映画:アスファルト

「アスファルト」のネタバレあらすじと結末

アスファルトの紹介:2015年のフランス映画。監督はサミュエル・ベンシェトリ、出演はイザベル・ユペール。郊外にある古い団地を舞台に、3組の男女の交流を描いている。日本公開は2016年。

あらすじ動画

アスファルトの主な出演者

ジャンヌ・メイヤー(イザベル・ユペール)、シャルリ(ジュール・ベンシェトリ)、スタンコヴィッチ(ギュスタヴ・ケルヴェン)、看護師(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)、ジョン・マッケンジー(マイケル・ピット)、マダム・ハミダ(タサディット・マンディ)

アスファルトのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- アスファルトのあらすじ1

アスファルトのシーン1 舞台はフランス郊外の古びた団地。団地の近辺では、時折怪獣のうなり声のような奇妙な音が木霊していました。
団地の住人が集まって、旧式のエレベーターが故障した件について話し合っていました。中に閉じ込められる人や、電源がショートして火傷をしてしまう人が続出したことから、住人たちが費用を出し合って、エレベーターを修理することにしたのです。

意見は全員一致かと思われましたが、ただ一人、2階に住んでいる冴えない中年男性のスタンコヴィッチだけが反対します。彼はエレベーターを使わないため、分担金を支払うのは不合理だと主張するのです。
住民たちはスタンコヴィッチに、費用を出さない代わりにエレベーターに乗らないという条件を定めて、意見を通すのでした。

スタンコヴィッチは、ミーティングがおこなわれた部屋で見たエアバイクが欲しくなり、さっそく購入します。
ところが、購入日に自動モードで使用している最中に、気絶してしまいます。スタンコヴィッチは足をペダルに乗せたまま100キロ以上漕いでしまい、その後車椅子生活を余儀なくされてしまうのでした。

団地で暮らす10代の少年シャルリは、母親と2人暮らしをしています。
しかし、母親はほとんど家におらず、いつも一人で過ごしていました。朝目を覚ますと、自転車に乗って学校へ行きます。

団地の最上階で暮らすのが、アルジェリア系移民の老婦人マダム・ハミダです。
彼女は刑務所の面会日に、収監されている息子のマジッドに会いに行きます。しかし、息子は体調不良で医務室にいると告げられます。
仕方なくマダム・ハミダは、受付に差し入れを渡してほしいと頼みますが、それも拒否されてしまうのでした。

宇宙飛行士のジョン・マッケンジーは、地球の周りをグルグルと回るスペースシャトルの中で、一人で生活していました。

【承】- アスファルトのあらすじ2

アスファルトのシーン2 【以下、スタンコヴィッチと看護師の物語を①、ジャンヌ・メイヤーとシャルリの物語を②、ジョン・マッケンジーとマダム・ハミダの物語を③と表記します】


こうして階段を使えなくなってしまったスタンコヴィッチですが、住人たちにエレベーターを使わないと宣言した手前、おいそれと外出できません。
そこでスタンコヴィッチは、エレベーターが使用される時間帯をこっそり調べて、深夜誰にも見つからないように使います。食料の調達に向かったスタンコヴィッチでしたが、どこの店も閉まっていました。
仕方なく近くの病院に設置されているスナック菓子の自販機を使います。しかし、自販機も途中で壊れてしまい、スタンコヴィッチは機械を叩きながらむせび泣くのでした。

職員用の出入り口からトボトボと帰ろうとしたスタンコヴィッチは、一服している看護師に入院患者と間違えて呼び止められます。
こんな時間に何をしているのかと尋ねられたスタンコヴィッチは、自宅で観ていたクリント・イーストウッド監督の「マディソン郡の橋」を思い出します。そして、自分は世界中を旅するカメラマンで、夜の町をロケハンしていると嘘をついてしまうのです。
看護師を一目見て恋に落ちたスタンコヴィッチは、彼女の休憩時間が午前1時であることを聞き出しました。


ある日、シャルリの向かいの部屋に、美しい中年女性ジャンヌ・メイヤーが引っ越してきます。
あるとき、シャルリは修理されたはずのエレベーターの調子が悪く、途方に暮れるジャンヌを見かけます。シャルリはブリーフ一丁でエレベーターを蹴って直してあげますが、ジャンヌは礼も言わず、部屋に退散するのでした。
またあるとき、シャルリは部屋に鍵を忘れて立ち往生しているジャンヌを目撃します。シャルリは友人のデデを呼んで、ジャンヌの部屋の鍵を開けてあげるのでした。

