映画:アメリカアメリカ

「アメリカアメリカ」のネタバレあらすじと結末

アメリカ アメリカの紹介:1963年に製作されたアメリカのドラマ映画。監督、製作、脚本はエリア・カザンが務め、自身の伯父が経験したアメリカ移住に至る壮絶なドラマを映画化した。第36回アカデミー賞では美術賞(モノクロ作品部門)を、第21回ゴールデングローブ賞では監督賞を受賞した。

あらすじ動画

アメリカアメリカの主な出演者

スタヴロス(スタティス・ヒアレリス)、アブドゥル(ルー・アントニオ)、ホハネス(グレゴリー・ロザキス)

アメリカアメリカのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- アメリカアメリカのあらすじ1

私の名前はエリア・カザン
血はギリシャ、生まれはトルコ
伯父の移住でアメリカ人になった
これは一族の年長者らが私に語った物語

監督を務めたエリア・カザン自身のナレーションで、映画は幕を開けます。

舞台は19世紀末のトルコ。当時、ギリシャ人とアルメニア人はオスマントルコの勢力下にあり、激しい迫害を受けていました。ギリシャ人もアルメニア人もトルコ人と同じ服装が義務づけられ、どんなにひどい目に遭っても笑顔を浮かべなくてはならない…少数派の民族がトルコで生き残るためには、自らの誇りを捨てることが必要とされました。一部のアルメニア人が各地で暴動を起こし始めていましたが、トルコ軍はただちに武力で制圧、トルコによる支配は終わる気配を見せませんでした。

ギリシャ人の青年スタヴロスはこの終わりの見えない苦難の日々から抜け出すため、ある壮大な夢を抱いていました。それは、自由の国アメリカに渡ることでした。そのためには、まずはアメリカ行きの船が寄港する首都コンスタンチノープルに向かう必要がありました。しかし、家族にスタヴロスの考えを理解しようとする者はなく、経済的な援助を得ることは困難でした。特に、スタヴロスの父親は強権的な性格で、長男のスタヴロスにはトルコ人に従順であれと望んでいました。長い間父親の言葉に素直に従ってきていたスタヴロスでしたが、父親と同じようにトルコ人にへつらって生きることに激しい拒否感を抱いていました。

そんなある日、アルメニア人の友人に巻き込まれ、スタヴロスまでもトルコ軍に逮捕されてしまいました。スタヴロスの父親が街の権力者と親しくしていたおかげで、スタヴロスはすぐに解放されましたが、父親はいつも以上に厳しい口調でスタヴロスを批判してきました。ところが、スタヴロスは普段とは異なり父親に反抗的な態度を示し、逃げるようにその場から去っていきました。

その後、スタヴロスはアメリカを目指して旅をする青年ホハネスと出会いました。神のご加護を信じ、歩いてアメリカまで行くと語るホハネスは、ぼろぼろの靴を履いていました。スタヴロスはそんなホハネスを見ていられず、自らの靴を脱いでホハネスに与えるのでした。

家に帰ると、父親がスタヴロスのことを待ち構えていました。先ほどスタヴロスが見せた反抗的な態度を見て、父親は息子の変化を痛感し、ある決心を固めていました。それは、スタヴロスを首都コンスタンチノープルに上京させることでした。コンスタンチノープルに暮らすいとこの事業を手伝い、それが軌道に乗り次第、家族全員をコンスタンチノープルに呼び寄せて欲しい、というのです。今まで従順なギリシャ人を演じていたスタヴロスの父親にとって、これは家族の人生がかかった最後の望みでした。家族はいとこへの持参金のため、家中の資産をかき集めました。その中には、妹たちのために用意していた嫁入り道具も含まれていました。こうしてスタヴロスは大量の荷物を持って故郷を離れることとなりました。

絶対に失望はさせない、と家族に約束をしたスタヴロスでしたが、その旅路は出端からくじかれることとなってしまいます。スタヴロスは小狡いトルコ人の男アブドゥルにつきまとわれ、あっという間に金や財産を奪われてしまったのです。スタヴロスは残り少なくなってしまった荷物を持ち、一人で旅を再開しようとしますが、その矢先に逮捕されてしまいました。アブドゥルが自分の荷物をスタヴロスに盗まれたと嘘の告発をしたのです。

スタヴロスはすぐに釈放されたものの、残されたのはわずかな現金だけとなりました。その後もアブドゥルはスタヴロスにつきまとってきました。スタヴロスの荷物は警察に横取りされてしまったといいます。アブドゥルは口汚くスタヴロスを罵ってきました。快楽に興味を持たず、トルコ人に反抗する度胸もない、と口にするアブドゥルに、やがてスタヴロスは耐えられなくなり、アブドゥルがアラーに祈りを捧げているところに突然襲いかかりました。スタヴロスは祖父の形見の短剣でアブドゥルを刺し殺してしまいました。

