映画:かぞくのくに

「かぞくのくに」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

かぞくのくにの紹介:2012年公開の日本映画。在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督の自身の体験に基づいたヒューマンドラマ。第62回ベルリン国際映画祭にて国際アートシアター連盟賞、第86回キネマ旬報ベストテンで1位に輝いたほか多数の賞に輝いた。かつて帰国事業によって北朝鮮へ渡った兄が病気治療のために、期限付きながら25年ぶりの帰国を許された。妹は兄との再会を喜ぶが、滞在中は常に監視されているうえに、兄の病状は予想以上に深刻だった…。

あらすじ動画

かぞくのくにの主な出演者

リエ(安藤サクラ)、ソンホ(井浦新)、ヤン (ヤン・イクチュン)、スニ(京野ことみ)、ホンギ(大森立嗣)、ジュノ(村上淳)、チョリ(省吾)、テジョ(諏訪太郎)、医師(吉岡睦雄)、母(宮崎美子)、父(津嘉山正種)

かぞくのくにのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- かぞくのくにのあらすじ1

1959年から20数年間、9万人以上の在日コリアンが、当時“地上の楽園”と謳われた北朝鮮へ移住しました。しかし「帰国者」と呼ばれる彼らが、日本へ帰ることは困難を極めています。

在日コリアン2世のリエは、朝鮮総連合会東京本部の副委員長で熱心な活動家の父と喫茶店を営む母のもと、日本で生まれ育ち、現在は日本語学校で講師をしています。一方リエの兄ソンホは25年前、16歳の若さでたった1人北朝鮮へ渡りました。現地で結婚し息子も設けたソンホですが、5年前に脳腫瘍を患っていることが判明します。しかしながら、国交が樹立していない日本へ帰ることは叶っていません。

1997年夏。ソンホの友人で総連合会幹部の息子のホンギの尽力もあり、ソンホは非公式で3ヶ月という短期間ながら病気治療のために日本への帰還が許されました。朗報を受けたリエは父と叔父のテジョと共にソンホを迎えに行きます。ところが滞在には過酷な条件がありました。ソンホの滞在中は北朝鮮の同胞協会のヤンなどの見張りがつくこと、許可なしで東京都外への外出は禁じられること…。リエは一方的な条件や、家の前に車をつけて監視されることを不服に思いました。
ソンホはテジョの車で家路を辿ります。実家が近づくとソンホは車を降り故郷の風景をしみじみと眺め、胸元の北朝鮮のバッチを外しました。ソンホの視線の先には、家の外で待ちわびていた母の姿がありました。

夜には25年ぶりに、4人揃って食卓を囲みました。喜びもつかの間、思想の強い父と自由に育ったリエの考えは合わず、気まずさの残る夕食になってしまいます。母は必死に笑って、団欒の場を取り繕いました。

【承】- かぞくのくにのあらすじ2

ソンホは都内の大型病院を受診し、検査結果は3日後に出ることに。ヤンの監視は病院にまで及び、検査を終えたソンホを呼び出すと「例の話を忘れるな」と忠告しました。ソンホは何も言葉にせず、苦笑いで返しました。

ソンホの同級生たちが再会を祝って、バーを経営するチョリの店に集合します。店には学生当時ソンホと両想いだったスニの姿もありました。ソンホとの再会に気持ちが高まるチョリはつい質問攻めにしてしまいますが、北朝鮮に戻れば帰国時の出来事を総括され、会話の内容によっては家族にも危害が及んでしまう立場であるソンホは、気軽に会話さえ出来ないのです。北朝鮮では日本の曲も歌えず、外からのニュースや情報にも触れられません。やはりこの場も湿っぽくなりました。雰囲気を変えるためチョリが『白いブランコ』を歌い始めます。かつてソンホがスニから教えてもらい、よく聞いていた思い出の曲でした。当時を懐かしんでみんなで口ずさんでいると、いつしかソンホもその輪に加わっていました。ギターを弾くチョリの手は止まり、リエやスニは涙を零しました。

翌日。リエと街へ出掛けたソンホは、ショーウィンドーに並ぶスーツケースに目が留まり店に入りました。ソンホはスーツケースをリエに持たせて「いろんな所へ行けよ」と嬉しそうに語ります。スーツケースをリエに買ってやろうとしたソンホですが、値札を見ては商品をそっと戻しました。結局何も買えずに店を出ますが、リエは精一杯笑ってその場をしのぎました。

