映画:その街のこども劇場版

「その街のこども劇場版」のネタバレあらすじと結末

その街のこども 劇場版の紹介:2010年11月20日公開の日本映画。阪神・淡路大震災をテーマに、NHKで放送されたドラマ「その街のこども」に新たな映像を加え、再編集バージョンで映画化。「メゾン・ド・ヒミコ」の渡辺あやが脚本を担当し、子どものころに震災を体験した男女が抱える傷や未来への希望を描く。実際に震災を体験している森山未來と佐藤江梨子の真に迫った演技に心を揺さぶられる。

あらすじ動画

その街のこども劇場版の主な出演者

中田勇治(森山未來)、大村美夏(佐藤江梨子)、沢村(津田寛治)、おっちゃん〔米原雅夫〕(白木利周)、たこ焼き屋おばちゃん(中川光子)

その街のこども劇場版のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

①2010年1月16日、広島出張の前日に移動した勇治は衝動的に神戸で、新幹線から降りる。勇治は1995年の震災当時、神戸に住んでいた。同じく神戸に住んだ過去を持つ女性・美夏と共に三宮をめざす。 ②夜の街を歩いた勇治と美夏は、抱える悩みや思いは対照的でありながら、少しずつ打ち解ける。東遊園地の前で再会を誓いつつ、2人は別れた。

【起】- その街のこども劇場版のあらすじ1

その街のこども劇場版のシーン1 〔阪神・淡路大震災15年 特別企画〕


〔1995年1月17日〕

神戸市港区上空のヘリから、街を見下ろす光景が映し出されます。
この日は阪神・淡路大震災の日でした。
午前5時46分、巨大地震が近畿一帯を襲い、神戸の街は一瞬にして破壊されました。

もちろん地震だけでは終わりません。
地震による家屋倒壊、火災などで多くの人が命を落としました。


〔2010年1月16日〕

阪神・淡路大震災発生から15年が経過しようとする、前日。

新幹線の車内に、若い男性2人が乗り込んでいました。中田勇治と沢村です。
勇治と沢村は、建築会社に勤務するサラリーマンで、広島へ出張予定でした。
本来の仕事は翌日なのですが、前日から広島へ移動し、遊びに興じるつもりです。

沢村は広島で遊ぶことしか頭にありませんが、新幹線の車内電光掲示板に「次は 新神戸」という文字を見た勇治は、いてもたってもいられなくなりました。
勇治は震災当時、神戸に住んでいたことがあるのです。

新幹線は新神戸に近づき、減速を始めました。
停車が近いので、新神戸で降りようとする女性客が移動します。
足の長い女性の後ろ姿を見て興奮した沢村は、勇治の事情を知らないので、女性が美人か気にしました。
新幹線が新神戸に着くと、勇治はとっさに荷物をつかみ、衝動的に下車します。
勇治の行動の不可解さに驚いた沢村ですが、勇治の携帯に電話をかけ、「女の顔、写メ撮って送って」と言いました。


会社の先輩である沢村に頼まれた勇治は、断り切れず、女性のあとをつける形になります。
なんとか隙を見て写真を撮ろうと試みますが、なんとその女性・大村美夏が勇治に声をかけてきました。
美夏は勇治に、神戸の人かと質問します。

美夏は三宮への行き方を勇治に問いますが、その言葉には関西弁のイントネーションが強く出ていました。
美夏も無意識だったようで、勇治に指摘されて初めて、そのことに気づきます。

神戸の地を踏むのは15年ぶりだと勇治が言うと、美夏がその発言に食いつきました。
実は美夏も13年ぶりに、神戸へやってきたのです。
勇治と美夏はひょんなことから、2人で三宮まで同行することになりました。

阪急とJRが隣接する駅を出た2人は、街並みが比較的新しいことに気づきます。
(ここで、震災直後の映像と、2010年現在の駅周辺の映像が対比される)


駅を出て歩くと、道端には神で作られた花が飾られていました。
花弁にあたる部分には、震災への思い(メッセージ)が、市民の手により書かれています。
当初は犠牲者にあてての部分が多かったであろうその儀式も、震災から15年をかぞえるようになると、「風化を防ぐための儀式」に変化しようとしていました。

