映画:イルポスティーノ

「イルポスティーノ」のネタバレあらすじと結末

イル・ポスティーノの紹介:1994年制作のイタリア映画。1950年代のイタリアの小さな島を舞台に、チリから亡命してきた実在の詩人パブロ・ネルーダと、素朴な郵便配達員の青年の交流を描いている。本作で珠玉の演技を見せたマッシモ・トロイージは、撮影を終えてから12時間後に心臓病で他界した。日本公開は1996年。

あらすじ動画

イルポスティーノの主な出演者

マリオ・ルオッポロ(マッシモ・トロイージ)、パブロ・ネルーダ(フィリップ・ノワレ)、ベアトリーチェ・ルッソ(マリア・グラツィア・クチノッタ)、ローザ(リンダ・モレッティ)、マチルデ(アンナ・ボナイウート)、ディ・コジモ(マリアーノ・リギッロ)、ジョルジョ(レナート・スカルパ)

イルポスティーノのネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- イルポスティーノのあらすじ1

イルポスティーノのシーン1 舞台はナポリ沖合にある小さな島。漁師の父親と二人暮らしのマリオ・ルオッポロは、定職に就かず退屈な日々を過ごしていました。
漁師になりたくないと思っているマリオは、食事の席で「船酔いするので向いていない」と一人でペラペラと話します。寡黙な父親は「島を出てもいいから働け」と告げるのでした。

ある日、映画館にやってきたマリオは、世界的に有名な詩人であるパブロ・ネルーダが、この島へ亡命してくることを知ります。
彼は共産党のメンバーで、祖国のチリを追われていたところをイタリア政府に保護されたのでした。
「人民のための詩人」と称されるパブロには熱心な支持者が大勢おり、映像の中で彼は陽気に笑いながら女性たちを虜にしていました。それを観たマリオは、パブロに羨望を覚えるのでした。

帰り道、郵便配達員の募集チラシを見たマリオは、さっそく局長のジョルジョの元を訪ねます。
募集内容は憧れのパブロ・ネルーダ専属の配達員で、チップで稼ぐ仕事のため給料が雀の涙であることを説明されます。
マリオはパブロに会える喜びから悪条件にも飛びつき、かろうじて文字が読めることをアピールして採用されます。
制帽とカバンをもらったマリオは、張り切って家の中でも帽子をかぶるようになるのでした。

パブロの元には世界中から手紙や小包がたくさん届いていました。
胸をときめかせて配達に出かけるマリオでしたが、パブロは素っ気なく郵便物を受け取り、少額のチップをくれるだけでした。
パブロには美しい妻のマチルデがおり、手紙も女性からばかりだったことで、マリオは詩人のすごさを再確認するのでした。

それからマリオはパブロに積極的に話しかけてみますが、単なる配達員として扱われ、距離は中々縮まりませんでした。
どうにか女性の関心を惹きたいマリオは、パブロと友人であることをアピールするために、彼の詩集を購入します。そして、自分の名前が入ったサインをもらうことにしたのです。
本にサインをしてもらえたマリオでしたが、パブロは自分の名前を書いただけで、心底がっかりしてしまいます。
仕方なくマリオは詩集を読み始めますが、生まれて初めて触れる詩に感動を覚えるのでした。

ある日、郵便物を届けてから何か言いたそうに立ちすくむマリオに、パブロが声をかけてあげます。
マリオは覚えたての詩を浴びせかけるように口にして、パブロは冷淡な態度をとります。しかし、マリオが「隠喩」という言葉に興味を示すと、世界を何かに例える表現方法があるのだと説明してくれます。
マリオは暗唱したパブロの詩の中でも、「人間であることに疲れる」という一節が気に入ったと話します。このフレーズは自分がこれまで上手く言葉にできなかった気持ちで、読んでうれしくなったと素直な感想を述べるのでした。
詩の解説を求めるマリオに、パブロは詩というものは説明したら陳腐になると答えます。また、「君が読んだ詩を別の言葉では表現できない」と教えて、感じることが大切なのだと優しく言うのでした。
それからというものの、マリオはさらに真剣にパブロの詩を読み始めます。

【承】- イルポスティーノのあらすじ2

イルポスティーノのシーン2 詩人になりたいと思うようになったマリオは、ある日どうすれば詩人になれるのかと尋ねます。
パブロはまずは入り江に向かって歩いてみるようにアドバイスをします。マリオは言われた通りにしますが、見慣れた景色の中を歩いても詩は出てきませんでした。
今度はパブロと一緒に入り江を歩きます。島の美しさをイマイチ理解していないマリオに、パブロは海についての詩を聞かせてくれました。
感想を聞かれたマリオは、言葉を詰まらせながらも「揺れる小船のようだった」と答えます。パブロは隠喩を使えているとマリオをほめて、彼はいつしか詩人の心を理解できるようになっていました。