その夜、ソンホはそわそわとしながら、リエに話したいことがあると言い出すものの躊躇います。ソンホが意を決し切り出したのは、工作員への勧誘でした。リエはソンホの北朝鮮での立場を考慮しながらも、「そんな仕事に関わりたくない。オッパ(お兄ちゃん)にそんな事を言わせた上の人に、妹は相反する思想を持った敵ですと言っておいて!」と語気を強めます。ソンホもリエも悔しさで満々ですが、互いを責めることなど出来ません。部屋の外で父が2人の会話を聞いていました。

【転】- かぞくのくにのあらすじ3

次の日の夕食後、父がソンホを呼び出します。「自分も組織の人間だからお前の気持ちが分かる」との父の言葉にソンホは、呼吸を荒くし「分かる訳ないじゃないか!」と叫びました。25年前にソンホを北朝鮮へ送り出した張本人である父は、息子が自由を奪われ苦しんでいることを知りながらも考えを曲げません。北朝鮮への帰国をよしとする父に「いつもそんな事しか言えないんですね」とソンホは言い捨てました。
興奮したソンホの声を聞いたリエはたまらず家を出て、外で見張っていたヤンに噛みつきます。「あなたもあの国も大嫌い!」と日本語で伝えたリエに対しヤンは、「あなたの嫌いな国で、お兄さんも私も生きているんです」とハングルで言い返し、気まずさ故に車で去って行きました。

ソンホの検査結果が出ます。予想より腫瘍は大きく手術が必要で、3ヵ月では治療期間が足りないと医師に告げられました。平壌の病院との連携など叶うはずもなく、現状では手の施しようがないのです。一家は肩を落としました。ソンホやリエを実の子供のように可愛がっているテジョは、本当は北朝鮮行きを嫌がっていたソンホを、無理に送り出した彼の父を責めました。リエもまた「絶対に許さない」と父に言い放ちます。
リエはソンホを助けるために、医師と結婚したスニに連絡をしたほか、自らも新たな病院を探します。そんな中でソンホは、理由も告げられずに急遽明日の帰国を命じられました。北朝鮮では、命令は“絶対”です。混乱するリエに「こういうことは本当によくあるんだよ」とソンホは淡々と語り、息子のサッカー用具を買うと言って出掛けて行きました。

【結】- かぞくのくにのあらすじ4

1人になったソンホは、スニを呼び出します。スニはリエからの連絡を受け、既に新たな病院を手配してくれていました。その好意に応えられないソンホは、明日帰国することを打明けます。動揺するスニに対し、どうすることもできないと理解しているソンホは「スニにはずっと笑っていて欲しい」と乞います。スニは悲しみのあまり、さよならも告げずにソンホのもとを去りました。
ソンホが日本で過ごす最後の夜。未だに納得できずにいるリエにソンホは「あの国では考えずただ従うだけ。思考停止させているんだ。俺はこう生きるしかないけど、お前は納得しながら生きろ」と妹を思いやり、心からのメッセージを送りました。

いよいよ出発の朝を迎えます。母はソンホに仕送りするためにコツコツと貯めていた小銭をはたき、ソンホとヤンのスーツを新調していました。日本からよれよれの格好では帰せないからと…。母はヤン宛てに手紙も添えました。“息子に何もしてやれないけど、ソンホをよろしくお願いします”と綴り、ヤンの家族のための衣類も用意していたのです。その気持ちに触れたヤンは、呆然とするのでした。
皺のないスーツに身を包んだ2人が車に乗り込みます。車が動き出しても、リエが後部座席のソンホの腕を掴んで離しません。しかしその腕はソンホに優しく振りほどかれ、車はリエの視界から消えていきました。ソンホは車の窓を開け、外に向かって『白いブランコ』を口ずさみました。無情にも窓はすぐに閉められ、ソンホのささやかな自由はまた奪われました。

残された母は泣き崩れました。うずくまっていたリエは、思い立って家を飛び出し、あのスーツケース店に向かいます。リエは買ったばかりのスーツケースを引いて、どこかへ向かい雑踏の中を歩き出しました。

みんなの感想

ライターの感想

知っているようで詳しくは知らなかったこの現実。どうにもならない理不尽さに、胸が張り裂けそうでした。一方で愛情表現は違ったとしても、家族を思う気持ちに国籍も人種も関係ないのだと痛感させられました。
安藤サクラさんと井浦新さんの演技が凄まじくて、心を打たれました。当事者が憑依したかのようなお二人の演技があってこその作品ではないでしょうか。非常につらい気持ちになってしまったけれど、本当に観てよかったと感じた作品でした。

映画の感想を投稿する

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

映画「かぞくのくに」の商品はこちら