その後、ジャンヌを部屋に招き入れたシャルリは、彼女が女優であることを知ります。しかしそれは過去の栄光で、今はオファーもなくすっかり落ちぶれていたのです。
家で映画を観ることが好きなシャルリは、ジャンヌの出演作品を一緒に観ることを約束しました。
翌日、さっそくジャンヌの部屋で、1982年に撮られた彼女の主演作品「腕のない女」を鑑賞します。シャルリはジャンヌの演技をほめて、「また明日も観たい」とねだるのでした。


スタンコヴィッチは看護師に会うために、毎晩午前1時になると、車椅子で病院へ行くようになります。
2人が外で話していると、どこからともなく不気味な音が聞こえてきます。看護師は明日の夜、あなたが撮った写真を見せてほしいと、スタンコヴィッチに言いました。
スタンコヴィッチは古いポラロイドカメラを引っ張り出してきて、テレビの中の風景を撮影します。家の窓から空を撮影していると、奇妙な物体が降ってくるのを確認しました。


デデと友人が団地の屋上で暇を潰していると、突如目の前に宇宙船が着陸します。
NASAの宇宙飛行士であるジョンは、地球への帰還途中何らかの手違いで団地に不時着してしまったのです。
カプセルから出てきたジョンは、ここがどこなのか確認するために、マダム・ハミダの部屋の扉を叩きます。しかし、マダム・ハミダはフランス語しか話せず、ジョンはフランス語がわからないため、話が全く噛み合いません。
どうにか電話を借りられたジョンは、NASAに状況を説明します。しかし、トラブル発覚を恐れたNASAは、この件を秘密裏に処理したいと告げます。
そしてNASAは、マダム・ハミダにジョンを迎えに行くまでの2日間、彼を内緒で預かっていてほしいと依頼するのでした。
マジッドが服役中で寂しい思いをしていたマダム・ハミダは、あっさりと承諾しました。

【転】- アスファルトのあらすじ3

アスファルトのシーン3
ジョンは宇宙服を着たまま、ソファでくつろぎます。そして、マダム・ハミダが夢中になって観ているドラマを、ぼんやりと眺めます。
ジョンは「このドラマを観たことがある」と英語で話しかけて、ドラマの結末をジェスチャーを交えながら説明します。
マダム・ハミダは嫌いな登場人物がハッピーエンドを迎え、好きな登場人物が死ぬというシナリオにショックを受けて、「もう観ないわ」と落胆するのでした。ジョンは「入れ込んでいるね」とつぶやきます。

ジョンは甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるマダム・ハミダのために、宇宙服を着たままキッチンのシンク下の水漏れを修理してあげます。
マダム・ハミダはジョンのためにマジッドの部屋を整えて、息子が応援するフランスのサッカーチームのユニフォームを用意してあげるのでした。


スタンコヴィッチは、テレビや空を撮った写真でアルバムを作り、看護師に見せます。
「インターナショナル・ジオグラフィック」と仕事をしていると見栄を張り、挙げ句の果てにはガンジーの写真を撮ったと言って見せるのでした。
しかし、看護師はスタンコヴィッチの盛大な嘘を真に受けて、写真をほめてくれました。するとスタンコヴィッチは、明日あなたの写真を撮らせてほしいと、おずおずと頼みます。
看護師は戸惑い、「哀れな看護師を馬鹿にしているのね」と言いますが、スタンコヴィッチは「あなたがキレイだから」と真剣に伝えます。
看護師は考えておくと返事をするのでした。


翌日、シャルリが映画を観ようとやってきますが、ジャンヌは「今日は無理」と告げます。
落ちぶれてここへやってきたジャンヌでしたが、先日のシャルリの言葉によって、再びやる気を出していました。
そして、かつてポッペアという絶世の美女を演じた「ネロ」の再演が決まったので、演出家に会うためにオーディションへ向かうことにしたのです。
そんな彼女を、シャルリも応援します。


マダム・ハミダはマジッドとの面会日に、家に宇宙飛行士が来ているとこっそり教えます。
「言葉は通じないけれど優しい目をした子」と語ると、マジッドは「アルツハイマーか?」と怪訝そうな表情をするのでした。


約束の夜、スタンコヴィッチはスーツを着用して、エレベーターに乗り込みます。
ところが、またもやエレベーターが故障して、中に閉じ込められてしまったのです。
その頃看護師は化粧をして、病院の外で待ち続けていました。


一花咲かせるために受けた舞台のオーディションで惨敗したジャンヌは、泥酔して帰宅します。
シャルリが苦しむジャンヌを介抱していると、ふと彼女は「アントワーヌ」と名前を呼びます。
シャルリが何のことかわからないでいると、ジャンヌはかつての恋人だとつぶやき、「彼の隣で寝たい」と言って号泣するのでした。
ジャンヌをベッドに寝かせたシャルリは、段ボールの中からジャンヌの昔の写真を見つけて、こっそり一枚持ち帰ります。そして「ネロ」の台本を手に取ります。
眠り込んだジャンヌのベッドに、シャルリが潜り込んできます。目を覚ましたジャンヌは、シャルリの髪を乱暴に撫でました。


