映画:エリカ38

「エリカ38」のネタバレあらすじと結末

ヒューマンドラマ

エリカ38の紹介:2019年の公開作で、監督は日比遊一、プロデューサーは奥山和由。PG12指定。18年に逝去した樹木希林が、旧知の仲である女優・浅田美代子の代表作にしたいと初めて企画に携わった渾身作。世間を賑わせた詐欺事件をモチーフにしたフィクションで、年齢を20歳以上も詐称し、犯罪を重ねては欲望の赴くままに生きた女の姿をリアルに描き出す。

あらすじ動画

エリカ38の主な出演者

渡部聡子(浅田美代子)、平澤育男(平岳大)、橋本弘(窪塚俊介)、玉木亮介(山崎一)、小島まさえ(山崎静代)、工藤周平(小籔千豊)、ポルシェ(WORAPHOP KLAISANG)、玉木香代子(佐伯日菜子)、中井亜紀(真瀬樹里)、田中功二(小松政夫)、竹田正道(古谷一行)、伊藤信子(木内みどり)、渡部薫(樹木希林)

エリカ38のネタバレあらすじ

簡単なあらすじ

【起】- エリカ38のあらすじ1

クラブホステスの聡子は、平気で同僚の客と同伴出勤するような神経の図太さと、色香を持ち合わせた女性です。そのうえやり手な聡子は水商売の傍ら、アメリカ製サプリメントの販売も手がけていました。ある日、聡子は月1回の売上報告会をしていた喫茶店で、上品な年配女性の伊藤に声を掛けられます。伊藤は聡子の会話が聞こえて来て商品が気になったと言ったかと思うと、持っていた現金20万円を出してサプリをその場で購入しました。渡された名刺によれば、伊藤は会社経営者らしく、大胆な彼女の行動に聡子は驚きました。
突然のことに不審に感じ、聡子は後日、名刺に書かれた伊藤の会社に電話をします。しっかりと教育されたオペレーターが対応している会社と知った聡子は、伊藤を信用しました。

数カ月後。伊藤が紹介したいと話していた平澤という男性を聡子が勤める店に連れてきます。只者ではない2人の雰囲気に、店を出て話を聞く聡子。なんでも平澤は、アメリカで言うなら国防省にあたる職に就き、国境を超えて資金管理をするビジネスを展開しているらしいのです。平澤が繰り出す壮大な話に、聡子は好奇心をくすぐられました。平澤は熱弁を振るいます。「伊藤さんを守る味方になって欲しい。人のために尽くす時が、人は一番力が出る。あなたにはオーラがあり、まだお若い」と年下の平澤に言われ、その気になった聡子は、彼が携わる途上国の支援事業を手伝うことに決めました。

平澤が会長を務める社団法人ルトックスは、事業紹介と資金を募るための”支援説明会”を開催しています。早速、人の心を手中に収めて広い人脈を誇る聡子の知人を集めて、説明会が行われました。集まった参加者は、自信に満ちた平澤のマイクパフォーマンスに心酔し、支援をしたいとの声が数名からあがります。そんな参加者には別途食事会が設けられ、支援金の元本保証、配当金の支払い、知人を紹介すればその手数料も渡すと平澤は謳いました。参加者が迷わないうちに金は迅速に回収するやり方を、平澤は既に聡子にも仕込んでいました。

【承】- エリカ38のあらすじ2

手伝い程度のつもりでいた聡子でしたが、支援者集めに楽しさを覚え、クラブを辞めました。支援者から回収した金を平澤に渡すのは決まってホテルの部屋。札束の帯は外し、記録は残さない。そして疑惑を持たれぬよう支援者にそれとなく配当金を渡すなど、平澤は手慣れた様子で金の管理をするのです。聡子と言えば、久々に会った伊藤から積極的な活動ぶりを褒められたうえに、実は孤独らしい平澤を慰めて欲しいとそそのかされていました。伊藤の言葉に乗せられた聡子は、平澤と体を重ねるのでした。