あるとき、中年女性ローザが営む居酒屋に入ったマリオは、彼女の姪であるベアトリーチェ・ルッソという美しい女性に一目惚れします。
マリオは彼女の名前を聞く以外は、まともに話しかけることができませんでした。逃げるように立ち去り、女性を口説くためには詩しかないと思った彼は、パブロに助けを求めます。
生まれて初めて恋をしたことを報告して、ベアトリーチェに捧げるための詩を書いてほしいと頼みます。ところが、パブロは見たこともない人間の詩は書けないと不機嫌になり、マリオは「その程度ではノーベル賞はとれない」と余計なことを言います。
彼にはほかに相談できる相手もおらず、ベアトリーチェに対する想いは日ごとに強くなる一方でした。

パブロの誕生日に、祖国の同志から録音テープが届きました。
抑圧された人々の苦しみを表現した「大いなる歌」というパブロの詩を、チリで秘密に出版してくれるというのです。
返事をテープに録音する際、パブロはそばにいたマリオを「私の親友」と紹介してくれます。そして「島で美しいものは?」と質問を投げかけて、マリオは「ベアトリーチェ・ルッソ」と即答します。
パブロは「最高だ」と喜び、彼に「親友」と紹介されたマリオも上機嫌になっていました。

パブロはマリオの恋路を応援するべく、一緒にローザの居酒屋に行ってくれます。
ベアトリーチェに聞こえるようにマリオをほめてくれたり、彼女の前でマリオにきれいなノートをプレゼントします。その裏表紙には「私の親友で同志のマリオに パブロ・ネルーダ」と書いてくれました。

パブロから勇気をもらったマリオは、入り江にいたベアトリーチェに思いきって声をかけます。
そして「君の微笑みは蝶のように広がる」と隠喩で愛の言葉を贈ります。「君の笑いはまるでバラ」「君の微笑みは押し寄せる銀の波」などと、次から次へと美しい言葉を紡ぎ出し、ベアトリーチェは笑みを浮かべるのでした。

【転】- イルポスティーノのあらすじ3

イルポスティーノのシーン3 調子に乗ったマリオは、ベアトリーチェに「裸の君は」という詩を贈ります。これはパブロがマチルデのために書いた詩でした。
マリオの動向に目を光らせていたローザは、ベアトリーチェから詩を取り上げて、教会の司祭に読んでもらいます。
「裸」という言葉を聞いたローザは動転し、2人に体の関係があると勘違いしてしまうのでした。

パブロの家に乗り込んできたローザは、マリオがベアトリーチェにこれ以上近づかないように言い聞かせてほしいと迫ります。
ローザはマリオのところへ彼女を嫁がせるつもりはさらさらなく、「あの男の財産なんて水虫くらいのものだ」と毒を吐くのでした。
さらに、ローザは「裸の君は」から「君の胸は2本の支柱」というフレーズを読み上げて、マリオがベアトリーチェの裸を見たに違いないと大騒ぎします。パブロはそれを否定して、どうにかローザを帰すのでした。
パブロの家にいたマリオは、別室に隠れていました。パブロは自分の詩が盗作されたことに不快感を示しますが、彼は「詩は書いた人間のものではなく、必要な人間のものだ」ともっともらしく反論します。
それを聞いたパブロは、思わず感心してしまうのでした。

ローザが監視を強化したことによって、マリオとベアトリーチェは会うことができなくなります。
しかし、その間にも2人の恋の炎は燃え上がり、ある夜ベアトリーチェは家を抜け出してマリオの元へ行きます。
2人はついに結ばれて、あきらめたローザは結婚を許すのでした。

マリオは結婚式でパブロに立会人になってもらうことを決めていました。司祭の反対を押し切ってパブロに立会人を頼み、彼は喜んで引き受けてくれます。
披露宴では、普段は無口なマリオの父親が心を込めた挨拶をしてくれて、マリオの心は満たされます。
そこにパブロ宛てに電報が届きます。彼の逮捕命令が取り消されて祖国へ帰れることになり、さっそく披露宴の場で報告します。
マリオも皆と同じように拍手を送りますが、その表情は寂しげでした。

