃、芳子も喫茶店でポスターを見つけました。

迎えた対戦の日。建二はセッティングしてくれた二代目に、礼を言います。
新次は建二のもくろみに気付いていました。孤独な建二がボクシングを通じ、自分と繋がろうとしていると思いながらも、その手には乗らないと反発します。
今や建二の方が有名になっていました。観客も増えています。
試合が開始した頃、新次の母・京子も観戦に来ました。宮木社長はそれを見ます。
戦いは熾烈でした。第1ラウンドから重い拳を腹に受け、新次はダメージを受けます。
第3ラウンドで頭と腹に拳を受けた新次は、気絶しました。それを建二が支えます。
新次は戦っている今、生きていると実感しました。
次のラウンドでは新次が攻撃します。
新次と建二を知る者は、誰もが黙って見守っていました。ただただ拳の応酬が続きます。

建二は戦いながらも、とうとう憎むことができなかったと思っていました。
建二は新次から受ける拳の数を、かぞえはじめます。立ったまま防御もせず、ただ受けるのみです。
それを見ていた二代目がタオルを投げますが、リングを鳴らす槌を宮木社長が奪い、最後まで戦わせろと言いました。
リング内は両サイドの関係者で混乱します。
新次はまだ戦う気でした。ファイティングポーズを取ったまま、「兄貴、立てよ、兄貴!」と絶叫します。
建二は「僕はここにいる、だから愛してほしい」と思いながら、新次の拳で倒れました。
試合終了のゴングが鳴ります。

建二は試合で亡くなりました。それにより、新次の中に建二は傷跡を残しました。
(タイトルの意味はあまり深く考えなくてもいいと思う。
生きていくうえでは誰もが多かれ少なかれ孤独であり、それは荒野を歩いているようなものだ。
そういった意味合いを持っているのではないか)

みんなの感想

ライターの感想

まあとにかくすごいパワフルな映画。2時間半、前篇も入れると5時間の作品だが、あっという間に感じられる。
セリフではなく、演技で見せるので、解釈が難しくもあるが、まさしく「感じろ」というタイプの映画。
人間関係が濃厚なうえ、けっこうどろどろしそうな筈なのだが、見終わった後、満足度は高い。
このラストしかないのかな。別の方法があったのでは…などと考えさせられる、そういう意味でも深い。

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