面会から帰宅したマダム・ハミダは、ジョンを得意料理のクスクスでもてなします。
ジョンはクスクスのおいしさに感動し、マダム・ハミダは「宇宙はどんなところ?」と質問します。
ジョンは「海に似ている」と言って、紙に描いて説明を始めます。「ギリシャでは星は小さな穴で、そこから神が人間を見ていると考えた。つまり暗闇の後ろにはまぶしい光がある」と語るジョンを、マダム・ハミダは笑顔で見つめていました。
ジョンはマダム・ハミダに息子のことを尋ねます。すると彼女は、アルジェリアの子守歌を歌い出します。ジョンは拍手を送り、今度は自分が歌い出すと、マダム・ハミダが耳をすませるのでした。


エレベーターのドアに車椅子を挟み、どうにかスタンコヴィッチは脱出します。
車椅子は壊れ、不自由な足をひきずりながら必死で病院まで歩きます。

【結】- アスファルトのあらすじ4

アスファルトのシーン2
翌日の早朝、ジャンヌはシャルリの部屋を尋ねて、昨夜の無礼を詫びます。
するとシャルリは、ジャンヌがやりたがっていたポッペアが15歳であることを指摘し、主役の90歳の悪女アグリッピナを演じるべきだと言います。
「私はもっと若い」と怒るジャンヌでしたが、シャルリはアグリッピナは魅力的な役柄で、舞台に上がれば大丈夫だとアドバイスするのでした。
そしてシャルリは、演出家に見せるためにオーディション用の動画を撮ろうと提案するのでした。

ジャンヌは化粧をして、シャルリが向けるカメラの前に立ちます。すると、窓の外から例の奇妙な音がしてきます。ジャンヌが気味悪がると、シャルリは「トラの声だよ」と答えるのでした。
ジャンヌは緊張した面持ちで台詞を言いますが、シャルリはダメ出しをして、「古典劇だから普通に演じる方がいい」とプロ顔負けの助言をします。
何度も台詞を間違えてしまうジャンヌは、「私バカみたい?」と聞きますが、シャルリは「君の映画を観ていい役者だと思った。今は演出家のことは忘れろよ」と言いました。
落ち着きを取り戻したジャンヌは、息子を想う母親を堂々と演じきります。それをシャルリは複雑そうな表情で見つめていました。


明け方、スタンコヴィッチはようやく病院に辿り着き、夜勤を終えて帰ろうとしていた看護師を呼び止めます。
スタンコヴィッチが看護師にカメラを向けると、彼女はコートを脱いで、花柄のワンピース姿になります。
「笑って」というスタンコヴィッチの言葉に、看護師は「笑わせて」と答えます。するとスタンコヴィッチは、写真家というのはウソだと告げました。
さらに、自分はこの近くの団地に住んでいて、病院の自販機でスナック菓子を買っていると打ち明けます。スタンコヴィッチが「カメラにフィルムも入っていない」と言うと、ようやく看護師は笑い出しました。
雰囲気が和み、2人は一緒に空を見上げるのでした。


朝、マダム・ハミダは眠っているジョンを起こします。
NASAから迎えが来ると電話がかかってきて、ジョンは安堵しながらもどこか残念そうです。
宇宙服に着替えたジョンは、キッチンで支度をするマダム・ハミダを見つめます。すると、直したはずの流しの下から水が漏れていることに気づきます。
やがてNASAのヘリコプターが飛んできました。2人は別れのハグをして、マダム・ハミダはタッパーに入れたクスクスを手渡します。

ジョンはクスクスを持ってヘリコプターに乗り込みます。ヘリコプターが飛び立つと、周囲に大きな風が巻き起こります。
部屋にいたジャンヌは、中の物が散乱するのも構わず、ほほえみながら窓の外を眺めます。
団地の外にいたシャルリも、飛んでいくヘリコプターをじっと見つめていました。

そして、再びあの不気味な音が響き渡ります。
実は団地のはずれにある大きなコンテナの扉が、開いたり閉じたりする音だと判明する場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

孤独を抱える男女が出会い、優しさやおかしさに満ちた交流を通じて、心の隙間を埋めていくような、素敵な作品でした。古びた団地を舞台に、落ちぶれた女優や鍵っ子、偏屈な中年男性、服役中の息子の帰りを待つ老婦人など、何かを抱える人ばかりが登場するのに、不思議と暗い話にはなっていません。シュールなやりとりに笑えたり、人間の愛おしさを再確認したりなど、ずっと温かい気持ちで観ていられました。深夜にぼんやりと映画を観たい方にもおすすめです。

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