【承】- その街のこども劇場版のあらすじ2

その街のこども劇場版のシーン2 喫茶店へ移動した勇治と美夏は、お茶を飲みます。
被災した当時の会話で、勇治は現在25歳(震災当時10歳、小4)、美夏は28歳(震災当時13歳、中1)と互いに分かりました。
勇治は当時、灘(なだ)に住んでおり、美夏は御影(みかげ)に住んでいました。
勇治は震災直後に東京へ引っ越しをしましたが、美夏は2年後に東京へ引っ越したことを話します。

美夏に誘われた勇治は、夕食も一緒に食べることにしました。
美夏はコインロッカーに荷物を入れますが、小さなロッカーが空いておらず、大きなロッカーを使用します。
勇治にも荷物を入れろと言った美夏は、そのまま歩き始めました。勇治は荷物を入れた後、ロッカー代を負担し、ロッカーのカギを持ちます。

勇治が先輩の沢村に電話を入れると、牛丼屋でひとり夕食を摂っていた沢村は、「携帯番号かスリーサイズを聞いてこい」と言いました。
電話の後、勇治は美夏に「スリーサイズか携帯番号、教えてくれませんか」と直接聞きます。
するとあっさりと美夏は教えると言い、勇治の携帯を手にすると、自分の番号を入力しました。勇治は拍子抜けします。

居酒屋で食事をしたものの、勇治は美夏の会話はいまひとつ盛り上がりません。
それというのも、震災に対して勇治と美夏が抱いている思いが、違っていたからです。

…勇治の場合は、震災によって身近に死んだ人間がいませんでした。
地震直後、屋根屋をしていた父は商売で儲けて、その金をもとに東京で会社を興しました。
震災で壊れた家屋の建て直しのため、勇治の父は相場よりも高い値段で仕事ができたのです。
対照的に、美夏は親友の「ゆっち」を震災で亡くしており、震災はつらい思い出でした…。

震災直後に、焼き芋1本を2000円、大根1本1000円で売りつける、人の弱みにつけこむ商売をする人を嫌っている美夏は、それを口にしました。
父がその手で金もうけをした勇治は、美夏の発言を「ひがみ根性」と言い、気分を害した美夏は、金を置いて席を立ちます。

後味が悪い勇治は、先ほど教えてもらった番号に電話しましたが、まったく違うものでした。美夏に通じません。
舌打ちしながらコインロッカーのところへ移動した勇治は、美夏と再会しました。
ロッカーのなかに、美夏の荷物もあるからでした。
美夏は終電を逃し、歩いて御影まで帰ると言います。

【転】- その街のこども劇場版のあらすじ3

その街のこども劇場版のシーン3 携帯番号が違っていたと指摘した勇治に、美夏は「それ、スリーサイズなんで」と答えました。
(電話番号は「090-0560-9100」と入力されていた。スリーサイズは「90、56、91」)
思わぬ答えに勇治は絶句し、毒気を抜かれます。

勇治はビジネスホテルに宿泊するつもりでしたが、美夏は歩いて祖母の御影の家まで行くと言い、勇治に送ってくれと頼みました。
送るにしても、勇治はタクシーで行きたいと考えますが、美夏は歩くことを主張します。
歩道沿いに乗り捨てられている自転車を「借りて、あとで返そう」と勇治が言いますが、美夏は盗みに相当すると嫌いました。
揉めつつ、2人は夜の街を歩きます。


商店街や高架の線路沿いを歩きながら、美夏と勇治は話をしました。
勇治はビルやマンションの設計の仕事をしており、現在も新たに作るマンションの設計士をしています。
ところが会社では「エコ」と「安全」という、矛盾した2つを両立しろと命ぜられていました。コストを削減すると耐震性に問題があるのですが、「100年に1度あるかどうか分からない地震」に向けて耐震性を重視するか、住民が要求する「日当たり」を重視するか、悩みます。
先輩の沢村は、「もし自身が起きても、80年後は俺もお前も死んでる」と、責任感のない発言をしました。そして沢村の考えの持ち主が、大勢(たいせい)でもあるのです。