【承】- アメリカアメリカのあらすじ2

その後、長い旅路の果てにスタヴロスはコンスタンチノープルにたどり着きました。港にはアメリカに向かう巨大な船が停泊しており、興奮したスタヴロスは「アメリカ アメリカ」と船に呼びかけるのでした。

その後、スタヴロスはいとこのオデッセイが経営する絨毯の店に向かいますが、その店の佇まいは父親から聞いていた話とは大きく異なっていました。店に客はまったくおらず、オデッセイは怠けて昼寝ばかりして、そのうえ横暴な性格でした。スタヴロスはそんなオデッセイの下で働くことに苛立ちを感じていましたが、素直に働き続けました。家族から預かった資産を奪われたことをオデッセイが父親に報告することをスタヴロスは恐れていたのです。

そんなある日、オデッセイはスタヴロスに突然シニコグルーという名の資産家の娘を紹介したいと言い出しました。オデッセイは良かれと思い縁談話を持ち出しましたが、スタヴロスはこの提案に激しい嫌悪感を抱き、店を出て行ってしまいました。

店を出て以来、スタヴロスは港の運搬人として毎日きつい仕事に没頭しました。アメリカまでの渡航費110トルコリラを運搬人の仕事で稼ごうと考えたのです。しかし、スタヴロスが一生懸命に働き、食事を我慢しても、なかなかお金はたまりません。アメリカに行くために取り憑かれたように働くスタヴロスは、いつしか仕事仲間から「アメリカ アメリカ」とあだ名をつけられるようになりました。

運搬人として働き始めて数ヶ月、スタヴロスが貯めた金額はたったの4トルコリラでした。今の生活に疲れ始めていたスタヴロスは、仕事仲間から女遊びで気晴らしをすればいいと助言を受けました。初めて買春を経験するスタヴロスでしたが、相手の商売女はスタヴロスの金を盗み、姿を消してしまいました。スタヴロスは女を探し出し、お金を返すように迫りましたが、すでに女は金を滞納していた家賃の支払いに使ってしまっていました。この女もまた、スタヴロスと同様に最底辺の生活に苦しんでいたのです。

失ったお金を取り戻せず、スタヴロスは悲嘆に暮れました。そんなスタヴロスを、仕事仲間の男は地下活動に誘いました。それは、現在のトルコ政治の転覆を目的とした過激な集団の集会でした。スタヴロスはこの会合に参加はしていたものの、興味を抱くことはできませんでした。スタヴロスの頭の中にあるのはアメリカへの移住だけで、どんな立派な文句も頭に入ってきませんでした。

スタヴロスはこの集会に参加したことで思わぬ悲劇に見舞われてしまいました。トルコ軍がこの地下活動の動きに気づき、突然襲撃してきたのです。スタヴロスは生き残ったものの、ひどい重傷を負ってしまいました。それでもスタヴロスはなんとかトルコ軍の監視下から逃れ、オデッセイに助けを求めるのでした。

負傷から回復したスタヴロスはオデッセイの指示に従い、シニコグルーの娘トムナに接近をはかりました。上等なスーツを着たスタヴロスは、元々整った顔立ちをしていたこともあって、すぐにトムナの心をつかみました。シニコグルーもスタヴロスのことを気に入り、トムナとの結婚準備は着々と進んでいきました。

【転】- アメリカアメリカのあらすじ3

そんなある日のことでした。スタヴロスはホハネスと再会を果たしました。ホハネスはスタヴロスからもらった靴で歩き続け、ようやくコンスタンチノープルに着いたのです。スタヴロスはホハネスをレストランに連れて行き、たくさんの食事を与えました。ホハネスは終始笑顔を浮かべていましたが、スタヴロスはそんなホハネスに注意の言葉を語りました。「俺が何度もつらい目を見たのは、お人よしだったからだ」…スタヴロスはそう語ると、アメリカはそんなことを心配する必要がない、とアメリカへの憧れの言葉を口にしました。

その後、スタヴロスはシニコグルーに呼ばれ、トムナの結婚持参金について相談を受けました。シニコグルーは500トルコリラを用意する準備がありましたが、スタヴロスはそれよりはるかに少ない110トルコリラを望みました。その金額が何を意味するかわからないシニコグルーは、「君はよく分からん男だ」と笑うのでした。

息子に恵まれなかったシニコグルーはスタヴロスが家族の一員になることを楽しみにしていました。スタヴロスには自分と同じように家族を大切にして欲しいとシニコグルーは望み、二人の結婚祝いに立派な家を贈りました。スタヴロスはそんなシニコグルーの言葉に素直に頷いていましたが、トムナはそれがスタヴロスの本心ではないことに薄々感づいていました。

新居でスタヴロスとトムナが二人きりになったときのことでした。スタヴロスはついに自らのアメリカに渡るという夢をトムナに明かしました。トムナはスタヴロスの告白にショックを受けながらも、結婚の持参金を渡航費に使って欲しいと申し出ました。心の底から自分を愛してくれるトムナの思いに心を打たれるスタヴロス。トムナはスタヴロスの夢を応援しながらも、いつかスタヴロスが心変わりしてくれることに期待を寄せるのでした。