聡子の活動はどんどん本格的に。今では聡子自身がマイクを握り、説明会を進行させるまでになりました。ある日の説明会では聡子の話に真実味がないと見抜きながらも、彼女に惹かれた会社経営者の田中が声を掛けてきます。聡子とデートを重ねた田中は彼女にハマり、聡子が必要ならと躊躇わず3000万円を委ねました。こうして持ち前の口の達者ぶりと妖艶さで、説明会を重ねる度に金を手にした聡子は、集めた資金で買ったブランド品で身なりを固め、外車を乗り回すように。エステやネイルサロンに通い、ホストクラブで豪遊する日々を送りました。

ある会合で聡子は、高齢で資産家の佐々木に出会います。佐々木の心も射止めた聡子は、自分も一緒に住むための豪邸を彼に買わせました。そして老人ホームに入所していた母の薫も同居させ、家政婦のまさえを雇い贅沢三昧の暮らしを始めます。選挙に出馬予定の佐々木の後援会を自宅で開くと、薫は集まった人に対し「娘がこんなに立派になり、皆さんのおかげです」と嬉しそうに挨拶するのでした。
聡子が薫を捨てられないのには、理由がありました。威圧的な父に聡子や薫は怯えながら暮らしました。傲慢な態度の父は隠れて不倫もしており、聡子はホテルの前で濃厚なキスをする父の姿を目撃してしまいます。そんな父に我慢出来なくなった聡子は、みそ汁の鍋に殺鼠剤を入れようと企みますが、薫に止められました。それからも薫は夫に傍若無人に振る舞われ続け、そんな薫を見て耐え抜いた聡子は奔放な人生を生きながらも、母親という存在を見捨てることが出来なかったのです。

【転】- エリカ38のあらすじ3

平澤が支援者の1人である既婚者の中井と男女の仲だと察した聡子は、探偵を雇って調査します。嫉妬の素振りを見せた聡子に平澤は、「君は特別なんだよ」と言って聡子の保証人になるための印鑑登録証明書を渡しました。証明書は本物でしたが、平澤が他の支援者にも同様に渡していることをこの時の聡子はまだ知りませんでした。
その後も平澤を尾行した聡子は、中井との密会現場を自身の目で確認します。聡子はギラついた平澤に、本能のままに生きた父の姿が重なりました。聡子はカマをかけるように平澤に電話すると、それ以来彼との関係を断絶しました。

支援者の2000万円を持ち逃げして、聡子はタイのチョンブリー県に旅立ちます。聡子は酒場を回っては、派手に遊びました。
ある夜聡子は繁華街で、金を盗んだと疑われて逃げ回るポルシェという青年に遭遇します。聡子はポルシェの金を肩代わりすると、彼を食事に誘いました。聡子は「エリカ」と名乗り、金を返してもらわない代わりに、また会う約束をポルシェにさせました。
聡子はポルシェと度々会いました。親子ほど年の離れたポルシェに恋心を抱いた聡子は、必死に若作りします。デートを重ねた2人は、やがて結ばれました。「また会える?君が愛しい」と言ったポルシェに、タイへ戻ることを約束し聡子は帰国しました。

帰国してからも聡子は、自称”38歳のエリカ”としてホストに貢ぎ、派手な生活を続けました。そんな中佐々木の邸宅に、支援者の玉木が乗り込んできます。玉木は聡子に、電話にも出ず預けた金も返さないと激しい剣幕で訴えました。引き下がらない玉木に聡子は「私が支援してってお願いしたことあった?」とあっさり。失望した玉木は「死んでも許さんからな!」と言い残して去りました。
程なくして佐々木が不審な死を遂げます。聡子が殺害したのではないかと噂話も出るなか、彼女はお粗末な佐々木の葬儀を自宅で執り行いました。

聡子はもちろん家に住み続けました。しかしそれは失敗の元。住所を持たない平澤と違い、居場所を作ってしまった聡子の家に、疑念を抱いた20名ほどの支援者が押し掛けてきます。一様に大声で聡子を責めますが、彼女は動じず、平澤に連絡がつかないと言ってしらを切ります。周囲から金をかき集めた支援者は返済ができず、死人が出るかもしれないとの怒号も…。その言葉に「もう出てますよ」と同調したのは玉木の妻でした。金が戻らないことを苦に、玉木は自宅の居間で首を吊ったのです。玉木が聡子にのぼせていたことも知っていた妻は「あなたが憎い」と言い放ちました。一同から憎しみの視線が向けられた聡子は「やだぁ、みんな。私、何にも悪いことしてないじゃん。みんなを助けたんでしょ」と、平然と言って退けるのでした。

