映画:わさび

「わさび」のネタバレあらすじと結末

わさびの紹介:2016年製作の短編映画。国際映画祭の出品・招待上映や国内での劇場公開後、2018年に外山文治監督の短編作品集として『春なれや』と共にソフト化。父の病気のため、実家の寿司屋を継ぐことを決めた女子高生の葵。周囲の同意を得られず戸惑いながらも、ある人との再会をきっかけに葵が成長する姿を飛騨高山の美しい情景と共に描く。

あらすじ動画

わさびの主な出演者

山野葵(芳根京子)、山野和夫(杉本凌士)、小原房子(富田靖子)、梅田庄吉(下條アトム)、里見祥子(藤澤志帆)、小原健彦(中田裕一)、安岡太一(松角洋平)、斉藤正子(後藤和歌奈)

わさびのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- わさびのあらすじ1

飛騨高山の静かな町。高校3年生の葵は幼い頃に父と母が離婚したため、現在は父の和夫と2人で暮らしています。寿司屋を営む和夫は男手一つで葵を育てて来ましたが、このところうつ病を発症し、店に立つことができなくなりました。生気を失い、日常生活さえままならない和夫を目の当たりしている葵は、子供のころから続けて来た野球や進学をあきらめ、寿司屋を継ぐ決心をします。しかし寿司職人は男社会。進路希望でその旨を伝えた葵に担任の里見は反対し、進学を勧めました。

葵は定期的に母の房子の家に顔を出していました。房子は現在、新たな夫の健彦との間に授かった子供を妊娠中です。店を継ぐ考えを房子に驚かれた葵は「自分がやりたいことをやれば、誰かが不幸になる」と、虚しくもそれが現実であることをぶつけます。突然和夫の病気が良くなり、人生が変わるような魔法なんてないと諭す房子に葵は「魔法なら見たことがある」と強がります。どこか現実に冷め、少女らしさのない葵を健彦は可愛く思えませんでした。
葵はいつもと同じく、この日も房子に金を無心します。しかし決して金が欲しいわけではなく、それは房子に会うための口実でした。葵が本当は房子を憎んでいるのに、許そうとしていることを房子も理解しています。房子は葵を置いて家を出たことを後悔し、今も胸を痛めていました。

【承】- わさびのあらすじ2

房子の家から帰るバスの中で、葵は悔しさをぶつけるように貰ったお札をぐしゃりと握りしめました。家の最寄りのバス停では、房子に会いに行った葵を心配し、ぼんやりと背中を丸めて娘の帰りを待つ和夫がいました。そんな父の姿を見た葵は、思わず体をすくめて隠れ、バスから降りることはありませんでした。

葵は憂さ晴らしにバッティングセンターに向かいます。房子から貰いくしゃくしゃにしたお札が両替機に通らず、苛立った葵が従業員を呼び出すと、そこに現れたのはかつて葵が参加していた少年野球「高山メッツ」の監督の庄吉でした。葵は庄吉が寂れたバッティングセンターで働いていることに驚きます。
葵は“山野葵”という名前から、山葵(わさび)と庄吉に呼ばれていました。庄吉の仕事が終わり、2人は一緒に帰ります。庄吉は勤めていた工場が無くなったうえ、高山メッツの監督も葵が中学に入学して間もない頃に解雇された事実を語りました。保護者が若い監督を招聘したため、庄吉は監督の席を譲るしかなかったのです。そのうえ庄吉には小指が無く、そんな監督を世間は認めてくれない時代になったのだと庄吉は虚しそうに話しました。

【転】- わさびのあらすじ3

一旦、庄吉と別れた葵でしたが、突然思いがあふれ出しました。庄吉の後を追った葵は、彼に真剣勝負を申し出ます。2人は夜の球場へ向かいました。
あの時から投球などしていない老いた庄吉がマウンドへ、葵はセーラー服姿で打席に立ちました。葵は庄吉のボールにバットを振ることさえ出来ず、2球とも見逃します。様々な思いがこみ上げて来た葵の目に涙が溜まりました。気合を入れ直した葵が思い切りバッドを振った3球目。ボールは場外へと飛んでいきました。

葵は和夫の病について庄吉に吐露します。葵を引取ることを決めた和夫は、家事も仕事も頑張ると意気込んだことが原因でうつ病になり、葵は責任を感じていました。葵は庄吉の投げるカーブが、魔法だとずっと思ってきたことも初めて打ち明けます。庄吉は「小指の辺りがボールにぶつかり、球筋が曲がるだけだろう」と自虐的に話しますが、葵にとっては唯一見たことのある魔法で、それが希望だったのです。子供のころから男の子の中で頑張って来た葵なら、男だらけの寿司の世界でも生きていけると、庄吉が彼女の決意に太鼓判を押します。庄吉に会って何かが変わった葵は、迷いを振り払って「頑張る」と高高と宣言しました。

【結】- わさびのあらすじ4

すっかり帰りが遅くなりましたが、葵がバス停の辺りまで歩いていくと、和夫がまだベンチで待っていました。力なく「さっき来た」と嘘をつく和夫に、葵は父の温かさを感じ取ります。気持ちが固まった葵は明るい声で「おふくろの味を教わっていないから、おやじの味を教えてね」と、和夫に弟子入りを志願するのでした。

翌朝。葵は店の厨房に立ちます。和夫の指導のもとで、ネタを切り、寿司を握りました。葵が初めて握った寿司を口にした和夫は、「ありがとう」と声を振り絞って伝えました。また和夫は葵のためにも、入院してしっかりと治療することを決心します。「戻ってきたら…」と言いかけて、言葉を詰まらせる和夫。「早く戻ってきて」と、珍しく親に甘えた葵の目から大粒の涙が零れ落ちました。

みんなの感想

ライターの感想

女子高生が主人公ながら、”キラキラ”と爽やかさは描かれておらず、これが現実だと思いました。多感な時期ゆえ、多くの少女が悩みや戸惑いを背負い、みんなが輝きを放っているわけではない。でもそれも青春なんですよね。必要以上に華美な演出のないインディーズ映画の魅力が詰まった作品でした。
庄吉役の下條アトムさんが登場した途端、本当の監督のような説得力がありました。当時18歳とは思えない芳根京子ちゃんの演技も素晴らしい。外山監督の今後の作品に期待です。

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