トムナとの結婚が近づく中、スタヴロスはシニコグルーの手伝いでケバビアンという名のアルメニア系アメリカ人夫妻の接客を担当することとなりました。スタヴロスはケバビアン夫人のソフィアと親しくなり、家に招待されました。ソフィアがアメリカの雑誌やファッションを紹介すると、スタヴロスは憧れのアメリカ文化に目を輝かせるのでした。

その夜、スタヴロスはケバビアン夫妻とパーティーに向かいました。ケバビアン氏が酔っ払って楽しんでいる裏で、ソフィアはスタヴロスに自身が抱えている悲しみを打ち明けました。18歳のときに政略結婚でアメリカに渡ったこと、二人の息子を産んだこと、今では若さを失った女となってしまったこと…本来なら若いうちに味わえたはずのときめきをソフィアは今も渇望していることを明かしました。そんなソフィアをスタヴロスは見つめ続けるのでした。

その後、スタヴロスはアメリカに渡る決心を固めました。家族をこのトルコから救い出すため、とスタヴロスはトムナに説明しますが、トムナは悲しみを隠せずにいました。そんなトムナに、スタヴロスは「もう君のような女性には会えないだろう」と口にするのでした。

【結】- アメリカアメリカのあらすじ4

こうしてスタヴロスはアメリカ行きの船に乗り込みました。船にはホハネスの姿もありました。アグノスティスという男の斡旋で、ホハネスはアメリカで靴磨きの仕事をすることになっていました。しかし、このところホハネスは咳に苦しんでおり、検疫官の検査に合格できるか不安を抱えていました。

一方、スタヴロスはソフィアの部屋で彼女と情事に及んでいました。ロングアイランドが間近に迫る中、二人の関係はケバビアン氏が知るところとなり、ゲバビアン氏はスタヴロスをトルコに送還させると言い出しました。これまでの苦難が水の泡と消えることを恐れたスタヴロスは興奮し、ケバビアンに殴りかかりました。しかし、すぐに船内の職員にスタヴロスは取り押さえられてしまいました。連行されるスタヴロスに、ケバビアンは「これがアメリカだ」と吐き捨てるのでした。

その夜、スタヴロスはホハネスと会話する機会を持ちました。「初めからやり直したい」と静かに語るスタヴロスに、ホハネスは言葉を返すことができませんでした。

その翌日、船に検疫官が乗り込んできました。ホハネスはなんとか検疫官の前で咳を我慢し、入国の許可を得ます。一方、スタヴロスは船から海に飛び込んででもアメリカに入国するつもりでいました。決心を固めたスタヴロスは父親に宛てた手紙をホハネスに託しますが、その直後、上流階級のカップルがスタヴロスたちの前に現れました。スタヴロスはカップルがキスするのを見て、思わずトムナとのキスを思い出してしまいます。スタヴロスは感情が高ぶり、突然その場で暴れ始めました。叫びながらその場をぐるぐると回るスタヴロスは、上流階級の人々の嘲笑の的となりました。ホハネスはそんなスタヴロスを見て、優しく微笑みました。そして、ホハネスはスタヴロスからもらった靴を脱ぎ、船から身を投げるのでした。

その翌日、スタヴロスはアグノスティスとともに入国の許可を待っていました。すると、そこにソフィアのメイドが現れ、ソフィアからの手紙を渡してきました。そこには、50ドルの大金が入っていました。

その後の入国手続きでスタヴロスはホハネスの名を名乗りました。スタヴロスはアメリカの職員に笑顔を見せて終始対応に当たると、職員はアメリカ風の名前をつけてやると言い出し、「ジョー・アーネス」という名前をスタヴロスに与えました。スタヴロスはこの名前を気に入り、何度もその名を繰り返しました。手続きを終え、アメリカの大地を踏んだスタヴロスは思わず地面にキスをしました。そして、風に揺れるアメリカ国旗を見上げました。

それから時が経ち、トルコの父親の元にスタヴロスから手紙が届きました。手紙にはアメリカに着いたという報告のほか、50ドルが同封されていました。「アメリカ アメリカだ」…スタヴロスの父親は息子がついに夢を叶えたことに驚いていました。手紙には、いずれ家族を全員呼び寄せるつもりだとも書いていました。スタヴロスは一生懸命アメリカで働き、笑顔を絶やさずに客の靴を磨き続けました。

伯父は何年もかけ、家族全員を呼び寄せた
だが、彼の父親だけは生まれた土地で死んだ

再び流れるエリア・カザン監督のナレーションとともに、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

ラストの直前まで主人公を襲い続ける苦難の数々は、観ていられないほどつらく悲劇的でした。主人公の表情はアップで映し出され、その心の葛藤がダイレクトに伝わり、アメリカン・ドリームの裏にある壮絶なドラマを観る者に体感させます。こうした描写が続いてだけに、主人公が満面の笑みを浮かべて働くラストには感動させられました。

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