【結】- エリカ38のあらすじ4

支援者が去り、金庫に溢れていたはずの金が底を尽きます。賃金も払えずまさよは故郷に帰ることになり、電気が止められた豪邸に灯るのは蝋燭の小さな火でした。伊藤の電話は既に繋がらず、聡子は自身もはめられたことに気付きます。そしてかつて伊藤が語った「お金は人間より、はるかに頼りになります。頼りにならないのは人間の心…」という言葉が脳裏をよぎりました。
呆然とした聡子は「一緒に死のうか」と薫に問いかけます。聡子の赤いマニキュアを塗っていた薫は軽く拒み、『赤とんぼ』を歌い出しました。釣られて口ずさむ聡子でしたが、歌詞が分からない部分も親子で一緒でした。
結局聡子は薫を老人ホームに戻し、車を売った金を持って、タイへ向かいました。

聡子はポルシェに買い与えたタイの立派な屋敷で、貪るように彼と体を重ねます。ときめきと官能に満ちた時間を過ごしました。ところが、ある日のこと。買い物に出かけた聡子を見送ったポルシェに笑顔はありませんでした。”エリカ“であるはずの聡子は、車の給油中に「サトコ?」と声をかけられます。既に国際手配されていた聡子は、タイの警察官に拘束されたのでした。
聡子は投資詐欺の容疑で、日本へ強制送還する機内で逮捕されました。東京の警察署に身柄を移すため、護送車に乗った聡子は報道陣に囲まれると「私も被害者の1人です」と悪びれる様子もなく言い放ちます。今日もお綺麗ですねと声がかかると「ありがとう」と、満足気に微笑むのでした。

聡子のノンフィクション本を執筆するため、ライターの橋本は多くの被害者や聡子の周囲の人物に取材します。ところが不思議なことに、聡子を一方的に責める人間は殆どいませんでした。平澤が全ての罪を聡子に負わせたかったのではないか、彼女も最初は被害者だったのではないか…と。そして聡子に翻弄された男たちは、彼女に騙されたと今でも思えない、あの時の我々には彼女が必要だったなどと口を揃えて語るのでした。
橋本はポルシェを取材するためタイに向かいます。聡子が買った家にポルシェが共に住んでいたのは、本命の恋人でした。ポルシェ曰く“エリカ”が本当は 1958年生まれでも、たくさんの金をくれ、優しくしてくれたマイエンジェルなのだと。聡子から貰った金で仕事もせず暮らすポルシェは、“あの家で今も君を待っている。戻ってきて”と、聡子宛てに綴った手紙を橋本に託しました。

収監中の聡子は着飾ることもできず、随分と老け込みました。精気を失った聡子は、面会に来た橋本に本の権利をあげると無気力に話しました。橋本がポルシェから預かった手紙を掲げると、聡子は恋しそうにアクリル板越しのそれに顔を近づけます。ポルシェとの甘い日々に思いを馳せ、聡子は吐息を漏らしてうろたえるのでした。

みんなの感想

ライターの感想

感動も無ければ涙もなく、共感もない。この作品は物語が主役ではなくて、「浅田美代子」という女優を観るために樹木さんが作ったのだと強く感じました。浅田さんのことが嫌いになってしまいそうなくらい、彼女は最初から最後まで聡子で、したたかであざとい好色女でした。今作に登場する役者さんは、顔の皺も手の皺も隠さず、心を掴まれました。だからこそ年齢を体現できるのだと。
金のために手玉に取るのは高齢男性なのに、恋するのは自分よりも若い男ばかり。見終わると、なんだかとても空虚な気持ちになりました。この気持ちって実は、聡子(モデルになった山辺)も同じなのではないかと感じました。

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