パブロたちが旅立つ前日、マリオは最後の手紙を届けに行きます。
パブロとの別れを惜しむマリオは、絶対に手紙を出してほしいと声をかけます。パブロはチリの政治情勢が変わりやすいことから、いつでも帰ってこられるようマリオに家の管理を頼みます。
マリオは「手紙は直接チリまで届けるよ」と伝えて、2人は笑顔で別れの挨拶をするのでした。

パブロが去った後、島で選挙活動が開始されます。
これまで民主党の議員であるディ・コジモが島を牛耳っていましたが、マリオはパブロの影響で共産党に投票するつもりでした。
選挙日が近づくと、コジモは毎回島に水道を引くと約束するのですが、当選後約束が守られたことはありませんでした。
島民たちはそれでもコジモに投票していましたが、マリオはジョルジョと共に抵抗を続けます。
自分の考えを持つようになった彼は、政治体制の反対運動にも積極的に参加するようになったのです。

マリオと同様パブロに心酔するジョルジョは、新聞でパブロの記事をくまなくチェックしていました。そしてパブロの記事を見つけると、すぐマリオに知らせてくれたのです。
マリオはパブロの手紙を待ち続けていましたが、何の音沙汰もありませんでした。
あるとき、パブロが島での思い出を語るインタビュー記事を見つけます。ところが、マリオたちの名前は出てこず、がっくりと肩を落とすのでした。

【結】- イルポスティーノのあらすじ4

イルポスティーノのシーン2 選挙は民主党が勝利し、コジモが当選を果たしました。
予想通り水道工事も中断され、マリオは貧しい島民を搾取するコジモの手口に怒りを感じます。マリオは居酒屋にやってきたコモジに堂々と歯向かい、島民も同調するのでした。
同じ頃、ベアトリーチェが妊娠します。マリオは子どもの名前をパブロにちなんで「パブリート」と決めており、チリへの移住を考えるようになります。

パブロが島を去って一年が過ぎた頃、マリオに待望の手紙が届きます。
期待に胸を弾ませながら開封しますが、手紙を書いたのはパブロの秘書で、荷物を送ってほしいと記されているだけでした。
皆パブロの薄情さを非難しますが、マリオだけが彼をかばいます。しかし、内心一番ショックを受けていました。

言われた通りパブロの家で荷造りをおこなうマリオは、かつてパブロと吹き込んだ録音テープを見つけます。
なつかしい彼の声を聞いて、マリオはあることを思いつくのでした。
その後、マリオはジョルジョの協力を得て、島の美しいものを録音テープに吹き込んでいきます。
波の音や風の音、漁師の網の音、教会の鐘の音と司祭の声、星空の静寂、そしてベアトリーチェのお腹に宿る息子パブリートの心音にマイクを向けます。それはまさしくマリオの詩でした。
やがてマリオは、パブロが残していってくれたさまざまなものに気づきます。彼はパブロにプレゼントされたノートに、「パブロ・ネルーダの歌」と名づけた詩を書き上げるのでした。
その詩をナポリで開かれる大規模な共産党員の集会で朗読することを決意します。

5年後、パブロはマチルデを連れて、ローザの居酒屋をひょっこり訪れます。
店にはベアトリーチェと5歳になったパブリートがいましたが、マリオの姿はありませんでした。パブロがマリオはどこにいるのかと尋ねると、彼はこの世を去ってしまったのだとベアトリーチェは答えます。
あの日、共産党員の集会で壇上にあがろうとしたマリオは、集会を中止させようとした警察と参加者との乱闘に巻き込まれ、命を落としてしまったのです。
ベアトリーチェは、マリオがパブロのために吹き込んだテープを聴かせます。
その後、パブロがマリオとの思い出の場所である入り江を歩き、懐かしい記憶をよみがえらせながら涙が浮かべる場面で、物語は幕を閉じます。

みんなの感想

ライターの感想

喜びや悲しみ、美しいものを見たときの感動などは心にしまいがちですが、言葉で表現していくことも大切だなと、本作を見て思いました。退屈な日々を過ごしていたマリオが、自分の言葉を持つことで堰を切ったように輝き出す姿に、物事を感じ取る心さえ備わっていれば、人生はずっと豊かになるのだと教えられたようでした。マリオが巡る島の美しい自然や心地よい音楽、気のいいジョルジュや辛辣なローザなどの端役も、味があってよかったです。命がけで撮影に挑んだマッシモ・トロイージに、心から感謝の気持ちを伝えたいです。

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