そんなことを思い返しながら歩いていた勇治は、西灘の苦手な区域に差し掛かったことに気づきました。
「トラウマ地帯」だと、勇治は美夏に告げます。

…勇治の父は金儲けに成功しましたが、勇治自身は居心地の悪い幼少時代を送りました。
美夏の言うとおりです。
人の弱みにつけこんで商売をした父のせいで、勇治は肩身の狭い思いをしながら、暮らしていたのです。
当然、人間関係にひずみが生じ、勇治の父は「(神戸に)いられなくなって」上京したのでした。
東京へ出た後に、勇治の母も家を出ていきました。
勇治の過去にも、震災は影響を与えていたのです。
そして勇治の言う「トラウマ地帯」とは、父が修復した家がある区域のことでした…。


それでも一緒に深夜のトラウマ地帯を歩いた勇治は、美夏といることで少しばかり心強さを感じます。
コンビニに立ち寄った2人は、買い食いしながら歩きました。

【結】- その街のこども劇場版のあらすじ4

その街のこども劇場版のシーン2 勇治の建築士の仕事ぶりを聞いた美夏は、容赦なくずけずけと、勇治の心が痛むところを指摘します。
「商売なんで、うまくだませたら、それでええんで」と勇治は平静を装いますが、本当のところは美夏が指摘することを、勇治だって気にしていました。
むしろ矛盾と葛藤しながら、現在の勇治は仕事をしているのです。


御影にある、美夏の祖母の家に着きました。
美夏は敷地内に入りますが、こっそり入ってすぐに立ち去ります。
美夏が家に来るのは、13年ぶりでした。美夏の母と祖母の折り合いが悪く、いわば「嫁姑問題」で、美夏は祖母と会えずにいます。

再び夜の街を歩き始めた美夏は、従姉妹と遊んだ「聖地」を勇治に案内しました。
そこはごく平凡な公園の一角でしたが、美夏は「嫌なことが起こらない場所」として、「ゆっちとも、ここでよう遊んだな」とつぶやきます。

「ゆっち」という美夏の親友らしき子の名前が出てくるのは、3回目でした。
美夏が「ゆっち」の思い出話をしたがっていると気づいた勇治は、話を促します。
美夏は勇治を「東遊園地」に誘うと、ゆっちの話を始めます。

(注:「東遊園地」…兵庫県神戸市にある都市公園。大震災以降、慰霊祭が毎年行われる場所)

…「ゆっち」は、美夏の大の友だちでした。しかし震災で命を落とします。
家族で助かったのは「ゆっち」の父だけで、母も「ゆっち」も妹も、亡くなりました。
ただひとり生き残った「ゆっち」の父の嘆きは大きく、はたで見ている美夏ですら、痛々しく感じていました。
美夏は震災後2年が経過してから、父親の仕事の都合で神戸をあとにしましたが、心残りがありました。
なぜいい子の「ゆっち」が死んで、自分は生きているのか、生死の線引きはなんなのかと思っていたそうです…。


美夏の話を聞きながら歩いていた勇治は、「なんでこの道、通るの?」と美夏に質問されます。
他意はありませんでした。
美夏は「後ろの茶色いマンション、ゆっちのお父さんの家」と話します。

その部屋には、あかりがともっていました。
勇治は会いに行くよう勧め、美夏は勇治に「ここにいてくれ」と言って、「ゆっち」の父親に会いにいきます。

美夏は「ゆっち」の父親を訪問し、泣きながら戻ってきました。
「ゆっち」の父から、「ゆっち」の写真をもらってきています。
勇治が部屋を見ると、ベランダに出た「ゆっち」の父が手を振っていました。
勇治がうながし、美夏も手を振り返します。


明け方になった頃、2人は東遊園地に着きます。
美夏は慰霊祭に参加するつもりで、勇治を誘いますが、勇治はまだ気持ちの整理がついておらず、「やめとくわ、今年は。また来年」と答えました。
美夏が勇治にハグをすると、「ほな、また来年」と言います。

(エンドロール)
満灯会、献燈式。
黙とう。

みんなの感想

ライターの感想

NHKで特別企画として作られたドラマを再編集し、映画化した作品。
さりげなく描いている。どぎつい震災の映像はほとんどなし。トラウマのある人が見ても、大丈夫な作品。
また、説教くさいメッセージ性も希薄である。そこは評価する。
いっぽうで、重たくならないための配慮なのか、入り方がやや軽薄なのが気になる。
カメラの撮影の仕方も、もう少し工夫がほしかった。
(逆算すると美夏がゆっちの父を訪問したのって午前2時の丑三つ時。ちょーっと非常識かな…)

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